二次創作小説(映像)※倉庫ログ

亜空軍との戦い ( No.446 )
日時: 2015/08/23 23:38
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

【side 牡丹】


眼下で行われている、実力者同士の戦い。
鏡や凪がよくゲームをしている横で見ていたので、名前くらいは私も知っていました。
赤い帽子と青いオーバーオール。あんまんのような鼻が特徴的なマリオさん。
対するは、ピンクの真ん丸ボディが可愛らしいカービィさん。

「勝負は五分五分のようですね。」
「行けーっ! マリオ、頑張ってー!」

先程から、ピーチさんはマリオさんの応援ばかり。
…やはり、恋人だから、とかいう理由でしょうか…。

「…ここまで互角だと、一撃のミスで勝敗は決しそうですわね。」
「そうなのですか?」
「はい。実力が拮抗状態ならば、一つのミスが生じた時…。」

カービィさんが繰り出したハンマーを、マリオさんが避ける。
ここで、勝敗は決しましたわ。

「張りつめた糸が切れるように、その均衡は崩れてしまう。」

重いハンマーを振り回して生まれた隙。
その隙をついて、マリオさんはカービィさんに一撃を食らわせました。

「ぽよ〜〜〜ぃ…!」

その一撃で、カービィさんは吹っ飛ばされてしまいました。
…鳴き声(?)、ちょっと可愛いですわね。
しばらくして、カービィさんが戻ってきました。
このスタジアムに降り立った時と同じく、フィギュアの姿で。

「…今日のバトルは楽しかったよ、カービィ。」

マリオさんがカービィさんのフィギュアのプレート部分に触れると、カービィさんのフィギュアが光りだし、その光が収まると同時に、カービィさんは元に戻りました。
成程。これが、この世界の理…。でも、どうやって戻したのでしょうか。ただ、プレートに触れるだけで直るものなのでしょうか。

「フィギュア化した人は、実体化した人が復活させたいという意思を持ち、プレートに触れる事で元に戻せます。」

元に戻った理由を考えていると、ゼルダさんが説明をして下さいました。
その説明によると、どうやらただ触れるだけではダメなようですね。

「成程。…覚えておきますわ。」

これは、覚えておいた方が良さそうですわね。何となく、そう思いますわ。

「さて、私達も控え室で休みま…あら?」

突然、雲行きが怪しくなり、空が赤い、不吉な何かで覆われました。
直後、変な仮面を被った飛空挺のような何かが現れ、こちらに向かってきました。
飛空挺はマリモのような何かを撒き散らし、停滞しています。

「あら? なんでしょう、あれ…。」
「…! お二人とも、スタジアムを見てください!」
「えっ?」

スタジアムに降り注いだマリモは一塊になり、何らかの形を取りました。
人形の…よくわかりませんが、それがたくさん現れ、背中からはあのマリモが溢れ出ていました。

「なっ、何だこれは!」
「ぽよぽよ!」
「た、多分敵だとは思うけど…。」

下にいるマリオさん達も驚いているようでした。

「っ、ピーチ!」
「わかってるわ! 牡丹ちゃんはみんなと一緒に避難して!」
「えっ? あっ、ちょっ、お二人とも!」

ピーチさんは傘を広げてスタジアムに降り立ち、ゼルダさんは何らかの魔法で姿を消し、気がついたらスタジアムに降り立ってました。

「…っ、もうっ!」

私は言われた通りに避難をしようとしましたが、流石にそれは躊躇われました。
けど、せめて避難誘導だけでもすべきですわね。

亜空軍との戦い ( No.447 )
日時: 2015/08/23 23:37
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

避難誘導があらかた終わり、私は再びスタジアムに戻ってきました。
ですが、眼下に見える状況は、然程変わっていないようです。
…数が多すぎるのでしょうか。

「…。」

私は、ポケットの中から小さな袋を取り出しました。
小さな袋に入れていた植物の種は、強い生命力に溢れています。

「…これなら、行けますわね。」

大丈夫。知らない世界ですが、多分、能力も発動できる。そんな気がしますわ。
それに、例え発動できなくとも、私には体術がありますし。

「…昴さんの事は心配ですが、あの方々も放ってはおけませんわね。」

さて、と。助けてくださった方々への、恩返しといたしましょう!
それからみんなと…あの方の捜索。…ふぅ、忙しくなりそうですわ。











スタジアムに降り立った私は、すぐに種を撒き、扇子を取り出しました。
…能力なんて、何だかんだで久し振りに発動する気がしますわ。コツとか、忘れてないとよいですが…。
いえ、そもそも能力自体を忘れてないといいですが。
…こんな事になるのでしたら、もっと真面目に鍛練すべきでしたわ。

