二次創作小説(映像)※倉庫ログ

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.24 )
日時: 2015/04/11 22:58
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

「それじゃ、オープニングゲームに移る前に、これ引いてくれ。」

昴はあの後、ざっと再度ルールを確認させ、大きな箱を取り出して影に渡した。

「スーチャン、それ、何クマか?」
「オープニングゲームのチーム分け。今からお前らに、この箱の中には、赤玉と青玉が五つずつ入っている。赤チームと青チームに別れて、体を慣らす運動がてら、ゲームをしてもらう。勝利チームには初期金額として二十五万、敗者には一万でスタートしてもらう。」
「結構差があるな…。」
「でも、一人溢れませんか? 全員合わせて十一人ですから…。」

直斗の不安はもっともだ。
だが、昴は心配要らないとでも言うように笑う。

「安心しろ。赤と青以外に、白玉も一つ入っている。これを取れた奴は、無条件で二十五万スタートしてもらう。」
「つまり、二十五万スタートが六人になるのか。」
「そっ。だから、敗者チームはさっさと勝利チームと白玉をブッ倒さないと、少ない金額のまま武器屋とか闘技場がオープンしちまって、何もできないっつー訳。」

戦闘中で少しでも優位に立つ為に、自身を守る為には、先立つものが必要である。
それを得る為には、勝つか、運頼みしかない。

(ひいて、ひいて)
「ほら、そんな訳だから、早く引いてやれ。影、待ってんだから。」
「お、おう。」
「ね、いっその事、全員で手を突っ込まない?」

全員、そう提案した千枝を見る。

「その方が公平じゃん?」
「言われればそうだな。影、持たせて悪かったな。置いても大丈夫そうだぞ。」
(わかった)

影はちょっと寂しそうな表情をした後、何故か昴の元に戻った。

(…)
「(引かせたかったんだな。)よしよし。」
(♪)

撫で撫でしてあげると、影の機嫌が一気に直る。
単純だな、と思いつつも、昴は箱に手を突っ込んだ一同の様子を見る。

「掴んだか? 恨みっこなしでせーのであげるぞ。」

陽介の言葉に、全員頷く。

「…せーのっ!」

全員、箱から手を出す。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.25 )
日時: 2015/04/11 23:04
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

結果は…。


「赤だ! おっ、氷海も?」
(れ、烈と一緒!? あ、足引っ張らないようにしないと…!)
「あっ、烈君も赤!? あたしも! 花村もだよ!」
「何か、すげぇな。ツッコミ四天王の大半が赤だぜ? …あれ? 赤チーム、まとも?」
「…カモ、ッスね…。」


赤チーム…烈、氷海、完二、陽介、千枝。


「青か…。」
「風雅君も青なんだね! えっと、あと青は…。あ、悠センパイも?」
「ああ。」
「リンチャンにユキチャンと一緒クマー!」
「頑張ろうね、クマさん!」


青チーム…風雅、鈴花、悠、クマ、雪子。


「よし、うまく女子も二対二に別れたみたいだな。お前が引いてくれてある意味助かったよ、直斗。」
「…凪君のくれたこれのお陰、かな。」


白玉…直斗。
となったようだ。

「じゃあ、直斗は一旦、俺達と一緒にいてくれ。…りせ! 聞こえてるか!?」
『感度良好! バッチリだよ!』

程なくして、りせのペルソナを介した通信が響く。

「アレ、用意してくれ。」
『はいはーい! 当たったら即アウト! そんな地獄のデス・ゲーム。カモン! 特別リング〜っ!』

りせの宣言で、神殿の建つ場所に穴が開き、建物は地中に飲み込まれた。
そして、入れ替わるように別の、金網で囲いをされたリングのようなものが現れた。

(ず、随分大がかりに入れ換えたなおい。…ん?)

