二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第二章「青春熱血!熱き拳」 ( No.29 )
- 日時: 2015/04/09 23:39
- 名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)
ケラモンが放った赤い光弾は正に至近距離でガオモン目掛け放たれた。途端上空では爆発が起こり強い衝撃の余波がリンとタクトを襲う。
リンは歯を食いしばりながらそして堪えながらも視線を逸らすことはしなかった。果たしてこの一撃…流石のガオモンにダメージを与えられたと思うのだが果たして…
「っ!…ケラモン…」
やがて爆発による黒煙が薄れ始めたと同時に、地面へと落下してくるガオモン。体中煤だらけになっておりやはり左腕一つでは防ぎきることは難しかったようだ。
ダメージを追いながらもその傷だらけの身体で何とか着地をするも、そのままゆっくりと膝を落とす。
「が、ガオモンッ!大丈夫か?」
そんな姿を見たタクトは迷うことなくガオモンの元へと駆け寄れば安否を確認する。
悲痛の表情のままガオモンはゆっくりと口を開いた。
「へへ…まんまと罠に引っかかっちゃたな、タクト…ごめんな」
申し訳なさそうに肩を落とすガオモンのその言葉にタクトは微笑みながらゆっくりと首を横に振った。
二人にとっても初めての実戦、結果は負けだがガオモンは十分良くやってくれたんだ。時間はある、これから一緒にもっと強くなっていけばいいと心に誓いながら。
「良いんだガオモン。まだ始まったばかりじゃねぇか、もっともっと強くなればいいんだ」
そう告げるとタクトはガオモンを静かにその場に座らせゆっくり休ませる。
そんな光景を見ながらもリンも同じくケラモンの元へと駆け寄った。
結果的には勝利…してしまったのだが不本意な勝負故何とも勝ちを喜べないのであった。自分の相棒が攻撃されるのを見るのも胸が痛むし、逆に相手のデジモンがあんなにボロボロになっているのも罪悪感が生まれてしまう。
ともあれこの勝負で少なくとも得られたことはあった。1つは相棒が進化をしたこと。もう1つは…少しは戦闘に自信が生まれてきた…ほんの少しだけだが。
「お疲れ様、ケラモン!」
ゆっくりと空中から降りてくるケラモンを見ながらそう声を掛けるのだが、どうもケラモンの様子がおかしい。何だかフラフラしているように見えるのだが…
そう思った矢先ケラモンは自分目掛けて落下してきたのだ、咄嗟にキャッチするかのように抱きかかえれば安否を確認する。
「結構、ダメージあったみたい…」
無理もない…ツメモンの状態の時に何発か攻撃をくらい瀕死になるも、進化を遂げ再び戦闘を開始。最後のガオモンの一撃を触手で受け流したとはいえダメージ0とはいかなかったようだ。
それに進化したからって回復をした訳ではない、少なからずダメージは蓄積していたのだ。
「ごめんねケラモン…私がお腹で攻撃受けてなんて無理いったから」
「ううん、そのお陰で勝つことが出来たしリンのお陰よ。わたしも進化する事が出来たし、それもこれも全部リンのお陰。ありがとう」
お礼を言われるような事は何もしてないとばかりに、あははと苦笑いしながら頬をポリポリと掻きながら再度口を開く。
「私は何もやっていないよ。ケラモンが勝負をするって自分で決めて。そして自分で戦い進化し勝利を勝ち取った。私は後ろで見ていることしか出来なかった…でも私ももっと成長出来る様に頑張るから。これからも宜しくね、ケラモン!」
腕の中で横たわるケラモンに笑顔でそう告げる。ケラモンとはまだ出会って短いが何だか信頼関係がより深まった気がした。
リンはケラモンを抱えたままタクトに近づいていけば、ボロボロの身体のガオモンを心配するかの様に覗き込んだ。
タクトもガオモンも別に悪人ではないと思うだけにここまでやってしまったと罪悪感が物凄く沸いてくる…そしておそるおそる声を掛けた。
「え、えっと…その…あなたのデジモンは…大丈夫?」
小さい声だが聞こえる程度の声量でそう言うが、果たして彼はどんな反応を示すのか。怒って殴りかかってこないか若干心配になる…そして。
「……お前」
やっぱ怒ってる!背中越しに何だか怒りを感じた(様な気がした!)。直ぐにでも謝らないと思ってしまった…そもそも戦いを挑んできたのはこの青年だということを忘れながら。
「ああ、あの!ごごご、ごめんなひゃいッ!」
噛んだ、思いっきり噛んだ。そんなテンパリ気味の私を腕の中で苦笑いしながら見つめてくるケラモン。そんな顔で見ないでおくれと言いたくなる。
それでも精一杯謝ったつもりだが果たして許してくれるのだろうか。
「お前……お前すっげぇぇなぁっ!何だよ、あの光!進化か、あれが進化ってやつなのかぁぁ!戦闘中に進化しちまうとはお前ら二人の絆は相当なものって事だな。クッソォ、俺とガオモンも絆は強いがお前らも負けず劣らずって事か!それにあのガオモンの必殺技を瞬時に腹で受け流す作戦。見事だ、見事というしかねぇな!いやぁまいったまいった俺達の完敗だ、はーはっはっは!」
それはもう心底嬉しそうにタクトのまるでマシンガンの様な大声が次々に飛んでくる。私の噛んでしまった精一杯の謝罪はどうしてくれるんだコノヤロウ。とばかりにポカンと唖然としてしまうリンであった。
ともかく怒っていない、むしろ喜んでくれた?なら良かったと安堵する。
「そ、それはどうも。えーと、取り合えず戦いの前に話したこと覚えてる?」
「ああ!あれだろ探し物してるって。約束通り俺の知ってることは何でも教えてやるし、一緒にその探し物を見つけるの手伝うぜ!」
覚えていてくれて良かったと思いつつも、リンは間接に自分の状況を話し始めた。
侵食者X(イーターエックス)の存在。彼が知っているか分からないが一応聞いてみないと始まらない。何か情報を得られれば良いのだが…
そんな事を思うリンだが、まさかこの後彼からの返答が自分の予想を大きく上回っている事など今は知る由もなかった。