二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 実食 九番&十番 ( No.629 )
- 日時: 2015/11/23 20:23
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: BuoUCzPG)
採点方法
七段階評価を下す。内訳は以下の通り。
五:いい意味で何をしたらこうなったか教えてほしい。貴方、もう店を開いた方がいいよ。
四:まだまだレシピ寄りだけど、ちゃんと遊び心はあるのがわかる。店レベルにはもう一歩。
三:完全にレシピ見て作りましたレベル。次はアレンジに挑戦してみよう。
二:レシピに沿ったのはわかるけどちょっと失敗が目立つ。高評価から聞いたりして修行をしよう。
一:反省してるし、改善しようとしているのはわかるレベル。まずは高評価のメンバーの簡単なお手伝いから始めましょう。
零:ポッパーの皆さんや貴方を持ちキャラにしている人全員に私と一緒に土 下 座 で 謝 罪 し や が れ 。
空欄:うん、頑張りは認める。むしろこっちがこんな下らない対決に誘ってごめんなさい。
±要素
・+…あともう一歩で上位のレベルに上がれるくらいにおしい品。五+は五段階評価じゃ足りません。
・無印…妥当なレベル。惜しい部分もなければ、マイナス要素も特になし。
・−…ミスが多いのでお情けでこの評価に。零−? もう知らん。
お題:『パンに合うもの』
普通の料理でもスープでもジャムでも、パンに合えばok。
ただし、パンは理乃と由梨が作ったパンに固定する。
トーストさせたり挟んだりと、簡単な調理をさせる物や、パンに塗る物もok。要するにパンに自分達での細工は許可しないが、審査員に簡単な調理をさせる物は許可。
※注意
・既製品やレトルトは許可。しかし、既製品をそのまま料理として出したり、温めるだけで出すのは不可。材料を何か加えるなり焦げ目をつけるなりする事。
・ガイストのアンドゥで一発でバレるので、不正は行えないものと思え。
役割
固定審査員:
昴、パステルくん、ジョーカー、にゃぐわ、MZD
変動審査員兼挑戦者:
烈、風雅、氷海、鈴花、茜、大牙、タクト、ミチル、ニコラ、イオ、ロア、トア、桐生、美結、弓弦、乱麻、ラーズ、ヴァイス、まどか、ジェイド、ジェダイト、ファントム、エクリプス、ヴォルフガング、ハーピア、ゼルハルト、ラズリ、翠里
救援:
黒、紅、アイギス、ガイスト、風花
材料・成分分析:
ガイスト、アイギス
通信:
風花
医療班:
冷一、クマ、理乃、由梨、ユウ、アニエス、ホーリー、ヴィクター、ニコライ
ユマ(YUMAさんから)
ディミトリー、青年トゥーン、レイトン(Haruさんから)
ヴァイス、風雅、パステルくん、美結(りゅーとさんから)
チョッパー(Ehさんから)
ディアブロ、G.S、エルフィ、ノア(ユウカロードさんから)
留衣、零寿(暁桜さんから)
+α
昴
「いやー、前回は散々だったわねー♪」
私
—ごめん、返り血浴びた服で言わないで。怖い。
昴
「つか、新しい評価が増えたな。あと医療班。増えすぎだろおい。」
私
—頑張りは認めるってどう考えてもあの人じゃないか…? あと戦闘班も合算してるから無理ない。しかもまだ増えるし。
- 実食 九番&十番 本日の救援 ( No.630 )
- 日時: 2015/11/23 20:35
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: BuoUCzPG)
ぬるぬるを落とすため、女子達がシャワーを浴びている中、DTOはジョーカーと共に会話をしていた。
「つか、あれが料理と認められるのがすげぇよ。料理として提供した方も提供した方だけど。」
「あんなもの料理ではない。今回ばかりは本当に死ぬかと思ったぞ…。」
完二がこっそり作ったお口直しの煮物を食べつつ、ため息をつくジョーカー。
「つか、女子のいるシャワー室が何か殺気立ってんだけど、無視していいか?」
「無視した方がいいだろう、先生。」
「ちなみに、その八番はどうなった?」
