二次創作小説(映像)※倉庫ログ

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その1) ( No.73 )
日時: 2016/08/01 02:33
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

呪いは依頼人だけではなく、依頼人の子供にまで魔の手を伸ばす。蛇に目を付けられたWSTはミノリに掛けられた呪いを解き、二人を救う事が出来るのか!?





カムイ「う・・・うん・・・」
タクミ「目を覚ましたようだな・・・」
カムイ「私、どうして倒れたのかしら・・・確か・・・」


目を覚ますと、カムイは病院のベッドで眠っていた。その横にはタクミがおり、悲しそうな表情をしていたが彼女が目を覚ました事で安堵の表情になる。窓からは暖かい日差しが差し込み、その日差しを浴びてスズメが自由に飛び回る。時間帯は朝だろう。
どうして自分が病院にいるのかと少し前の事を思い返す。最初は眠気で意識ははっきりとしないが、次第に昨日の出来事とあのエコー写真を思い出し、意識が覚醒する・・・。


カムイ「じゃあ、昨日のあれは夢じゃないって事・・・!」
タクミ「あれは誰が見ても発狂するのは当然だ・・・精神が強い兄さんもふらついてた・・・これ、お茶だ。飲め」
カムイ「ありがとう・・・」


マコが見せた写真は紛れもなく本物であり、ミノリの腹の中にいる赤子は母体同様に蛇のせいで今も苦しんでいる・・・。


カムイ「ミノリの方は大丈夫なの・・・?」
タクミ「ミノリの容態は今も安定しているが、今後また苦しむ可能性が高い・・・。兄さんから「二人には真相は告げない方がいい」と釘刺された・・・。」
カムイ「原因が分からない以上、余計な事がしない方がいいもんね・・・」


幸せな家族がどうしてあんな目に遭わないといけないの?カムイは依頼人達の力になれない事にもどかしさを感じ、ベッドのシーツをギュッと握る。そんな彼女に白夜王国の弟王子はシーツを力を握る手に自身の手を添える。


タクミ「辛いのはお前だけじゃない・・・僕や兄さん達も同じだ・・・一番辛いのは・・・」
カムイ「・・・」
タクミ「それと、病院を出るのはお昼頃だからそれまでに休め。何かあったら、いつでも言え・・・」
カムイ「ごめん・・・そっちは大丈夫なの・・・?」
タクミ「大丈夫だ。兄さん達は外で仮眠をとっている。病院内でもまだ安心できないし、お前が欠けてる状態では行動なんて出来ない・・・。何しろ、あんたは別世界と言えど・・・。いや、何でもない・・・」


呪いで苦しむ依頼人と気を失ったカムイを心配する中、彼等は仮眠を取りつつ、看病と見張りを交代で行っている。寝る場所が廊下のソファと寝心地が悪いが、すぐに動ける点がある。カムイが目を覚ましたと聞き、彼等はホッとした・・・。





深夜の襲撃騒動とミノリの蛇姫様の呪い騒動でドタバタしてたものの、依頼は四日目に入る。
ずっと苦しんでいたミノリは日帰り退院が可能であり、アルジャが一同と医者に礼を言う。医者も呪いの噂は知っていたものの、写真に映り込んだ蛇に言葉を失った。医者もこのようなケースは見た事がなく、現代の医学でも直せない事と二人分の命を救う術がない事に痛感している・・・。ちなみにマコは用事があるため、この場にはいないようだ。


アルジャ「ミノリさん、体は大丈夫ですか?」
ミノリ「大丈夫よ。皆さん、ご迷惑おかけしてごめんなさい・・・」
リョウマ「困った時はお互い様だ。さっきの件もあるし、タクシーで帰った方がいいな」


一同は家に戻る。再び集合をし、昨夜の襲撃について話をする。まずはあの襲撃の時に唯一外に出ていたマリオから話を聞くも・・・


マリオ「周囲を警戒したが、外には怪しい奴やものは見てないぞ!」
リョウマ「外でも何もなかったのか・・・」


外の方では異変はなかった。しかし、呪いの方はかなり進行しており、すぐにでも命を奪われる危険性がある・・・。そこで何らかの異変がないかと、もう一度調べる事に。


マルス「もしかしたら、何らかの変化があったり、見落としているところがあるかも・・・!」
タクミ「善は急げだ。探しに行くぞ!」
カムイ「エリーゼ、今度の呪いはもしかしたら解除をしようとする人にも牙を向ける可能性があるから、何かがあった場合は無理はしないで・・・」
エリーゼ「分かった・・・!」


