二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- アンジャッシュパロ その二 ( No.456 )
- 日時: 2015/08/29 23:24
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /f6cMoTi)
ある日の昼下がり。青柳総合病院にて。
「ご、ごめんなさい、氷海! 肝心な時に寝坊してしまって…!」
「いいのよ、セシル。仕方がないわ。夜遅くまで台本を読んでいたのだから。急に頼んでごめんなさいね。」
氷海は何度も頭を下げる擬人化状態のセシルにやんわりと気にしないよう言った。
「それにしても、パステルくんも急用ができてしまうなんて…。しかも前日になって判明するって…。」
「本当だったらこの防災キャンペーンはパステルくんと氷海の二人でやる予定だったのに…。まぁ、音声を記録したこのサンプラがあれば大丈夫と言っていたけど…。」
セシルは手に持っている台本と、パステルくんの音声を記録したサンプルプレイヤー、略してサンプラを眺めていた。
「とにかく、こうなってしまった以上仕方ないわ。ぶっつけ本番だけど、やるしかないわね。」
「そうね。私も頑張るわ。」
氷海とセシルは互いに頷き、そして、氷海は飛び出した。
「どうもー! 青柳総合病院に集まってくれたみんな、こんにちはー!」
「こんにちはー!」
氷海がパステルくん人形を抱えて出てきて、挨拶をすると、集まってくれた子供達は元気よく挨拶した。
「今回は、地震や火事が起きた時、みんなが正しく対処をできるように防災キャンペーンとして、消防署の方に頼まれてやってきたの。じゃあ、自己紹介をするわね。」
そう言って氷海はパステルくん人形に目を向けた。
「名前は?」
『チュータくんだよー!』
「はい、よろしくお願いします。そして、私の名前が?」
『チュータくんだよー!』
あ、さっそくセシルがやらかした。
「(せ、セシル…!?)チュータくんじゃないわよね? 最初から分かり辛過ぎるわよね? それ。私の名前は?」
『氷海お姉さん!』
「はい、よろしくお願いします。」
(ひ、氷海、ごめんなさい…。)
セシルは舞台袖で氷海に向けて謝罪をした。ええ、本気で。
「チュータくん、今からお姉さんが、火事の原因についてのクイズを出すから、わかったら答えてね?」
『わかったー!』
「じゃあ、第一問。料理などで使うもので、とても火事の原因になりやすいものは何?」
『チュータくんだよー!』
あぁ、セシルがまたテンパって訳が分からない操作をしてしまいました。
「(せ、セシル…また…!?)チュータくんじゃないわよね!? チュータくんが原因じゃまずいわよね!? 料理などに使わないものね、チュータくんは!」
(ネズミを料理に使うとなれば、本当に食材として使う事になりますね。って、わたくし何を考えているの!?)
何を考えていたのか、セシルはぶんぶんと頭を振り、そして目の前のサンプラを睨みつけた。
(次こそ失敗しないようにしないと…!)
「えー、使う物は何ですか? チュータくん。」
『油ー!』
「そう、油なの。揚げ物とかをしている時は、みんな本当に気を付けてね。じゃあ、チュータくん、火事の原因の第二問!」
『煙草を吸うー!』
「チュータくん、問題聞いて? 早押しじゃないんだから…。(せ、セシル、タイミングが早いわ…!)」
どうやらまたセシルがやらかしたようだ。あ、数人の子供達が笑い出した。
(あぁぁぁ…。もう、またやってしまいましたわ…。)
「問題聞かせないと…。寝ながら絶対にしてはいけない事は何でしょうか?」
『煙草を吸うー!』
「うん、正解だけど、全然新鮮味がないわね。お願いね、チュータくん(とセシル)。そう、寝煙草は物凄く危険なの。だから、煙草を吸ってるお父さんお母さんに注意するように言ってあげてね?」
氷海は何とか冷静に先に進めるも、内心は物凄く心臓が早鐘を打つように鳴り響いており、かなり焦っていた。それと同時に、セシルを心配していた。
- アンジャッシュパロ その二 ( No.457 )
- 日時: 2015/08/29 23:31
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /f6cMoTi)
「(前日になって無理に頼んだのがまずかったかしら…。)じゃあ、チュータくん、今目の前で地震や火事が起きたら、チュータくん、落ち着いていられる? それとも、ついつい興奮しちゃう?」
『興奮しちゃうー!』
「そう、それが一番危険な事なの。とにかく、冷静に行動する事が大切よ。」
今のところ上手くいっている事に安堵しながら、氷海は続ける。
「まず、地震が起きたらみんながいつも普段学校でお尻の下に敷いている防災頭巾を頭から被るの。」
『わかったー!』
「そして揺れが激しい場合は、机の下に隠れて、机の脚を」
『わかったー!』
「(…セシル…。何だかわざとやってるのか疑うわよ…?)えー…わかった? そ、そして火事の場合はハンカチを口に当て」
『わかったー!』
すみません、大事な事を話しているのに途中途中で追加攻撃入れないでくださいチュータくん。あぁ、セシルが舞台袖で泣き出したよ…。
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!)