「巻き付きなさいっ!」

種から芽を出した蔦を、敵に向かって伸ばし、縛り付ける。
…うん、大丈夫のようですわね。

「…その声…牡丹ちゃん!?」

軍団に囲まれるように戦っていたピーチさんが気がついたようですわね。
…同時に、敵にも気がつかれましたが。まぁ、これが狙いだったので問題はありませんわ。

「! いけない! 牡丹さん、逃げて!」
「大丈夫ですわっ!」

私は、相手の懐に飛び込んで一撃を加える。
手応えがない。まるでぬいぐるみを殴っている感覚がしますわ。
しかも、その一撃で、こいつらは溶けるように消えました。
…どうやら脆いようですわね。

「強いな、あの子。」
「ぽよぽよ!」
「ええ、私もちょっとビックリしてる。…それに、あの蔦。」
「牡丹さんが種から生やしているようにお見受けしました。恐らく、彼女の能力なのでしょう。」

ゼルダさん、流石ですね。私の能力を見破っていますわ。
でも、今はそんな場合ではありませんわ。

「お話は後ですわ! 今は、ここを切り抜けますわよ!」
「あの子の言う通りです。姫、まずはここを切り抜けましょう!」
「そうね。」

マリオさんの言葉にピーチさんは同意し、私達は再び謎の軍団との戦闘に戻りましたわ。

亜空軍との戦い ( No.448 )
日時: 2015/08/23 23:42
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

敵は脆く、あっけなく終わるかと思っていたら、案外数が多くて苦戦しました。
ですが、強力な力を持つ私達の敵ではありませんでした。

「これで…最後、ですわっ!」

私は最後の敵を蹴り飛ばし、息を整える。

「牡丹ちゃん、大丈夫そう?」

ピーチさんが私を気遣い、声をかけてきてくださいました。

「平気ですわ。…ちょっと、痛いですけど。」
「歩けるくらいだったとは言え、空から落ちてきて回復もせずにあの怪我で立ち回ったんだ。無理もないさ。」
「成程、空カラ落チテキタいれぎゅらーノ存在トハ、オ前ノ事カ。」
「!?」

急に、どこからか機械音声のような音がし、私達は一斉にそちらを向くと、そこには緑色のローブ(?)のような物を纏い、足元の機械にはあの私達の平穏を打ち破った爆弾を括りつけた不審者が、私達の側におりました。

「お前、誰だ!」
「ココデクタバルオ前達ニ、名乗ル名ナドナイ。」
「その爆弾…貴方は、私達の平穏を打ち破った奴の仲間ですの!?」
「…ソウダ。コノ世界ヲ亜空間ニ引キズリ込ム為ニ、オ前達ノヨウナ存在ガ邪魔ナノダ。故ニココデ…消エテ貰オウ。」

不審者は私達の前に、あの爆弾を落としていきました。
そしてすかさず、ロボット達が現れて、爆弾を起動しました。

「…! いけない!」

マリオさんはすかさず動きます。
ですがっ…!

