二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 実食 一番&二番 ( No.490 )
- 日時: 2015/09/15 20:49
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0JVd9KgH)
採点方法
六段階評価を下す。内訳は以下の通り。
五、いい意味で何をしたらこうなったか教えてほしい。貴方、もう店を開いた方がいいよ。
四、まだまだレシピ寄りだけど、ちゃんと遊び心はあるのがわかる。店レベルにはもう一歩。
三、完全にレシピ見て作りましたレベル。次はアレンジに挑戦してみよう。
二、レシピに沿ったのはわかるけどちょっと失敗が目立つ。高評価から聞いたりして修行をしよう。
一、反省してるし、改善しようとしているのはわかるレベル。まずは高評価のメンバーの簡単なお手伝いから始めましょう。
零、ポッパーの皆さんや貴方を持ちキャラにしている人全員に私と一緒に土 下 座 で 謝 罪 し や が れ 。
±要素
・+…あともう一歩で上位のレベルに上がれるくらいにおしい品。五+は五段階評価じゃ足りません。
・無印…妥当なレベル。惜しい部分もなければ、マイナス要素も特になし。
・−…ミスが多いのでお情けでこの評価に。零−? もう知らん。
お題:『パンにあうもの』
普通の料理でもスープでもジャムでも、パンに合えばok。
ただし、パンは理乃と由梨が作ったパンに固定する。
トーストさせたり挟んだりと、簡単な調理をさせる物や、パンに塗る物もok。要するにパンに自分達での細工は許可しないが、審査員に簡単な調理をさせる物は許可。
※注意
・既製品やレトルトは許可。しかし、既製品をそのまま料理として出したり、温めるだけで出すのは不可。材料を何か加えるなり焦げ目をつけるなりする事。
・ガイストのアンドゥで一発でバレるので、不正は行えないものと思え。
役割
固定審査員:
昴、パステルくん、ジョーカー、にゃぐわ、MZD
変動審査員兼挑戦者:
烈、風雅、氷海、鈴花、茜、大牙、タクト、ミチル、ニコラ、イオ、ロア、トア、桐生、美結、弓弦、乱麻、ラーズ、ヴァイス、まどか、ジェイド、ジェダイト、ファントム、エクリプス、ヴォルフガング、ハーピア、ゼルハルト、ラズリ、翠里
救援:
黒、紅、アイギス、ガイスト、風花
材料・成分分析:
ガイスト、アイギス
通信:
風花
医療班:
冷一、クマ、理乃、由梨、ユウ、アニエス、ホーリー、ヴィクター、ニコライ+α
昴
「いつも通りだが、医療班に+αがついたんたが。」
私
—今回も来たからね、救援。
- 実食 一番&二番 ( No.491 )
- 日時: 2015/09/15 21:00
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0JVd9KgH)
「ふぅっ、これだけ作れば大丈夫かな?」
「だな。ロールパンにコッペパンにナンに食パン。もうこれもしかしたら打ち上げでもやれるんじゃないかってくらいな量だよな。」
挑戦者一同の調理が完了したのと同時刻。調理室から離れた所で別動隊の理乃と由梨、それともう一人が昴に出してもらった石窯を使ってパンを焼きあげていた。
どうやらかなりの種類があり、更に量も多いので打ち上げでも使えそうだ。
「休日なのに悪かったわね、セネル。ごめんね、無理矢理叩き起こして。」
「いや、前もって連絡貰ってたのにいつものように寝過ごしたこっちも悪いし、お相子だよ。」
理乃はそう言って、横にいたもう一人の手伝いに来てくれた青年に礼を述べた。
彼はテイルズオブレジェンディア(TOL)主人公であるマリントルーパーのセネル・クーリッジ。どうやらパンを焼くという事で手伝いに来てくれていたようだ。彼らの世界の料理、全部パンだったものね。
ちなみに、セネルの生業としているマリントルーパーというのは、魔物や犯罪者を取り締まって人々を守る沿岸警備隊の事であり、現代でいうならば海上自衛隊のようなものだろうか。
「今度は死人が出ないといいな。」
「ええ、そうね。」
「なぁ、理乃、由梨。料理だけで死人が出るっておかしくないか? しかも毒物以外で。」
料理対決の概要をちらりと聞いていたのか、セネルは疑問符を浮かべて死んだ顔をした由梨と理乃に聞いた。
