二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.39 )
- 日時: 2015/04/17 17:11
- 名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)
翌日、リンはいつもの様に学校へ登校していた。時間はお昼休み、日課になっているのか校舎の屋上へやってくれば親友である春名メイと一緒にご飯を食べる。
購買で買ってきたパンとイチゴミルクのパックを手に持ちながら備え付けられているベンチへと座り込んだ。
「さぁて、今日は話してもらうわよ!」
自前のお弁当を膝に乗せながら突如メイがそんな事を口にするのだがリンは未だその意味が分からずに彼女の顔を見つめながら首を傾げる。
そんなリンの表情に呆れたように溜息をつきながらメイは再度口を開いた。
「キョトンとしてんじゃないわよ、この前のあれ!アンドロでの出来事教えてくれるって約束でしょ」
「ああ、そっか…えへへ、ごめんごめん」
ここんとこ色々あってすっかり忘れてしまっていた。あんな危険な場所に付き合ってもらった以上説明をしないのは申し訳ない…
さて…何処から話せばいいのやらとリンは考え込みながら、とりあえずデジモンの存在をメイに話し始める。
「えっと、最近噂になってるデジモンって知ってる?」
「でじもん?ああ、なんか悪い連中が悪用してるプログラムの事でしょ。クラスで噂になってたわよ、まったく馬鹿馬鹿しい」
まぁ確かに悪いハッカーなどに悪用されているデジモンは知らない人から見れば印象は悪い。それにあくまで噂話だ、常識人であるメイはそんなもの信じなければ興味もないであろう。
しかしそのデジモンというあくまでプログラム的に言えばリンは持っている、そして使っていると言えばいいのだろうか…とにかくデジモンについて無関係ではない自分だからこそ説明するのもややこしいものだ。
「あはは……そのプログラム…というかデジモンに出会ったんだよね、あの時…」
メイはお弁当のおかずを頬張りながら、自分の親友がその噂のデジモンに出会ったという真実を耳にすれば驚き、喉におかずを詰まらせたかのように咳き込んだ。
「ゲホっ、あんたまさかハッカーになったとか言うんじゃないでしょうね!」
「ち、違うよ!出会っただけだし悪いことなんてしてないよ!」
案の定というか何というか予想通りの反応、直ぐにそれを否定すればメイは安心したかのように再びお弁当を食べ始める。
しかし直ぐにメイは妙な違和感に気付いた。プログラムに出会った?プログラムを見つけたとか拾ったならまだしも出会った?何かがおかしいと思い。
「デジモンに出会った、って出会うって何よ。見つけたとかじゃなくて?」
「うん、出会ったんだよ!それが案外可愛くてさー。はむっ」
ツメモンとの最初の出会いを思い出し、もう懐かしく感じるなぁと思いながら笑顔でパンを口に運ぶリン。そんなリンの表情とは裏腹にメイには未だ疑問が残ったままである。
「何よ可愛いって、まるで生き物みたいじゃない。まったくあんたは突然変なこと言うんだから」
やれやれとばかりに、リンがまた冗談を言ってるのかとメイは思った。しかし…
「それが、その…生きてるんだよ、デジモンは。私も最初はびっくりしたけど」
メイが冗談で受け取るもの仕方がない話だ、プログラムが生きているようだと言われてもとても信じられる話ではない。
もしも自分がメイと同じ立場で、デジモンのことを聞かされてもそれを信用する自信はない。
これを見せてもいまいち信用できるものではないのだが、リンはポケットからデジヴァイスを取り出すと、その液晶にケラモンを表示させる。
「その証拠に、ほら…今度EDENで直接メイにも紹介するね」
メイにケラモンが見える様にと液晶を見せる。その中ではケラモンが昨日貰ったリボンをつけてそれはご機嫌な様子でその場でくるくると回っている。なんとも可愛らしい光景だが。
「なにこの変な生物。あんた、まさかこれがデジモンだって言うの!だって、これどう見ても…」
言葉に詰まりながら再度ケラモンの様子を凝視するメイ、そして漸くでた言葉がこれであった。
「どう見ても……なによ、良く見ると意外と可愛いじゃない」
そんなこんなで未だ半信半疑のメイなのだが、一応デジモンの存在自体の認識はしたようであった。
ともあれ全部ではないがアンドロで体験した内容は説明することが出来た、あえて侵食者の話題は避けて。
「まっ、あんたが変な事件に巻き込まれてなければ何してたっていいわよ。でも危ないことはするんじゃないわよ」
そんなメイの忠告に笑顔で頷くがなんとも微妙な気持ちであった。実際侵食者という危険な生物を探して倒そうとしている訳で…
やがて学校のチャイムが休み時間の終わりを告げるかのように校内に響き渡ればメイと共に教室に戻っていく。
授業が開始し、皆それぞれ自分の席へと座り机の上にノートと教科書を広げる。リンも同じように授業の用意をしながらもある考え事をしていた。
それはあの時突如現れた白峰ノキアという女性に渡された一つの住所。そこには暮海探偵事務所を記されていた。
その時はそれを見て内心馬鹿にしていた部分があったのが事実だが、侵食者探しも完全にお手上げ状態。あの広いEDENの世界で目視だけで探し当てるのはやはり限界だと感じた。
「探偵…か…」
探偵の腕とか実力とか何も分からないが、一応あのノキアさんが頼ってみなといってたわけで…学校が終わり次第行ってみようとも思った。
あのノキアさんといいつつも、あの人のことは未だ謎が多くて殆ど知らないのだが…
やがて全ての授業が終われば、リンは直ぐに帰宅の準備をし外に出ればとある人物に電話をかける。
「……あ、もしもしタクト。今大丈夫?」
『おう、リンか!平気だぞ、どうしたんだ?』
「あの時チラって言ったんだけど、あの探偵事務所に行って見ようかと思ってるんだけど…えっと、暮海探偵事務所って所。中野にあるらしいけど」
記された住所を見ながらそう伝える。中野ならここからそう遠くもない。
『そうか、まぁ確かにこれ以上普通に探すのも大変だからな…分かった、直ぐには行けないが俺も直ぐ合流するぜ!だから先に行っててくれよ』
何か用事があるのだあろうか、直ぐには合流できないらしい。探偵というところに一人で行くのも若干の不安を感じながら仕方がないと思いつつも承諾する。
「そっか、うん分かった。じゃぁ先に行ってるね、住所は一応そっちに送っとくね。それじゃまた後で」
通話が切れる。向かう先は中野にある暮海探偵事務所…果たして、その探偵は力になってくれるのか否か。