昴の耳にはまっている通信機が、慌ただしい声を届ける。

『ち、地中に埋まっちゃったー!! ちょっと! 聞いてないよこんなの! って、海ん中あぁぁっ!』
『ど、どうしましょう…!』
『どうもしようがありませんわ、これは…。』
『お魚きれー♪』
『すーさん、今日の夕飯、魚が食べたい!』
『お前達っ! そんな呑気な事言っている場合か! 水圧とかは大丈夫だろうか…!?』

どうやら、全員予想外だったようだが…一部楽しんでます。完全に潜水艦に乗った気分になってます。

(…おい、お前。別にここまで大がかりにしなくても)
—(*^▽’*)ゞ<頑張って張り切っちった♪ テヘッ☆ミ  スマソ♪
(頑張らなくていいっ! あと謝り方チャラい! ウザい!)

…ノートを見るとわかるが、神殿をこうしたのはりせではなく、ノートの外で見守る彼女だったようだ。
まぁ、この島の形を変える事ができるのは、昴と彼女だけなのだから、どちらかしかないのだが。

(まぁいい。鏡に言って落ち着いてもらえ。こっちはこっちで進める。)
—はーい。

消えた運営は後回しにし、現れたリングに全員を入れる。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.26 )
日時: 2015/04/11 23:09
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

《オープニングゲーム》
・賞金を獲得せよ!
五対五で、ボールはひとつ、外野なし、当たったら即アウトのドッジボールを行う。
盾、能力の使用は禁止。陣地から出るのもアウト。
最後まで生き残ったチームに賞金二十五万を与え、敗者には賞金一万を与える。


「…とまぁ、早い話がドッジボールだ。」
「ルールが簡単で覚えやすいクマ!」
「次の、本来の戦闘中も、ある意味このルールだしな。慣れるにはもってこいだろ。」

全員が落ち着いた後、昴の説明を聞いたクマが納得し、陽介がそう言うと、全員頷いた。

「よっしゃ、負けないかんな、悠先輩!」
「本気で来い、烈!」

早くもリーダー同士の烈と悠が、互いに宣戦布告をする。

「雪子、本気でいくよ!」
「一撃で仕留めてあげる!」
「カンジ、本気で来いクマー!」
「イッテイイノカ?」
「ごめんクマ、ちょっと手加減してほしいクマ。クマ、まだ死にたくないクマ。」

千枝と雪子が互いに臨戦態勢を取る中で、クマが完二にそう言うが、本気で殺りにきそうな勢いの彼に、クマが懇願する。

「バトルでは負けたけど、ここじゃ負けないんだからね、氷海ちゃん!」
「ええ、私だって負けないわ、鈴花。」
「あーらら、みんな本気だな、風雅。」
「そうですね、陽介先輩。…だけど、みんなにボールを繋ぐのは僕だ!」
「俺だって負けねーよ!」

鈴花と氷海も、風雅と陽介も互いに宣言した後、互いに距離を取る。

「ジャンプボール、始めっぞ。代表者、真ん中に来い。」

ジャンパーとして真ん中に向かったのは、風雅と陽介。
互いに長身で、かつ、素早さと跳躍力が高い。必然的に、最初が任された。

「それじゃあ…試合、開始っ!」

中心で待機していた昴の手から、戦闘中で使用する穴の沢山空いたあのボールが放たれる。

「おりゃあぁぁぁっ!」
「たあぁぁぁぁぁっ!」

二人の指先は同時にボールを掠め…。

「ぶっ!」
「あたっ!」

同時に、互いの頭目掛けて振り下ろされた。
…早い話が、ボールに掠りはしたが、そのまま互いの頭にクリーンヒット。そしてそのまま地面に顔を打ち付け…。

—ボンッ!

「痛っ!」

どちらの陣地にも行かないボールが、二人の頭を直撃した。
しかも、直撃してそのまま動かない。ある意味奇跡だ。

「…おい、どうすんだよ、これ。」

リングの外で見守っているMZDが、伸びてしまった風雅達を指差しながら聞く。

「あ、ある意味凄いです。風雅君と花村先輩の…絶望的な運のなさの相乗効果。」
「…うん。いいもん見れた。さて、どうすっかなぁ…。」

昴は困ったように、頭を掻いた。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.27 )
日時: 2015/04/11 23:15
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