「…お前の知ってる奴の中で一人、料理の腕が落ちて生物を作り上げた奴がいるんだ。それで理乃が犠牲になった。ついでに言うとアタシの新しい弟子もそれで死んだ。いや生きてるけど。」
「…実際に目の前にしたら多分卒倒するな、俺。」
「ええ、多分卒倒するわ。」
未だに死んだ顔をしながら、理乃は遠い目を浮かべ、由梨もそれに続く。セネルはこれ以上、何も言わない方がいいと直感した。
■
同じ頃、事務室で待機していたDTOは大きなあくびをしていた。
「ふあぁ…。ったく、昴さんも何でこんな所に一人残すんだよ。『重要な任務』って何だし。」
差し入れられたシュークリームをがつがつと食べながら、そうぼやくDTO。その手にはアニエスから預けられた特殊なペンダントがある。ちなみに、パンを作っている理乃と、保健室にいるアニエス、そして食堂にいる昴が現在、これの欠片を持っていた。理由はもちろん、通信機能だ。
「誰か来たらこれに念じて通信しろって…。こんな日曜に誰も来るわけ」
「あのー、すみませーん。」
期待しないで待っていたら、急に事務所の所にある小窓から誰かが顔を覗かせていた。
「んぁ? えーっと、はいよー。」
突然の来客に驚くDTOは一瞬間抜けな声を出すが、すぐに対応する。
そこにいたのは、三人の男女。
一人はちょび髭と片目が隠れるくらいまで伸ばされた髪に鍔付きの帽子が特徴の男。
一人は二十代くらいの女性。
一人は童顔で茶髪な男。
「…えーっと、どちらさま?」
『ん? 救援が来たのか、先生。』
「うおわぁっ!」
突然、持っていたペンダントが光だし、昴の顔を映し出し、声を届ける。
「び、びっくりした…。あぁ、三人程来てる。」
『おっ、Haruさんの所のディミトリーとユマさん、それに0の地平線さんの所のグリフォンも。』
「お邪魔してまーす!」
三人を代表し、二十代くらいの女性—ユマが答えると、横に控えていた帽子の男—ディミトリーが深々とお辞儀をした。
「また料理対決をやると風の噂で聞きつけたのでな。私からは回復薬とティーセットを差し入れておく。このまま医療班の手伝いをしようと思うのだが。」
「私もこのまま医療班に回る。場所まで案内してもらっていいかな?」
「オレからはリバースドールを固定審査員と変動審査員に一体ずつと、それからうちのバハムートが作った戦闘不能以外なら全回復する漢方を差し入れするよー! あ、オレはこれ届けたら帰るね。」
『ああ、ありがとうな、みんな。アニエ…いや、ユウに連絡して…あれ? グリフォン、何かやつれてねぇ?』
アニエスに道案内を頼もうとしたが彼女の絶望的な方向音痴のせいで絶対に遭難しそうなので、ユウに案内を頼もうとしたが、様子のおかしいグリフォンを見て昴は首を傾げた。
確かに言われた通り、少しやつれている感じがする。どこか疲れの色も見えている。
「いや、実はさー…。このバハムートの薬じゃなくて、某財団収容中の…二時間後にはきっかりと全回復させる万能薬を差し入れようとしたんだけど…。」
「某財団?」
ディミトリーは首を傾げてグリフォンに聞く。そのグリフォンは大きく落胆していた。
「ちょっと特殊な事例の生物とか色々を収容する財団。昴さんは知ってる?」
『友人にそれ系のに詳しいのがいるから嫌という程わかってる。あぁ、話が読めた。お前、その財団からその万能薬を譲り受けようとしたけど、逆に自分が収容されそうになったんだろ…。』
「正解…。必死で逃げてきました…。」
簡単に説明するならば、グリフォンのような幻獣やら特殊な物品、場所や概念やらを収容しておく為の組織のようだ。友人曰く、都市伝説のようなものも収容されているらしい。
「この世界についてから追ってこなくなったけど、もー死ぬかと思った…。」
『(グリフォンは今は擬人化してるとはいえ元はリフレクの幻獣だし、しつこく追ってきそうなものだけど…あ、もしかしてあいつが某財団の記憶に干渉したのかな?)その、大変だったな…。少し休んでっていいから。じゃあ、ユマさんとディミトリーはもうじきユウが来るからそいつについて行ってく』
「え? あの裸族番長が来るの? やっぱ全裸? それともうちでやったハーフ&ハーフ?」
『ユマさん、期待に満ちた声でワクワクするな。それから、そっちの悠じゃなくて新しく入ったブレイブリー組のユウ・ゼネオルシアの方。名前だけじゃなくて中の人も一緒(※ユウも悠も同じ浪川大輔さん)だけど裸族番長と違って純粋組だから変な話は絶対にしないでくれよ? したら親友が黙っちゃいないと思うから。』
