二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第一章「デジタルモンスター」 ( No.4 )
日時: 2015/03/22 11:04
名前: ポカラ (ID: gJuvDJZQ)


ところ変わってここは中野にあるとある雑居ビル。とはいえ暗くて小さい訳ではなくそこそこに賑わっており、人の出入りも少なくない。
4F建てのビルで中には飲食店やCDショップ、ゲームセンターなど多様多種なお店が出揃っている。
そのビルの最上階、即ち4Fにあるコーヒーショップ。名前はK-カフェ、こじんまりとした小さなお店だが、コーヒーの豆の味も人気があり落ち着いた雰囲気が評判なお店だ。
店内の椅子に腰掛けるは赤髪ピッグテールの派手な女性だ。注文したホットコーヒーを一口すすり呑み込めばカップを受け皿に戻し大きなため息を付いた。
今の時間人は少なく、このお店を使用しているのは彼女だけであった。他の人間はカフェの店長である男性とバイトのウェイトレスが一人のみだ。

「おっそい…遅すぎる。5年も経ってるってのに何一つ変わってないじゃない!こんなきゅーとな美女を待たせるなんて、いい加減死刑だわ、死刑ッ!」

どうやら人と待ち合わせしているようだ、しかし約束の時間が過ぎても一行に現れないことにイラつきを見せ始めている。
彼女の名前は白峰ノキア、過去の脅威の真実を知る一人だ。
脚を組み、手につけている小さな腕時計を確認すれば再びコーヒーを口に運ぶ、ほのかにほろ苦いコーヒーの風味が口いっぱいに広がる。
やがてカフェの入口が開き、カランカランと新たな客の訪れを音で表した。そこに立っている人物は顔馴染みの青年だった。

「ちょっとおお!人を呼んどいて30分も遅刻してるんですけどー!なのに何でそんな涼しい表情なのよ。本当残念なイケメンってのはあんたの事ね。」

「おたくは相変わらず騒がしいな、店の外まで声が響いてたぞ。」

彼女が座る席に対面するように向かい側に腰掛ける青年、名前は真田アラタ。
遅刻なんぞや気にすることなく、店長にホットコーヒーを注文すれば来るのを待たずに深刻な表情で再び口を開いた。

「今日おたくを呼んだのは他でもねぇ。・・・EDENで異変を感知した。」

「異変って何よ。どっかのハッカーが攻撃をしかけちゃってるとかそういうこと?」

そんなもの異変でもない、EDENは常にハッカーの攻撃を受けている状態だ。しかしセキュリティが高いのも事実。ちょっとやそっとの攻撃で落ちるような物ではない。

「それだったらまだ良かったんだがな…あの事件覚えてるだろ、デジモンだ。」

「はぁぁ!?ででで、でじもんって!あのデジモンッ?そんな、冗談でしょ!あれは無かったことになった筈じゃないの!」

まるで漫画の様なオーバーなリアクションをみせる彼女、机に両の手を叩きつけながら思わずその場に立ち上がってしまう。
その様子に店で働く店長とウェイトレスが反応するが、彼女の反応を見るのは初めてではないのか特に驚くことなく再び仕事に戻る。

「それって、また侵食者(イーター)が出たってこと?」

落ち着きを取り戻し、再び椅子に腰かけながら彼女も同じように深刻な表情でそう告げた。

「さぁな、それは分からねぇが…運の悪いことにその現れたデジモンと接触をしてしまった人物が一人いる。それに半年前の事件…デジモンが絡んでる可能性も浮上してきた、信じたくはなかったけどな。おたくの言うように侵食者(イーター)絡みだったら最悪ってレベルじゃねぇよ。」

「ううぅ、あれは解決した筈なのに…なんでまた…どうするのよ、ほっとく訳にはいかないよね。」

「当たり前だ。あの悪夢が再来なんてそんなことさせるわけにはいかねぇってことだ。兎に角まずやることは、そのデジモンに接触した人物にコンタクトを取るってことからだな。」

アラタはそう告げれば腰掛ける椅子から立ち上がり、パーカーのポケットに手を突っ込みながら直ぐに移動を開始しようとする。

「もしかしてあれですか!黒いスーツとか着用してポケットから機械を取り出し、びかぁああ!って光を当ててその記憶を消しちゃうやつ!」

それに続いて何だかSFチックなことを発言しなから店内を出て行く彼の後を追いかけて行く。飲みかけのコーヒーを残して。

「馬鹿いってんじゃねぇよ。もうそいつは事件に巻き込まれてんだ、色々と協力してもらわなきゃな…名前は分かってる、朔日リンっていう学生だ」

どこかウキウキした表情の彼女とこれから起きる事件のその先を見据えている彼は早々に目撃者(朔日リン)の元へと歩むのであった。