二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 虚の旅路 -Story of TERRA BATTLE- ( No.10 )
日時: 2015/08/08 22:06
名前: 霧桜 ◆U7aoDc6gZM (ID: K3Hf956n)




 酒場の真上が。
 否、街全体が。
 重い暗闇に包まれる。

 今度は誰しもに分かる異様だ。商人達が遠くで動揺の声を上げ、道を歩く街の住人は恐れおののいて家々に逃げ込み、酒場で喧嘩をしていた二人も、異常を感じて外に飛び出してくる。そして空を見るが早いが、口を手で押さえ、込み上げかけた悲鳴のような声を押し殺した。

「な、な……何だ、ありゃあ」

 弓使いの上擦った声だけが、者共の耳に大きい。そしてそれに、誰も応えられない。
 彼等の眼は上空で陽を遮る者へ釘付けにされていた。

 ——探していた、汝等を——
 ——探していた、永い時を——
 空が吼える。歓喜に吼える。
 彼等の眼に映るもの。それは。

「……神、サマ?」

 ヒトの言葉を幾ら尽くしても、決して言い表せない黒い影。
 御伽噺に“神”として描かれる、曖昧な偶像の一つであった。