期待に満ちたユマだったが、すぐに同名の別人であると知り、しょんぼりと項垂れた。
ちなみにユマの言うハーフ&ハーフは、彼女の作品である『笑ってはいけないお屋敷24時』を参照してほしい。本当にハーフ&ハーフです。
- 実食 一番 ( No.492 )
- 日時: 2015/09/15 21:11
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: g9MFapnu)
救援の道案内が終わり、くじ引きも終わって一息ついている間に、一番目の準備が整ったと風花から通信が来た。
「んじゃ、一番、入ってこい。」
扉が開かれ、入ってきたのは、ピンク色の髪が特徴的な少年だった。
「やっほー、昴さん! みんなのアイドルMesiAのミチルこと、佐倉満流だよー!」
「一発目から濃いのが入ってきたなおい。」
敬礼のようなポーズをしながら笑顔を浮かべて入ってくるミチルに、昴は思わずそう言ってしまった。
アイドルにはいい思い出がない昴なので、ちょっとアイドルという職業に嫌悪感を抱きかけているようだ。理由? 某辛党アイドルでお察し。
「もー、酷いなー。濃いだなんて。」
「悪い、アイドルはちょっと苦手なんだ。ああ、お前の同業者であるあのサーチャーのせいで。」
「うん、色々聞いてる。ボクも料理は全然できないけど、あれは本気でないと思った。」
どうやら同じアイドルとしてミチルも彼女の噂を色々と聞いているようだ。ん? ミチルは料理が苦手なのか。
「ミチル、料理は苦手なんだ。」
「あはは、恥ずかしいけどちょっとね…。料理本とか見ながら頑張ったけど、ドジって焦げちゃったりしてさ…。」
「まぁ、反省するならば大丈夫だよ、あの馬鹿よりは。取ってくる。」
昴はミチルにそう慰めの言葉をかけてから、料理を取りに行った。
「…始まるな。地獄と隣り合わせの料理対決が。」
「はい、始まりまるであります。地獄と隣り合わせの料理対決が。」
「ガイスト、アイギス、始まる前からそんな物々しい雰囲気を出さないでくれ。」
いきなり真剣な目になるガイストとアイギスに、ジョーカーは思わず突っ込んでしまった。
「まぁ、特にガイストは初めてだしな…。」
いつものように蓋つきのお盆を持ってきた昴は、それを置いた。
「さて、ミチル。心の準備はいいか?」
「…少し、怖いけど…いいよ。」
ミチルがそういうと、昴は一思いに蓋を開けた。
中身を見た瞬間、全員絶句した。その理由は…。
「…これは俺達に死ねというメッセージか?」
皿に盛られた七つの料理。それが、目の前に映る。
ん? 確か準備回の時は”六品”必要だったんじゃないかって? ご心配なく。ジェイドが裏でMZDには内緒で彼を勝手に審査員として頭数に入れ、その旨を全員にメール等使ってやり取りしたので全員知っている為、きちんと全員七人分用意してある。
さて、本題に戻ろう。どうやら今回は赤いトマトソースがかかったハンバーグのようだ。ここまではいい。問題は次だ。
…なんと、ハンバーグの中心に、恐らく無残に折れた包丁の刃先がズドンと突き刺さっていたのだー! それだけではない。辺りには瓦礫のようなものが見える…。
「葉月以上のトラブルだなおい。」
「確か誰か調理室破壊しなかった?」
「…。」
苦い顔を浮かべるリフレクの二匹に、ガイストは苦い顔を浮かべた。
「この料理は…破壊した方だろう。壊れた調理台周辺に、ひき肉が散らばっていたからな。」
「どう考えても嫌な予感しかしないが、ガイスト、俺が今から時間を動かすから、この中の一つにアンドゥ頼む。」
「承知した。」
昴はいつものように、アワーグラスを持って時間を進めようとしたが…。
「あれ?」
なんと、アワーグラスの形状が変わっているのだ。
以前までのは普通の懐中時計だったはずだが、今回はそれに蔦が巻き付いており、更に羽のようなモチーフの何かもある。
『あぁ、そうでした。すみません、昴さん。今回から勝手ながら、アワーグラスを改良した物を使用させていただきました。』
アニエスのペンダントが光り、理乃の顔を映す。風の声を聞き、昴が戸惑っている事を知って連絡してきたのだろう。
「何か形状少し変わっているけど、どこかいじったのか?」
『ええ、全体的に効力を高めました。あの番外編五番の悲劇を受け、八雲さんのギアライト、りゅーとさんの工学組が送ってきてくださったうちでいうアワーグラスの資料。それを参考に様々な試行錯誤を重ね、ついに完成した…アワーグラスγ(ガンマ)です!』
