二次創作小説(映像)※倉庫ログ

年末出店祭り ( No.714 )
日時: 2015/12/31 20:37
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

年末が近づく、とある冬の日。

「さーて、どこのおせちが安いかなー。」

昴はチラシを片手におせち料理を吟味していた。そこ、神様なのに? ってツッコミを入れない。

(だて巻きに数の子は必須だよなー。謂れがあるけど、豆はいらん。栗きんとんもいらん。でも大抵のには入ってるから、仕方ないから凪にでも食わせ)

—ピンポーン。

思案を打ち消すように、呼び鈴が鳴る。

「ん? 誰だこんな日に。はいよー。」

昴は玄関まで行き、扉を開けるなり…。

「あぁ、年末恒例のバイトか。給料なしの。」
「せめて要件聞いて!?」

目の前にいた葉月に対し、用件を聞かずにそう告げたので、思いっきり突っ込まれた。

「何だ? 違うのか?」
「いや、そうだけどさ…。でも私の顔を見るなり要件を言い当てないでよ…。」
「お前の行動パターンくらいアイツと共有してる記憶で大体察するっての。で? 今度は誰に声かけた?」
「去年のメンバーと、アニエスさん達には一通り。あと、凪君のツテで仕事してくれそうな人に話をしたみたいだけど…。」

凪のツテ、と聞いて、昴は表情を変えた。とても嫌そうな顔に。

「多分それ、あのにゃーでんすに縁がある奴等だろうな…。」
「あ、確かにノーデンスの人だって聞いてるよ。何かあるの?」
「…一人、油断ならないのがいるんだよ。」
「もしかして、給料請求される?」

真面目な顔で訊ねる葉月に、いや、そうじゃない。と心の中で思う昴だが、思うだけにしておいた。

「…まぁ、給料は請求されてもおかしくはないだろうが、そういう意味で油断ならないんじゃないんだって。」
「まさか、昴さんのおシリを狙って…!?」

葉月がそう言った瞬間、彼女の後ろにあった樹にズダン! と矢が刺さった。

「んな変態だったらとっくの昔ににこうしてる。」
「ですよねー。」

ヒメルを葉月にわずかにそれるよう狙いを定めて放った昴に、葉月は苦笑いをして後ろを見た。

「…この世界の事、あるいは昴さん自身の事、でしょ?」
「思いついてたんならあんなくだらない事を言う前に最初からそれ言え。」
「場を和ませようとしたのに…。」

しょぼんと項垂れる葉月。だがすぐに真剣な表情を浮かべた。

「でも、それは連れてきちゃまずいよね…。凪君に言って、その人だけ外してもらう?」
「できるかは定かじゃないが、そうするよう頼んでみようかな…。」
「でも、どうやって頼む? 多分、理屈が通ってないと納得してくれない感じっぽいし…。」
「何とかやる。…できるかは分かんねぇけどな。」

昴は携帯を取り出し、凪にかけた。

年末出店祭り ( No.715 )
日時: 2015/12/31 20:44
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

ノーデンス社前。
凪はいつものようにここに通っていた。

「ふんふふーん。」

ルンルン気分でスキップなんかしながら門をくぐる凪。そんな時、携帯が震えているのを感じた。

「(あれー? 昴さんからだ。)もっしもーし、どうしたの、おかーさん。」
『出て早々お母さんはやめろ。』
「だって、お弁当作ってくれるしー。他にも諸々家事をやっちゃってるでしょー?」
『それはお前らができないから仕方なしにやってるだけだっつーの。』

あくまでもお母さんと認めない昴。だが、本題はこれではない。

『それはそうとさ、凪。お前、ノーデンスの奴らにバイトの事話にいってるんだろ?』
「うん、そー。カーソルさんにお話して手伝ってもらおうと思ってー。人手は多い方がいいでしょー?」
『それはそうなんだが…その…。一人、さ。呼ばないでほしいのがいるんだよ。』
「え? あー…気持ちは解るけど、無理に外そうとしたら、逆に疑われるんじゃないかなー?」

電話口から、昴の盛大な溜息と共に『だよなぁ…。』と諦めたような発言が聞こえた。

「それなら、いい考えがあるぜ。」

小型の何かの機器を持ってやって来たカーソルが、そう言った。

「あ、カーソルさん。駄目だよー盗聴しちゃー。」
「なんか不穏な会話が聞こえたんでな。ま、アイツに苦手意識を持つのは無理もない。そこで、だ。俺にいい考えがある。」
「何々ー?」

凪はキラキラした目をカーソルに向けた。本当に何の提案が飛び出してくるか、楽しみのようだ。

「それはな…ゴニョゴニョ…。」
「ふむふむー…。うん、うん、それなら(多分)大丈夫だねー。」

カーソルの案に若干の不安があったのだが、あえてそこは表に出さずに納得した。

「じゃー、後はそれをうまくやってくれるとありがたいなー。」
「おう、任せとけって!」
「んじゃ、次はいつものように作業だねー。僕、ちょっと社内にいる猫とお話してから行くから先行っててー。」
「今日も行くのか。んじゃ、先に待ってるわ。」

そしてカーソルは凪と別れ、本社の中に入っていった。

(…あの人に降りかかる災いや面倒ごとは、さっさと落としとくに限るしねー。こういう仕事は僕に任せてゆっくりと働いてほしいよ。できれば休んでほしいけどね。)

言っても無駄だ、とは思うが、凪は心からそう願っていた。

(貴方も、そう願ってるんでしょ? …本物の神様。)

年末出店祭り ( No.716 )
日時: 2015/12/31 20:51
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

「…まぁ、うまくはやってくれっかな、凪。」

いつの間にか切られていた通話で判断したのか、昴は凪を信じてポケットに携帯を入れた。

「できれば来ないといいけどね…。これ以上所持者増えちゃったらどうするの。」
「俺もそれは避けたい。あんまりポンポン知られてもそれはそれでめんどくさい。もう何人アイツの事を知ってるんだよおい。」
「えーっと、所持者で言うなら…理乃に由梨。りせちゃんに風花さん。鏡君。アニエスちゃんにユウ君にジャン君にブレイブ閣下。…九人。で、持たされてないけど事情を知るのが…えーっと、デニー陛下に紅君に私に七海。…四人。十三人もあの人の事知ってるってもう隠しとく意味あるのか逆に聞きたくなるんだけど。」
「話すと色々めんどくさいだろうが。知ってんのは一部でいいよ一部で。」

この世界のあらましを話す事になるのは、かなり面倒であるし、ショックも大きいだろう。なので、できるだけ話したくないのが現状だ。しかし大体の人間が何らかの事情で昴あるいはスバルの正体に迫ったが故の事故だ。理乃と由梨に至っては完全にあの馬鹿神のせいである。ユウ達が手帳を持った理由は、のちに語ろう。

「さて、バイトの話に戻すか。」
「うん。えっと、前回よりも手伝ってくれる人がいるから、出店とか多く出して貰えるね。他にも手伝って欲しいこととか、新しくやってみたいこともあるし。」
「新しくやってみたいこと?」
「うん、色々考えてるんだけど…。」

どうやら、葉月は葉月なりに色々と考えているようだ。

「まぁ、いい。その点は後で聞く事にするよ。」
「うん。初めてだし、うまくいくといいな…。」

それは後で聞く事にし、葉月と別れようとしたら、前から誰かがやってきた。

「あ、アニエスさん!」
「あぁ、やはりこちらにいらっしゃったのですね、葉月さん。」
「えっと、バイトの件かな?」
「『金銭の発生しないバイトはタダ働きだよ』とイデアが言っていましたが、とにかくその件についてです。」
「後でイデアちゃんにそれは言わないお約束って言っといて。」

