二次創作小説(映像)※倉庫ログ

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.706 )
日時: 2015/12/30 21:22
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

※タイトルを三回噛まずに言えたらすげぇです。


『橙の代用品』


年の瀬、十二月二十八日。

「ただいまー。」

烈とリリィは、来ていたコートを脱ぎ、すぐに神棚の前に向かった。

「いやー、運よく残っててよかったな、鏡餅!」

どうやら二人は鏡餅を買いに行っていたようだ。あの、すみません。一部、というかその袋の大半、どう考えてもいらないあたりめとかありましたけど、それ絶対リリィのおやつですよね?

「あら、二人とも、お帰り。」
「ただいま、お母さん。あたりめ、買ってきた。」
「リリィ、私は鏡餅を頼んだのだけれど。」
「安心してくれ。鏡餅もちゃんと買ってきた。」

義娘が変なことを言うので心配したが、そこは息子がしっかりとフォローしたようだ。

「よかった。じゃあ、神棚の前に飾っちゃって。私は店番に行くわね。」
「うん。」

鏡餅を袋から出し、丁寧に紙を敷いてから乗せていくが、ここで事件が発生した。

「あ、やべっ! ミカン買ってくんの忘れた!」
「おミカンなら、風雅君家でもらった。」
「ナイス! んじゃ、それ飾ろうぜ。」

そして烈とリリィは風雅の家からもらったミカンを飾るも…。

「…でけぇな。」
「おミカン、大きすぎ。頭でっかちの雪だるま…。」

そのもらったミカンのサイズが大きすぎて、鏡餅がどう考えても見映えが悪いのだ。安物の小さいものを買ったのが間違いだったのだろうか。

「参ったな。流石にこれは不格好すぎるぞ。」
「そうじゃな。それに、鏡餅の上に飾るのはミカンじゃなくて、橙じゃよ。」

奥から、茜が現れた。

「え、あれちっちゃいミカンじゃねぇの?」
「似てはいるが、別物じゃよ。しかし困ったの、橙がなければ何だか見映えがスッキリせんのぉ。」
「じゃあ、今、探す。橙の、代替品。」
「それしかねぇか。んじゃ、探そうぜ。」

どうやら、今ある物で橙の代替品を探すことにしたようだ。

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.707 )
日時: 2015/12/30 21:28
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

『ケース:リリィ』


何かないかと探す烈。ふと、何かに思い至り、突然リリィをつまんだ。

「うにゅ。」

つままれたリリィは仔猫のようにぷらーんと吊るされ、そして…。

「ばーちゃん、見っけた。橙の代替品!」

鏡餅の上にぽてんと乗せられ、祖母を呼ばれた。

「ん、どれどれ…。」

茜は鏡餅の上にいるリリィを見る。

「…橙でーす。」

リリィは何だかんだで乗り気なようだが…茜は烈をポカリと殴った。

「いってぇっ! 何すんだよばーちゃん!」
「これ! 妹を代替品にする兄がどこにおるか! リリィもリリィでノリノリにならんでよろしい!」
「ちぇー、いい案だと思ったんだけどなぁ。な、リリィ。」
「うん。でも、動けない。暇。寒い。」
「そういう問題じゃないぞ。とにかく、リリィはダメじゃ。別のを探しなさい。」