「宣言通り女性陣からスキル一発食らってから、りゅーと殿の美結のリボンで掲揚台に括り付けられた。鳥のエサもまいておいたから、そのうちついばまれるだろうな。」
もぐもぐと食べながら言うジョーカーに、DTOはもう何も突っ込まない事にした。
「…ん?」
ふと、話し声が外から聞こえ、ジョーカーとDTOは正面を向いた。
そして、何人かの人物が中へと入ってくる。
「お客様の通用口、こっち。あ、先生。」
「ニアじゃねぇか。仕事、終わったのか?」
「うん、トア、どうしてるかなって心配になって…。その、襲われてないかなって。」
先頭を歩いてきたのは、トアと瓜二つの姉、ニアだった。弟のトアが心配でやってきたのだろう。
「危ない所だったな、ニア。あと数十分遅れてたらお前が襲われてた。」
「あー、例のぬるぬるするミミ」
「言うな。」
「ごめん。」
一団の中にいた橙髪の長髪剣士が何かを言うと、やや軽装気味の黒髪の少年は突然制止した。それにすかさず剣士は謝罪をする。
「えっと、お前達は?」
『あ、グレン、サヤ、リヴィオ! 来てくれたんだ!』
嬉しそうにペンダントを介した通信をしてきたのは、先の事件のMVPであるエルフィだ。
どうやら彼女の仲間が来てくれたようだ。
「おー、エルフィ。なんか元気そうでよかったよ。あのぬるぬるしたミミ」
「頼むからやめてくれ。」
『あ、あははー、リヴィオは苦手だもんね…。グレン、もう言わないであげて…。』
「うん、言わねぇ。」
それ以降、剣士—グレンは何も言わずにエルフィを見ていた。それに安堵したのか、少年—リヴィオはホッと安堵の息をついた。
「えっと、私らも救援だよ。エルフィの態度を見てればわかるだろうけど。私はサヤ。よろしく。」
「うむ。救援、感謝する。グレン、サヤ、リヴィオ。」
ちょっと露出の高い緑髪のスナイパー—サヤが挨拶すると、ジョーカーは素直に感謝の礼を述べた。
ニアが案内してきた彼らはユウカさんの追加救援であり、エルフィと同じくロードラの新主人公である。
「いつもいつも思うが、救援が必要な料理対決って一体何なんだまったく…。」
「それを言うな、フランシス。むしろもう言ったら負けだ。気にしたら負けだ。」
一団の中にいたフランシスは愚痴を零すも、しっかりと腹が決まっているジョーカーにもうこれ以上言葉をつなげなくなる。
「して、今日はどうしてここに?」
「商店街で道に迷っていた奴らを案内していたのです。ほら。」
フランシスがある人物を前に来るよう促す。
すると、ドレス姿の勝気な女性とどことなくディミトリーに似た青年がいた。
『ああ、ジョージ、来ていたのか。テトラも一緒か。』
エルフィの姿が消え、次に映ったのは、ディミトリー。
「アラン兄さん、さっきの話聞いたけど、散々だったね…。」
「女を襲う土の中にいるアレって何だよ。もうあと数十分前に来ていたら食われてたって何か聞きたいんだが。」
『テトラ、お前は本当にギリギリだったな…。ん? お前達、何を持ってるんだ?』
ディミトリーは本当に苦々しい表情でドレスの女性—テトラに言い放つと、横にいた青年—ジョージが苦笑した。と同時に、ディミトリーはジョージの手に合ったものに気付き、問いただした。
「ああ、差し入れです。僕が作ったオムライスとトマトスープに…。」
「私が作ったアップルパイと紅茶だ。それから、今回不幸な目にあった三番にお守り。それから、サタンが作ったコロッケだ。…コロッケは被害女性全員に渡してくれ。」
「…ああ、渡しておく。何か今それどころではないが。」
フランシスが案内してきたこの二人はHaruサイドのオリキャラ枠であり、青年トゥーン同様大人になった風タクのゼルダ姫ことテトラ(以降、大人テトラと称する)と、先程通信したアラン・ディミトリーの弟、ジョージである。フランシスは以前の料理対決で世話になったのもあり、困っていた彼らを案内してきたのだろう。
「そうだ、フランシス。お前に頼みたい事がある。」
「何でしょう、ジョーカー様。」
救援をニコライに任せている間に、ジョーカーは帰ろうとしていたフランシスを引き留めた。