「! マリオさん! 後ろですわ!」
「えっ? うわぁっ!」

煙にまぎれ、どこからか鉄球が飛んできて、マリオさんはそれに直撃し、吹き飛ばされました。

「マリオさん!」
「ぽよーっ!」

私とカービィさんは、鉄球を警戒しながらも、マリオさんが飛んでいった方向を見つめました。
と、そんな時、背後でガシャン、と音がしたのを聞いた私は、後ろを向き、息を飲みました。

「なっ…なんなんですのあの気色悪い…は、花…?」

花とは呼べぬ、動く植物に、私はビックリして、何歩か引きましたわ。

「こ、この植物はいったい…!」
「な、何でボスパックンがここに!?」
「って、ピーチさん達が…!」

花らしきもの…ボスパックンに驚いているゼルダさんとピーチさんに気がついたのは、それからでした。

「ゼルダさん、ピーチさん!」
「ぽよよ!」
「牡丹ちゃん、カービィ!」

なんと、お二人はいつの間にか、ボスパックンの手(葉?)にあったカゴの中に閉じ込められていました。

「キシャアァァッ!」

ボスパックンが、お二人の入ったカゴをぶつけながら、私達を威嚇します。
ですが、それで怯む私ではありませんわ!

「カービィさん、行けますか?」
「ぽよっ!」

私の問いかけに、カービィさんは当然だとばかりに答える。
…紅がいれば、きっとカービィさんの言葉、わかるのでしょうが…ないものを言っても仕方がないですわね。
時間は…あと、二分を切りましたわね。急がないと。

亜空軍との戦い ( No.449 )
日時: 2015/08/23 23:48
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

私は蔦を用い、ボスパックンの動きを鈍らせます。
というか、動く植物なんて気味が悪いですわ。あんなのが花だなんて思いたくもありません。

「足元がお留守ですわっ!」

足元が隙だらけ。私はそこを狙って蔦を伸ばすと、ボスパックンは無様に転びました。まぁ、元から胴体に対して頭が重そうなので、すぐに転ばせられそうでしたが。

「ぽよっ!」

大きな隙ができたのを見て、カービィさんは大きなカッターのようなものを取り出しました。
そして大きく跳躍し、勢いをつけて落下していきます。狙いはどうやら、ゼルダさんの入ったカゴを掴む、葉っぱ。

「グギャアァッ!」

狙いは寸分違わずに、葉っぱの根本の方に命中したようです。ボスパックンは奇声をあげながら葉っぱがあった部分を押さえました。
…そう言えば、あれも植物でしたわね。

「植物なら、私の力で…!」

私はボスパックンに接近し、残った葉っぱの根本に触れる。

「枯れなさい。」

恐らく、無慈悲に言ったのではないかというくらい冷たい声を出した後、私は能力を使う。
すると、みるみる内にボスパックンの葉っぱは生命力を失い、枯れていきました。

「ギャアァァァッ!」
「凄い…!」

枯れた葉っぱの先にいたピーチさんが、後ろで呟いたのが聞こえました。

「ピーチさん、ゼルダさん! 時間がありません! 早く脱出を!」
「え、えぇ!」

私の力に感心していたピーチさん達も、私の言葉でそんな場合ではないと悟ったのか、檻を壊す作業に入っています。

「グ、グゥゥ!」

そんな折り、ボスパックンが両手…もとい、両葉を再生しているのが見えました。いえ、再生と言うよりは、成長、ですわね。

「…まだ、やりますの? なら、ここで潰させていただきますわ。」

私は懐から苗木を取りだし、ボスパックンの口を目掛けて放り投げました。

「グギュッ!」

両葉が使えないからか、奴は苗木を食べました。…フフッ、勝敗は決しましたわ。

「食べずに弾けば、依り代にならずに済んだのに…。」
「!? グ、グェェッ!」
「吐き出そうとしても、もう、遅いですわ!」

私は扇子をパチン、と閉じる。
同時に、奴の口から、生命の息吹が溢れだし、それは成長し、低木となり、大輪の花を咲かせました。
ボスパックンは木の栄養にされ、そのまま枯れて行きます。

「…やはり、花は美しいものに限りますわ。」

私はそっと、落ちた花を拾い上げます。
…私と同じ名の、牡丹の花を。

「…っ!」

戦闘が終了した事からの安堵感で緊張の糸が切れたのか、急に体に激痛が走りました。あまりの痛みに、私は膝をつく事しかできませんでした。

「牡丹ちゃん!?」
「やはり、無理をなさって…!」
「ぽよぽよ!」

そんな私を心配したのか、ピーチさん、ゼルダさん、カービィさんが駆け寄ってきてくださいました。

「…!」

私はそんな彼女達に心配をかけさせないように、笑顔を向けようと前を見て…凍りつきました。

亜空軍との戦い ( No.450 )
日時: 2015/08/23 23:54
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