「(ね、寝不足もあって判断力が鈍ったのかしら…。)返事が速いわ! お姉さん凄い口喧しいみたいよこれじゃあ!? そ、その間で来られると…。普段から聞いていますからいいですみたいな…。子供達には初めて知るだろう子もいるから、ちゃんと聞かせたいの。お願いね?(ええ、本当にお願いするわよ、セシル…。ああ、もう子供達ほとんど笑っちゃってるわ…。)」
氷海が前を見ると、かなりの人数の子達が笑っていた。ええ、もう酷い子は腹抱えて笑い転げそうです。
「気を取り直して、次は諺の問題に行くわね。一秒の注意を怠ったら、一生治らないような怪我をするかも知れないので気をつけようっていう諺があるわよね? お姉さんに続いて答えてね? 注意?」
『一秒!』
「怪我?」
『一生!』
「(ほっ、うまくいったわ…。)そう、注意一秒、怪我一生。これ、みんな覚えておいてね? チュータくんも忘れないで覚えていられるわよね?」
『一秒!』
ここで氷海は初めて、ブホッ、と変な声を出しながら吹き出してしまった。かなりの不意打ちで、もう堪えきれなかったようだ。ちなみに前々から笑いは時折堪えていました。
「(い、いけない、つい吹き出してしまったわ…! 凪や理乃先輩がいたらもう絶対にお腹抱えて笑っていそうな…!)こほん。い、一秒じゃ短いわね。聞き流すにしてももっと時間がかかるわよね? 一生覚えておいてね?」
『わかったー!』
(だ、台本にはありませんが、こうしておいた方がいいですわね…。うぅ、穴があったら入りたい…。)
台本にはない台詞だが、何とかアドリブでうまく乗せられたようだ。
「はい、じゃあチュータくん、今からお姉さんと給食を食べている時に地震と家事が同時に起きたっていう防災訓練をしましょうか。ねっ?」
どうやら次は状況を想定した防災訓練を行うようだ。
「よし、じゃあ…あ、給食を食べる前に言う事があるわよね?」
『いただきまーす!』
「そう、よくできました。モグモグ。おいしい?」
『おいしーい!』
「はい、食べ終わりました! 食べ終わった後は?」
『煙草を吸うー!』
ここで氷海はまた軽く吹き出し、セシルは顔面を覆った。あぁ、もう恥ずかしくて申し訳ないのね。
「(い、いけない、また吹き出してしまったわ…! なんかうまい具合にコント芸みたくなっててもう…!)こほん。煙草吸っちゃ駄目よ! 何食後の一服決め込んでいるの!? 駄目よ! ごちそうさまでしょう!? もう…。」
どうやら氷海はこのコント芸が何気に楽しくなってきたようだ。セシルは逆に申し訳なさで顔を俯けたまま台本を睨みつけていた。
- アンジャッシュパロ その二 ( No.458 )
- 日時: 2015/08/29 23:38
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /f6cMoTi)
「(何だかツッコミも楽しいわね…。)はい、給食の時間が終わりました。」
(こ、ここで非常ベルの音を…!)
セシルがサンプラを操作したと同時に、アンプから非常ベルの音が鳴り響いた。どうやら今度はうまくいかせる事ができたようだ。
「あら? 何かしら? えっ? 地震により給食室より火災発生!?」
狼狽えた演技をした氷海は、パステルくん人形に目を移した。
「チュータくん、地震と火事が同時に起きたわ! こういう時はまず119番通報しましょうね。」
そう言って氷海は何かを掴もうとするが、その手が止まる。
(あ…! で、電話を忘れたわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!)