並々ならぬ努力があったのだろう、理乃の言葉に熱がこもっていた。
『これさえあれば、中ボスはおろか、ラスボス、ひいては隠しボスや裏ボスの時間もこちらが操作しない限り、永続的に止める事が可能です! 一度スタン達の世界に行き、あのうっさい青わかめで実験したら止まってましたし、ユウさんに協力を願い、あのいつでも会える裏ボスに実験しても止まっていたので、問題はないはずです! ただ、消耗品なのがたまにキズですが。』
「ついにテイルズがヌルゲーになる時が来たな。つかあいつも止まったのかよ。あんなに苦戦した隠しボス攻略が簡単になるじゃねぇか。あと消耗品じゃなくそうとするな。」
ネタバレになるから詳しい事は割愛するが、理乃の言っていた裏ボスはかなり強敵である。個人的にも攻略サイトや攻略本での対策をまんましていきました。多分そうじゃないと勝てないくらい強いですはい。
しかもその裏ボスの正体が…うん、驚きしかない。あ、ネタバレは厳禁で。
さて、本題に戻ろう。昴はアワーグラスγを操作し、時間を動かす。一応、香りはいいと思う。ただ辺りに瓦礫を散らせてる時点で食うには危ない事が見て取れる。
「どう考えても危なさそうなのが入っているが…【アンドゥ】。」
ガイストが手を翳してそう呟くと、淡い緑の光が料理を包む。
光が治まるとすぐに、ひき肉、塩、コショウ、トマトソースの缶詰、そして大量の瓦礫と一本の包丁が現れた。缶詰があるという事は、これのみ即席の物を使ったのだろうか? まさか…。
「おい、缶詰ってまさか…これも入ってるのか?」
「否、私は即席のものであるか否かを確かめられる程度に、巻き戻したのだ。缶詰の状態にまで、な。」
缶詰を見るなりMZDが苦い顔をすると、ガイストが即座に否定した。
「恐らく、缶自体は捨てただろうが、それがここに現れて元通りにあるなんてな…。アンドゥって、遠くのものにまで作用するのか…。」
「とにかく、缶詰とソースが一緒になってるって事は、この中には缶詰は入ってないって事か。」
MZDが何かを呟くと、昴は話をまとめた。
「…風花。伝言は預かってるか?」
『はい、預かっています。えっと、どうやらソースのみ即席の物を使ったようです。それから、“自分は野外の料理なら手馴れているが、中でこうこまごまとしたものを作るのが苦手で、気合を入れていたりだとかをしていると能力が暴発してしまう”そうです。恐らく今回の調理室破壊も…。』
どうやら気合が入りすぎて能力が暴発してしまったらしい。
『謝罪文もありましたし、一応は反省しているみたいです。』
「にゃぐ…。」
『ふむ、後で絶対妹に蹴られるし義弟から無視されるだろうから今は許してやってくれ、だそうだ。』
この悲惨な料理を作った人物が即座に分かったのか、にゃぐわはそう弁解する。その言葉で、知っていたガイスト以外も納得した。
「…とりあえず、無事な部分だけ食うか。」
「何か一発目からパンだけ食べたくなる料理だよね…。いただきまーす…。」
気乗りしない様子で、全員食べ始める。
肉は結構ジューシーで、溢れ出る肉汁がおいしいのだが…。
「いでぇっ! 瓦礫に刺さった…。」
「あいたっ! 包丁の欠片が…。」
「うぅ、ごめん、これ以上は多分食べられない…。」
瓦礫に確実に当たり、全員四分の一も食べずに残してしまい、途中からパンしか食べなくなったそうな。それはそうだ。
☆
総評:一
昴:評価…一
手加減できずに能力暴発かよ…。野外で作るのに自信があるなら次からそうしてくれ。
あ、鈴花が手加減なしにKOKANを蹴りまくるにショートケーキな。
パステルくん:評価…一
能力の暴発なんて氷海や風雅でもやらないよ…。危険だから食べられない。
鈴花が段ボールに「ひろってください」と書いて一番と一緒にどっかに放置して家から追い出すにモンブラン。
にゃぐわ:評価…一
もうオイラでも弁解は無理だニャ…。あぁ、後で鈴花ちゃんに殺されるフラグだニャ…。
ローズは一週間どころか一生無視するに高級猫缶だニャ。
ジョーカー:評価…一
風雅や葉月のトラブルは許せるのに何故こやつのは許せないのだろうか。
ローズが一生一番を兄として慕わないに酒のつまみ。
MZD:評価…一
まぁ、まだあのクトゥルフよりはましか…。
妹も義弟も無視し続けるに昴の飯。
ミチル:評価…一
これもう料理じゃない。ただの瓦礫…。
鈴花ちゃんもローズ君も彼の事を「クソ一番」と呼ぶに甘いもの!