貴重な時間を無駄にしないため、エリーゼを除いた一同は再度外へと出る。カムイは神社の事が気になり、そちらへ足を運ぶようだ。


カムイ「神社までの道のりって遠かったはず・・・。だったら、駄菓子屋で自転車をレンタルして・・・」
メリル「あれ?カムイ様、どうしたのかしら?」
カムイ「あ!メリル・・・!」


駄菓子屋へ向かう彼女は不意に声をかけられた。声をかけて来たのはメリルだ。依頼人の妹が無事な事に安堵はするも、二日目の件を思い出して体が固まる。


カムイ「えっと・・・あの・・・その・・・」
メリル「カムイ様、お気になさらずに。私こそ、失礼な事をしてしまってすみません・・・。こちらの事情を知らなかったからこそ、心配してくれてたんだよね・・・」
カムイ「私も係わりすぎたのに一理はあるかな・・・。それよりも、昨日はどこに行ってたの!こっちは大変だったのよ!」
メリル「私がどこに行こうと、関係ないでしょ。またあの人が心配し・・・」
カムイ「そうじゃないの!ミノリが病院に運ばれたの!」
メリル「ミノリさんが!?嘘でしょ・・・!!」


兄の大事な人が病院に運ばれたと聞き、彼女は青ざめる。彼女は一時は家に帰ったのだが、その時には家に誰もいなかった。入れ違いだったのだろう。改めて自身の携帯を確認すると、たくさんのメールと電話が来ている事にようやく気付く。


メリル「本当だ・・・!病院行きになったって事は赤ちゃんは無事なの・・・!?」
カムイ「赤ちゃんはミノリと共に無事よ・・・!?」


ここで二つの国の姫君はある事に気づく。今の反応からして、メリルはミノリの体に起きた異変については知らないのだろうか?不用意に蛇姫様の呪いの事を口にしたら、逆に彼女を不安にさせてしまう。ここはさり気なく探りを入れてみよう。


カムイ「・・・メリルはミノリの容態については知ってる?」
メリル「知ってるわ。前はろくにご飯が食べられなかったり、匂いだけでも気分を悪くさせてたの・・・。妊娠中の症状が前は頻繁に起きてたけど、今は落ち着いてるわ・・・。」
カムイ(メリルはミノリがとんでもない事になってる事を知らないみたいね・・・)


メリルの反応からして蛇姫様の呪いを受けている事は全く知らないようだ。おそらくは依頼人夫婦が告げてないからだろう・・・。重要になりそうな情報を得ると、相手をなだめる。これ以上、彼女に負担を与えないようにと去ろうとした時、相手が何かを渡してきた。それは何かの薬草だ。


カムイ「これは・・・?」
メリル「これはね、リラックス効果がある薬草なの。お茶にして飲むといいんだって。お願いがあるんだけど、この薬草をミノリさんに渡してくれない?私、この後用事があるからさ・・・」


突き出すように渡された薬草は見覚えがあった。以前、自分の優秀な執事が休憩の時に用意してくれたお茶と同じであった。その効果は十分知っている。ふと依頼人の妹の姿を見ると、少し服や靴や指先が汚れていた。この意味をカムイは理解した。


カムイ「分かったわ・・・。だけどさ、こういうのは自分で・・・」
メリル「だから、私は用事があるって言ってるでしょ!お願いね!」


相手の返事を待たず、メリルは薬草を押し付けるとどこかへと去った・・・。残されたカムイの手には渡された薬草・・・。


カムイ「行っちゃった・・・;って、しまった!?ここで日記帳の鍵を渡せばよかった!!?タイミング悪すぎたぁぁぁぁぁ・・・OTL」


肝心なところで忘れ物を渡しそびれた彼女は今度会った時に渡すと決め、本来の目的に取り掛かる。駄菓子屋で自転車をレンタルすると、自転車のペダルを漕いで神社へと向かう。





