二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第二章「青春熱血!熱き拳」 ( No.15 )
日時: 2015/03/24 22:11
名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)


第二章「青春熱血!熱き拳」

冬も去り、桜の花も小さく咲き始め初春の訪れを感じる。
もうコートも不要なくらいな気温となり、外に出るのが気持ちよく感じる季節だ。
そんな心地よい季節の中、何時ものように学校に登校し授業を受けるが…当然眠くなってしまうのも無理はない。
教師が止まることなく口を動かし、なんやら難しい文章をスラスラと読み上げる。あれには催眠効果があるのだと私は絶対そう思う、賭けても良いぐらいだ。
そんな退屈な授業でも、時間は平等に進みやがて終わりがやって来る。今日も一日勉強した(仮)とばかりにクラスの生徒は皆各々の予定の為席から立ち上がれば早々と教室を出て行った。
自分も必要最低限の物だけを愛用のリュックに放り込めば帰宅の準備をし始める。
窓の外を見つめれば、日が落ちかけ徐々に暗くなり始めていた。そんな当たり前の光景を見ながらこのまえ体験した出来事を思い出していた。

あのアンドロでの出来事から、既に5日は経っていた。
後日談としてこれから語るのは、未だに私も全部を信じている訳ではないが少なくともこれが現実に起こっている事なんだと真実を受け止め始めている。

デジタルモンスター、略してデジモンの一種であるツメモンと私は出会った。
協力してくれるか否かという問いに直ぐに首を立てに振ることの出来なかった私はともかくあの場所にツメモンを置いとく訳には行かず、その小さな体をひょいっと担ぎ上げると、あろうことかリュックに無造作に詰め込んでしまった。
今思えば少し乱暴だったのかもしれない、それでもデジモンという生物を他の人にバレないようにしようとした私なりの行動だった。
ツメモンは心底驚いた眼差しのまま、フギャっという可愛らしい声と共にリュックの中に収まった。今になって知ったことだがそれがあまりにも無意味な行動だったらしい。

親友であるメイは私の帰りを元の場所でずっと待っていてくれた様だ。私の表情と大きく膨らんだ灰色のリュックを見るや否や小走りで直ぐに此方に寄り添ってくれた。
いつもの彼女なら何があったのか、どうだったのかと質問責めをしてくる筈なのだが。空気を察したというか読んだというか、彼女も色々あった異変に気づきその時はあえて何も言わずに

「さぁ、とっとと帰るわよ。こんな街早く出たいしね。」

と、それだけ言えばそれ以上深い事は質問することなく共に早々とアンドロを後にした。
帰り際彼女は一言だけ…

「今言えないなら言わなくていい、でも時が来たら今日あった事あたしに聞かせてね。」

そんな言葉を私に投げかけ、EDENからログオフし家に帰って言った。私は小さくありがとうとだけ告げたが、それだけじゃ感謝してもしきれない。
そのまま私はログオフをせずに、比較的人の少ない場所までやってくるとリュックの中をそっと除く…案の定苦しそうにもがいてるツメモンが此方をジッと見つめていた。
慌てて引っ張り出し、傍にあったベンチに腰掛けツメモンを膝の上に乗せる。まだまだ聞きたい事は山ほどあったからだ。
ツメモンはリン乱暴だよぅと弱弱しく訴えかけて来たが、まぁあの状況の事を察してかそれ以上私を責めることはしなかった。優しいデジモンで安心した…とにかく詰め込んだことはごめんなさい…

私の脳内で間接的に纏めたのが、ツメモンが語った内容だ。まず話は何故ツメモンがこの世界にやってきて私を呼んだのか?一番気になる部分でもあった。
ツメモン曰くこの世界に来てから何故か私の顔、そして私の名前が頭に浮かんだらしい。見たことも会った事も無い人間が浮かんでくるなんておかしいと思ったが、何故だか探さなくちゃいけないと思ったらしい。
そしてあの謎のおじさん。あの人はツメモンもこの世界に来て初めて出会った人らしく、何かと自分に協力してくれたとかなんとか…何よりデジモンの事を知っていたし、自分の故郷の事も知っていて無関係な人とは思わなかったみたい。
名前はサムと名乗っていたと言っているが、それが本名かどうかすらも分からない。恐らく偽名な気がしてならない。気づいたら現われ、気づいたらいなくなっていたと言う…謎の多い人物のようだ。

この世界にやってきた理由としては、あの時言っていた脅威が関係しているらしい。デジタルワールドもこの世界も同じ脅威が迫っていると言う。その脅威が……———

侵食者(イーター)

その生物が関係している様であった。侵食者というのは知性を持たずまるでアメーバの様に色々なデータを吸い尽くす謎の生命体らしく、昔にその脅威を奮った生き物だったらしい。
しかし以前既に絶滅し、一度こいつらの手によって滅びかけていたデジタルワールドは再び元の姿を取り戻し平穏な日々を過ごしていたということだ。

その平穏も束の間…やがて訪れるは新たな脅威。
デジタルワールドに1匹の幼虫の様なデジモン?が姿を現したらしい。真っ白で黒いチェック模様の入った何とも不気味な。だがまるで害はなさそうに、活発に動くことはせずにどのデジモンも気に留めることは一切なかったようだ。
しかしある事件が起きる、その幼虫はあろうことか一匹のとあるデジモンに寄生を始めたらしい…寄生されたデジモンはバグ状態により行動を制限され、まともに動く事も出来ずに息耐えてしまう。しかしそれでも幼虫は成長を続け、亡骸となったデジモンのデータを侵食し尽くせばそこに繭を張ったのだ。
やがてそのデータ状の繭は長い間眠りにつき…そして孵化を始めたのだ。大きな羽を生やした、おぞましい1匹の蛾に。その時には既に気づくのが遅かった状態だった、成長した蛾は所構わず卵をデジモン達に植え付ければ自分の仲間を増やし始めた。
もっとも恐ろしいのは撒き散らす鱗粉。吸い込んでしまえば徐々に体がバグに侵食し、その事に気がつきもせずに身動きだ取れなくなっていくらしい。そうなってしまえば既に格好の餌となってしまう。

その脅威の蛾の生物はこう名づけられた

侵食者X(イーターエックス)

今でもその数を増やし続け、デジタルワールドを再び壊滅させようと活発に行動をしている。
そして何より問題なのは、侵食者Xの幼虫体が次元の穴に入り込みこの世界EDENに既に入り込んでいるということ。今はまだ幼虫のままだが何れ繭を張り、成虫へと進化を遂げればこの世界も無事ではすまないと言うことになる。
だからこそこの世界に入り込んだ侵食者Xを駆除して、そのデータから奴らを激減させる方法を見つけデジタルワールドを元の状態に戻すのを手伝ってほしいといった理由だ。

そもそも何故こんなおぞましい生物が生まれたのか、詳しくは分からないが…少なくともこのEDENの世界にも突如やってこれた事も考えると人間が関与しているかもしれないらしい。
デジモンと人間にとって、既にこの脅威は無視できる存在ではないのである。