- 実食 二番 ( No.493 )
- 日時: 2015/09/15 21:19
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 31h36AqE)
ガイストの力で傷をなかった事にしてもらい、不服そうなミチルを見送り、次にやって来たのはポニーテールともふもふが特徴の狼、ヴォルフガングだった。
「ヴォルフ、次はお前か。なぁ、ひとつ聞きたいけど、籤引いた瞬間どうなった?」
「唐突だな。影に渡された箱のボールを持った瞬間、いきなり転移されたようで、目を覚ますと私は温室にいた。そこにいた影から、その場で待機しているよう指示された。」
(ヴォルフは携帯とか使えないから直接伝えに来たんのか、影。)
とにかく、条件的には第四回と同じようだ。影もやはりお楽しみ要素をいれたくて、こうしたのだろう。
「しかし、何故料理をできない輩も強制的にやらなければならぬのだ…。」
「ヴォルフも苦手…だよな。」
昴が聞くと、ヴォルフガングは苦々しそうな顔をした。
「人ではない輩で料理ができるのは、そこの猫と鼠、あとはあの黒猫赤目ウェイターくらいだろう。」
「あぁ、確かにあの人なら料理は得意そうだよな。とってくる。」
ヴォルフガングの言うウェイターはアルビレオの事だろう。確かに彼ならば納得だと昴も頷きつつ、そのまま次の料理を取りに行った。
「さて、今回は何連続ハズレが来るかなー。」
「過去は二回連続のハズレだったか。烈達以外料理の腕が読めぬから先が不安だ…。」
パステルくんが遠い目を浮かべると、ジョーカーも不安そうに遠くを見る。
そう、今回は挑戦者の殆どが初挑戦の人達ばかりで、料理の腕前が読めない中でこの大会は始まっている。つまり、何人下手なのか、何人あのクトゥルフを産み出すのか想像もつかない。不安になるのも無理はなかった。もっとも、クトゥルフなど皆無である方が良いに決まっているのだが。
「…ジョーカー、パステルくん、みんな不安なんだ。腹括って覚悟しとけ、としか言えない。」
そんな折り、昴が戻ってきた。手に、いつものように蓋のついたお盆を持って。
「ヴォルフ、ガイスト、覚悟はできたか?」
「料理で何故覚悟をするかは理解に苦しむが、覚悟はできた。」
「ヴォルフと同じ思いだが、あの映像を見た後だともう腹を括るしかあるまいと悟っている。昴、準備ができ次第、開けてくれ。」
初参戦のガイストとヴォルフガングが頷き合うと、昴も頷き、パステルくん達に視線を合わせると、すぐに頷いてくれた。
「それっ!」
一思いに蓋を開けると、出てきたのは…。
「」
何か黒いソースがかかった、謎の物体。ええ、四角い形状はわかりますがな ん だ こ れ 。
『…危険そうな代物だが、クトゥルフではなさそうだ。』
「…今度は何が出てくるのやら…。」
ガイストは紅の言葉にやれやれと溜息をついた。
嫌な予感はぬぐえないものの、食べないと始まらない。昴は観念してアワーグラスγを動かした。
甘ったるい臭いが、すぐに鼻孔をくすぐった。だがどう考えても嫌な予感しかしない。
「…【アンドゥ】。」
ガイストが手を翳し、淡い緑色の光が料理を包む。
そして出てきたものは…。
「」
チョコレート、瓶に入ったブルーベリー・イチゴジャムとオレンジマーマレード、メープルシロップの入った瓶、チーズ、それから…カロ○ーメイト。更には何故か湯葉まであるし…。
「昴殿、今ちょっと切ってみたが、どうやらこれはプレーン味の○ロリーメイトにチーズを巻き、更にメープルシロップをかけ、ジャム類を混ぜてかけた後、春巻きの用法で湯葉を用いて包み、その上にチョコソースをかけたのだろう。ジャム類が混ぜられて紫色を帯びているのだが。」
「ジョーカー、詳しい解説ありがとう。」
嫌そうな顔をしてジョーカーからの解説を聞く。そして、風花に伝言の類いを預かっていないか聞いた。