確かに、金銭が発生しないバイトであるので、タダ働きである事は変わりないが、ここでは正論には空気を読んで貰った。

「で、どうだったのかな?」
「ええ、皆さんにお聞きしたところ、ハインケルさんが警備のためにここに残るとおっしゃっていました。ですがそれ以外の皆さんは行くそうですよ? イデアも何だかんだで楽しみにしていました。」
「わーい! ありがと、アニエスさん!」

どうやら、ハインケル以外は全員行くようだ。

「行くメンバーはだいたい決まったし、私、お父さんとお母さんに連絡してくるね。」
「おう。あとは凪次第だし、何人か変動するのは覚えておいてくれ。」

そう言って、葉月は昴達と分かれた。

「…さて、と。アニエス、お前も帰ったらどうだ?」
「ええ、そうですね。ふふっ、今からそのバイトが楽しみです。」

アニエスと少し話し込んでから、二人は別れ、帰って行った。











そして月日が経ち、いつしか十二月三十一日、バイト当日である。

「みんなー! 今日はほんとありがとー!」

聖域前には、かなりの人数が集まっていた。

「おい、いつものアタシ達が手伝っている以上の人数が来てるんだけど。」
「随分と大人数に声をかけたわね、葉月…。」

つぎドカ!組を含むラピストリア組の一部、ペルソナ組、ジョーカー一味、司組、ブレイブリー組、ナナドラ組と、かなりの人数が揃っている。

「私も今年はちょっと声かけすぎたと思ってる。でも、そのおかげで色々とやりたい事が出来るもん!」
「まぁ、その辺の話は後にしてさ、まずは葉月んちに行こうぜ!」

今回も無理矢理駆り出されたMZDは、全員に向き直った。

「じゃ、移動すっぞ!」

前回同様MZDが指をはじき、一瞬ののちに葉月の実家である水上神社にワープした。

「ふわー…。」

初めてここに来たブレイブリー組とナナドラ組は、あまりの荘厳さに息をのんだ。

「あはは、無理もないけどな。その顔は。」
「凄い…。こんな凄い神社、初めて見た…。」
「ここは、神社というのですか…。クリスタルの神殿や、ガテラティオの正教本部よりも荘厳ですね…。」

ポカーンとした表情を浮かべる一同に昴がそういうと、澪は目をぱちくりさせつつそう呟き、それを聞いたアニエスが自分の知る建物の事を並べていた。

「そ、そんな荘厳かな?」
「ええ、昔ながらの感じがこう、醸し出していて凄いです!」
「あー、うん。と、とにかく、上に行こうか。」

色々と話し込んでいる時間もないので、上に行くことにした一同だった。
神社の長い階段を上り、出迎えてくれたのは、葉月の母親、菖蒲だった。

「あら、葉月! 今回は随分大所帯ね!」
「うん! みんな快く引き受けてくれたの!」

確かに快く引き受けたメンバーが大半だが、一部そのタダ働きという点が気に食わない人が多い。だが、そこはスルーしておこう。

「さてと、これなら数件程、出店が出せそうね。」
「それに、あれもやれると思うよ! お母さん!」
「そうね、あれがやれそうね。」

あれ、というのはいまいちよくわからないが、とにもかくにも服を着替え、いつものように役割分担することになった。

年末出店祭り ( No.717 )
日時: 2015/12/31 21:03
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

男女分かれて着替える際、ふと気づいた凪は、カーソルに首を向けた。

「そー言えばカーソルさん。ベルベルさん来てないみたいだけど、作戦うまく行ったのー?」
「ん? まあ、成功と言えば成功なんだが、あっさり作戦がバレてビミョーな空気になった。ただ、クロノが行くと言ったから、ベルは留守番するって言ってくれたぜ。」
「猫の世話を誰かしないといけないからねー。」
「にゃーでんすのエリア拡大を目論んでいるらしいが、なかなかあいつのお眼鏡にかなう人材が見付からなくてな。」

どうやらベルは、あのにゃーでんすのチェーン展開を望んでいるらしく、現在絶賛人員募集中らしい。
とにかく、今回ベルは来ていないようだ。凪はそれを聞いて、安心した。

「でも、ベルベルさんが来てくれなくてよかったよー。めんどくさそうだしー。」
「ははっ、それは言えてるな。何気に頭硬くてさ。おっと、あいつの前では“ベルベル”とか呼ぶなよ? 何されるか分かんねーからな。」
「はーい。」

そんなこんなで、着替えシーンはすんなりいく…。

「…すまん、また神主服が一着足りないんだが。」
「はあぁぁぁぁぁっ!?」

わけもなく、再び事件が勃発しました。

「え、まさかこの間みたく誰かが神主服を処分したとか」
「いや、普通に私達の発注ミスだ。すまん。というわけで、誰か巫女服を」
「誰が着るか!」

男子全員、そう言って拒否した。だが、誰か犠牲にならないとダメだと痛感していた。
ここで、男子による醜い戦争が勃発した。

「…と、トア、着たら? 前にお姉さんのコスプレしてたみたいだし。」
「い、嫌だよ! 流石に僕だってニアのならまだいいけど、巫女はパス!」
「ムラサメ、お前ニンジャだろ? 女装くらい楽勝じゃね?」
「俺のはコスプレだ。サムライのスキルは使えても忍術は使えん。」
「烈。君になら似合うと思うよ?」
「ほう、お前は燃え盛りたいのか。風雅。」

タクトがトアに押し付け、カーソルがムラサメに無責任に提案し、風雅は烈に無理矢理渡したら殴られた。

「ブレイブリー組のみんなは」
「絶対に着ない!」

凪が進めるも、全員全力で拒否した。拒否された。全力で。
そんな中、鏡が何かに閃いたのか、ぽんと手を打った。

「あっ! 適任がいた!」

そして、巫女服を持ち、とたとたとある人物の前に歩いて行った。

「よろしくね、おネエさん!」
「アタシ!?」

それは、ジュリエッタだった。これにはノーデンス男性社員は、全員吹き出した。

「ははっ! こりゃあいい!」
「確かに口調が女っぽいが、これはアウトじゃ…ぶふぅ!」
「…ぷっ。」

カーソルは愉快な見世物と言わんばかりに絶賛し、ブランは駄目だろと言わんばかりに笑い、ムラサメは懸命に堪えていたが時折吹き出した。

「わ、笑う事ないじゃない! アタシだってきっと着たら似合うわよ! 着ないけど!」
「じゃあ着ろよ! 似合うなら着ろって!」
「面白がる気満々じゃない! ブラン! アンタならオジサンだから解るでしょう!?」
「解るが拒否権は俺には…駄目だ、笑いが止まらん…!」
「ムラサメ! アンタからも何か言って頂戴!」
「ネタとしてはアリだな。…ぷぷっ。」

