二次創作小説(映像)※倉庫ログ

幕前劇:祭りの日・その裏で ( No.126 )
日時: 2015/06/11 21:50
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: mSRzWlsB)

年に何度もあるお祭り。

「カービィさん、あちらにわたあめがありますわ!」
「ぽよーい!」
「あっ、牡丹、待ってよ! ボクも行くー!」
「ほらほら牡丹ちゃん、カービィ、ピット、走らなくてもわたあめ屋は逃げないよー。」
「ヨヒー…。」
「子供は元気だなぁって視線であいつらを見ないでくれ、ヨッシー。」

だけど、今日はいつもと違う。

「デデデさんのお腹ぷよぷよするの楽しいよねー。」
「やーめーるーゾイ!! ネス、どさくさに紛れて触らんでくれゾイ!」
「ほら、ネス、凪も。大王を困らせちゃダメだよ。」
「はーい。」

今日は、特別なお客様が来ており、

「サムスさん、あっちに射的があるわ!」
「面白そうだな。雪花、私と勝負しないか? 勝った方がピカチュウ抱っこの権利を賭けて。」
「ピカピカー♪」

銘々にお祭りを楽しんでいた。

「あっ、クッパおじちゃん! 型抜きやりたい! 一緒にやろ!?」
「ワガハイ、こう言うのは苦手だから遠慮したいのだが…。」
「フェッ、フェッ、フェッ。じゃあ、ばぁばと一緒にやろうかの?」
『すまんな、カメックババ。この子に付き合ってやってくれ。』
「型抜キデスカ…。私モヤッテミタイデス。」

そう、彼らが異世界にて出合い、共に戦った仲間達が遊びに来たのだ…。











高台。
眼下に見える、そんな平和な喧騒を眺めながら、スバルは一人で風に吹かれていた。

(…。)

思い起こされるのは、自分が無力だと感じた、あの事件。彼らが異世界にて経験してきた、あの忌まわしき事件。

(無事に帰って来てくれて嬉しいけど…。)

あの事件のせいで、自分の愛する娘は癒えぬ傷を負った。もし自分が早く見つけていたら、もし自分が側にいてあげられたら、その後悔がずっと、拭えない。

「なーに思い詰めた顔しちゃってるの? スバルさんらしくない。」
「…ほっといてくれる?」

ふと、背後から聞こえた声に、仏頂面で答えるスバル。

「確かにプレアがんな顔するのは似合わねぇよな。いつも横の馬鹿みたく腐ったネタありゃ妄想ばかりしてるお前がんな顔出来るなんて初めて見たぞ。」
「あんたら二人して失礼じゃない!? 怒るよ!? 七海ちゃん、ジャン君!」
「だって、らしくないんだもん。天変地異の前触れかと思ったよ。」
「俺は月から元気満タンの魔王が飛来するかと思ったぞ。」

その後、声の主…七海とジャンは、スバルからたらいの洗礼を貰ったのは言うまでもない。

「…か、金だらいって意外にイテェ…。」
「ジャン、鍛え方が足りないぞよ。」
「今度は刺鉄球でも落としたろか?」
「やめて死ぬ!」

だが、まともにダメージを受けたのはジャンだけで、七海はピンピンしてたので、スバルは代用品を考え始めていたとか。

「…で、何を思い詰めてたんだよ。」

痛む頭を撫で、ジャンはスバルに訊ねる。

「…覚えてるかわからないけど、七海ちゃんには少し話した事。あの子がトラウマを負った事件の事を思い出してね。丁度、マリオさん達が来てたから、ね…。」
「何だっけ?」

即座にスバルがどこからかハリセンを取り出して七海をひっぱたいたのは言うまでもない。

「…貴方達を呼ぶ切っ掛けの事件を忘れてんじゃねぇよ。」
「ずびばぜん…。」

ハリセンで叩いただけなのに、ぷしゅー…。と煙が立ち上ってる気がするが、気にしない。

「…なぁ、何が起こってたんだ? 俺達の知らないところで…。」
「…そうだね、いい機会だし、君には話した方がいいね。だけど…。」

スバルは創世ノートを出し、ジャンに向き直った。

「これから話す事は、あの子達には内緒にしといて。昴にとっては忌まわしき事件だし、それに…その裏で起こっていたもう一つの事件は、みんなは知らないの。これからも知らせる気はない。だから…。」
「わーってるよ。それも黙ってるさ。」

ジャンの了承に、スバルは一つ頷き、心の中で感謝した。

「これは、この世界が生まれてから五ヶ月後。…戦闘中が終わってから、たった一ヶ月後の事。それは…突然飛来したの。」

スバルのノートが、文字を書いていく。…自分の無力さを感じた、あの悲劇を…。

壊された平和 ( No.127 )
日時: 2015/06/11 21:57
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 68ht.95d)

ここはすー姉さんが生み出した世界の中にある、聖域と呼ばれてる森。
オレ達五人が住む、静かな森。

「ほら、鏡。熱いから気を付けて飲めよ?」
「わーい! ココアだ!」

すーさんが入れてくれたココアで、ホッと一息。

「あったかーい…。」
「ほっこりするよねー…。」

オレの横でココアを飲んでた凪もほっこり。オレもほっこり。
すーさんのいれるココアは、甘くて、温かくて、大好き。

「鏡、熱くない? 冷ましてあげましょうか?」
「大丈夫だよ、雪花。温かくて美味しいよ?」
「ならいいけど…。まぁ、昴さんの事だから、適温で止めてるわね。…美味しい…。」