「先の、巨大ぬるぬるミミズが汚した場所の掃除は終わったが、女性陣が、その、服が何だかヌメヌメしている気がすると言ってきてな。ガイストの力で呑み込まれなかった事に、つまり、ヌメヌメをなかった事にはしたが、記憶には干渉しないせいか、やはり不快感は残っているようだ。」
「成程、俺に洗濯してほしいんですね。」
「そういう事だ。しかし、一人では大変だろうな…。」
「なら、僕も手伝うよ。」
そういいながら現れたのは、こちらの風雅だった。後ろには完二とユウがいる。どうやら要件は終わったようだ。
「風雅、終わったのか。」
「うん、今、アワーグラス使ってきたとこ。でも、その間に服はどうするの?」
「心配ない。さっきメルから様々な救援物資が届いた。その中に、服があったからそれを着させればいいだろう。サイズの問題は…。」
「あ、それなら僕と完二で何とかなると思うよ。」
話を聞いていたのか、ニアそっくりの少年、トアがやってきた。
「あ、トア。」
「ニア、来てたんだ! 仕事お疲れー! あ、とと。服のサイズ合わせは一回着てもらって、僕と完二で軽くつめたりできるから、そうしようと思う。簡単でしょ? 染物屋の息子。」
「おう、ラクショーだぜ、デザイナー!」
これで、服の問題は解決したとみていいだろう。
「ニアはここでもし救援が来たら応対してくれ。仕事終わりで疲れているだろう?」
「うん…。うまく、対応できないかもしれないけど、頑張る。」
「まー、お前の事はわかってるつもりだし、基本オレに任せてくれ、ニア。お前はさっき届いた荷物の荷解きでもしててくれや。」
ニアは極度の恥ずかしがり屋で、投影機越しに電子アイドルとして活動しているのもそれが理由だ。なので、生のニアに会えるのはかなりレアである。
ジョーカーはフランシス達に後を任せると、審査会場へと戻っていった。
「えっと、届いた荷物は…りゅーとさんから、あっちの二コラとハーピアさんとヴォルフさんが調合したお香とハーブティーだね。それから、さっき言ってた服だね。ハーピアさんが作ったみたい。あと、フルーツオレとイチゴオレ、抹茶オレ…。それとこれは…?」
「毎度お馴染み鎌鼬の毒ッスね。こっちは後で医療班に渡しておくッス。」
「え、お馴染みなのこれ!?」
首を傾げるニアに完二が説明すると、トアに驚かれた。
「あとは、花梨さんからマロンラテ…。0の地平線さんのバハムートからリンゴ飴とアップルパイ…。あ、手紙もあった。えっと、“俺が作ったものってみんなリンゴ味になるから、リンゴの味が増しておいしいよー。”だって。」
「全部リンゴ味になるってどんなミラクルだし。同じミラクルクッキングのパネットーネさんもビックリだろ。」
「何ミラクルクッキングって!?」
「今は気にすんな。そのうち知る。」
「しかしさ、みんなリンゴ味になるなら、このバハムートがポケモンの【あまごい】覚えたらさ、雨もリンゴ味になったりしてな!」
「【あまごい】って、天気を雨にする“わざ”だっけ?」
DTOの呟きに、トアが訊ねると、DTO頷く。
「ああ、だからなるかなーと思ってよ。まぁ、ないだろうけどな。」
そんなこんなで、差し入れられた物資をDTOに届けてもらい、完二とトアはニアをつれて女性陣がいるシャワー室へと向かい、服の採寸を行って簡単な手直しをしたとか。
- 実食 九番 ( No.631 )
- 日時: 2015/11/23 20:44
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: BuoUCzPG)
シャワーを浴び、服を着替えて一息ついた昴は再び審査部屋へと戻ってきた。
「あー、さっぱりした。」
そして濡れた髪を拭きながら一同に向き直った。
「さて、審査再開しようぜ。次の審査員の準備は?」
「もうできていますよ、昴様。」
そういいながらやってきたのは、長髪バイザーの男、ロアだった。
「ロア、次はお前か。」
「ええ。…はぁ、MZD様に聞いていた料理対決がこれほどまでとは…。なめてかかっていましたよ。」
「だからなめてかかると痛い目に遭うってオレがこの間言ったじゃねぇか。」
料理対決の概念をはき違えている気がするが、実際、この今や世界各国に広まった料理対決は、本気で生きるか死ぬかの戦いなのである。