駆け寄る三人の背後に、黄色い、マリオさんのと同じ物のような、Wの文字が書かれた帽子を被った稲妻髭面の男が、三人に銃口を向けています。

「ピーチさん、ゼルダさん、カービィさん! 後ろですわっ!」
「…! ピーチ、カービィ!」

私が気づいたと同時に、ゼルダさんも気付いたのか、ピーチさんとカービィさんを魔法のようなもので私の近くへと吹き飛ばしました。

「ガハハ! 遅い遅い!」
「! しまっ…!」

逃げ遅れたゼルダさんは、放たれた銃弾に貫かれ、フィギュアとなってしまいました。

「ゼルダ!」
「ぽよよ!」

カービィさんとピーチさんは、何とか体制を立て直し、男と、男が担いだゼルダさんを見ました。
…男を見た瞬間、ピーチさんの表情が怒りに変わりました。

「何で貴方がここにいるの!?」
「勿論、金の為だ! こいつを売り捌いて金にしてやる!」
「っ…! ふざけないで! ゼルダを離しなさい! ワリオ!」
「ガハハ! 誰がお前の言う事を聞くか!」

ピーチさんが男—ワリオを一喝すると、今度はピーチさんに重そうな銃を向けます。

「お前もフィギュアになれぇーいっ!」

そして、その銃口からエネルギーの塊のような、矢印型の銃弾がいくつも放たれます。

「そんなの、当たらないわ!」
「ぽよぽよ!」

しかし、カービィさんもピーチさんも、軽やかなステップで次々とかわしていきます。

「ちぃっ、ちょこまかと…! ん?」

私と、ワリオの視線が合いました。
まずい、このままだと…!

「まずはお前からだーっ!」

やはり、私に狙いをっ…! まずいですわ、体が、まったく…!

「牡丹ちゃん!」
「っ…!」

私は思わず目を閉じました。
…私は、この世界ではない場所の人間。もし、この世界の理が私に適応されていなければ…!

「くらえぇーいっ!」

私は、昴さんや、みんなを探せないまま…ここでっ…!

「駄目ぇぇぇっ!」
「ぽ、ぽよっ!?」











死を覚悟した私は、目を閉じたまま、最後の時を待ちました。
昴さん、鏡、凪、雪花…。ごめんなさい。私はこれまでのようです。

「…?」

…って、いつまで経っても衝撃みたいなのが来ませんわね。

「…! あ…あぁ…!」

目を開けた私の前に飛び込んできたものを見て、私は、言葉を失いました。

「ぽーよーっ!」
「ピ…ピーチ、さん…!?」

そこにあったのは、優雅に佇む、ピーチさんのフィギュア。
私を庇ってこうなったと気付くのに、時間はいりませんでした。ですが、ワリオがピーチさんのフィギュアをかっ浚うのには、時間が十分すぎる程ありました。

「ガッハッハ! これで二体ゲットだーっ! …ぬっ? もう時間がないな。」

ワリオの言葉で、私は爆弾の事を思い出しました。
時間は、あと僅かしか、ありませんでした。

「今日のところはこれぐらいにしておくか。んじゃ、まったなー!」
「あっ、待ちなさいっ!」

私は何とか立ち上がり、奴を追いかけようとしましたが、既にどこかへと逃げてしまいました。
時間は残り僅か…。ピーチさんに助けられても、ここで終わってしまうの…!?

「ぽよーっ!」
「えっ? きゃあっ!」

突然、カービィさんが空に向かって何事か叫ぶと、空から何か、星のようなものがやって来て、目の前に墜落しました。

「な、ななな何ですのこの星は!?」
「ぽよっ!」

私が驚いている間に、カービィさんが乗り込みました。そして、その無垢な瞳を私に向けてきます。
…乗れ、と言う事でしょうか。

「…。」

時間はあと少し。迷っている暇はありませんわね。

「行きましょう、カービィさん! ひとまず脱出ですわ!」
「ぽよっ!」

私が乗り込んだ事を確認すると、星は飛び立ちました。
意外にも、物凄いスピードを出すので、驚いて思わずカービィさんを掴んでしまいました。

亜空軍との戦い ( No.451 )
日時: 2015/08/24 00:05
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: A/XMfiCA)