ジュリエッタが喚いていると、隣からも笑い声が聞こえてきたことに気付いた。

「やだ、ジュリエッタさんが、女装…!」
「写真撮ろうぜ! 写真! 社員のヤツらへの土産にしようぜ!」

エリーは心底おかしいとばかりに笑い、ナガミミはジュリエッタを笑いものにしようと撮影を提案した。

「初めに会ったときは、女みたいな言葉遣いをして気持ち悪いと思っていたけど…こうなると可愛いわね。」
「心の性別と服装が一致していると思われます。身体は男のままですが…ふふっ。」
「おじさんが巫女服だなんて、気色悪いわあ。ねえ、スカーレット。汚物をカチコチに凍らせて頂戴。砕いて、彼を本物の女にしてあげるから。」
「言いたいことは解ったが、機能不全になるだけで女性の特徴を得る訳ではない。毛穴を焼却して死滅させ、いわゆるムダ毛が生えないよう処理することは可能だが…。」

リオナはジュリエッタとの初めの出会いを思い出し何気に辛辣なことを言い、クロノは冷静に分析するものの笑いに抗えず、眠そうな声の女性は物騒なことを言い出し、スカーレットは真面目に返答をしたと思ったら別の物騒な提案をした。

「あ、ついでにうちの裸になる事が好きな番長の汚物も凍らせて。あたしが砕く。」
「あ、俺からもお願いしまーっす!」
「待ってくれ陽介、里中! 色々待ってくれ!」
「えっと、スカーレット。アタシの精霊もよろしく。」
『待ってくれ由梨! って、ぎゃあぁぁぁっ!!』
「きゃあぁぁぁぁっ!!」

千枝と陽介がスカーレットに物騒な事を提案したら、それを聞いていた悠が泣きながら答え、ついでに頼んだ由梨が何かを頼んだら、イフリートがあっちに出てきたのだろう。…着替え中の女子の中に。

「…何があったか知らないが、まずは今一度、話し合いをすることを勧める。それでも駄目なら、ベルに頼んでくれ。これはスカーレットに頼むべき事案ではない。」
「う、ウッス…。けど、何かもう色々と無駄だと思うッス。あのセンパイに関しては。」

ブランは女子に怯えながら言ったので、完二はそう返した。
その騒動に乗じ、ジュリエッタはこっそりと更衣室の外へ出ようとした。

「あ、ジュリエッタさんが逃げます!」

が、それを発見したユウがびしっと指をさした。

「あっ、逃げんなよおっさん!」
「諦めて服を着てよー!」

ユウの声に反応したジャンとトアが、ジュリエッタを逃がすまいと先回りをした。
じりじりと、全員でジュリエッタの前に立ちふさがり、にじり寄ると…。

「わ、わかったわよ! 着るわよ! 着る!」

観念したのか、ジュリエッタは巫女服をかすめ取った。そして、不慣れな手つきで巫女服を着た。所々崩れているが。

「ぶふぅっ!」

現れたジュリエッタの姿に、当然のごとく全員吹き出した。

「おい、女子共! こっちきてみろよ! 面白いモン見れっぞ!」
「お、マジで!? 行く行く!」

どたどたとあわただしく現れたのは、ナガミミとエリーだった。後からリオナ、クロノが追ってくる。
そしてジュリエッタの姿を見たと同時に、先に来た二人が腹抱えて笑い出し、後の二人がこらえているのか、プルプルと震えた。

「いやー! 髭巫女! あははっ!」
「オイ! カメラどこだ! ヒヒヒッ!」
「思ったよりも、ひどい…! ふふっ!」
「駄目です…! 抑圧不能…! …ふふふっ!」

そのすぐ後に、残りの二人がやってきた。スカーレットと、白髪のおっとりとした女性だ。

「面白い見世物ねえ。寄らないで頂戴。」
「メイ、無理矢理着せられた身にそれは酷だ。…くっ!」

メイと呼ばれた女性はヤレヤレと溜息を吐き、顔を伏せるスカーレットの背をさすった。
その後、後から後からどんどん人がやってくる。

「あ、あはははっ! も、やめて、女装、やめ…!」
「うわぁ…。意外に似合うわ…ぶほっ!」
「…っ、っ…!」
「リリィ、無理に堪えないでいいと思いますわ…ぶっ!」

ジュリエッタとは顔見知りの理乃が床をバンバン叩きながら笑い、由梨が引き気味に応えるも最後に吹き出し、リリィがプルプルと震えていたので、牡丹が自分も笑いながら笑うよう促した。

「わー、ジュリエッタさん、凄く似合うよー。」
「ミオちゃん、棒読みよね!?」

澪は冷めた視線を浮かべ、ジュリエッタを見たら泣かれた。
そしてひとしきり男女全員で笑って、ジュリエッタが反論していたら…。

「…つかさ、昴さんなら神主服出せるよな?」
「出せるけど、面白いからしばらくこのままにしとく。」

烈が何かに気付き、昴に訴えるも、しばらくはこのままでいてもらう事にしたそうな。

年末出店祭り ( No.718 )
日時: 2015/12/31 21:07
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

そんなわけで、ひとしきり笑い、昴が神主服を出してジュリエッタを着替えさせた後、全員集合して役割分担の話し合いをすることにした。

「さて、今回は凄く人数が多いから、調理と販売班のほかに、何人か出店を出してほしいのだけれど、頼めるかしら?」
「出店って、何をやればいいんだ?」
「その辺りは任せるわ。料理が得意ならばその得意な料理を出してもいいし、他の事が得意なら、それを出しても構わないわ。」
「じゃあ、何人かで組んでやってみても面白いかもな。まずは出店の案を出そう。」

そんなことで、まずは出店の案を募る事にした。

「じゃあ、カードでジャンケンはどうかしら。互いに山札から手札を3枚引いて、その中からカードを1枚出して勝敗を決めるの。勝てば飴玉を2つ、負けたら飴玉を1つ、景品としてあげるの。」
「えっと、確かお前はデュエリストだっけ。お前らしい案だな。」
「じゃあ、ボクも一緒にやるー!」
「我も一緒にやろう。一人では大変だろうしな。構わぬか? リオナ。」

リオナの案に、ローズとジョーカーが合意した。リオナは快く申し出を受けた。

「出店もいいけど、警備も必要だよねー? スリとか出ないとは思うけどー。」
「そうだな。何人か警備に回った方がいいか。」

凪と烈が警備の心配をしていると、ムラサメが提案してきた。

「なら、俺とカーソルも警備をしよう。構わないか?」
「助かるよ。…神社に詳しい人も必要だから、アタシも警備に回る。」
「なら、私も手伝います。」
「オレもー! 紅と一緒なら空からも見れるもんね!」
『うむ、空ならばよく見えるからな。ムラサメ、お前も乗るか?』
「お前にか? …その身体では、子供一人乗せられないだろう。」

ムラサメの提案に、由梨、氷海、鏡も手伝う事にする。
紅の話になった時にしたムラサメの言い分ももっともで、精霊化していない紅では鏡はおろか、幼い子供のヴィクトリアでも無理だろう。乗れてもせいぜい擬人化していないジョーカー一味くらいなものだ。

「今の紅なら無理だけど、大きくしたら平気だよ! ここでは迷惑だから後でにするけど。」
「大きくするというか、精霊としての本来の姿に戻す、じゃの。」

鏡の言い間違いを、茜が訂正する。ちなみに、今回は茜も最初からいます。

「じゃー、僕達は地上から、烈達は空からの警備でいいよねー?」
「そうだな。空と地上からやればいいだろう。」
「俺は【ハイディング】で地上を見張ってるぜ。ムラサメは祭壇のある建物…名前なんだったかな? まあいいや。そこの警備な。」
「やたら範囲が狭いな。」
「天井警備員には野外の警備は無理だろ?」
「いつから俺は妙な名前の職に就いた! 天井なんかなくても警備はできる!」
「お前、いつも天井から降りてくるじゃねえか。まあいい。木から木へ飛び移って見張ってろや。」
「それなら納得だ。」

