二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.55 )
- 日時: 2017/08/14 00:38
- 名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: j5axgBAW)
「———はっ!」
ふとベッドの上で目覚めたリンは無意識に部屋の時計を見つめる。時刻は2時、既に家族も寝静まり時計の秒針の音だけがカチ、カチ…と鳴り響いている。
帰宅して軽くご飯を食べ、お風呂に入り部屋に戻って…そのままベッドの上で力尽きたらしい。髪も濡れたまま、バスタオルを巻いただけ。人には見せられない格好で寝てしまっていたようだ。
こんな格好でしかもそのまま寝てしまっていたとなれば体が冷える。急いでパジャマに着替えればそのまま布団に潜り込んだ。
変な時間に目が覚めてしまったのもあり、直ぐには寝つけずデジヴァイスを手に取るとケラモンの様子を伺う。液晶の光が彼女の顔を照らした。
ケラモンはというと、すっかり夢の中の様だ。それもその筈、自分よりも遥かに疲れている上にダメージも負っているのだ。今はゆっくり眠らせてあげたい。
レアモンとの対決に勝ったとはいえ、ケラモンを危険な目に合わせてしまったのは事実。あの光景を思い出すだけで胸が締め付けられるかのように苦しかった。それに自分は何も出来なかった、あれだってケラモンが自分の力で何とか抜け出して助かっただけだ。
自分はというと涙を浮かべて呆然としていただけ…己の無力差に怒りすら覚える。只の女子高生と片付けてしまうのは簡単だ、しかし自分からケラモンの力になると決めたのだ。非力で無力で臆病なままの女子高生ではまたケラモンを危険な目に合わせてしまう。
「……もう、あんな目には合わせないよ。私も強くなる。一緒に頑張ろうね、ケラモン……おやすみ」
強くなる、その決意と共にデジヴァイスを閉じる。この先も強い敵との戦いが待っている、自分も成長しなければ…そんな事を思いながら彼女も床に就くのであった。
下層エリア クーロンLv2
『うわああ!なんだよアイツ…歯が立たねぇー!』
帽子を深く被った少年が怯えた表情のまま脇には自分のデジモンを抱えてその場から逃走する、よく見れば抱えられたデジモンは傷だらけだ。
『な、なぁ…悪かった、だからもう許してくれ!頼む!』
もう一人の少年は後ずさりしながらまるで命乞いをするかのように両手を前に差し出し、何者かを説得していた。少年の前にはこれまた傷ついたデジモンが倒れこんでいた。
「ああ、駄目だ。全然駄目だ。この僕に喧嘩を売るならもっと強くて、もっと美しくないといけない!君たちの様な底辺な人間が僕と同じ舞台に立っていること自体があり得ない…あってはならないんだ!」
銀色の髪の青年はそう告げた。額に右手を当て、やれやれとばかりに首を横に振っている。まるで自分以外の人間全てを見下しているかの様な物言いだ。
その青年の隣には大きなデジモンが立っていた。深紅の巨大な身体、発達した強靭な爪、そして顎。その狂暴な外見とは裏腹に深紅の身体は美しく輝いていた。
「さぁ!僕の美しいグラウモン。彼に教えてあげるんだ!これが本当の強さ、そして美しさと言うことを……やれ」
『やめて、やめてくれ!…やめろおおおぉぉぉ!うわあああぁぁ!』
深夜のクーロンに、断末魔が響き渡る。
—————第四章へ続く