二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.46 )
日時: 2015/05/18 02:17
名前: ポカラ ◆Cewk4iJLMo (ID: gJuvDJZQ)

壁を突破する方法を突然示唆し始めるリン、一体何を思いついたのだろうか。
ケラモンに視線を移し、この周辺に漂う悪臭を我慢しつつ口を開いた。

「ケラモン!この壁を壊しちゃえ」

そのままの意味、作戦と言うよりは強行突破である。なんというか彼女の好奇心がそのまま行動に移っていると言ってもいいだろう。
そんなリンの言葉に普段は熱血なタクトも流石にこれは止めに入るのだが…

「おいおい、流石に壁を壊すのはマズイんじゃねぇか。クーロンとはいえ一応EDENの世界だぞ、運営が黙ってない気がするが」

ゴミ溜めと呼ばれるクーロンだが、タクトの言う通りここもEDENの世界に存在する場所。
その一部を破壊および棄損することは犯罪行為になってしまう。

「うーん、だいじょぶだいじょぶ。世界を救うためだもん、これくらい多めに見てもらわないと。ってなわけで、ケラモンやっちゃって!」

たまに積極的な彼女はある意味誰にも止められないのかもしれない。もう一度言おう、誰にも止められないのかもしれない。
ケラモンはそんなリンの指示に少し戸惑いを見せながらも、空中へと浮遊すれば目前に聳えるデータの壁へと攻撃を繰り出す。

「いいのかな…分かった、やってみるね。クレイジーギグル!」

大きく開けた口から赤い光弾が複数発射出される。弧を描きながら飛んでいくそれがやがて壁へと激突すれば強烈な赤い光と共に爆発する。
静寂に包まれたクーロン全体に爆音が響き渡った。
黒煙が徐々に晴れていけば、そこに見えてきたのは壁に開いた大きな穴であった。
壁からはまるで瓦礫の如く破損したデータの粒子が上空へと登っていき、塵となりやがて消滅していく。

「凄い!さすがケラモン、大成功だね」

ガッツポーズをするリン、そしてそれに続くように空中で喜びながらくるくる回るケラモン。
そんな二人の背後でタクトとガオモンは呆然と見ていることしかできなかった。

「女って怖いんだな、タクト」

「ああ、お前も気をつけろよ…ガオモン」

ともあれ強引ながらも、障害となる壁は突破した。大きく開いた穴の奥は漆黒の闇が広がっておりこの場からは中の様子を確認することは出来ない。
そして次の瞬間4人を同時に襲ったのは壁の中に溜まりに溜まっていた悪臭という悪臭。とても言葉では表すことの出来ぬほどのその悪臭が周囲に充満する。

「分かってはいたけど、物凄い…ね…」

リンは鼻を摘み表情を歪ませながらも穴の奥へ進もうと身構えた。

「けど、突き止めたんだ。行くっきゃねぇだろ!」

その覚悟と共に4人は穴の奥へと飛び込んでいくのであった。


飛び込んだ穴の中は闇に包まれ、悪臭が充満している。懐中電灯など持ち合わせていない二人は自分の携帯の照明を点灯させ足元を照らす。
地面はというと色のない様々なデータの波が無音で流れており、なんとも気味の悪い光景である。
奥へ進むにつれ、やがて何かが見えてくる。携帯の小さい照明で照らしてるもののその物体を完全に認識することはできない。

「なんなの…あれ?」

それは静かに蠢いていた。それは時に生々しくグチャグチャと音を立てていた。それはゆっくりだが此方に近づいていた…
まるでヘドロの塊。しかしそのヘドロの様な物には銀色に輝くコードや赤青といった配線がそのヘドロと混ざるように付着している。
そして照明の光が反射して気付いた、二つの不気味な眼。赤黒く鈍く輝くその眼光は突如やってきた4人の侵入者を確実に捕らえていた。
そのヘドロの様な生物は巨大な口を大きく開けば、鼻が曲がるほどの悪臭を吐きながら喋り出した。

「オデ…レアモン。ココ…オデノ…スミカ。ジャマモノ…キエロ…」

まるで化け物。思わずその不気味な姿にリンは後ろへと後すざってしまう・・・
隣にいるタクトもその異様な光景に声を発することは出来ず、その場で身構え動けずにいるようであった。
悪臭騒動…その全ての謎が今解明された。EDEN全体で問題になってたのはこの化け物が原因だったのだ。
此処の付近のクーロンで臭いが充満するのは勿論、遠く離れた他のEDENの街にもデータの波に悪臭が運ばれ広がっていたのだ。

「リン、あれもわたし達と同じデジモンよ…間違いないわ」

確かにこの化け物自体、独特かつ不気味な声で自分の名前をレアモンと発言した。ケラモンの言うとおりデジモンだと認識は出来るのだが…
あまりにもその君の悪い風貌にケラモンやガオモンと同じデジモンだなんて信じることが出来ないでいた。
それに悪臭を撒き散らしているといっても果たして悪いデジモンなのだろうか。本人にその意思が無かったら?このEDENに迷い込んでしまい帰れずに此処に留まる事しか出来ないでいたら?
そうであるのなら自分たちがどうこう出来る問題ではないのかもしれない。この不気味なデジモンも…被害者なのだ。

しかしリンの思いとは裏腹に、タクトがそんな考えを断ち切るかの様に口を開いた。

「ボーっとしてられないぞ、リン!アイツはやる気満々だ」