二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.44 )
- 日時: 2015/05/03 00:03
- 名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)
待つこと数分、やがて京子は操作する手をゆっくり止めると自分をこっちまで来るように指示する。リンは立ち上がれば直ぐに京子の元へ歩み寄ればPCの画面を見つめた。
そこには大きな地図が映し出されていた。それが何の地図なのかは直ぐに判断することが出来る…これは言うまでも無くEDEN全体の地図である。何故こんなものが手に入るのか疑問だが流石は探偵と言うべきなのだろうか。
地図には物凄い数の小さな赤い点が点滅している…これは一体なんなのだろうか。
「これはEDEN全体の地図、そしてこの赤い点はその周辺のデータが破損している場所よ。それを今割り出してみたのだけれど…思った以上に物凄い数ね」
「破損って…えっ!こんなに沢山あるんですか」
数にして100…いや1000はゆうに超えているであろう。これが全て侵食者であると考えると眩暈がしてきそうだが。
「とはいっても、今は簡単に割り出してこの結果。もう少し絞り込めば数を最小限に抑えることが出来るはずよ。破損っていっても今は少しの傷なども割り出している状態だから、データに穴を開けるくらいの破損はそう多くないはず」
その言葉に安堵する。ともあれこの短時間でこれだけの結果を叩き出した京子。この場所に来なければ一生手に入らなかった情報であっただろう。
漸くだ、漸く侵食者とやらの尻尾を掴む時がやってきた…まだその姿を確認できてはいなにのだが何とかスタートラインに立つことが出来た、そんな気分であった。
「けれどこれだけの数から絞り込むのは少し時間がいるわ。結果は今日中には難しいわね…早くて3日、いや5日くらいは掛かりそうね」
それもそうだろう、何千とある数から恐らく二桁くらいになるまで絞り込むのであろう…どれだけ大変なことか想像もしたくない。
「いえ!十分です。本当にありがとうございます」
そして喜びも束の間、リンはふと思い出したことがある…それは…
「えっと、それでお代の方はどれくらいになるんでしょうか?」
そう、代金だ。今思えば藁にもすがる思いでここにやってきてしまったが…学生である自分は高い料金を支払うことが出来ない。最悪親に言って貸してもらうでもしないと支払うことは出来なさそうだ。
その心配そうなリンの表情を見た京子は小さく微笑みながら、何かを思いついたのか笑顔のまま口を開いた。
「ふふ、学生から高額な料金を請求するほど私は鬼じゃないんでね…その代わりに一つ頼みたいことがあるのだけれど」
「へ?頼み…ですか?」
なにやら不適な笑みと共に京子は机に置かれた一枚の紙を手に取った。その内容を確認しながらその頼みとやらを口にする。
「最近EDENで悪臭騒動があるのは知っている?ここ数日立て続けに同じ依頼が来ていて、始めは単なる噂だと思ったのだけれどこうも続けて来てるからついにはほっとけなくなってね」
悪臭騒動?電脳空間であるEDENで異臭騒ぎという時点で誰かが作った噂話の様な気がしてしまう。だからこそ京子もこの依頼を後回しにしていたのであろう。
そういえば学校でそんな事を言っている人がいたようないないような…あまりにも興味のない事だったのでリンもそのことを覚えてはいなかった。
「悪臭ですか、まさか代わりの頼みごとって」
「察しがいいわね。そう、この問題を調査してくれないかしら?普段なら私の助手に頼みたいことなんだけど、別件でいなくてね。」
なるほどーと思いつつも、これは完全に断れない状況。料金が支払えないのだからやるしかないであろう。
「分かりました。私なりに調べてみます」
「助かるわ。何か分かったらここに連絡して。逆に此方も絞込みが終わったらあなたに連絡するわね」
等価交換、といったところか。ともあれ依頼料をこれでチャラにしてくれるのだからありがたい話だ。それに絞込みが終わるまで数日掛かると言っている、待っている間特にやる事もないのだから気晴らしにでもなるかもしれない。
リンは一言お礼を添えながら、探偵事務所を後にする。
「EDENで悪臭って、正直意味が分からないよね。とりあえず聞き込みでもして何か情報がつかめればいいんだけどな…って、あれ?なんか忘れてるような」
悪臭の原因をどう探ろうかと探偵事務所の入口の前で考えながらも、そのままゆっくり歩き出しふと何かを忘れていることを思い出すのだが…
そして思い出す、タクトがここに来る筈だったのだがそれをうっかり忘れて一人で依頼をしてしまったことを。
噂をすれば何とやらと言ったもので、目の前から歩いてくるのは当の本人。後頭部を撫でながらヘラっと笑いながら自分の下へと駆け寄ってくる。
「いっやぁ!悪い悪い。遅れちまった、さぁその探偵さんとやらの所に行くとしますか!」
「………はぁ」
こんなマイペースな彼の性格に無意識に溜息が出てしまう。
この後喫茶店でこれまでの流れを説明するのに時間が掛かったのは言うまでもない。