コスプレニンジャではなく、本当に忍者なのではないか。そう思うカーソルは「頼んだぜ」と一言だけ言った。
全員、とりあえず何も言わない事にして、次の案を募った。

「あと、花火をしたいんだけど、誰か手伝ってくれないかな?」
「それなら、メイにできるんじゃない?」

葉月が提案をすると、エリーはそう答えた。

「ほら、メイは機甲槍使えるし!」
「あれは敵を破壊する為の武器で、花火に使える気はしないけど…。」
「大丈夫だよ! “アンジーよりも有無が安い”って言うじゃない!」
「…それを言うなら、“案ずるよりも生むが易し”じゃな。」

冷めた視線でヴィクトリアがエリーの間違いをただす。

「エリー、帰ったら資料室でお勉強会やりましょうね。」
「えーっ! 冬休み初日に宿題を終わらせたのにー!」
「知識も力。力無き兵士は己が身を鍛えるのが筋だ。」

メイとスカーレットに挟まれ、エリーはしょぼくれた。

「ほほう、ちっちゃいのによく知っておるな。」
「わらわも遊んでばかりではないぞ。ヴィクターから教わったのじゃ。」

えへん、とえばるように言うヴィクトリア。横ではヴィクターがちょっと感動していたのは、そっと流しておこう。

「エリー。冬期講習を開講してあげるわ。交代制で。」
「なんでー! って、みんなも冬休みを楽しまなきゃ!」
「未修得のまま遊ぶなど、いけません!」

発言を聞いていた桐生が、エリーに近寄ってきた。これを見た学生一同は、(あぁ、また始まったな。)とでも言うかのように冷めた目で見ていた。

「勉学とは、基本的には後に社会に出た時に応用する為に修めるものなのです。また、知的好奇心を満たすことを覚え、新たな道を切り開き世に生かすのです。それに、最低限の知識を身に着けねば、困るのは貴方なのです。貴方だけではありません。貴方の無知が、周りの足を引くことさえあるのです。連携を取り、速やかに事を運ぶ為に必要なものは、何と言っても知識と頭の回転なのです。他にコミュニケーション能力も挙げられますが、それは主に授業外で身に着けるもの。部屋や仲間内に引きこもっていないで、その外にいる人々とも話をするのです。店の従業員にきちんと礼を述べるのも、立派なコミュニケーションです。『金を払っているのだから礼を言う必要はない』と思っている人がいるようですが、実にけしからん! 従業員が仕事を拒否すれば、大金を積もうと望むものを得られないのです! 従業員側も、仕事を与えてくれる顧客がいるからこそ、給金の発生する仕事を得られるのです。故に手抜きも誤魔化しも許されませません。互いに相手の存在の重要性を認識することです。そもそも、何故コミュニケーション能力が重要視されるかと言うと…。」

くどくどと、エリーに説教をする桐生を、全員放っておくことにした。

「いつにも増して長いなー。」
「だなー。で、花火班はそっちの、えっと、メイだっけ。お前がやるの?」

もう完全に放っておくことにした昴は、先程の話に戻すために、メイに振った。

「頼まれたからには仕方ないわ。うまくいくか判らないけど、やるだけやってみるわ。ところで…。」

メイは提案者の葉月に近付いた。

「機甲槍って、槍と砲を組み合わせた武器なんだけど…手入れは簡単じゃないのよねえ。扱うのもコツが要るし、火薬もタダじゃないのよねえ。」
「(ち、近い近い!)え、えと、その…。」
「ボランティアって、報酬を求めないけど、費用はかかるのよねえ。」
「あ、あうあう、あうぅ…!」

凄むメイに怯える葉月。何を要求するのかと思っていると…。

「お守り、一つくれないかしら?」
「…はへ? お、お守り?」
「ええ。お守り。」

メイは葉月の神社のお守りを要求した。

「…ど、どのお守りですか?」
「そうねえ、安眠のお守りが欲しいわ。」
「…あ、安眠はないけど…金運アップのお守り渡すね。」
「ありがと。いい子ね。」

お守りを貰う約束をしたメイは、葉月に抱きついた。胸に顔を押し付けて。

「むにゅうぅぅぅっ!!」
「見栄を張るなって、普通の乳。」
「アフロにするわよ、若おじさま。」

ブランがメイをからかうと、メイは怖い目で言い返した。

「あー、そろそろそいつ放してくれね?(ここが凍り付く前に。)」
「あら、ごめんなさい。」

そう言ってメイは葉月を解放した。

「…。」

むー、と頬を膨らませながら、葉月はメイを見るも、すぐに仕事に戻った。

「わ、私は治療班に回るわね! えっと、スカーレットさん、お手伝いお願いしますっ!」
「心得た。しかし、何故、私の能力を知っている?」
「え、えっと、貴方の力の流れに治癒の力が混ざっているので、多分治癒術が使えるのかと思って。」
「ふむ、確かに私は魔力を治癒力に変換することができる。よく気付いたな。お前もメイジなのか?」
「いえ、メイジというわけではありませんが、貴方と同じように魔力を持っています。」
「それで、私の魔力に気付いたという訳か。納得した。」

こうして、スカーレットと理乃は治療班に回る事にしたそうな。

「えっと、治療班には私もお手伝いした方がいいでしょうか?」
「アニエスは基本動かない方がいいと思う。うん、動 か な い 方 が い い 。」
「ひっ、ひどいですよティズ!」

アニエスの提案にティズが同意した。割と強調して。それにアニエスは軽く泣いたが、彼女を知る人すべて、ティズの言葉に同意していた。

「じゃあ、アニエスさんは私達と一緒に医療班にいてください。…迷子になった後に探すのが大変なので。」
「はい…。」

しょんぼりと落ち込むアニエスに、理乃は容赦なく言い放つ。アニエスもアニエスで反論する事もしなかった。

「あ、そうだ。俺もメイさんの手伝いするよ。」
「私も手伝うー!」

忘れていた、とばかりに紅刃が言うと、七海も同意する。

「えっ…大丈夫なのか、兄貴…。」
「火薬の扱いとか平気なの? 七海。ここ、爆発させないでね?」
「ちょっ、由梨ひどくね!?」
「だいじょーぶだいじょーぶ! 平気だよ、理乃!」
(不安だ…。)

一同、一末の不安を覚えるも、もうやる気満々なので放っておく。後はメイに何とかしてもらおうか。とも思っていた。

「ねえねえ、クロノ! 私達は占いやってみない?」
「占い…ですか。」

エリーが提案し、クロノは首を傾げた。

「クロノ、フォーチュナーでしょ? 占いなんかできると思うんだけどなー。」
「私の占いはこの神社というもので祀る神とは、性質の異なるものです。場違いだと思いますが…。」
「でも…占いに、神様、関係ないと、思う…。」

クロノの意見に反論したのは、リリィだった。

「クロノさんの占い、私、見てみたい。多分、場違いじゃ、ない。」
「そうですか…景観的にご迷惑をおかけしなければ良いのですが…。」
「大丈夫。やるなら私、手伝う。」
「ワシも手伝うぞい。」

リリィとノルゼンの後押しを受け、クロノは頷いた。

「分かりました。ご期待に沿えるよう、努めます。」
「うん、がんばろ。お店のお手伝い、頑張る。ノルゼンおじいちゃんは、同じ占い師だから、得るのもあるかも。」
「いやぁ、リリィ。ワシは占い師ってわけじゃないぞい。一応、教授なんじゃが…。」