「(こうなったのは誰のせいだと思っているのかしらね。)まぁ、生物料理の怖さは今のアレでみんな知ったな。次のがこうじゃないといいがな。取ってくる。」
昴は次なる料理を取りに行った。
「…。」
ガイストはずっと黙ったまま、真っ青な顔を浮かべていた。
「…流石の生物料理に、ガイストもだんまりか。」
「MZD様、あれはもう無理もありません。どの銀河でもあんな化け物は見た事ありませんよ。目の前で乱麻さんが飲み込まれた時には、本気で血の気が引きましたよ。」
「まぁ、あんなのは限られた奴しかいないだろうけどな。」
戻ってきた昴がお盆を置きながら、そう告げた。
「ガイスト殿、後で我が一杯付き合うぞ。気晴らしにレヴの自慢話でも聞かせてくれ。」
「あ、ああ、すまないな、ジョーカー。飲まないとやってられない料理対決ってどこを探せば出てくるのだ…。」
「現段階でここにあるだろうが。さて、ロア。心の準備は?」
「ええ、大丈夫です。いつでも開けてください、昴様。」
どうやらロアの覚悟は決まっているようだ。昴は再度全員を見渡してから、蓋つきお盆の蓋を開けた。…瞬間、全員で項垂れた。
「みんな、こいつは悪くない。苦手ではなく、元々料理できない奴なんだから。」
「大丈夫、みんなわかってる。」
そこにあったのは、みずみずしく美味しそうな木の実。やや切れていたり砕かれたりするも、ほぼ原形のままだった。
生の食材を出しそうな候補は二人…いや、二匹いたはずだ。だが一匹は審査員としてやってきた為、違う。昴達は誰がこんなことをしたか、容易に特定できた。
『あの、昴さん。読む必要はないでしょうが、一応伝言は預かっています。』
「多分申し訳ないって感じのが書かれてると思うが、一応読んでくれ、風花。」
『はい、読みますね。“火が怖いので加熱調理ができない。せめて美味しい木の実を選りすぐったので食べてくれるとありがたい。本当に済まない。評価はつけなくていいから…。”と。』
どうやら九番も自分の出したものが料理じゃないという事はわかっており、苦手というか、できないのも把握しているが、だったらせめて美味しい原材料を、と思って用意したのだろう。
「昴、これは【アンドゥ】しなくてもいいだろう? むしろしたら危ない気がするが。」
「うん、いらない。下手すると樹になりかねないし。アイギス、成分分析頼む。」
逆に【アンドゥ】しない方がいいと判断したガイストと昴は、今回は普通に食べる事に決めた。だが、毒だとまずいので、一応アイギスに成分分析を頼む。
「了解しました。…はい、毒もなく、新鮮な果物や木の実であります。鮮度も糖度も抜群なので、恐らく期待していいと思うであります。」
「では、いただくか。」
アイギスの分析通りならば、この木の実は…。
「うん、美味い!」
「流石、森の出身! うーん、甘さも丁度いいし、おいしーよ!」
「にゃぐー!」
『できればこれをジャムにしたいと言っている。ふむ、酒のアテにしても美味しそうだな。』
「確かにこれはジャムにしたらパンと合って美味しそうだな。この硬い木の実も、パンと混ぜ合わせれば美味しい木の実のパンが焼けそうだな。」
やはりとてもおいしく、各々堪能できたようだ。
「なぁ昴、後でこの実のジャム作ってくれ!」
「は? 自分で作れ馬鹿。」
「あ、あの、昴様。僭越ながら私にも作っていただけると助かります。九番さんに木の実を取っていただけるようお願いしておきますので…。」
「ああ、いいぞ。あ、ガイストもいるか?」
「いただこう。」
「お前、オレの扱い酷くね!?」
自分とロアの差に涙しながらも、一切無視した昴達は評価用紙に向かっていった。
☆
総評:空欄
昴:評価…空欄
うん、頑張ろうとしたのは認めるけど、流石に調理してないから評価はなしな。
ホントマジで苦手というか作れないのにごめん。お前とヴォルフはこの評価は仕方ない。気を落とすな。
パステルくん:評価…空欄
大丈夫だよ、君は悪くないから。わかってるからね…。
木の実は凄く美味しかったよ! んー、せめて果汁を絞ったりとかは頑張れたかも。
にゃぐわ:評価…空欄
オイラは猛特訓の末に火が大丈夫になったけど、無理はしなくて大丈夫ニャ。姐さん達もわかってるニャ。空欄だけど、これは仕方ないニャ。