雪花も、横で温かいココアを飲み始める。
気持ちも穏やかになる、不思議なココア。ただのココアなのにね。

「…プッ。」

みんなが穏やかになった、そんな時、すーさんが小さく笑ってオレを見た。

「鏡、口の回りにココアのヒゲついてるぞ。」
「えっ!?」

オレは服でゴシゴシしようとしたけど、すーさんがタオルを口に当ててゴシゴシしたから、とれちゃった。

「ほら、落ちたぞ。」
「えへへ…。ありがと、すーさん。」
「…。」

照れ臭そうに笑うオレを撫でるすーさんを見つめてる牡丹。
オレはよくわからなくて、首を傾げちゃったんだ。

「どうしたの? 牡丹…。息が荒いけど…。」
「…普段は優しい昴さん…。しかし、鏡と二人っきりの時、態度が豹変」
「牡丹ー、そんな事言ってると氷付けにされるよー。」

凪はオレの耳を塞ぎながら、牡丹に何か言ってたんだけど、よく聞こえなかったんだよなー…。

「…牡丹。お望みとあれば、今凍らせるが?」
「え、遠慮致しますわ…。」

あ、すーさんの睨みで牡丹が凄く怯えてる。
でも、何したんだろう、牡丹。

「鏡は気にしなくていいんだよー。」

そう、凪は言うけど、気になる…。

『鏡、世の中には知って欲しい事と知らなくてもいい事があるのだ。今の牡丹の話は、知らなくていい事に分類される。わかったか?』
「う、うん…。」

紅がそう言ったから、オレはもう気にしない事にした。
…まだ、ちょっと気になるけど…。

「…。」

オレは、ココアを飲みながら、前を見る。

「うぅ、氷付けは嫌ですわ…。」
「そう思うなら自重なさい。」

牡丹がいて、雪花がいて、

「あ、このスコーン美味しー。」
『どれ、我も頂こうか。』

凪がいて、紅がいて、

「鏡、マドレーヌ食うか?」
「うんっ、食べるー!」

大好きなすーさんがいる、そんな毎日。
オレはそんな毎日が、ずっと続いてくれると思ってた。






…あれが、降ってくるまでは…。

壊された平和 ( No.128 )
日時: 2015/06/11 22:14
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: mSRzWlsB)

—ヒュー…ン…。

「…ん?」
「んー?」

すーさんが、何かに気づいてどこかを見る。
凪も、何かに気がついてすーさんと同じ方を見る。

「どうしたの? すーさん、凪。」
「何か、風を切るような音がしてな。」
「うん、何かが落ちてくるよう」

—ドカーン!!

「!?」

凪の言葉が言い終わる前に、凄い音が辺りに響いた。

「な、何事ですの!?」
「神殿の裏にある高台に何か落ちたみたいだねー。」
「みんな、高台に行くぞ!」
「うん!」

すーさんの号令で、オレ達は神殿裏手の高台へと急いだ。











高台は、もうもうと砂煙が立ち込めていた。
視界が悪くて、何も見えない。

「凪!」
「りょーかいっ!」

すーさんが一声かけただけで、凪はやる事を理解したのか、すぐに風の能力を発動させて辺りに漂う砂煙を吹き飛ばした。

「…人は、いないようですわね。」
「みんな、見て!」

すると、すぐに目の前にぽっかりと穴が開いているのが見えたんだ。

「何かしら、あれ…。」
「丸い、ですわね。ボールでしょうか…。」
「でも、×印のボールなんて見た事ないわ。」

しかも、その中央には、雪花と牡丹の言うように、見た事のない丸い物体があった。

「…あ、あれ?」

いや、見た事がないわけなかった。
あれは…あれは!

「もっと近くで見てみ…あら?」
「ロボット…?」

まずい! 二体のロボットが出てきた!
しかも、起動させちゃったよ!?

「ね、ねぇ、すーさん、凪、あれ…!」
「お前ら、逃げろ!」
「昴さん、ダメだ! タイマーが短すぎて間に合わ」

激しい爆発音と共に溢れた、黒い何か。
そこで、オレの意識は途切れたみたいだ…。

壊された平和 ( No.129 )
日時: 2015/06/11 22:26
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 68ht.95d)

「…わ……た。…前………になっ…やる…。」

…話し、声…する…。
すーさん、と…。だ、れ…? 誰と、話してるの…?
体が、動かない…。痛い、よ…。

「だ…、そ……わ…、…い……に…手…出……!」

何を、話して、るの…?

「…すー、さ…。」

重い、頭を、あげたら…。

「…。」

悲しそうな、顔の、すーさんが、いた。
一瞬、目が、合った。
すーさんは、笑って、くれた…。
でも、次に言った、言葉は…絶望的、だった。

「…さよなら。」

ただ、短い、一言。
さよな、ら…? そんなの、嫌だよ!

「すー、さ、ん…!」

オレは、すーさんに、手を伸ばす。
嫌だよ、すーさん…! いかない、で…!

「すーさん…!」

急に、目の前が、真っ白に、なった。
…身体中が、痛い…。もう、何も、考え、られ…。











「そして、あの子達はこの世界の加護から離れ、気づいたらスマブラの世界にいたようなの。」
「そうか…。なぁ、プレア。昴が話していた奴って一体…。」

ジャンが聞くと、スバルは目を閉じ、かぶりを振った。

「それは、後でわかる事。今は次の…七海ちゃん?」
「うーむ、よくわかんないけど、何か…あの、昴さんと話してた奴、ぶっ飛ばしたくなる。何となくだけど、悪い奴の予感がする。」
「…昴の言葉だけでそれを実感する勘が凄いよ。」

七海の勘の良さに、スバルは苦笑しつつ、次の物語を紐解いていった。








—今日はここまで。…カキコの問題点だと思うのなら、勇気を出して提言するといいと思います。

七海
「誰に言ってるかわかんないけど、感想どぞー!」