二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第四章「清く 正しく 、そして美しく」 ( No.56 )
日時: 2017/08/14 01:45
名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: j5axgBAW)


第四章「清く 正しく 、そして美しく」

喫茶店、それは学生にとっての憩いの場。安いメニューで少ないお小遣いでも程々美味しい物が食べられるうえ、時間を気にせずゆっくりと寛げる。
それに女子高生にとっては正にマシンガンの如くトークが弾む場所といっても過言ではない。

日曜日の昼下がり、場所は中野ブロードウェイ。賑わった館内のとある喫茶店、窓際の席には二人の女子高生が座っていた。

「む…むむむ…」

デーブルの上に大きく広げられたメニュー、リンはそれを難しい顔で眺めていた。
イチゴたっぷりのパフェ、お店自慢の手作りティラミス、白玉だらけのあんみつ…どれもこれも美味しそうだ。
どうせならいくつも頼んでみたい…でも全部食べられるのか?それならいっそ一番大きなフルーツパフェを…とブツブツと呟きながら何を頼もうか悩んでいる様子であった。
そんな彼女を向かいの席で呆れた様子で見ているのはメイ。目を細めながら頬に腕をつき、アイスティーのストローを咥えている。

「ハァ…優柔不断ねぇ。どうせ食べきれないんだからそんな大きいのを注文するのはやめときなさいよ」

またかと言った感じに溜息をつく。それもその筈、リンとは小学生からの付き合いである彼女は幾度となくこんな姿は見ているのだ。
いつも欲張って食べきれないくせに沢山注文してしまい、残ったそれをやむなく自分が食べる。こんなことが続けているうちにいつだったか体重計に乗った時は思わず叫んでしまった。
しかしながら体重は増えるのに身長は一向に伸びない、何故だ?何故なのだろうか?そのくせリンは昔に比べると大きくなっており今では約160cm程の身長になっている。特に胸なんか自分の倍はあるんじゃないかと疑うほど成長していた。
ジッと睨みつけるかのように彼女の胸部を見つめるメイ。

「ちょ、ちょっとメイ、なんでそんなに睨んでるワケ?」

彼女の視線に気づいたのか苦笑いしながらも反射的にサッと胸を隠す動作をしてしまう。恥ずかしいと言うよりも何というか恐ろしいといった感情の方が強かった。

「あんたがアタシの分の栄養をぜーんぶ持っていってんじゃないかと思ったのよ、まったく…少し分けてほしいくらいだわ」

「えー?そうかな?でも私中学生くらいで身長は止まっちゃったし…それにメイは今のままが一番可愛いよ、うんうん」

よしよしとばかりに向かいに座るメイの頭を撫でるリン、頭を撫でられたメイはぷくっと頬を膨らませた。

「あ、あアタシは身長の事を言ってんじゃないの!ってゆーか頭撫でるなぁ!」

顔を真っ赤にして怒りながらリンの手を振り払う、そんな彼女の姿をみてケラケラと笑うリン。いわゆる毎度恒例のやり取りの様であった。

そんな平和な日曜日の午後。リンはすっかり忘れていたのだ、ここ中野に来たのは探偵事務所の杏子さんに悪臭騒動の依頼の報告に来たということを。
恐らくそれを思い出すのは、デザートを食べて満足したあとであろう…