姐さん、今度から料理が全くできない動物系は辞退可能にしてあげてほしいニャ。
ジョーカー:評価…空欄
うむ、よく頑張った。料理ができないとは言え、一応加工は頑張ったので評価はしてあげたいが、流石に砕いただけとかのほぼ生は評価しづらいな。
だが、選んだ木の実はどれも美味しかった。後でジャムにしたいから分けてもらえないか? ああ、パンの中にいれるのもいいな。
MZD:評価…空欄
素材そのままは流石に勘弁してくれ。いや、わかるけどさ…。
せめて火を使って料理とかしてみろよ。パステルくんやにゃぐわだって火を怖がるどころか飛び込んで(※ここから先はかかれていない)
ロア:評価…空欄
自重してくださいMZD様。でないと本気で貴方を主と認めませんし呼び捨てにしますよ。というか誤解を与える発言はなさらないでください。パステルくんもにゃぐわさんも炎には飛び込んだことなんて一度もないですから。
貴方は元々が獣なので、仕方がない面が目立ちます。この評価は気になさらないでください。そうですね…。今後のために包丁や火を使わない料理を一緒に研究しましょう。ついでに愚痴を聞いてくださるとありがた(※これ以降は消されている)
- 実食 十番 ( No.632 )
- 日時: 2015/11/23 20:56
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: BuoUCzPG)
「ロア…。」
「ホント苦労してるんだね、あの神に。」
「にゃぐー…。」
「ガイスト、後でロアも交えて一緒に飲むか。」
「一緒にイオも呼んでやろう。誰もがあの神に苦労しているだろうしな。」
全員、ロアがいなくなった後、彼の評価用紙を見て、同情し始めた。
「お前らみんなして俺の扱い酷くね!?」
『自業自得。』
MZDはそれに反論するも、全員から冷ややかな目で見られて同じことを言われたので、これにはMZDも黙ってしまった。
「さーて、次の審査員は…。」
と、次の審査員を待っていると、ドアがノックされた。
「ん? はーい。鍵なら開いてるぞー。」
「失礼します。」
ドアを開け、中に入ってきたのは、桐生だった。
「桐生、次はお前が試食か。」
「はい。こちらの準備は万全ですので、次の料理をお願いします。」
(きっちりしてんなー。なんかこいつ苦手なんだよな…。まぁ、曲は完全にネタ曲だが。)
ややだらしない部類に入る昴は、あまりの桐生のきっちりとした態度にちょっとだけ苦手意識を持っていたが、すぐに桐生の担当楽曲を思い出し、ちょっとだけ笑いをこらえた。
「どうかしましたか?」
「いや、何でも。取ってくる。」
これ以上勘繰られたら何言われるかわからないので、昴はさっさと料理を取りに行った。
「…。」
桐生が来たことで、空気がどこか張り詰めた感じになり、全員正座で待っていた。いつもはうるさいMZDも…。
「はー、次は誰かなー。」
「神様、背筋を伸ばしなさい! この学園の一番の責任者がそのような体たらくでどうするのです!」
「えー、いいじゃん。硬い事ナシナシ!」
まぁ、黙って大人しく、きちんと待ってるわけなかったか。
「いいですか! 正しい心は正しい姿勢に宿るのです! この学園の頂点たる者、清く正しく…!」
(なんか始まった…。)
何だか長そうな桐生の説教が始まったので、一同はボンヤリと聞き流した。が、本当に長かったので、ガイストは桐生を止めようと話しかけた。
「そろそろ昴が戻って来る頃合いだ。その辺りで切り上げては貰えぬか?」
「いえ、常々話しておかねばと思って…って、なんですかその格好は!」
「何…?」
今度は、ガイストに説教の矛先が向いたようだ。
「そのような清潔感のない服を着用していては、他の者の健康を害します! 仮にそのような模様の服だとしても、神様の身勝手で設けられたとはいえ正式な場には相応しくありません!」
(身勝手だとは思ってたのか…。)
ガイストは、MZDの身勝手を桐生も察していたことに感心しつつ、一同と共に標的が変わっただけの長ったらしい説教を聞き流した。
「とってき…うわぁお。お邪魔かな、俺。」