ノルゼンは何かを言うが、リリィはその後一切無視した。もう何も言うつもりもないらしい。

「じゃあ、私は客寄せやるね!」
「集中の妨げになるのでやめて下さい。」
「そんなー! じゃあ、何すればいい?」
「じゃあ、俺の店を手伝ってくれないか?」

何もすることがなくて頬を膨らませるエリーに話しかけたのは、ブラン。

「適当に飲み物を提供しようと思ってな。」
「あ、そうか。ブランはバーテンダーだったね。」

ブランは、ノーデンス社のラウンジでバーテンダーをやっている。本人曰く「適当」に混ぜたカクテルは美味だと評判だとか。

「あ、じゃあ私も手伝うよ! 簡単なおつまみも作れるから、手伝えると思う!」
「私も」
「牡丹は客寄せで。料理は一切手伝わないで。」
「酷くありませんこと!? …いえ、無理もありませんわね。」

鈴花と牡丹がブランの手伝いを名乗り出るも、鈴花は牡丹を一刀両断した。一瞬反論するも、自分の腕を自覚したのか、ここから先は何も言わなかった。

「じゃあ、俺とセシルもそっちを手伝おう。」
「わたくしも簡単な調理ならばできますから、お手伝い可能ですよ。」

ブラン達の手伝いは大変だと思ったのか、フランシスとセシルも手伝いを申し出た。

「おいおい、出すのは飲み物だけにしようと…ああ、なんか適当につまめるもの作ってくれ。」

本来は飲み物の売買をするはずが、いつの間にかおつまみも出す話になってしまったので、計画を変更したようだ。

「あとはそっちで少しの警備と、料理ができる奴は神社の料理班に回ってくれ。あ、カダと赤いおっさんは絶対に入れるな。いいか? 絶 対 に 入 れ る な 。」
「大丈夫だ、昴殿。絶 対 に 入 れ な い 。アルテミア、ティズ、マグノリア、ジャッカル、リングアベル、アナゼル、キキョウ。この辺りでいいだろう。酒を扱うのならば、リングアベルとアナゼル、キキョウ辺りに任せたらいいだろう。」
「去年色々とやったし、オレも手伝うッスよ。」

ブレイブが何かを察したのか、強制的に料理ができる人物に決定した。それと、去年色々と手伝った完二もサポートとして加わるようだ。

「あと、神社のおみくじとかお守りとかを売る販売の方もそっちのみんなにお願いしたい。ナガミミ達もそっちに回ってくれ。」
「オウ、任せな。」

どんどん人手が増えたので、ブランは冷や汗をかいた。

「なんか、とんでもないことになってきたな…。これ、出店ってレベルか?」
「まぁ、そこは気にしないでおいとくのが一番だぜ?」

何かもう慣れたのか、ジャンは冷や汗をかいたブランに言い放った。

「って、もうこんな時間! 早く準備しなきゃ!」
「んじゃ、残りは神社の外で客寄せしててくれ。」

そんなこんなで、役割は結構適当に終わった。

年末出店祭り ( No.719 )
日時: 2015/12/31 21:13
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

最初のうちは客足も緩やかだったのだが…。

「うぎゃあぁぁぁっ!」

売り場班の手伝いに来ていたジャンが、もう目まぐるしい忙しさに叫んだ。

「なんっ、だよこれぇっ! さっきの平和な忙しさは何だよおい!」
「こっ、これがいつも通りなのか…!?」

同じように手伝いをしに来たブレイブが、横にいたパステルくんに聞いた。

「去年もこの時間辺りは凄く忙しかったなー。」
「うへぇ…。こりゃ、何人いても猫の手を借りたい状態だな…。」
「ネコの力が必要かにゃ?」

現れたのは、ミネット。こてんと首を傾げてせっせとお守りを売る傍ら、ジャンに首を傾げて聞いた。

「いや、猫はいいや。ミネットの力は必要だが、猫は今はいいや。」
「うにゃー…。」

ミネットはがっかりとした。
また別の場所では、飴玉を求め、子供達がごった返していた。

「せーの!」

リオナと女の子は一緒にカードを出した。リオナがチョキで女の子がグー。女の子の勝ちだ。

「おめでとう! はい、どうぞ。」
「ありがとう!」

嬉しそうな顔をして、女の子はその場から離れて次の子供に順番を譲った。

「デュエリストっていうから、運がいいのかと思ってた。でも、実際は普通なんだなー。」
「デュエリストの本質は、配られたカードで策を練ることだ。無論、運も絡むが、知識を引き出し頭を使い、そうして勝負を制することこそが、デュエリストの戦い方だ。」
「そっかー。」

ローズはジョーカーの言葉に、うんうんと頷いた。

「でも、あのジャンケンではデュエリストの戦いってやつはできないね。」
「そうだな。さて、ローズ。次の子が来るぞ。ほら、飴玉を袋から出せ。」
「はーい。」

そんなこんなで、ローズとジョーカーはリオナのお手伝いに徹したとさ。
別の場所では、カーソルと由梨が迷子の女の子を連れまわしていた。

「今お母さんとこに連れてくからなー。」
「わーい、ほのおのおねえちゃんといっしょー! わーい!」
「暴れんなっつーの。ったく…。」

女の子を肩車しながら、女の子の親を探す由梨とカーソル。

「人気者だな、お前。」
「ん、まぁ、一応この世界じゃアタシと理乃は結構名が知られてるし。」
「ほのおのおねえちゃんはつよいんだよー! せかいでいちばんつよいんだよー!」
「んな大層なもんじゃねぇっつーの。」

ぶっきらぼうに謙遜する由梨だが、女の子はなおも続ける。

「ほのおのおねえちゃん、せかいじゅうからあつまったつかさのおにいちゃんおねえちゃんのなかでいちばんつよいほのおのおねえちゃんなんだよー。すごいでしょー!」
「は? つかさ?」
「称号みたいなもん。アタシの世界でのな。…火、水、土、風の、四つのクリスタルに宿る精霊に認められた、その学園最強の使い手を、司る者と呼んでる。アタシは火のクリスタルに宿るイフリートに認め…られたくもなかったけど認められた、火を司る者。縮めて火の司ってわけ。んで、こいつが言ってるのは、司同士の世界大会が大分前にあって、そこでアタシと理乃が入った日本チームが優勝しちまったわけ。」
「まるでファンタジーだな。その司る者が、なんでまた俺達のいる、あの世界に来たんだ?」

カーソルが聞くと、由梨はうーん、と唸った。

「まー、早い話が、昴さん達に頼まれたから…かな。」
「頼まれた?」
「そっ、頼まれた。多分異世界にもアタシらの強さが届いたんじゃないかな? そこのとこ本人詳しく言ってなかったけど。で、昔ちょっとあの世界で色々あって、自分達の防衛にも限界を感じていた昴さん達が、アタシ達を頼って、んで、永住してあの世界を守ってくれって頼みに来たってところかな。」
「異世界を守る、か。それで、本来いた世界は大丈夫なのか? 司る者がいないと、不便じゃないか? そうだな、喩えるなら管理者の居ない建物か。」
「この世界の事なら大丈夫だよ。アタシ達がいなくても、強い奴らはごまんといる。司る者っていっても、学校単位でいるものだし、クリスタルだって学校に一組はあるし。まぁ、司る者っつーのは学園最強の魔導士だっていうだけの称号だし。だから深く考えなくても大丈夫だよ。」
「そう聞くと、大したことないように聞こえるな。」

