二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.36 )
日時: 2015/04/14 00:18
名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)

ネットと言うのはとても便利なもの。いつでも使え、知りたい時に何でも検索できる。
視覚化が可能となっているEDENがあるものの、インターネットは今でも多く使われているうちの一つだ。

現在の時刻は既に深夜2時を回っていた。外は既に静寂、時たま車が通る音が聞こえてくるとやがて遠退いていく。
リンは自室にある椅子に腰掛けパソコンのモニターを凝視していた。お風呂上りなのか髪は濡れており頭にバスタオルを被せている。
口にバニラアイスの棒を咥え、何ともリラックスした感じだが表情だけは曇っていた。
一体何をしているのかと言うと、ネットの検索を使い侵食者X(イーターエックス)の情報が何かないかと探しているのだ。
現在見ているのはEDEN交流板。EDENを使用している者が自分が行った場所や見たものなどを情報交換している場所である。
しかし幾ら探しても見つかるのは…

「素敵なお店見つけたよー」などと普通のことだったり。
「今日フリーエリアでめっちゃ可愛い子見つけた、マジで付き合いてぇぇ!」などなどどうでもいいことだらけ、目的の情報は一向にみつからない。

とは言っても、中には驚いた情報もある。それは既にデジモンの話題が出始めていることであった。どう書かれていたのかというと

「面白いプログラムを見つけた!しかも生きてる見たいなんだぜ」
「このプログラム喋るんだけどww作った奴天才じゃね?」
「これあればやべぇこと出来るな。犯罪犯すアホも増えそうだ」

と、少しずつ広がり始めていた。とはいっても一般人は正体不明のプログラムであるデジタルモンスターに近づくことは少ないだろう。逆にハッカーにとってはこれとない便利なプログラムになりそうだが。

「ん〜、やっぱり噂になってるね?他のデジモンも沢山いるんだ」

『沢山?かどうかは分からないけど、少しずつ増えてるのかもしれないわね』

そう会話するのは勿論相棒のケラモン。しかし今は現実世界の自分の部屋、ではどうやって会話しているのかというと…
デジヴァイス。端末の液晶にはケラモンの顔が映し出されていた。データの一種であるデジモンは現実世界にやってくることは不可能なのでこうして端末を通して通信をしているということなのだ。

「あーん…もう駄目!流石に目が疲れた、今日はもうおしまい。続きはまた明日、学校が終わってからね」

目をこしこしと擦りながらパソコンの電源を落とす。今日は学校から帰宅するとお風呂と夕飯以外ずっとパソコンと睨めっこしていたようだ、流石に疲れたらしい。
頭の上のバスタオルを取ると無造作にわしゃわしゃと拭き取る。普段はドライヤーで乾かすのだが、時間が時間である為にキチンと乾かす事は諦める。
デジヴァイスを手に取り、部屋の電気を消すとベッドの布団に潜り込んだ。液晶の光だけがリンの顔を小さく照らす。

『お疲れ様、リン。ねぇ、聞きたかったんだけど…ガッコウ?ってどういう所なの?』

自分に取ってはそんな事も知らないのかという質問だが。ケラモンにとっては素朴な疑問のようだ、それはまぁ当然の話なのだが。
リンは少し考えながらその質問に答える。

「学校って言うのはね…んーと、一般的には同じ年代の人が集まって皆で勉強するところ。そんで少女漫画的に可愛く言えば、あまずっぱ〜い恋や青春を謳歌するところなのだよ、分かったかねケラモンちゃん!ふふ、なんてね」

楽しそうに冗談交じりで説明するが、何だか自分で言ったことが面白おかしくてつい笑ってしまう。

『皆で勉強する所なのね。ショウジョマンガ?は分からないけど、じゃぁリンも甘酸っぱい恋をしてる人がいるのね!』

おっとそう来ましたかケラモンさんとばかりに何故だか揚げ足を取られた気分になり顔が真っ赤になる…これは一本取られた、本人にそんな気はないであろうが…

「いいい、いないわよ、そんな人ッ!今のはうそうそうーそ!ただ勉強するところですっ!」

そんな楽しげな会話をしながら、リンはハッととあることを思い出す。そしてデジヴァイスを操作するとケラモンに一つのデータを送りつけた。

「そうだ、ケラモン。この前ねEDNEで可愛いお店を見つけたの。それでこんなの買ってみたんだけど…どうかな?」

ケラモンの元に送られてきたデータはやがて実体化すると、小さい赤いリボンが出現する。そのリボンをケラモンはキョトンとしながら見つめている。

『……これは、なぁに?』

「これはね、リボンって言うの。女の子がおしゃれする為のものだよ。だからケラモンにプレゼントだよ、友情記念ってやつ!好きなところにつけて」

『ぷれ…ぜんと…』

突然のプレゼントに未だ動揺しているのかケラモンはリボンを見つめたまま。喜んでくれたかな?と思いつつも自分から聞くのもあれなのでそのままそっとしておく。
リンは笑顔で液晶に映るケラモンを見ているも、小さくあくびをすれば徐々に睡魔が強くなってきた。

「さて、今日はもう寝るね。また明日ね、おやすみケラモン」

そう告げればデジヴァイスの液晶をOFFにし眠りについた。

『プレゼント…ありがとう、リン。ずっとずっと、大事にするね』

眠ってしまって聞いてはないであろうリンにそう伝えると、ケラモンはその赤いリボンを蝶ネクタイの様に首元に着ける。
性格上飛び上がって喜びを表現したりしていないが、この突然のプレゼントはケラモンにとって物凄く嬉しいものとなった。
そのリボンを着けたままケラモンもリンと同じくゆっくりと目を閉じれば眠りについた。

そんな二人が眠りに着いたころ、先程リンが見ていたEDEN交流板にはとある一つのスレッドが立てられていた。


「EDENで異臭騒ぎ、電脳空間なのになんでだよ」
「まじで凄い匂いだったぜ、俺も感じた!」
「あの匂い何処から来てんだろうな、こんなこと初めてだわ」

徐々にその噂は広まっていった。