「…仕切り直して…悠、完二。真ん中。」
「わかった。」
「ウッス。」

あの後、治療を受け何とか回復した陽介と風雅に代わり、同じく長身の完二と悠にジャンパーを任せた。

「…試合、開始っ!」

再び、昴の手からボールが放たれる。

「おりゃあぁぁぁっ!」
「うおぉぉぉぉぉっ!」

ボールの女神が微笑んだのは…悠だった。

「やったぞ!」
「げっ!」
「完二、当てられる心配はないけど、そっから離れろ! 千枝先輩、来るぞ!」
「うん!」

烈の言葉に、千枝は素早く反応し、鈴花の手に渡ったボールから逃れる事ができた。
ボールはバウンドして金網に当たったものを、完二が拾い上げた。

「あう、惜しい!」

鈴花は悔しそうに言った。
ジャンパーなので第一投の攻撃が禁止されている完二の影に隠れ、千枝を狙ったのだが、烈に読まれていた事が悔しいのだろう。

「セーフ! 助かったよ、烈君!」

烈の声かけがなければ、自分は今頃鈴花の手によってアウトになっていただろう。千枝は烈に感謝した。

「いいって。さぁ、行くぜ! 反撃、開始だ!」
『おうっ!』

赤チームは、早くも烈を中心に団結が強まったようだ。
これには青チームも黙ってはいない。

「みんな、構えろ! 迎撃準備だ!」
『了解!』

悠を中心に、結束が強まる。
頼もしいリーダー二人。互いに様々な性格のメンバーを纏めて来た、凄腕の手腕の持ち主だ。











昴はそんな二人を、外でどっちが勝つか、見守っていた。

「…MZD、直斗、影。…賭けしないか?」

ふと、何だか面白そうな考えを思い付いたのか、同じように見守っていた。MZD達にそう持ちかけた。

「どちらが勝つか、ですね。面白そうです。乗ります。」
(やる、やる)
「オレもやる! 何賭ける?」

どうやら三人とも乗り気のようだ。

「金以外で。…赤チームに不○家の三角ショートケーキ、三つ俺に買ってこい。後日で。」
「それ、面白そうです。僕も赤チームで、カリフォルニアロール、五個お願いします。」
「青チームに老舗懐石料理、五品! 影は?」
(…)

影はスッ…。と、昴の持つ創世ノートを指差した。

—『赤チームに三倍アイスクリーム三つ!』だって。
「圧倒的だな、赤チーム。」
「…正直、鳴上先輩の指示はたまに明後日の方にいく事もあるので…。烈君は指示は少し荒いですが、いい結果を招く事が多いんです。…烈君自身が、ツッコミだからだとは思いますが。」
「…やっぱ、ツッコミ役って、何かいい事あるんだろうかな?」

昴の問いに、直斗はちょっと困った顔をした。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.28 )
日時: 2015/04/11 23:21
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