「実際、そこまで大それたものじゃないんだよな。」と締めくくり、由梨はあははと笑いながら女の子の親探しを続けた。
さて、別の場所では…。

「おねえさあぁぁぁんっ! 俺と一緒に裸一貫で裸族技の研究しましょおぉぉぉぉっ!!」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
『今なら、裸友となってくれた記念にこの裸塩パンをプレゼントしますよおぉぉぉっ!!』
「案の定暴れやがったクマよ畜生。」

案の定、見回りの裸族が暴れやがったので同じく見回りについていたクマがいそいそと準備し始めました。

「アー、アー、こちらクマクマ。至急、現場に向かって欲しいクマ。」

無線に向かってそう言うと、一陣の風が木から木へと渡った。そして、風は裸族の目の前へ降り立った。

「なっ、お前は…!」

降り立った風—ムラサメは問いには答えず、静かに気を高めた。

「地獄で償え。」

緊張が最高潮になった瞬間、ムラサメは抜刀した。

「斬!」

一閃。醜き物の怪は何が起きたか解らぬまま、崩れ落ちた。

「ヒュー! ムラサメ、カッコいいクマ!」
「すぐに連行しよう。身体を隠せるものはないか? 布でも何でもいい。」
「ちょ、ちょっと待つクマ。んー…。」

クマはバッグの中をごそごそと漁るも、そう言ったものはないようだ。

「あ、ならさ、クマ。これ使えるか?」

上空から一部始終を見ていたのか、黒と共に降り立った烈が差し出したのは、簀巻き。

「おー、レツ、ありがとさんクマ! ムラサメ、これでいいクマ?」
「ああ。恩に着る。」
「ったく、こいつらも懲りろよなー。クマ、お前は引き続き警備を頼んだ。俺とムラサメさんはこいつらを昴さんに突き出してくるから。ああ、裏で多分HA☆NA☆SHI☆A☆Iをするから。」
「それでいいのか? 明らかに猥褻物陳列罪だと思うが…。」
「これでいいんだよ。」

烈の何とも言えない顔を見て、ムラサメは何となく何かを察した。それが何なのかは分からないが、刑罰以上に恐ろしい何かの予感がした。

「そうか。なら、意義はない。」
「よし。んじゃ、昴さんとこ行こうぜ。」
「分かった。」

そんなこんなで、烈とムラサメは一度昴に裸族を届けに行くことになった。

年末出店祭り ( No.720 )
日時: 2015/12/31 21:19
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

しばらく時間が過ぎ、ジャンは一仕事終え、神社の母屋で休憩していた。

「はー、疲れた…。」
「目まぐるしい忙しさだな…。ジャン、緑茶を貰ってきたが、飲むか?」
「あ、サンキューな、カミイズミ。」

同じく一仕事を終えて一息ついていたカミイズミが、ジャンに緑茶を渡した。ジャンは渡された緑茶をゆっくりと飲んだ。

「はー、こりゃ、いくら人手がいたってたりねぇな。」
「そうだな。そういえば、正教での新年の祭典はどのような規模だったのだ?」
「少なくとも、ここみたく目まぐるしい忙しさはなかった。ただ信者達が参拝して帰るぐらいな感じだったしな。ここみたく出店みたいなのは出てないな。まぁ、経典とか売ってるくらいか?」
「成程。では、ジャンもこのような忙しさは初めてか。」
「そうなるな。はー、でも、今日はいい夢見て寝られそうだな…。」

しばらく二人でのんびり休憩していると、パタパタと足音が聞こえた。

「あ、いた、二人とも。」

やってきたのは、葉月であった。

「おー、葉月か。どうした?」
「二人にお願いがあるんだ。着替えて二人で打ち合ってくれるかな? えっと、剣戟っていうの?」
「いきなり何でまた…。」

カミイズミが聞くと、葉月はちょっと頬を掻いた。

「えっとね、真剣勝負を見せて欲しいんだ。それでお客様を楽しませるの。」
「つまり、見世物か。」
「は、はい…。」

カミイズミにズバリ言い当てられ、葉月は縮こまった。

「私の剣は見せびらかす為のものではないのだが、真剣勝負なら話に乗ろう。ジャン、君はどうする?」
「願ったり叶ったりだ。一度、手合せして欲しいと思ってたところだ。」
「ならば、やろう。葉月、会場はどこだ?」
「えっとね、本殿…賽銭箱のある建物の隣にちょっとしたスペースがあるから、そこでお願い。」

二人は葉月に場所を聞くと、すぐに着替えに戻った。
ほどなくして、二人ともいつもの和装と帝国軍の軍服に身を包んだ二人は、葉月の用意した線の中に入った。

「まさか剣聖様とこうして手合わせができるなんてな。」
「私も、かのバレストラ家の者と手合わせができるとは思わなかった。こうした機会を嬉しく思うぞ、ジャン。」
「家は関係ない。俺は一人の剣士として、“剣聖”と呼ばれる一人の剣士と、戦うだけだ。」

ジャンの言葉に、カミイズミは不敵に笑った。

「そうだな。ならば私も、一人の剣士として、全力で戦うまでだな。」

やる気満々の二人の剣士は互いを睨み遣り、周囲の空気を引き締めた。

「…!」

ブレイブを始め、熟練の戦士は張りつめた気を感じ、一瞬手を止める。疼く身体と躍る精神を抑えながら務めるものの、落ち着きのなさは戦闘とは無縁の者にも判った。

「やべぇ、あれ混ざりてぇ…!」
「ははっ、烈もか。アタシも…少し、混ざりたい。ムラサメは?」
「興味はない。俺の剣は敵を討つ為に存在するものだ。」
「へー、意外。てっきり、アンタも剣に生きていると思ってたよ。」
「同胞同士の争いに意味などない。」

ムラサメは烈と由梨の問いに答えると、外方を向いた。

(もしも敵であったなら、恐ろしいことになっていただろう。それでも、必要とあらば…斬る。)

一瞬だけ、怒りとも悲しみともつかない、或いはどちらともつく眼をして、ムラサメは思った。
さて、剣戟会場に移ろう。じりじりと、互いは油断なく見合う。

(やっぱり、剣聖様は隙がねぇ…! 迂闊に飛び込んだから、一撃食らう!)
(ジャンの隙が見当たらない…。迂闊に攻めたら、こちらがやられる。ならば…。)

カミイズミは、刀を鞘に納めた。待ちに転じ、居合の構えを取ったのだ。

(居合…カウンターか! ああなったらこっちから飛び込まないと進展ねぇぞ! こうなったら…!)

ジャンは防御重視の【堅牢のバイソン】の構えを取った。カウンターでのダメージを少しでも減らすためだ。

「そっちは待ちに転じてるみてぇだから、こっちから行く!」

【堅牢のバイソン】の構えのまま、カミイズミに突っ込む。

「その心意気、見事! だが、負けん!」

カミイズミは刀を抜き、ジャンに向けてふるう。
だが、ジャンはその刀が届く寸前、バックステップで避けた。

「…ひゅー、やばかった…!」

ジャンは【バイソンホーン】で攻撃したのか、地に着くと同時に攻撃特化の【烈火のウルフ】の構えに移行した。その頬から、一筋の血が流れる。すんでの所で剣先が触れ、切り裂いたのだろう。

「ギリギリのところで飛んで、何とか勢いを殺したか。防御重視で構えで突っ込んできたのも功をそうしたようだな。」
「ああ、だな。」

血をぬぐい、不敵に笑うジャン。全身が高ぶる。剣聖カミイズミという人物と相対している、ただそれだけで、気持ちを高ぶらせるのは十分だった。

(やべぇ…! 下手すりゃ死ぬのに…すげぇ、楽しい…!)
(一撃を食らわせただけなのだが…分かる! ジャンはブレイブ並の強さを持つ剣士だ…! 凄く…楽しい…!)

