二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第一章「デジタルモンスター」 ( No.8 )
日時: 2015/03/23 22:30
名前: ポカラ (ID: gJuvDJZQ)


【アンドロで待ってる】


「アンドロって…あのアンドロ?というか何これ、壊れちゃったのかな。気持ち悪よぅメイ…」

少し涙目になりながら、親友に画面に映し出された文字を見せる。その異様な文字にただ事ではないと察するメイ。

「何よこれ。誰かのいたずら?それにアンドロってあそこでしょ?ろくでもない連中が集まってるっていう場所。」

そうアンドロというのはこのEDEN内にある1つのスポットの様な場所だ。EDENを使用している人なら誰でも知っている。
EDENを1つの世界で例えるなら、アンドロはその世界にある1つの街の様なもの。しかし普通の人は名は知っていても近寄りもしないような場所である。
何故ならメイの言うようにろくでもない連中、いわゆる犯罪を平気で犯すような輩が多く集まる街とも言われている。普通にEDENを使用している人にとって無縁な街だ。
近頃ではハッカー集団が急激に増加しているというニュースも聞くし、普段なら迂闊に近寄りたくもない場所である。
そう…普段なら、だ。しかし立て続けに起こった不可解な現象、リンはどうしてもこれが無関係な事とは思えなかった。正直怖いし行きたくない…けど、ずっとこの事を気にしたまま生活するのも嫌なものだ。
少なくとも、あのすれ違った生物は助けを求めていた。自分の性格上困った人などほっとけなし、助けられるものなら助けてあげたいと思う。

「でも———……私、行ってみるよ。怖いけど…行ってみる!」

親友のまさか返答、こんな答えが返ってくる訳がないと思っていたのかメイは眼を丸くして驚きの表情を隠せなかった。

「ちょちょ、ちょっと!何言ってんのよリン!あんな危ない場所行ったらダメに決まってるでしょ。」

「そうだけど。ごめんねメイ、少し気になってる事があって。ここでアンドロに行かなきゃ、駄目な気がするんだ。私にも分からないけど、なんとなく…」

自分でも分からない。普段の自分ならいかにビックリ仰天な発言をしていると思う。絶対に赴きたくない場所に自分から行こうとしているのだから。
しかも謎の文字に誘われて、怪しさ100%の罠かもしれないものに飛びつこうとしている…それでも、それでもココで行かなくちゃあの謎は永遠に解けない様な気がしたから。

「熱でもあるんじゃないの!もうっ知らない!勝手にすればいいわ。」

呆れと怒りでそっぽを振り向き、勝手にすればいいと一喝するメイ。呆れる理由も怒る理由も十分分かっている。
それ程物凄い事を言っているのだ、我ながらどうかしちゃったのかと思う、本当に熱でもあるんではないかと。

「じゃぁ行ってくるね…また明日学校でね。」

親友に背を向けて歩き出す、この連続で起きた不可解な現象を明らかにするために。
危険だと分かっていても行かなくてはならない、誰の為でもない…何の為かも分からない。でも直感がそう言っているように感じた。
EDENにいるからかな、何か強気になってる自分がいるのかもしれない?現実の世界じゃとっくに逃げ出している様な感じもした。


遠のいていく親友リンの背中を見つめながら、彼女も彼女で迷っていた。
ここで親友を一人で行かせてしまっていいのだろうか?どうして良いのか分からない、でも…でも…

「うぅぅぅ…だぁぁぁッ!ちょっと待ちなさいよ!リン、あたしも行くわよ。あんな危ない所に一人で行かせるなんて絶対出来ないんだから!」

迷いが吹っ切れ…いや無理やり吹き飛ばしその場から駆け出し親友の背中を追いかけるメイ。
リンはそんなメイの行動が何より嬉しくて、そして何より申し訳なくて…何時ものように無理やり笑顔を見せることしか出来なかった。
無事に済んだら、必ずお礼を言おうと心に誓って。


目指すはアンドロ、別名【死の街】である。