二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.45 )
- 日時: 2015/05/05 21:25
- 名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)
翌日、リンは昨日と同じように学校から帰宅すると直ぐにタクトと合流をした。休む間もなくEDENスポットからログインを開始する。
身体全体がデータの粒子となりEDENスポットの端末に吸い込まれるようにその場から消滅した。
データの波を超え、やがて辿り着いたのは二人が出会い死闘を繰り広げた場所。そう、下層エリアクーロンの公園だ。
既にその場所にはケラモンとガオモンが待機している、因みにケラモンはリンから貰った赤いリボンをしっかりと着けている。そしてガオモンは新しいボクシンググローブをはめていた、どうやらタクトに買ってもらったのだろうか。
「おまたせー、二人とも!さて、今日やることは分かってるよね?」
二匹のデジモンに確認を取るかのようにそう語りかける、その問いにケラモンもガオモンも笑顔で頷いた。
そう、今回は侵食者探しではなく巷で噂になっている悪臭騒動の問題を探るのが目的だ。侵食者の方は前日に依頼した探偵の暮海京子が捜索をしてくれている。その依頼料として今回のこの問題を探るのが理由の一つだ。
「そこでよ、ガオモン!今回お前の力が重要なんだ」
ニっと笑いながらタクトはガオモンに向けてそう告げる。
「俺の力?俺は何をすればいいんだ、タクト?」
理由が分からずに首を傾げるガオモン、そしてその理由を変わりにリンが答える。
「前にここであった時、私とケラモンが近くで隠れてたけど。その時姿が見えないのに匂いで気がついたでしょ?そのガオモンの嗅覚が頼りなの!」
普通EDENの世界において匂いなどは感じることはない、しかし噂になるほどの悪臭がする…即ち相当強い匂いデータが漂っていることになる。
そこでリンとタクトが考え抜いた方法はガオモンの優れた嗅覚でその悪臭の発生源を突き止めること、彼のその力なら臭いの追跡もお手の物だ。
そうする事により時間のかかる聞き込みなどをせずに自分達だけで問題を解決することが出来るかもしれない。京子が侵食者が潜む場所を割り出すのに費やす時間は約5日間、なんとかそれまでに元凶を突き止めたいのだ。
「うえぇ…俺、臭い匂いを追うのか…あんまり嗅ぎたくないなぁ」
「そういうなってガオモン。これも侵食者探しの為だ、我慢してくれ」
そんな悪臭を嗅いで探し回るのは心底嫌なのか耳をペタンと倒しながらがっくし肩を落とすガオモン、それを慰めるかのようにタクトはガオモンの頭をわしゃわしゃと撫でる。
「ねぇリン。わたしは何をすればいいの?」
三人のやり取りを見ていたケラモンは自分にも何か出来ることがないかとリンに聞いてみる。
「ケラモンと私は二人のお手伝いだよ。何かあったら私達が助けるの、女性の方が強いんだって所を見せてあげましょ!」
グッと拳を握りながらウィンクをしてケラモンにそう告げるリン。ケラモンはそれに応じるように笑顔で大きく頷いた。
しかしその様子を横で見ていたタクトが小さい声で呟いた。
「…お前、なんか遠まわしに俺達男が頼りないって言ってないかそれ」
ともあれ悪臭の発生源を突き止めるためにはガオモンに追ってもらうのが一番。捜索の方法は固まった。
タクトが指示を出せば、ガオモンは直ぐに鼻を小刻みに動かしながら周囲の匂いを嗅いでいるようであった、果たしてこの周辺には悪臭が漂っているのかどうか…
因みに人間である二人は今のところは悪臭は感じないようなのだが、ガオモンは嗅ぎ取ることができたのだろうか。
「う〜ん。タクトやリンの匂いが少し邪魔してるけど…向こうの方から嫌な臭いを感じた、でもまだまだ遠そうだよ」
若干ではあるが悪臭を感じ取ることは出来たようだ。人間には未だ感じ取ることは出来ていないが鋭い嗅覚はその僅かに漂う悪臭を逃がすことはなかった。
幸先の良い出だし、そしてガオモンが周囲の匂いを嗅ぎながらもゆっくり奥へ奥へと進んでいった。
そんな彼の背中を三人は追っていく、出来るだけ邪魔をしないように…一歩一歩ゆっくりと。徐々にその臭いは強くなっていった。
やがて辿り着いたのは公園広場から更に奥に進んだ場所、相も変わらず周囲にはデータの残骸があちこちに浮遊している。彼女達は気づいていないようだがクーロンというのか何段にも層になっているのだ、今いる場所は1Fとすれば最大5Fまであると言われているのだが…
時折、フードを被った怪しい人物を見かけたりしたのだが、それがどこぞのハッカーだと言うことは分かっているのであえて関わるようなことはしないでおいた。
今まで歩みを止めることの無かったガオモンが突如としてその足を止める、そして表情を歪ませながらタクトの方へと身体を向けた。
「は、はにゃがみゃがりしょうだぁぁ(は、鼻が曲がりそうだぁぁ)。この壁の向こうから…臭いが強くなってるよ」
鋭い嗅覚にはこの悪臭は相当答えるものがあったようだ、若干涙目になりながらガオモンはタクトに報告するのだが。
人間である二人、そしてケラモンにもその悪臭は感じることが出来たようだ。それぞれが臭いを堪えるように鼻を抑えている。
「うおぉ、こ…これはすげぇ臭いだな」
「何これぇ…本当にEDENで発生してる臭いなの?ケラモン、大丈夫?」
ケラモンも同じようにその長い触手で鼻の辺りを覆いながら首をブンブンと横に振った。
「だめ…かも…凄く、嫌な臭いがするよ…リン」
何故こんな臭いが漂っているのか、そしてこの壁の向こう側には一体何が起きてるのか…物凄い異臭だが何とか発生源は突き止めることが出来た。
しかし壁の奥とは想定外、如何にして壁の奥へと行けばいいのだろうか?
そしてリンが何かを思いついたのだろうか、ケラモンの方へと視線を向ければ口を開く。
「ようやく私達の出番だよ!ケラモン」
「お!リン、何か思いついたのか?」
突如思いついた壁を突破する方法、リンは如何なる手を使って壁の向こうへと行くのだろうか。