そうしている内に、昴が料理を持って戻って来た。が、重く堅苦しい雰囲気である為に、中に入れずにいた。
「桐生さん。昴さんが戻って来たので、お話しはここまでにして下さい。」
「まだ話は終わっていません! …って、君もなんてけしからん格好をしているのです!」
「はい?」
更に、アイギスに説教の矛先が向いたようだ。
「そのように身体に密着する服を着用して、身体の形を露わにするなど! 風紀の乱れにも程があります!」
ちなみに、今のアイギスは制服等を身に着けておらず、いつもの機械の体のままだ。それが桐生にとってはボディラインのはっきりした服だと見えたのだろう。
「どうでもいいであります。それよりも、時間が押しているので、早く試食にとりかかるであります。ただでさえMZDさんの我儘に付き合わされ、自分の時間を奪われた方々の時間を、更に奪う訳にはいきません。あとこれは服ではありません。体です。」
アイギスに諭された桐生は、ようやく大人しくなった。
「…一理ありますね。失礼致しました。」
「おし、話は終わったようだな。んじゃ、次の試食行くぞ。」
ようやく中に入って来れた昴は、目の前に蓋のついたお盆を置く。
「今回もまた料理系だね。」
「サンドイッチ系はしばらく遠慮したい。」
『自業自得。』
どうやら六番の謎の薬入りサンドイッチがトラウマなのか、MZDがぼそりと何かを言うも、それを聞き届けた一同は全員で同じ事を言い放った。
昴は「ひでぇ!」とか言うMZDを無視し、全員に目で確認してから蓋を開けた。
「」
出てきたものを見て、全員絶句。
中に入っていたのは、ほうれん草とベーコンのバター炒めとフライドポテト。そして、大ぶりの…“キノコ”を使ったホイル焼き、だった。
「な、なぁ、キノコって聞いていい思い出ないんだけど、俺。」
「ボクだってないよ! しかもこのキノコ…。」
「データ照合完了。第四回のあのキノコと酷似しているであります。」
何かを察したパステルくんは何かを言う前に、アイギスが絶望的な事を言い放つ。
そう、彼らが毒で倒れ、遺言を残す程のキノコと似たものが、今目の前にある。
「え…。」
当然、あの一件で地獄を見た昴、ジョーカー、パステルくん、にゃぐわの表情が固まる。
「あ…あれが…あれがまたくるのか…?」
「な、何が来るというのですか!? みなさんどうしてそんなに怯えて…。」
「うわあぁぁぁぁん! いーやーだー! あの死ぬほどのキノコは嫌だあぁぁぁぁぁっ!!」
「にゃぐうぅぅぅっ!!」
「あー、あの毒キノコかー…。ついにオレも食う羽目になるとは…。」
MZDが毒キノコ、と言ったので、流石の桐生も固まった。
「ど、毒キノコなんてありえません! 第一、先程の騒動を起こした八番以外、毒など入れそうにな…。」
ない、と否定しようとしたが、自分の脳裏にあと二人程やらかしそうだというのが想定できて、その言葉を飲み込んだ。
『あのー、騒いでる所悪いけど、それ、毒じゃないから安心しろ。つか悲鳴がこっちまで聞こえてくるって何事だよ。』
そんな時、アニエスのペンダントから通信が入った。相手は…パン焼き班の由梨だ。お楽しみ中の理乃からペンダントを預かったのだろう。
「え、毒じゃない? 由梨もぶっ倒れたあれじゃないの?」
『あん時の事は思い出させんな。…どーせお前らがあの時の事を思い出してギャーギャー騒ぐだろうからってピーチに言われてな。もしこいつの料理が出たら大丈夫だって証言してくれって頼まれたの。風花、どうせ伝言預かってんだろ。』
『うん、あるよ。“まず、トラウマ抉ったらごめん。だけど、このキノコはあの悲劇のキノコじゃなくて、由梨先輩が使った正しい方だから安心してくれ。ちゃんと専門家のピーチさんに確認済み。あ、MZDだけは別の、特別にスペッシャルな美味しいキノコを用意したから、そっち食ってくれ。お前のにだけアルミホイルにシール貼ってあるから。そっちも毒じゃねぇから安心しろ。”だって。』
(あ、何かやりそうな予感。)
先程の六番同様の流れに、昴達は何かを察する。
しかし…。
「へー、スペッシャルなキノコかー。」
(はい罠にかかったー。)
この神様は期待を裏切ったりしませんでした。