『はい、預かっています。“仕事柄、張り込みや尾行とかであんパンと牛乳代わりにカロリーメ○トのプレーン味を愛用食としているっすが、いつも同じ味だと飽きるので、どうせなら全部の味をつけてみた”そうです。“うまく包めないから湯葉を使い、その上からチョコソースをかけた”そうです。“できればコッペパンに挟んで食べてほしいのと、いつかこれを相棒になる人に食べさせたいっす”と書いてありました。』
「警察の関係者なんかいないはずなんだけどな…。」
尾行や張り込みと来れば、警察の仕事だと考えたMZDだが、昴は首を横に振った。
「確かにそっちが思いがちだが、もうひとつあるだろ。警察と同じように捜査をする職業…。それを今やっている奴をお前も見ているはずだ。どうやらそいつの相棒に収まろうとしてるらしい…。」
「あぁ、わかった。確かにもうひとつあったか。…探偵が。」
昴の説明に、全員納得の色を見せ、同時に死んだ目を浮かべた。
「…探偵ならいるな。一人。」
「にゃぐー…。」
『これを作った奴、絶対味見をしていないとにゃぐわが言っている。…恐らく絶対味見をしたりはしていないだろう。』
「今確認されているカロリー○イトの味をまとめようとすんなし…。」
私自身が現在確認した味をすべて纏めたカロリーメイ○の味はもちろん…。
「不味い。」
「パンにも合わないし…。」
色々な味が混ざって不味い上に、パンにもあっていないのでアウトだ。既製品の形状はある意味変わっているのでセーフだろうが、不味さ的にアウトだ。
「これはもう絶望的な不味さだな…。風花、手紙の内容はあれで全部か? できれば謝罪文があってほしいのだが。」
『えっと、ちょっと見てみますね。…あ、手紙に続きがありました。“あの人の相棒は自分が相応しいっす! あの胸がでかいだけのチビッ子や曲が貰えなかったヒョロヒョロモヤシに負けたくないっす!”と…。』
(あ、これ二番死んだな。)
この後、二番がどうなったかは…お察し下さい。
☆
総評:一−
昴:評価…一−
何故混ぜた。
パステルくん:評価…一−
何で混ぜたの…。
にゃぐわ:評価…一−
何で混ぜたニャ。
ジョーカー:評価…一−
何故混ぜた。
MZD:評価…一−
何で混ぜたんだよ…。
ヴォルフガング:評価…一−
何故混ぜた。
■
今日はここまで。ではヒント。
一番:調理室をぶっ壊した兄貴。確実に妹に蹴られ、義弟に無視されます。にゃぐわも弁解できません。
二番:とある探偵の相棒に収まろうとしている自称探偵。カロリ○メイトを愛用しているのはわかったが何故纏めた。手紙にも余計な一言多いし…。
- 実食 一番&二番 後書き ( No.494 )
- 日時: 2015/09/15 21:23
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: 0JVd9KgH)
後書き de 雑談
私
—いつものように、試食は自己責任でお願いします。何があっても責任は一切負いませんですはい。
風花
「今回はただ不味いのと瓦礫だったから大丈夫でしょうが…。」
MZD
「いや、ただ不味いのも瓦礫も相当だからな? あのクトゥルフを基準として考えるなよ。」
昴
「色々な世界のクトゥルフを味わってくれば、きっといい具合に感覚狂うぞ。見るだけでもかなり狂うんだからさ。」
MZD
「むっちゃいい笑顔でそんな怖い事言うなし!」
私
—クトゥルフ料理の始まりが言うのも何だけど、最近クトゥルフが溢れかえって、どんなに不味い料理でもクトゥルフよりはましだって思えるようになったのよね。そう思う人、挙手。
MZD
「…お前も書いてていい具合に感覚狂ってんな。」
私
—言 う な 。さて、話題もないから終わらせるか。
昴
「またなー。」
★
感想ok