二次創作小説(映像)※倉庫ログ

仲間を求めて ( No.292 )
日時: 2015/07/25 18:51
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /9RVPCwZ)

「…さよなら。」

僕は、痛む体で、その声を聞いた。
悲しそうな昴さんの声。いつものあの人らしくない声。










次に目が覚めた時は、確かに、あの人はいなかった。
鏡も、雪花も、牡丹もいなかった。きっと、あの人が無我夢中で力を使ったから、うまく一緒の地点に飛ばせなくて、はぐれたんだろうな。










…ねぇ、昴さん。君はさよならと言ったけど、本当は違うんでしょう?
僕は、この物語を見た事があるからわかるよ。多分、鏡もわかってると思う。










…本当は、「助けて」って、言おうとしたんだって。










大丈夫だよ、昴さん。
僕らが必ず助けるから。
それまで…それまで、一人にさせるけど…帰ったら、いっぱい甘えさせてあげるから。

仲間を求めて ( No.293 )
日時: 2015/07/25 21:09
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g9MFapnu)

「…。」

僕は、ベッドの上で薄れ行く意識の中で聞いた昴さんの声を思い出していた。
…短い言葉だったけど、僕ははっきりとわかったよ。
あの爆弾。それから、あの時昴さんの後ろにいた、何か。

「大丈夫。きっと、助けるから。」

きっと、あの人はこれからあの何かの手によって、沢山傷付くかもしれない。
側で支えられないのが心苦しいけど、あの人なら大丈夫だって、信じる。
後で、うんと慰めてあげよう。きっと泣きたいくらいに辛い目に遭うだろうから。

「…。」

だから、その為に。
僕は、僕のできる事をするつもり。
この物語の行く末を知っている僕だからこそ、できる事を。

「さてとー。十分休んだし。」

ここに落ちたのは、ある意味よかったと思う。
僕には、こういう役回り、似合うしね。たぶん。

「行くとしようかなー。」

僕は歩き出す。
ある人の、手伝いをする為に。

仲間を求めて ( No.294 )
日時: 2015/07/25 21:09
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /9RVPCwZ)

長い廊下を抜け、ある部屋の扉を開ける。
そこは、広い広い部屋に、椅子がぽつんとひとつ。
あの椅子、玉座って言うんだよね、王様が座る。

「おぉ、凪! 体はもう大丈夫かゾイ?」
「大丈夫だよー、デデデさん。動けない訳じゃなかったからねー。」

昴さんは、僕らをここに飛ばすと同時に、傷を癒してくれたみたい。やっぱり慌ててたから、完全に塞いだ訳じゃなく、最低限動けるくらいだけど。
でも、最低限動けるくらいまで回復してくれたからこそ、僕はすぐにここまで歩く事ができるようになった。
ちなみに彼はデデデ大王。このお城、デデデ城の主なんだ。
表に倒れていた僕の傷の手当てをしてくれた人なんだー。まぁ、実際やったのは彼の従者であるワドルディ達だけど。

「もう、仲間を探しに旅立つのかゾイ?」
「うーん、色々考えたんだけどねー、それ、やめる!」

僕がそう言うと、デデデさんは玉座からずり落ちるようにして転けた。

「は、はぁっ!? な、何でだゾイ!? 仲間が心配じゃないのかゾイ!?」
「うーん、心配なのは心配だけどー、きっと、あの人が誰か他の人がいる場所に飛ばしたろうから、心配はないと思うー。」

そうなんだよね。僕がここに辿り着いたように、きっとみんなも誰かと一緒に行動しているさ。昴さんだって、いくら無我夢中でも、そこは計算してそうだしねー。
それに、僕は風使いだからかなぁ? なんとなく、みんなの気配がわかるんだ。無事でいる事がわかるんだ。

「だから、大丈夫ー。それよりも、デデデさんのお手伝いさせてほしいんだー。」
「…ワシがやる事をわかっていて、それを言っておるのかゾイ?」
「勿論ー。…下手をすると、敵視される事も、予想つくよー。」

だって、あの爆弾を落とした亜空軍も、同じようにフィギュアを集めてるからねー。
アイツ等の場合は、兵士を集める為だけどー。

仲間を求めて ( No.295 )
日時: 2015/07/25 22:01
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g9MFapnu)

でも…デデデさんは、違うんだよねー。
彼は、この世界を存続させる為に、フィギュアを集めてる。
この世界の危機を知っているから。

「けどねー。デデデさんは、この世界の為に動こうとしているのは、理解できるからー。だから、お手伝いさせて?」
「…助かるゾイ、凪。」

少しだけ震えた、デデデさんの声。
…嬉し泣き、かなぁ。一人でやろうとしていたみたいだから、ね。
なら、僕も頑張っちゃおうかなー。

「嫌だなー。泣かないでよデデデさーん。僕、悪い事したみたいじゃないかー。」
「ぐすっ、泣いてないゾイ! 泣いたとしても、お前が悪いゾイ!」
「あー、ひどーい。」

僕が何したっていうのさー。ねー、昴さん。
…って、答え、帰ってくるわけないけどねー。

「…まぁ、いいやー。さて、行こうよ、デデデさん。僕らには時間が残されてないんでしょー?」
「…そうだゾイ。急いで支度をするゾイ、凪!」
「はーい♪」

僕らは歩き出す。
今はどこにいるか分からない仲間を探す為に。
あの人を救う為の仲間を増やす為に…。











「凪って本当に見た目とは裏腹に滅茶苦茶考えてるよな。」

ぽつりと、ここまでを振り返った後、ジャンが呟いた。

「何で?」
「お前は生粋の馬鹿だな。何でここまで見てわかんねぇだよ。…普段はどっか頭のネジ外れてるようなほえーんとした感じだけど…。こう、いざとなったら頭の回転が早くて、やるべき事をすぐに見つけて、決断して…。まぁ、要するに、アレだ。切れ者って奴だろうな。お前の親友みたく。」
「何か納得。」

首を傾げる七海に、ジャンが呆れつつも丁寧に説明する。律儀だ。しかも例えに理乃だして納得されたぞ。

「だから昴も、凪君を参謀的立ち位置で見てるのかも。時折、紅君と一緒に彼にも意見を聞いてるから、ね。」

そこまで言うと、スバルは顔を青ざめさせた。

「…凪君が敵じゃなくてよかったよね…。」
「あぁ、うん。同意するわ。」
「理乃みたいな頭脳の相手だと勝てる見込みないんだけど。」

スバルの素直な呟きに、他二人も同意した。互いに真っ青な顔で。

「…っと、次行くか。次は…鏡君と…。」
「…昴の、だな。」

繋げにくかった部分を繋げてくれたジャンに、スバルは頷きで返した。

「あの子の…ある意味、トラウマの原因。七海ちゃんに言った、タブーについて話すなと言った理由が、次を見てくれたら大体わかると思う。覚悟はいい?」

スバルの問いかけに、二人は頷く。それを見たスバルは、ノートをパラリと捲った…。







久し振りの時空越の勇者シリーズ。感想ok