二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第二章「青春熱血!熱き拳」 ( No.24 )
日時: 2015/03/29 21:25
名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)


望まぬ戦闘に戸惑いを隠せないリンに対し、実戦をしてみたかったタクトは嬉しそうに、そしてワクワクと心を躍らせていた。
しかしお互い気づいていないようだが、どちらも実戦は初めて…一応ではあるがフェアの勝負といったところか。

「ガオモン、行けっ!その熱い右腕を打ち込むんだ」

まず先に動いたのはガオモン、タクトの指示を聞けば小さく頷くと両の足で地面を蹴る。素早いスピードと共に一直線に突っ込んでいった。
繰り出すのは右腕によるパンチ。その速度によって増された威力の高い右腕がツメモン目掛けて放たれた。

「っ!ツメモンっ、避けて!」

その攻撃を見るや咄嗟の判断で回避を指示…しかし、時遅くその場から回避する前にガオモンの右腕は身体にヒットした。
物凄い衝撃と共に後方へ吹き飛んでいくツメモン、苦痛の表情と共に地面へと落下すれば小さく転がり…ゆっくりと身体を起した。

「そんな…ツメモン、大丈夫?」

大声でそう叫ぶ。痛みを堪えながらも小さく頷くツメモンを見れば少し安堵する。
避けられないのも無理は無い、あれだけ早い動き戦闘経験の薄い二人には判断も遅れてしまう。体の大きさも違い今の一撃だけであまりにも力の差を感じた。
しかしそうは言っても、二人で戦ってみると決めたのだ…ツメモンが攻撃されるのを見るのは心が締め付けられるように痛むが何とか反撃を試みる。

「ツメモン、いける?」

「うん、平気だよ!やってみる」

再度ガオモンを見据えば今度は此方の番とばかりに突っ込んでいくツメモン。驚いたことにその速度は速い…というより体が小さいのですばしっこいと言った方が正しいのかもしれない。
空中に浮遊しながら早いスピードでガオモンの目前に迫れば己の鋭い鉤爪で攻撃を繰り出した。

「行けぇ!ツメモン!」

「ネイルスクラッチ !」

その叫びと共に放たれるは鉤爪による斬り付け、小さい体ながらも鋭く尖ったその鉤爪で切り付けられれば無事では済まないだろう。
ガオモンは咄嗟に両腕をクロスすれば、赤いボクシンググローブでその斬り付けを防ぐ。伊達ではないその鋭い爪はガオモンのグローブに大きな傷を残した。

「これが…実戦ってやつか…ガオモン、平気か!?」

心配するかのようにタクトはガオモンに問いかける、グローブに傷だけですんだ様子を確認すれば再度攻撃を試みようと指示を出す。

「ガオモン、練習した技だ!いっけえええ!」

ガオモンはタクトの指示を聞けば、その場にしゃがみ込むかのように伏せ始める。両足に力を込めそして…開放する。
その様子に異変を感じたリンは直ぐ様ツメモンを下がらせようと叫ぶのだが…

「ツメモン、下がって!」

それと同時にガオモンは体を回転させながら右腕を天高く伸ばし飛翔した、勿論ツメモンを狙って。
回転を加えることにより、その威力は何倍にも膨れ上がる…直撃すれば無事ではすまない。

「うおおっ!ローリングアッパァァ!」

風を切りながら早い速度で飛び上がってくるガオモンの攻撃を避けるようにツメモンは後退を試みるが…

「うワぁっ!!」

直撃は免れたものの、その一撃は体を大きく掠め上空へと吹き飛ばされる。只のパンチなら掠めてもダメージは無いのだが回転が加わる事によりまるで削り取られるかのような痛みが全身を駆け巡った。
ツメモンはそのまま地面へと落下し、痛みを小さく堪えている。これはマズイと感じたリンは直ぐにツメモンに駆け寄ればその体を抱きかかえた。

「もういいよ、ツメモン…良く頑張ったよ。だからもう無理しないで…」

確かに力の差は一目瞭然であった。これ以上やった所で勝機は見えない…そう思った。
しかしツメモンは体を起し、未だ諦めていない…しかし体はフラフラでとてもじゃないが動けそうにない。

「こ、このままじゃ駄目なんだ…これから先戦えないままじゃ」

「ツメモン…?」

今までとは違うツメモンの様子に戸惑う…そして気付いた。自分の世界を救う為にこのままの状態ではいけないと本気で危機感を感じている事を。
それほどの覚悟で、生半可な

「私がこの先協力してくれるリンを守らなくちゃ駄目なんだ!」

その覚悟の叫びと共に突如としてツメモンの身体が眩い光に包まれた…