カミイズミも、わずかに胸の辺りがズキズキと痛む。ジャンの一撃が通ったのだろう。だが、高ぶる高揚で、その痛みがわからないようだ。

(この勝負…! 負けられねぇ!)
(この勝負…! 負けられん!)

互いに不敵に微笑み、再び地を蹴る。
この勝負がどうなったか、それは…互いのみぞ知る。

年末出店祭り ( No.721 )
日時: 2015/12/31 21:27
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

やがて客のピークが過ぎ、一同は本殿隣に出店していたブランのバーに集まっていた。

「はー、今日も働いたな。」

早くも仕事納めとでもいうかのように、ブランのカクテルを飲む昴。わずかにほろ酔い気分なのか、機嫌がいい。

「七海、大丈夫かしら…。暴発させないといいけど…。」
「兄貴も大丈夫かな…。」

ややカウントダウンな雰囲気が漂っている中、新年と同時に打ち上げる予定の花火を打ち上げる人物達を心配している二人。
その横では、カミイズミとジャンがブレイブの前で正座していた。

「まったく、祭りの場で真剣を使って斬り合うとは何事だ! 模擬刀を借りればよかっただろうが!」
「はい、すみません…。」
「幸い、怪我人がいなかったからよかったものの、一歩間違えれば大惨事だぞ!」

どうやら、先程の剣戟は本人達の愛刀で行われたようだ。そう、真剣で。

「フッ、ブレイブ。我々がそんなへまをするかと思うか?」
「茜殿。すまないが酒を持ってきてくれ。ああ、度がきっつーいのを。」
「すまん、ブレイブ。冗談だ。冗談だから酒は、酒はやめてくれ!」

ほんのちょっとした冗談にブレイブはキレて茜に酒を持ってくるよう頼んだようだ。しかもかなり度がきついのを。その為、酒が苦手なカミイズミは青ざめた顔で、必死に訴えた。

「…師匠もあんな冗談言うんだ。意外。」
「ああ、剣聖殿があんな冗談言うのは意外だ。…元帥閣下があそこまで真面目な笑顔で嫌がらせをするのも。」

カミイズミの弟子であるイデアも真顔で驚いていた。隣にいたアナゼルも、ブレイブの行動含めて驚いていた。
そしてブレイブの説教が終わったところで、草むらの影に行ったカミイズミがぽつりと一言。

「私もまだまだだな…。」

彼の懐には、『サルでもわかるコミュニケーション・冗談編』とタイトルの書かれた本があったとか。
そんな説教の別の場所では、ナガミミがスマホの画面を見てケタケタ笑っていた。

「いやー、たまにはタダ働きもいいもんだなー! フヒヒヒ!」
「え、あんなにタダ働きは嫌だと駄々をこねてたナガミミちゃんがどうしたの? 頭でも打った?」
「打ってねーよコムスメ。ここに来なきゃ得られなかったモンがあるからな。これだけでも十分収穫だぜ。社内の人間にいい土産ができた。」
「お守り大量に購入したの? でも画面見てるってことは…ブフッ!」

ナガミミの見ていた画面を除き混んだと同時に吹き出した。
そこに写っていたのは、ジュリエッタの巫女服写真だ。

「だ、ダメだよ、ナガミミ、ちゃ…! けっ、消して、早く消して、あげないと…プフーッ!!」
「オメェこそ笑ってんじゃねぇか。よーし、カーソルに頼んで一定時間で自動的に社内の人間のパソコンの壁紙がこれになるよう設定してもらうか。」
「いいねえ! 出勤日の12時ピッタリにセットするか! 『笑う門に福来る』ってな!」

警備から戻ってきていたカーソルは、面白そうだと提案に乗った。

「フヒヒヒ、そうそう。社員のヤツらにも福をやらねえとな!」
「…あ。」

ナガミミといつの間にか近くに来て話を聞いていたカーソルがそう画策していると、不意に後ろからなにか不穏な気を感じ、気づいた澪は即座に離れた。

「あーなーたーたーちぃー?」
「おー、怪人男女巫女が現れたぞー!」
「逃げろ逃げろー! 食べられちまうぞー!」
「待ちやがれえぇぇぇぇっ!!」

ケタケタ笑いながら逃げ回るカーソルとナガミミを、おっさんに戻ったジュリエッタ…もとい、十郎太は追いかけ回したとか。
また、別の場所では、クマがぐったりしていた。

「おい、クマ吉。どうした?」
「ナルカミが暴れまわってて制裁するの疲れたクマ。ムラサメがとっちめた後も何度も抜け出して大暴れまわってその度にスーチャンの所に連れてくの変だったクマぁ…。」
「今年はクマがお疲れさまだね…。」
「去年のリセチャンの苦労が垣間見れたクマ…。」

ぐったりしているクマを、りせと陽介が労う。何度もカムイ呼んで攻撃を食らわせたのだろうか、疲れがにじみ出ている。

「来年は、美鶴さん達も総動員させた方がよろしいでしょうか?」
「とりあえず、来年はゆかりちゃんとコロちゃんつれてきてもいいかも。うん、多分どっちもあの変態を制裁するから。」

来年は自分達の方からも人手を出そうかと考えているアイギスと風花は、そう思いながら遠い目を浮かべたとか。
また別の場所では、ジェイドが烈が買ってきてくれたアメリカンドッグを食べていた。

「ぷはー! 働いた後のアメドは美味しいね、烈!」
「それ言うならビールだろと思うが、まだ理事長先生は飲めないか。」
「仮に飲めたとしても飲まないとは思うなー。あんまり美味しくなさそうだし…。酒屋の息子である君の前でいうことじゃないけどね。」

ジェイドのその言葉を聞いて、ピクピク、と誰かの耳が動いた。

「酒がまずいだとぉ! けしからんっ! お主は酒の事を何一つわかっとらん!」
「ふえっ!? え、えっと…。」
「って、ばーちゃんもう出来上がってんのかよ…。」

すでに出来上がっている茜は、ジェイドに近寄り、ずいっ、と顔を寄せた。その姿に烈は頭を押さえたとか。

「酒と言っても種類は豊富じゃよ? ビール、ワイン、日本酒、ウイスキー。苦いのや辛いのもあるが、甘い酒もあるぞ。」
「え、そうなの? 苦いのとか、辛いののイメージがあった。」
「カッカッカ! まぁ、じゃろうな。例えば、そこのバーテンダーが作るカクテルは甘い酒のが多いの。日本酒だって飲み口がスッキリしている甘口の酒もあるし、みんながみんな一概に辛い酒ばかりではないぞ?」
「うーん、もう少し大人になったら、僕もちょっと挑戦してみようかな。」
「うむうむ。よっぽどの事がなければ挑戦しているといい。ただし、勧める時には飲んですぐ酔うどこぞの下戸には渡さんようにな。流石にそれは体質じゃから、仕方がないが、中には質の悪い酔い方をするからの。」