そんな話をしている間にも、ゲームは進む。

「おらっ、よっ!」

完二の放ったボールが、雪子目掛けて飛んでいった。

「あっ…!」
「ユキチャン、危ないクマー!」

なんと、その間を割り込むように、クマが入り込んだ。
そのせいで、クマが当たってしまう。

「やばっ!」

戦闘中ならばアウトだが、すかさず風雅がボールを地面につく寸前でキャッチする。ドッジボールのルールにより、これはセーフとなった。

「チィッ!」
「ヒキョウクマよ、完二! か弱い女の子狙うなんて!」
「勝負に男も女も関係ねぇ! って、うおっ!」
「チッ。」

クマが完二に茶々いれている間に、風雅からボールを渡された悠が完二を狙うも、彼は素早く避けた。
ボールは再び、完二が拾い上げる。

「完二君、ボール頂戴?」
「あん? …あぁ、成程な。里中センパイ、頼んます。」

完二は千枝にボールを渡し、そして…クマを見た。

「女なら、雪子と鈴花ちゃん、狙っても文句ないよね? クマ君。」
「ヒイエアァァァッ!?」

その時の千枝の顔が怖くて、クマは思わず鈴花の後ろに隠れてしまった。

「ちょっ、クマ君!?」
「鈴花ちゃん、ごめんねっ!」
「えっ? あ、きゃっ!」

千枝の放ったボールは、鈴花に当たってしまい、そのまま地面へと落ちた。

「鈴花、アウト!」

審判を勤めている昴が宣言すると、鈴花は悔しそうにむくれた。

「むー、千枝センパイ、酷い! クマ君くっついてたら、逃げられないよ〜…。」
「ご、ごめんねー…。まさかバカグマ、そっち行くとは…。」

どうやら初めから鈴花を狙っていたらしいが、クマが邪魔をしたお陰で思わぬ収穫を得たようだ。

「クマ君。後で覚えといてね? じゃあ、みんな、頑張って!」

クマを睨み付けた後、鈴花は金網から出て、昴達のいる場所にやって来た。

「…クマ、リンチャンに殺される?」
「多分な。だが、頑張れ、クマ。」
「しどい! センセイしどい!」

…青チーム、残り四人。











ボールは風雅に渡り、間髪入れずに投げる風雅。
その軌道上には、完二がいた。

「! 完二、そっちに行った!」
「っと、うおっ!」

烈の声賭けもむなしく、当たってしまう完二。烈と陽介が走るも、ボールは地面についてしまった。

「完二、アウト!」
「あー、当たっちまったかー。」

完二はばつが悪そうに頭を掻く。

「完二、ごめん…! もう少し早く気づいていれば…!」
「烈のせいじゃねーよ。寧ろ、センパイ達や氷海がいながらもここまで纏めてるオメェに感動もんだぞ。」

謝罪をする烈の肩に、完二はぽん、と手を乗せる。

「まぁ、頑張れや、応援してっぞ!」
「おう!」

汗くさい男の友情を行った後、完二は昴達のいる場所に向かう。
赤チーム、残り四人。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.29 )
日時: 2015/04/11 23:25
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

その後、千枝の投げたボールに雪子が当たり、その千枝も陽介を狙った悠のボールに沈む。

「里中、何で庇って…!」
「いやー、体が勝手に動いちゃって…。」
「ったく。お前の分まで頑張っから、応援してろ!」
「…! う、うん! 烈君、氷海ちゃん、花村、頑張ってね!」

そう言い残して、千枝も金網の外に出ていった。
昴達のいる場所についた際、「花千枝キタコレ!」とか言っている雪子を、千枝と鈴花と直斗が沈めたとか。
その後も青チームの快進撃は続き、悠のボールが氷海を、風雅のボールが陽介を沈めてしまう。
しかも運が悪い事に、陽介の当たったボールはタマにクリーンヒットしたらしく、タマを押さえて踞っていた。

「…す、昴さん…! タマ、セーフって、ありッスか…?」
「…悪いけど、顔面以外はアウトだ。…すげー辛いだろうし、外に出といた方がいいだろ。」
「そ、それもそうッスね…。た、助かります…!」
「陽介先輩、ごめんなさい…。」

当てた風雅は申し訳なさそうに謝る。わざとではないが、当ててしまったのは事実なので。

「い、いいって…。俺の運が悪いだけだから…。烈、頑張れよ…!」
「先輩も…その、早く痛みが引くといいな。」

同じ男であるが故に痛みがわかるのか、そう言って見送る烈。
これで赤チームは烈一人。青チームにはまだクマと風雅、それに、悠がいる。

(俺一人で、何とかやるっきゃねぇか!)

烈はボールを風雅目掛けて投げつける。
それは、確かに当たり、地面に落ちた。

「…あ。」

烈は表情を青ざめさせ、風雅を見た。
…股間を押さえ、踞る風雅を。

「ご、ごめ、風雅、ごめんっ!」
「…風雅、アウト。完二、手、貸してやれ。(今度から股に当たらないようガード作るか…? つか、こいつらの股間率の高さ…何? 最凶は似るもんなの?)」
「ウッス。」

今後の方針を考えながら、完二に風雅を任せる。
ともかく、これで一対二だ。

「レツ、クマの豪速球を食らうクマー!」

クマの手からボールが放たれ、一直線に烈へと向かう。今から避けても間に合わない。

(こんなところで…負けてたまるかよっ!)