この案はどうやら没になったようだ。











『ケース:黒の…』


「あ。」

リリィは何かに思い至ったのか、ぽん、と手を打った。

「おばあちゃん、いいものあった。」
「おっ、なんじゃ? リリィ。」
「黒のおめめ。」
「却下。」

茜はすぐにリリィのその提案を拒否した。その間、コンマ一秒。

「えー、今日の夕飯焼き鳥にできるのに…。」
「駄 目 じ ゃ 。とにかく、この案は却下じゃ。絶対駄目じゃ。」
「ぶー。」

あまりの物騒な案に、祖母は義孫の恐ろしさを知った。











『ケース:ヨーヨー』


「ただいまー。」

リリィが物騒な提案をする前に、どこかにいっていた烈が帰ってきたようだ。

「おぉ、烈。どこに行ってたんじゃ?」
「ちょっとな。ばーちゃん、これ代用品にならないかな?」

烈の手に握られていたのは、橙色の…ヨーヨーだった。

「おぉ、色合いが丁度いいのぉ。ちとでかいが、これならばまだ見映えはいいじゃろう。」

茜は烈からそのヨーヨーを受け取り、そっと鏡餅の上に置こうとして…ふと止まった。

「時に、烈や。」
「ん?」
「…このヨーヨーはどこから持ってきたんじゃの?」
「え、隣。」

隣、つまり、風雅のクリーニング屋だろう。
嫌な予感がした茜は、耳を済ます。隣がなぜか、煩い。

「フランシス! 凪に作ってもらったヨー介知らない!? 橙色のボディの!」
「いや、知らん。どうしたんだ?」
「そこで虫干ししてたらなくなってたの! 困ったな、ヨー介がいないと…。」
「何か困るのか?」
「うん、母さんに頼まれて買ってきた鏡餅があるんだけど、そのミカンの部分がないから、ヨー介で代用しようと。」
「お前、代用品でヨーヨーを供えるなよ! あと名前なんとかしろ! いや確かにあいつのイメージカラー、オレンジだが。」

茜はそっと微笑んで、烈にヨーヨーを渡した。

「元の場所に返しておいで。」
「え、何で」
「返 し て お い で 。」
「ちぇー、わかったよ。」

烈は渋々、隣にヨーヨーを返しにいった。

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.708 )
日時: 2015/12/30 21:36
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

『ケース:にゃぐわの…』


「あ。」
「なんじゃ、リリィ。何か代替品があるのかの?」

烈がヨーヨーを返しに行っている間に、リリィがまたぽんと手を打った。

「うん。にゃぐわさんのおはな。」
「却下じゃ。」
「え、あれはずせないのかな?」
「はずせても駄目じゃ。別の案を考えなさい。」
「ぶー。」

物騒な案をひらめく義孫に、祖母は将来が心配になった。











『ケース:火の宝珠』


「ばーちゃん、これならどうだ!」

やや切り傷が目立つ烈が持ってきたのは、紅く輝く宝石がついたイヤリングだった。

「ほほぉ、綺麗じゃの。これならちと小さいが代替品にはなるじゃろ。」

茜は烈の手からイヤリングを譲り受け、鏡餅に置こうとしたところで…手を止めた。

「時に、烈や。」
「ん?」
「今、ワシの後ろから感じる殺気が気のせいじゃなければ、お前さんはこれを返さん限り、修行の質がいい意味でも悪い意味でも良くなるはずじゃが、どうする?」
「うん、ごめん。この殺気は返した方がいいと感じた。」

烈の背後から、ボキボキと音が聞こえる。

「いい判断だな、烈。だが、アタシからこれを盗んだ罰だ。明日からみっちり、みーっちりしごいてやるから、覚 悟 し と け よ ?」
「はひぃーっ!!」

背後の殺気—由梨は、いい笑顔で弟子を見ていた。あぁ、これ殴るフラグです。

(自業自得じゃよ、烈。)

茜は助けるそぶりもせず、修羅になることもなく、代替品を探し続けた。











『ケース:紅』


「おばあちゃん、黒のおめめがダメなら紅さんはダメ?」
「色合いが赤すぎる気もするが、まぁ、今までのお前さんの提案よりはましじゃろう。」

確かに、今までのリリィの提案を考えると、これが一番まともな案だと、店の奥から響く打撲音を聞き流しながら茜は思う。

「じゃが、紅を置いておくのもかわいそうじゃろ。何より鏡も昴も許さんと思うぞ?」
「大丈夫。剥製にしておけば。」
「全 然 大 丈 夫 じ ゃ な い 。」

結局、行き着くところは一緒だった。と思う祖母だった。

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.709 )
日時: 2015/12/30 21:43
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

『ケース:金色の玉』


「ばーちゃん、縁起の良さそうなやつ持ってきた。」

切り傷と打撲痕が目立つ烈がそう言って持ってきたのは、金色の玉。

「見事に金ぴかじゃのう。どこで手に入れたのじゃ?」
「代わりの物探してたら親子が俺んとこ来てさ。その子供の方がくれたんだよ。」
「ふーむ、どうやらメッキではなさそうじゃが…。」
「よく分かんねーけど、『僕のきんのたまだからね』って言ってた。」

間違ったことは何一つ言っていない。そのはずだが、茜は何故か金色の玉を鏡餅に乗せることに抵抗感を感じた。

「あと、お父さんの方からはもう一回り大きい玉を貰った。こっちも乗せるか?」
「両方共、燃えないゴミの日に捨てなさい。」
「えーっ? こんなに立派な」
「余計なことは何も言わず、捨てなさい。いいか? 烈。もう一度言う。捨 て な さ い 。」
「ちぇー。折角貰ったのに…。」