その言葉を聞いていた理乃と由梨は、一斉にとある方向を見た。
そこでは葉月が顔を覆って申し訳なさそうに俯いている。あぁ、その質の悪い酔い方の代表例ですからね。フランシスもカミイズミも弱いだけだし。

「…まぁ、飲めない他人に酒を勧めない限りは大丈夫だろう。」
「あの飲んだくれ、無理矢理勧める。フランシス、寄らない方がいい。」
「お世話になってる家の主人を飲んだくれとか言うな。いや、気持ちはわからんでもないが。」

酒の香りがして少しほろ酔い気分のフランシスだが、リリィのとんでもない発言にはちゃんと反応して同意はしつつも突っ込んだ。

「しかし、去年も今年も何ら変わらないな。変わったのは人数くらいで。」
「…でも、そこが変わったから、楽しい。アニエスさんや、ナガミミさん、みんなみんな、楽しい人。友達、いっぱい、楽しい。」
「…。」

フランシスは、リリィをじっと見た。

「? どうしたの? フランシス。」
「いや、何でも。」

が、すぐにふい、と顔を背け、鈴花が焼いた鮭をつついていた。

(俺達と行動していた時より変わったよな、こいつ。昔は俺達と一緒にいてもなんの興味も示さないかのような顔してたのに…。今じゃ俺達が見ていないと何を調べるかわからないくらいに好奇心旺盛になりやがって。…まぁ、烈達の側にいたから、だろうがな。)

しみじみと、フランシスはそう思った。


「おっ、そうこうしている内にもうすぐ日が変わるぞ。」
「今年も色々とあったけど、やっぱり思い出深いのは…。」

ナナドラ組以外、表情を俯ける。きっと彼らの脳裏には、同じ事が出てきているのだろう。

「…まぁ、あれもいい思い出、だ。」
「だね。あ、あと十秒になるよ!」

時計を見ていた鏡が言うと、全員カウントダウンの準備をした。

「十! 郎太。」
「九! 急車。」
「八! 七五十六。」
「七! 子ちゃんって相変わらず可愛いよね。」
「六! 六三十六。」
「五! 七五七七。」
「四! 分音符。」
「三! 三七拍子。」
「二! ゃーん。」
「一! ごパフェ食べたい。」
「二千十六年、おめでとー!!」

空高く、花火が三発景気よく上がる。メイと七海と紅刃の機甲槍を砲台にしたものだ。
同時に、去年同様本殿前が青く光輝く。

「わ、わわっ、なんですかこれ!?」
「ふわー…!」
「あ、マグノリアが口ポカーンと開けていつもの台詞言えてない! でも、すごい綺麗だよね、これ!」
「葉月、これはいったい何?」

初めての事にユウは驚き、マグノリアが口をポカンと開けて放心状態になり、イデアがそんな彼女をからかうも目の前の光景に心奪われ、ティズは冷静に葉月に聞いた。

「また説明するのか…。私の住む神社は、青龍の加護が満ちていてね、この新年の日にその力が強まって、私貭の力も同時に強まってくれるの。目に見えて強くなってる訳じゃないけどね。」
「えと、つまり、この神社は水とか氷属性にとってはPower Spotって訳ね?」
「何か去年もそんなことを誰かが言ってたけど、その通りだよ、マグノリアちゃん。」

そんな感じで場がまた賑やかになる。新年の挨拶をする者、飲んだくれる者、仮眠を取りに行く者と、様々だ。











そんな中、メイ、七海、紅刃が帰ってきた。

「理乃、どう!? どう!? 花火、どーんと上がったでしょ!」
「由梨、見たか! 俺だってちゃんと上げられたぜ!」
「ええ、本当に貴方が機甲槍を壊さなくてよかったわ。」
「ああ、兄貴が誤って火薬を炎か雷で暴発させて、ここら一帯が吹き飛ばなくてよかったよ。」

理乃と由梨がそう言うと、七海と紅刃は真っ青な顔を浮かべた。

「い、いやー、それは…。」
「…メイ様の前で、そんな粗相をしたら…殺される気がしたから、その…頑張って耐えた。」
「何 が あ っ た し 。」
「何か、凄い怯えてるけど、何があっ…いや、いいわ。何か聞いちゃいけない気がしたから。」

紅刃が他人を様付けで呼ぶなんて相当だ、と感じ取った理乃と由梨は、これ以上何も聞かなかった。いや、聞けなかった。
昴はそんな光景を横目で見てから、空を仰いだ。
篝火でやや明るくなっているのだが、空は満点の星空なのがわかった。

「来年は、もう何も起こらないといいけどな…。」

昴の言葉は、風に乗って消えていった。

年末出店祭り 後書き ( No.722 )
日時: 2015/12/31 21:34
名前: 奏月 昴 ◆Dh/xEZWmVM (ID: SpLhUj83)

後書き de 雑談



—去年、巫女さんバイトの様子を書いたと思ったら、もう今年も終わりか…。というわけで、本年度最後の更新です。


「念願の逃走中を始められたし、料理対決もここまで続くとは思わなかったし、あとは全部完結に持ってくだけだな。」


—しかし絶望的に筆が乗らない。色々とありすぎたせいかなーと。


「あー、色々と、なー…。」


—さて、今回もまた理音の13班が出たから紹介してもらいましょうか。最後の一人になるのかな。


「だな。また捕まえてはおいたぞ。」
※手には伸びた理音をプラーン


—だから前触れもなく親友捕まえてくんなって;

理音
「別に熱狂的じゃないよ…全然そんなんじゃないってば…。」


—…。


※しばらくお待ちください…



—身 内 に し か わ か ら ん ネ タ 話 す な 。
※たらいの洗礼


「よ、容赦ねぇ…。」

理音
「あ、れ!?」


「あーもー面倒だ。とっとと最後の一人について話せ。」

理音
「えっと、うん。」
※読み返して事情を把握


名前:メイ
外見:ゴッドハンド女B3
職業:バニッシャー
VO:ボイスタイプF(沢城 みゆき)
備考:重火器を装備するメイドは絵になりそうだと思い、組み合わせてみた。実際にこんなメイドが屋敷とかで仕事をしていたら、頼もしいけど辺りが吹っ飛ぶ。 
   声がエロいというか眠そうというか、そんな風に感じた。ちょっと癖になった。
   13班の中で一番、サディスト。



「メイドバニッシャー…;沢城さんはFE覚醒の女ルフレや青い部屋のエレベーターガールが有名かな?」

風花
「ひぃっ! め、メギドラオンはやめてくださいー!」


「おーい、誰かこいつ落ち着かせろー。あとついでに影でガタガタ震えてる辛党アイドルも正気に戻しとけー。」


—うわぁ;ベス様でトラウマ者続出してる;


「格ゲーの一撃必殺のコマンドはくっそめんどくさいけどね。」

理音
「【アースクエイク】のおかわりはいかがですか。」

昴&鏡&由梨&理乃
「最大火力はいりません。」

理音
「それ、ドーンと。」
※火薬最大の【アースクエイク】発動

全員
「ノギャー!」
※ちゅどーん!

理音
「夜更かしもほどほどに。では、お休みなさい。」
※申年へ向けて去る


—えー、もう色々と突っ込む点もございますが、本年もご愛読ありがとうございました。また来年、お会いいたしましょう。それでは、今年はこの辺りで! まったねー!








—今年もいろいろとお世話になりました。では、感想OKです。


「来年初めはどうするか未定だが、また年明け企画か、逃走中辺りUPするかも。」