二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第二章「青春熱血!熱き拳」 ( No.35 )
- 日時: 2015/04/12 21:44
- 名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)
声の主を確認しようと視線を向ければ視界に飛び込んで来たのは赤髪の派手な露出の高い女性であった。
此方を見つめているので自分達に声を掛けたということで間違えないだろう。
「漸く見つけた!君が突如事件に巻き込まれた現役美少女JKの朔日リンちゃん又の名をさくりんだねっ!」
その女性は笑顔で此方にビシィっと指を突きつけながら何故か自信満々でそう発した。
そんな事を突如として言われても物凄く反応に困るし、そんな初対面で何故かさくりんとあだ名を付けられても何て返答をすれば良いのか分からない…そして此方のテンション高めの女性は一体誰なのかが一番の問題だ。
リンの隣でガオモンを背負うタクトはこの状況にポカンとしていた。無論自分も全く同じ状況な訳で…
暫しの静寂が流れる。
「えっと、貴女は一体?」
その静寂を断ち切る様に漸く出た言葉がこれであった。まぁ当然の質問なのだが…
派手な女性はリンの問いに待ってましたとばかりに腰に手を当てながら何故か分からないがそれはもう自信満々名を名乗る。
「良くぞ聞いてくれましたぁ!この超悩殺ぼでぃを誇るあたしの名前は…」
そして決めポーズの如く右腕を天高く伸ばし挙げれば。
「アッキーノこと白峰ノキア!華麗に参上ッ!」
そして再び暫しの静寂が流れた。
白峰ノキア(アッキーノ)と名乗る女性はそのポーズのまま正に決まったとばかりにその余韻に浸っている様にも見える。しかしこの空気に感づいたのかゆっくりと右腕を下ろせば少し恥ずかしそうに小さい声で口を開く。
「………あれ?これ、もしかしてKYT(空気読めない登場)ってやつ?…やっちゃった系?」
正にその通りでせう、というかKYTってなんだろう。と心に思うが声には発さない。しかし…
「……すっげぇ恥ずかしい自己紹介だっt……ブフッ!」
隣のタクトが思ってることを口にするが、直ぐにその口を塞ぐ。
「あはは…白峰さん?でしたっけ?その、私達に何か御用ですか?」
愛想笑で誤魔化しつつ、彼女が自分等二人を引き止めた理由を尋ねた。それに何故自分の名前を知っているのかも気になる所だ。
「リン、ちょう悩殺ぼでぃってどういう意味な…むぎゅっ!」
そして頭の上に乗っているケラモンがそんな事を聞いて来るので、頭から引きずり下ろせばギュッと抱きしめケラモンの顔を自分の胸に押し付ける。少し黙っててね?とばかりに少し強引な方法だ…
「白峰さんじゃなくてノ・キ・アって呼んで!もしくはアッキーノでも良いよぅ。っと本題だけど、今さくりんが抱きしめてるその子!その生き物はデジタルモンスター、略してデジモンって言うんだけど…まぁそれはもう知ってるか。とーもーかーく!なぜその子達がこの世界に来たのか教えて欲しいんだけど!」
なぜケラモンやガオモンがこの世界に来たのか?その理由は当然知っている。しかし初対面の怪しさ爆発なこの女性に言っても良いものなのだろうか?
普通なら教えることはせずに誤魔化しているだろうが、一つ気になることが…この白峰ノキアはデジモンという存在を既に知っているということ。即ち少なからず今回のこの事件に絡んでる可能性があるのか否か。
リンは自分の胸に押し付けていたケラモンを引き話せばノキアの問いに答えて良いのか確認の意を込めて見つめる。
それに答えるかの様にケラモンは小さく頷いた。
「えっと、じゃぁノキアさん…話せば長いんですけど…」
タクトに話した時と同じ様に間接に説明し始める。
ケラモン(ツメモン)との出会いから侵食者Xのこと。それを探して倒すことなど。
その説明を聞いていたノキアは先程の高いテンションから一変、顔色が徐々青くなって行けば小さく呟いた。
「そんな……新しい、侵食者(イーター)が…」
やはりこの女性は何か知っている。この反応を見て確信したリンは何か情報を聞こうとするが。
「あのノキアさん。私達、その侵食者を探してるんです。だから何か知っているなら教えて頂いても……」
言い切ろうとした瞬間、ノキアはそれを止めるかの様に口を開いた。無理に作った様な笑顔で。
「さくりんごめんねぇ。ちょっと今トラウマイベント再発生中って感じでして…また改めてあたしが知ってること教えるね。でもね…でも…もしもそいつに出会ってしまったら…本当に気を付けて」
無理な笑顔な後に少し悲しげな表情をしながらそう告げる。そんな表情見たリンはこれ以上聞くことが出来なくなってしまった。
「あと、これ!あたしの連絡先…何かあったら連絡するんだぞっ!そーれーとー!これ、もうワケわかんないですけどっ!とか取り敢えず迷ったらそこに書いてある住所に行ってみて。きっと助けになってくれるから」
「ど、どうも…」
デジヴァイスに送られてきたのはノキアの連絡先とそして一つの住所。
「そんじゃ!二人とも気を付けてよね。バイバーイ!」
それだけ渡せばノキアは早々に出口に向かって歩いて行った。
短い出来事であったが、物凄い印象に残る人だとリンは感じた。
「へーんな人だったな、あの人。でもあれは何か知ってるって感じだな」
タクトも同じ様に感じている様だ。リンは小さく頷きながら先程送られてきた住所の所に何か書いてあることに気がつく。
『暮海探偵事務所』
探偵?この電脳世界の事件で探偵だって?そんな馬鹿な…と正直この時は気にも止めずにいた。
ともかく不思議な出会いで驚いたが、タクトと共に捜索を再開しようとクーロンの奥へと歩いていく。
結果から言えば、クーロンの奥は然程景色なども変わらず、そして誰も何もいない広い空間だった。当然侵食者も見つけることはできなかった。
結局この日はタクトと別れを告げ自宅に帰ることとなった。
ーーーPPPP
「アラタ?今さくりん達に会ってきたよぅ!ってゆーか既にデジモンと仲良さそうにしてたんですけどっ!」
『見つけるのが遅れちまったからな。もう事件に完全に巻き込まれちまったってことかよ』
「事件っていうか…完全に悪い想像がドンピシャであたってる…侵食者だって。それもお尻にXをつけた新個体っやつ!ドユコトなの?」
『最悪な展開だな。侵食者絡みだったってことはその二人にこの件から手を引く様に言ったのか?』
「んーん。言ってない」
『あん?あの恐ろしさ分かってんだろ!何も知らねぇ奴等には危険すぎる!』
「分かってる。分かってるけど…あのデジモン達は二人を選んだんだよ。私達じゃなくて、あの二人を。だからこの問題はあの子達が解決する。デジモン達が信じた子をあたしも信じてみるっ!」
『……つくづく甘いやつだなおたくは。まぁいい、見届けてやろうじゃねぇかこれからの展開を。だが本当にヤバイ時は俺は動くからな』
「うん。その時はあたしも助けるよ」
そして通信が切れる。
「はぁ……デジモンか。アグモンとガブモン…元気にしてるかなぁ。あーん、会いたいよぅ」