そう、ここで電話機を使って119番する演技をするはずだったのだが、肝心の電話機をどこかに置いてきてしまったのだ!
どこだろうと探すが、それはすぐに見つかる。
(せ、セシルのサンプラの横おぉぉぉぉっ!!)
そう、あろう事か、セシルのいる臨時に作られた舞台袖に置いてきたのだ! 一緒に持ってこようとしていたが、それを完全に抜かしていたようだ。
「あ、あれ? 電話が置いてあるはずなんだけど…。(まずいわ…! セシル、気付いて…!)」
どうやら何か間を埋めて、セシルに気付いて取ってもらおうと考えた氷海は、アドリブで演技を入れる。
「チュータくん、電話がないと、119番通報できないわ。電話がないと進まないわ、これ。(セシル…!)」
(え? 電話がないとって台本に…あ。)
丁度電話がある場所の近くに置いておいた台本を見ようとしたセシルが、氷海の意図に気付いた。
そう、ここに電話がある事を知らせ、何とか取ってもらおうと考えた末のアドリブだった、と。
(ま、まずいですわ…! あっ!)
セシルは何を思ったか、擬人化を解いていつものローブをまとった犬の姿になった。そして、素早く何故か近くにあったリリィの新衣装(クエストの奴)に着替える。
着替え終わるとすぐに、電話を持って飛び出した。
「メラメラメラー。わたくしは火の妖精ー。メラメラメラー。」
「」
突然の登場の仕方に、氷海は唖然。
いや、無理もない。姉のように思う同居人がいきなり非擬人化状態で義妹の新衣装を着て不可解な事をかなりの棒読みで発しながら電話をコトリと置いていったのだから。
ちなみに、セシルは電話を置くとすぐに舞台袖に帰って行った。
「(せ、セシル…もっとましな届け方なかったの…?)ひ、火の妖精さんが電話を持ってきてくれたわー。」
氷海、突然の事にどうしていいかわからず若干棒読みです。ちなみにこの間ずっと子供達は爆笑してました。
「こんなの奇跡よ!? 絶対ないわよ普段! 絶対ないわよ!」
もう本当にどうしていいか分からず狼狽える氷海だが、演技は続けなければならない。少し溜息をつきつつ、119番通報をする演技をした。
「119、っと。…もしもし! ん? 火事ですか? 救急ですか? チュータくん、火事ですか救急ですかですって!」
『チュータくんだよー!』
「うん、名前はいいわ。それよりも伝えなきゃいけない事があるから。火事です! はい! えっ? 火事の原因は何ですか? チュータくん、火事の原因は?」
『氷海お姉さん!』
「氷海お姉さんじゃないわよね? 私が放火したみたいになっちゃうわ。それに私氷属性だから炎属性は弱点よ?」
(氷海、そこ突っ込むところではありませんわ。)
氷海のどこかずれたツッコミはさておき、さらに続ける。いや、続けるしかない。この笑い声が響き渡る中で。
「地震により給食室から火が出ました! はい、すぐ来てください! はい!」
ここで氷海は電話を置き、パステルくん人形を見た。
「とにかくチュータくん、落ち着いた方がいいのよね? 火事と地震が同時に起こったのだから…あ、頭に被る物があったわよね?」
『油ー!』
「油被っちゃ駄目!! より一層強く燃え盛ってしまうわよね今油被ったら! 違うでしょ!? チュータくんが普段お尻の下に敷いてあるものよね?」
『氷海お姉さん!』
「氷海お姉さんじゃないわよ! いえ寧ろパステルくんに敷かれるなら本望! できれば烈の尻にも敷かれたいわ!」
(何を言っているの氷海!?)