「昴、一応私の方で勝手に時間を動かして【アンドゥ】かけたが、ごく普通のキノコとほうれん草とバターとジャガイモが出てきた。(そしてあの神のにはまだかけていないが、どうせ同じようなものが出てくるだろう。)」
「うん、サンキューな。勝手に動かしたのは不問にする。んじゃ、いただきます。」
今度はMZDに何が起こるのかワクワクしながら、昴は食べ始めた。
「うーん、美味しいけど店クラスにはもう一歩、かな。」
「でも十分家庭料理って感じの味は出せてるよね!」
「にゃぐー!」
『ふむ、にゃぐわも喜んでいるようだ。牡丹の奴もこうしたかったのだろうな。』
「ほうれん草のバター炒めも中々。こういうのは大体入ってるコーンを入れなかったのは…。」
ジョーカーはちらりと昴を見ると、視線に気が付いた彼女は頷いた。
「俺の好みを完全に把握してる人間だから、だろうな。バター炒めにも程よく塩気が効いてるし、結構俺好みの味付けが多い。となると、家事手伝い組であるあいつの可能性が高い。まぁ、偶然ってパターンもあるが…。」
昴達が感想を言い合う中、アイギスはMZDに視線を向けた。正確には、一見、昴達に提供されたものと同じ見た目の、MZDの前にあるスペッシャルなキノコを使った料理、だが。
「MZDさん、それには得体のしれないものが入っているかもしれません。迂闊に食べない方が」
「へ?」
「あ、既に食べていましたね。(ドンマイ、であります。)」
何度も罠に引っかかるMZDを憐れんで注意を促そうとしたが、時すでに遅し。キノコは既にMZDの口の中。
「んなわきゃねーだろ。毒の要素が一切ないんじゃ心配」
MZDはそこまで言って、ピタリと言葉を止めた。そして次の瞬間…。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「ぶふぅっ!!」
突然、変な声で笑い始めた! これには昴達も食べていたものを吹き出した。
「や、やめ、何か腹の中からくすぐられ、あひゃはひゃひゃひゅひゃひゃひゃ!」
『おー、これがあのキノコの効果か。』
『由梨、何か知っているんだろう? 話せ。まぁ、どう考えてもワライダケだろうが。』
『ああ。実はな、あの一件の後、ピーチに品種改良をしたあるキノコの事を聞いたんだ。多分それの事だろうと思う。』
紅に促され、笑い転げるMZDを見て笑いをこらえながら由梨は話す。
『ぱっと見た感じはあの毒キノコと今お前らが食ったキノコとの関係と同じように、見分けがつきづらいキノコなんだ。』
「何でんなもん作ったし。」
『それは知らん。で、その毒キノコだが、紅の言ったようにワライダケだ。ただし、普通のワライダケとは違って幻覚症状を起こさず、思考にも影響しない。ただ、笑うだけ。ピーチが言うには腹に入ったら、中でにょきっと触角が生えてくすぐってるんだとさ。焼いても煮ても切っても、その触角が生えてこしょこしょするらしい。』
「規模の小さい生物料理!?」
『まぁ、そんなとこだな。害はないし、キノコが消化されれば触角も消えるし、そのキノコは特別製で消化吸収されやすく、すぐ消える。それに、笑う事で健康になる。いい事づくめだけど酸欠になりかけるのがたまにキズ。その点はピーチも何とか改良してる途中みたいだ。あいつがピーチからこれをもらい受けたって聞いた時は笑ったよ。』
「『笑う門には福来る』でありますね。」
「福どころか不幸来るなんだが…! びゃひゃひゃひゃひゃひゃっ! く、くすぐったいって! はひゃひゃひゃひゃ!」
余りのくすぐったさに転げまわるMZD。
「…。」
それを見た昴とパステルくんは…。
「お前、転げまわるなし! あははははははははははっ!」
「お、おなか、いた…あははははははははははっ!」
つられて笑ってしまいました。
そんなこんなで、MZDが落ち着いてから評価用紙に記入した。
☆
総評:四+
昴:評価…四+
おwwwwwまwwwwwえwwwwwそれはないwwwwwマジでないwwwww
キノコは滅茶滅茶うまかった。これがあいつの本来だそうとした味なんだな。うん、うまかった。それと別の意味でもうまかったぞwwwww腹いてぇwwwww
パステルくん:評価…四+