烈は茜の言う通り、金色の玉、もとい、きんのたまを捨てた。











『ケース:赤ポップ君』


「じゃあ、これはどうだ!」

きんのたまを捨てにいった烈が次に懐から取り出したのは、赤ポップ君だった。

「うむ、ワシらに縁があるしの、それもいいかもしれん。」
「だろ? んじゃ、早速これを代用品に」
「お前か犯人は!」
「あだぁっ! 誰だ殴ったの!」

突然どこかから声が聞こえ、烈は辺りを見回すと、そこにはMZDがいた。

「何すんだよMZD! いきなり殴るなんてヒデェだろ!」
「お前こそ勝手に『L-an!ma』の曲譜面から赤ポップ君を一個だけ抜き取るなよ! つかどうやって抜き取りやがったんだよおい! お陰で鏡が『自動的にbadになるからコンボが繋がらなくて新記録のがしたー!』って泣いちまったんだよ!」
「てへぺろ。」
「お前、後で昴と鏡から何かあると思え! もちろんオレからもな!」

MZDはそういうなり、消え去った。

(あーあ、後が怖いのぉ。さて、代替品代替品。)

茜は真っ青になる烈を無視して、代替品を探し続けた。











『ケース:リリィの…。』


「おばあちゃん、おばあちゃん。」
「なんじゃ、リリィ。また物騒な案なら却下するぞ。」
「多分物騒じゃない。これ。」

リリィが取り出したのは、オレンジ色の毛玉だ。

「うむ、これならば代替品になりそうじゃの。」

茜はそれを持って、鏡餅に乗せようとしたところで、止めた。

「時に、リリィ。」
「ん?」
「この毛玉はお前さんのだって言うのはわかった。しかし、じゃ。毛繕いを今してきたとは思えん。じゃあ、これはなんじゃ?」

ちょっと、この先を聞きたくなくて、茜は苦笑いを浮かべつつも、聞かないと始まらないので聞く。

「吐き出した毛玉。」
「もう一度。」
「吐き出した毛玉。」
「捨 て て こ い 。」
「えー。ぶー。」

リリィは不服そうにその毛玉を捨てにいった。

(…もう、探す前に買ってきた方が早そうな気がしてきおった。)

茜は盛大な溜息をつきながら、財布を持って外に出ていった。

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.710 )
日時: 2015/12/30 21:48
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

『決着』


結局、一人真面目に探していた茜が買ってきた方が早いということに行きつき、買ってきた。

「何だよばーちゃん。折角探してたのに。」
「真 面 目 に 探 す 気 あ っ た か ?」
「何言ってんだよ! 俺はいつでも真面目だぞ!」
「私も、真面目。」
「ほぅ、道から外れた提案をしたり、人の物を勝手に盗んだりするのが真面目か。それが真面目ならば、ちょっと、ちょーっと、鍛え直す必要ありじゃの。」

いい笑顔で、真面目に探していたと言い張る孫達を見る茜。
その笑顔に、二人は「ごめんなさい。」と謝罪をした。

「まぁ、これで鏡餅は完成したの。それと烈。後で神殿に来いと昴が伝言を残しておったぞ。多分、殺る気満々じゃな、あれ。」
「だよなー。」

殺されるフラグを感じた烈は、後で素直に怒られようと思っていた。
逃げ出したら絶対今以上の恐ろしいものが待っているから。

「さてと、次はおせち料理の準備をせんとな。」
「あ、さっきナマコ見つけた。なますの代替品に」
「いらん。」
「あと、伊達政宗のフィギュア見つけたから伊達巻の代替品に」
「いらんと言っておる。」

代替品を探すのが楽しくなった孫達は置いておいて、祖母はさっさとおせち料理の準備に行ってしまったとさ。

烈とリリィの橙代替品探し。代替大体大成功! ( No.711 )
日時: 2015/12/31 06:24
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: r40/B5y7)

後書き de 雑談



—年末恒例の行事前に、ちょっとひらめいたお話を。赤羽家の大捜索話。


「まさか由梨の宝珠まで盗んだとは…。」

由梨
「後で修行のメニュー増やす。絶対増やす。さて、橙の代替品を探すための話らしいが、何でこんなん思い付いたんだよ。」


—橙がない鏡餅を本日購入したから。そこから橙の代替品を探す烈君とリリィちゃんが思い浮かんでね。何か凄いのを提案させすぎたけど。

由梨
「烈のはともかく、リリィが怖いだろおい。」


「収拾つかなかったら最終的には烈や茜の目も狙ってたろうな;二人とも赤いし。」


—しかも冗談でいってるのかわからないからもうね、うん。


「ところで、年末恒例にしようとしてる葉月のバイトは大丈夫なのか?」


—理音とのほぼ合作のお陰で完成間近。明日をお楽しみに。じゃ、またねー!







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