次々とやらかすセシルだが、それ以上に氷海のキャラ崩壊の方が恐ろしかった。だが、それを気にしてはいられない。おい、もしかしてこの辺りは氷海のキャラ崩壊で気が気じゃなくなったか、セシル…。
「とと、じゃなくて…。お姉さん凄い虐められている意味じゃないそれは! 違うでしょ! 防災頭巾でしょ! で、揺れが激しいから机の下に隠れるのよね?」
『一生!』
「一生じゃない! 嫌よ一生机の下にいる人生なんて! 一生じゃないでしょ!?」
『一秒!』
「一秒じゃ短いわ! 入って出てガンッ! よそれじゃあ! 意味ないでしょ!? 揺れが収まるまででしょ!?」
なんか例えがわからないが、恐らくすぐに入ってすぐに出てそしてすぐに落ちてきた物に当たると言いたいのだろうか。
- アンジャッシュパロ その二 ( No.459 )
- 日時: 2015/08/29 23:46
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /f6cMoTi)
「よし、チュータくん、落ち着いて逃げましょう!」
まぁ、ひと悶着と大爆笑が響く中だが、話は続けるようだ。
「あっ、チュータくんチュータくん、あそこで倒れて動けなくなってる女の子がいるわよ!」
『いただきまーす!』
この音声が響いたと同時に、会場が静まり返った。あぁ、何人かはこう察してしまったのだろうな。R18的な意味でのいただきます、と。
「いただきますじゃないでしょう。物凄く厭らしい意味になってしまうわそれだと。」
あ、氷海がトドメを刺した。まぁ、そうでなくとも、人間を食べるネズミとしての意味合いでも理解してしまった子もいるであろう。
「いただきますじゃないでしょう! 女の子が倒れているのよ!?」
『興奮しちゃうー!』
「(せ、セシル、さっきのとこれはかなりまずいわ!!)興奮するじゃないわよ! 大人に声をかけるんでしょこんな時は!?」
(あぁ、パステルくん、ごめんなさい。わたくし、とんでもない事をやらかしてしまったようですわ…。)
セシルにもこの後のパステルくんが受ける何かを感じ取ったのか、心の中で全力で謝罪をした。
「チュータくん、今度はあっちに慌てて走ったものだから思いっきり転んで顔面を打ってしまった男の子がいるわ!」
『おいしーい!』
「おいしいじゃないわ! 芸人さんじゃないんだから! いやなんかこのやり取り芸人さんみたいだけど! 転んでおいしいとかじゃないでしょ!?」
ここで先程の一件を忘れるかのように笑いが沸き起こった。
「…はぁ…。い、以上です!」
どうやらここで防災キャンペーンは終わりのようだ。
「チュータくん、チュータくんがこんなんじゃ…もうみんな笑ってるじゃない、私達の事。」
『おいしーい!』
「おいしくないわ!」
最後に氷海のツッコミが響き渡ってから、その場は解散となったとさ。
■
おまけ
「ねー、セシルー。」
あの防災キャンペーンから一夜明け、パステルくんはセシルに声をかけた。
「どうかしましたの? パステルくん。」
「んと、昨日頼んだ防災キャンペーンで何かあったの?」
「えっ? 何かって?」
パステルくんが言いたい意図が分からず、首を傾げるセシル。
「あのね、今朝からずっと、小さな子供達から避けられている気がするの…。」
「!!」
そのパステルくんの一言で固まるセシル。ああ、わかってしまったのですね。その原因が何か。
「それに、氷海もずっと部屋のベッドの上でゴロゴロ転がってるし…。」
(あぁ、冷静になった途端に恥ずかしくなったのですね、氷海…。)
昨日反省の為に一人で眠ったセシルは氷海の状況がわからなかったので、パステルくんから話を聞いた瞬間、理解できてしまったようだ。
冷静になってみると、かなり凄い事を発言していたものね…。
「ひ、氷海の事は詮索しない方がいいですわ。…それから…ごめんなさいっ!!」
「えっ? ど、どうしたのセシル!?」
「…じ、実は…。」
そしてセシルは昨日あった事をすべて、余す事無く話した。
その後、全力謝罪するセシルにパステルくんは何も言えなかったそうな。
- アンジャッシュパロ その二 後書き ( No.460 )
- 日時: 2015/08/29 23:51
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: /f6cMoTi)
後書き de 雑談
私
—今度はキュータ君ネタでパロディやってみた。機会があれば他のギャグ系の何かでパロディやってみたいな。
昴
「目下?」
私
—アンジャッシュパロ第三弾としてヒーローショー。それを、元含む正教騎士団三銃士と法王殿下と皇帝陛下でお届け。ヒーロー役は誰かお察し。
昴
「あいつしかいねぇだろうがツッコミは。」
私
—これか、料理対決ラピストリア組の導入を上げるのが先になるかはまだわからないけど、まぁ、気長にお待ち下さい。…スマホを変えてからテンキーがなくなった分打ちづらいから中々書けないんだよね…。
昴
「ぶーたれるな。じゃあ、この辺で。またなー。」
★
感想OK