ちょwwwww君も何してんのwwwww毒キノコ仕込んじゃったwwwww専門家の監修の元毒キノコを仕込んじゃったwwwww六番が見たら絶対笑うwwwww
流石はキノコ王国のお姫様がお勧めするキノコ。とっても美味しかった! できれば第四回のあの時に食べたかった。そして別の意味でもごちそうさまですwwwww
にゃぐわ:評価…四
あー、うん、凄く怨みがこもっているのはわかったニャ。うん、いつかやるとは思ってたけどニャ。毒だけど、まぁ毒じゃないキノコをいれるとは…。
ちょっと大降りのキノコ料理をありがとニャ。とっても美味しかったニャ! だけど、毒キノコをオイラ達の料理にはいれないでほしいニャ。あのトラウマはもー勘弁だニャ。
ジョーカー:評価…四
まったく、リーダーというものが何をしているんだ。まぁ、あやつに関しては当然の報いだがな。だが、どうせやっても無駄だとわかってはいるがな。
あのキノコを使ったのは、牡丹のリベンジみたいなものか? 本来だったら我らはこのキノコを食べていたと思うとなんだか悲しいな。まぁ、過ぎた話だが。味はとても美味かった。
桐生:評価…四−
美味しくいただきました。
ほうれん草とベーコンのバター炒めは程よく味が絡んでおり、ムラがありませんね。
フライドポテトは少々塩が多めです。薄味とまではいかなくとも、健康を損なわない程度の味付けを心掛けなさい。
キノコのホイル焼きは彩りが美しく、素晴らしい香りが食欲をそそりました。
それと、些か不条理とはいえ、正式な場で嫌がらせなど、あってはならないことです。そういった行為は、個人的な場で責任を持って行いなさい。
MZD:評価…零−
テ メ ェ も か ! なんだよワライダケって! 専門家からもらったのはいいが、何故に仕込みやがったし! 六番共々説教してやっから覚悟しやがれ!
つか桐生! 個人的な場はいいのかよおい! お前も説教してやっから覚悟しやがれ!
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今日はここまで。ではヒント。
九番:食物を生で出しそうな人物として名前が上がった片割れ。獣なので多目に見てください。
十番:MZDに恨みを持つ俺嫁なあの子。六番同様日頃の恨みをぶつけました。同じくMZDの料理以外に仕込んでいないので安心してください。
- 実食 九番&十番 後書き ( No.633 )
- 日時: 2015/11/23 20:59
- 名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: BuoUCzPG)
後書き de 雑談
私
—うーん、誠に勝手だけど、救援はUPしてから一週間で締め切ろうと思う。で、救援データができ次第、次回に反映可能であれば次回に、どうしても今回の話で反映させてほしいっていうなら、言ってもらって反映、訂正するパターンがいいかな。
昴
「完成したのにデータ待ちでUPできないのもな…;さて、今回の試食は…www」
由梨
「あの馬鹿wwwwwマジでやりやがったwwwwwいいぞもっとやれwwwww」
MZD
「お前ら二人も説教してやろうか?」
昴&由梨
「は? 自業自得だろ? 誰がお前の説教なんて聞くか。」
MZD
「二人して言わなくてもいいだろ!?」
私
—それから、九番の料理だけど…。
MZD
「無視すんな! 聞け!」
私
—あの人はこっちでは元々料理不可能なので、生で出ても大目に見てあげてください。本人(?)も十分、自分ができないと理解しているので…。
昴
「今度から料理が完全にできない奴は辞退可能にしようかな…;」
MZD
「仲間外れは可哀想だろ?」
風花
「無理矢理仲間に入れて、その人に恥をかかせるよりは余程いいかと思います。」
影
「それくらい察しろ馬鹿。」
昴
「永遠のお子様には解らないか。」
MZD
「お子様じゃねえ! 少年だ!」
昴
「じゃ、話題もないし、ここで終わらすぞー。」
MZD
「聞けー!」
私
—ばいばーい!
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感想OK