烈は脱落した仲間の事を考えながらも、姿勢を低くし、構えた。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.30 )
日時: 2015/04/11 23:30
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

バシンッ! といい音が響く。

「っ、かぁーっ…! クマ、意外に重てぇ玉投げるな…!」

ぼやくレツの胸には、しっかりとボールがあった。落としたりはしていない。セーフだ。

「あわわ、センセイ、どうしよう!」
「どうもさせねぇよっ!」
「ぎゃんっ!」

クマ目掛けて放ったボールは、狙い通りクマの背中に当たり、地面に落ちる。

「クマ、アウト! 魅せてくれるな、烈。」
—流石は俺の嫁! ってね。

感心している昴達。
これで一対一。図らずとも、つぎドカ!と自称特別捜査隊のリーダー対決となった。

「烈、頑張って!」
「ファイトだよ! 烈君!」
「バシッと決めろ! 烈!」
「後はセンパイだけだ! やっちまえ! 烈!」

赤チームの応援に、力がこもる。全ては烈に託された。烈はそれにプレッシャーを感じるも、気合いが入る。

「悠センパイ、ファイト!」
「頑張って! 鳴上君!」
「これで最後クマ! こてんぱんにしちゃうクマ!」
「悠先輩…!」

同様に、青チームの応援にも力が入った。悠は拳を握りしめ、久方ぶりに感じる、高揚感のようなものに思わず身震いした。

「…行くぞ、烈!」
「受けて立つぜ! 悠先輩!」

悠はボールを放ち、烈がそれを受け取ってはすぐ投げ返す。
そんな攻防が、幾度となく続いた。

「やば…これ、どっちが勝つんだろう…!」
「こんな勝負、見たことない…。また、また見たい…!」

勝負が白熱するにつれ、再びこの戦いを見たい。そう感じていた一同。

「心配するな。撮影機材を積んだ特殊な機械を飛ばして、運営で監視すると同時に絶賛録画中だ。俺だってこんな名勝負、また見てぇよ。」
「ほんと!? 昴さん、焼き増し希望!」

鈴花を筆頭に、「オレも!」やら「私も!」やらと、いつしか全員手をあげている。

「そう言うと思ってた。直斗、終わったら手伝え。」
「わかりました!」

直斗はそう言ってから、再びリーダーの熱い戦いを見守っていた。

オープニングゲームはドッジボール!? ( No.31 )
日時: 2015/04/11 23:35
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: DFRKYlWL)

どれくらい、長い攻防を繰り返したかわからない。

「はぁ、はぁ…!」

いつしか二人とも、息が上がっていた。
ギャラリー達もいつの間にか黙り込みながら、戦いの行方を見ている。

(先輩、以外にしぶとい…!)
(隙を見せたら敗けだ…!)

互いに隙を見せず、決め手もない。体力も限界に近い。
あと一手。その一手がほしい。

「はっ!」

悠は持っていたボールを投げる。烈はそれを避け、金網に当たったものを拾う。
と、その時…。

「うわっ…!」

悠の足が、ガクンと崩れ落ちた。足に限界が来ていたのだろう。

「もらったあぁぁぁっ!」

その大きな隙を見逃さず、烈はボールを放った。
バシンッ、と当たった後、地面に落ちた…!

「悠、アウト! 勝者、赤チーム!」

昴の宣言が、高らかに響く。

「か、勝ったのね!? 烈が…烈がっ!」
「う、うわぁ、もうどっち勝ってもおかしくなかったのに、すごいよ!」
「俺、見れてよかった…! タマの痛みなんか知るか! 烈ーっ!」
「や、やべぇ、泣きそうだ…!」

赤チームの四人は、烈に駆け寄った。

「あーあ、負けちゃったか…。」
「でも、いい勝負だったよね。」
「ウン、クマ、震えが止まらないクマ…!」
「僕もだよ…!」

青チームも、悠へと歩み寄り、互いの健闘を称える。

「俺も、いい勝負が見られて満足だが…これ、オープニングゲームだって事、忘れてねぇよな?」
『あ。』

どうやら全員、あの勝負が印象強く、忘れているようだ。

「…だろうと思ったさ。さぁ、少し休んだら本編、始めるぞ。」

一時の休息の後、これからは敵同士になる両チーム。
だがひとまずは、この休息を大切にしたい。みんなはそう思いつつ、リング内で座り込んだ…。







今日はここまで。感想どうぞ