「…この辺りまで来れば、大丈夫でしょうか…。」
「ぽよぽよ。」

ある程度スタジアムから離れた私達は、背後にあるはずのスタジアムを見ました。
そこには既に建物の面影はなく、ただ、真っ黒い球体があるだけでした。

「…ゼルダさん、ピーチさん…。」
「ぽよ…。」

…大丈夫でしょうか…。不安で仕方がありません…。
それに、大砲のようなものに飛ばされたマリオさんも心配ですわ…。

「…ぽよっ!」

カービィさんは私の肩をぽんと叩き、目の前にあるものを差し出してきました。

「…これは…?」

赤い…トマト、でしょうか。にしては、中央に黄色くMの文字が書かれていますわ。
カービィさん、これどこから取り出したのでしょうか。それに、そもそもこれは食べ物…?

「ぽよっ!」
「ふむぐぅっ!?」

迷っている私に、まるでさっさと食えと言わんばかりに、カービィさんは私の口を無理矢理抉じ開けて、トマトのようなものを突っ込みました。
く、苦しかったですわ…。けど、不思議と、体が楽になった気がします。
…この、トマトのようなもののお陰でしょうか…。

「…まぁ、いいですわ。さぁ、カービィさん、行きましょうか。」
「ぽよ。」

宛はありませんが、みんなを探す為、元の世界に帰る為に、動き出しましょう。
…あぁ、帰ったら、みんなに色々と報告したいですわ…。











【side ??】


亜空間に飲み込まれ行くスタジアムから、猛スピードで飛んでいく星を見て、我は安堵していた。

「…声ヲカケナクテ良カッタノデスカ?」

そんな我の横から、言葉をかける者がいた。

『牡丹は無事だった。それが確認できただけで十分だ。あ奴にいい報告ができる。』
「ソレモソウデスガ、彼等ノ現状ヲ話シテ、協力ヲ申シ出レバ…。」
『…今、牡丹が鏡の現状を知っても、どうにもできぬだろう。それに、鏡も今自分が置かれている現状を話されたくないと願うだろう。牡丹が心配するだけだからな。』

そう。鏡の現状は誰も知らない方がいい。…知ったとしても、何もできないからな。
あのタブーを相手に、神が人質にとられている以上は…な。

「…鏡サンハ上手クヤレテイルデショウカ…。」
『心配はいらん。鏡にはクッパがついている。…やれるさ。きっとな。』

もう、我が常に見ておらずとも、やるべき事を理解できる子だ。だから、大丈夫。
それよりも今は、鏡に出来なくて我が出来る事を…残りの凪、雪花の捜索をしよう。

『…今は、残りの二人を探して、鏡を安心させてやりたい。…もう少し、付き合わせて貰うぞ、エインシャント卿。』
「ワカリマシタ。デハ、行キマショウ、紅サン。」

我はこの者と…エインシャント卿と共に、雲海の中を抜けていった。











「へー、あの腐った毒物生成師、結構強いな。」
「体術だけのガチバトルしたならつぎドカ!メンバー一強いよ。」
「まー、牡丹の体術の筋はいいしね。我流であそこまでいくのは凄いと思う。」

同じく我流の体術使いである七海の言葉に、一同はふむ、と頷いた。

「これでちゃんとした所で鍛え上げたら…。」
「うん、恐らく体一つで屈強な男共に立ち向かえそうなくらい強い子になると思うよ。私の見解だけど。」

屈強な男達を素手で薙ぎ倒す牡丹を想像したのか、ジャンとスバルは顔を青ざめさせた。

「…怖いな。」
「想像したら怖いよね。」

流石に肝が据わっている方のジャンも、それを想像したら怖かったようだ。恐らく、敵に回したらかなり恐ろしいかもしれない。

「…つ、次行くか。」
「だ、だね。」

スバルはノートを開き、更に振り返った…。







ここまで。感想OK。ついでに逃走中の方もキャラ紹介だけですが、感想あればどうぞ。