カムイ「風が当たって気持ちいいわー!何か、映画やドラマのワンシーンみたいだわ!」





雲一つない青い空。風になびく美しい髪。元気いっぱいのカムイ。田舎町で自転車を漕ぐ姿。それらのが重なると、まるでドラマの冒頭を飾るワンシーンのように美しい。カムイの服装が場に合ったものだったら、より彼女を美しく引き立てるだろう。
シリアスな依頼でこのような場面は一種の清涼剤にもなる。え?自転車を乗った人がいなかったって?気のせいだ





カムイ「着いたー!うわー・・・階段が長いわねー・・・」
マルス「あれ?カムイもここに来たの?」
カムイ「マルス、お疲れ。そっちはどうだった?」
マルス「収穫ゼロ。僕も神社のが気になったから、こっちに来たんだ。しかし・・・」
カムイ「あー;マリオと兄さんが見たあれがあるからか・・・;」

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その2) ( No.74 )
日時: 2016/08/01 02:39
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

神社の入り口である赤い鳥居の前に着くと、別の調べ物をしていたマルスと合流する。相手も同じように神社を調べに来たのだが、以前行った仲間がとんでもないものを見たから、進む事に対して抵抗が生じる・・・。だが、味方が一人増えただけでも違うので、やる気が少しだけ増す。
意を決して長い階段を上ると、広い境内と蛇姫の像が祀られている祠とその奥に鎮座するご神木が目に入る。そして、紙人形と細切れにされた蛇の死骸にも目星が付く。話を聞いただけでもゾッとしたのだが、実物を見るとその惨さがヒシヒシと伝わって来る・・・。白夜王国や暗夜王国にも似たような呪術や黒魔術はあるのだが、それとは違う恐ろしさがある・・・。


カムイ「うわぁ・・・;エグい・・・;」
マルス「これはちょっと・・・;」
カムイ「そう言えば、兄さん達はこのご神木について詳しく調べてなかったよね?」
マルス「確か、これを見て逃げ出したんだよね・・・(しかし、ここでも蛇が・・・」


別の形で幾度も見る蛇と得体のしれないものを見た二人は気分を悪くする。だが、ここで新たな発見をする。


カムイ「あれ・・・?」
マルス「どうしたのカムイ?」
カムイ「この紙人形、赤い何かで書かれているわね。って、これ・・・!?」
マルス「まさか・・・その赤いのって・・・!?」


ご神木に打ち付けられている紙人形を見ると、歪な赤い線が書かれていた。また、それに触れた瞬間、ヌメッとした感触と鉄臭い臭いがした。赤い線の正体は言うまでもなく、血だろう・・・。
紙人形に何が書かれているかと調べるも、血が滲んでいるせいで読めなかった。だが、不意に触った時に分かった事もあった。鉄の臭いがする赤い液体は酸素に触れてないため黒ずんでおらず、ついさっきまで誰かがここで何かをしてたのが分かる・・・。


カムイ「ダメだ、全然読めない・・・。少なくとも、このご神木に打ち付けられた紙人形と蛇が無関係とは言えないよね・・・」
マルス「場所が場所なのと、ミノリの体に呪いがあるからね・・・。もう一度古文書を読み直したり、図書館などで調べたり、ミノリやアルジャに聞こう。あとさ、さっさと帰らない?背後からさ・・・;」
カムイ「むしろ、さっさと去るべきだよね」


例の如く竹藪から無数の蛇の視線を感じる。長居は不要だ。せめて、帰る前に手についた血を落とそうと、手水舎(ちょうずやと読む。神社で参拝客が身を清めるために神社脇にある)で手を洗う事に。幸いにも綺麗な水が流れており、土や葉っぱで汚れていない。


カムイ「変な呪いがこっちに来なければいいけど・・・あとでエリーゼにお祓いしてもらおう・・・;」
マルス「うん;カムイ、神社でふと思い出したんだけど、白夜でも神社での参拝とかはあるの?むしろ、こういうのはあるの?」
カムイ「あるわよ。当然、私も神社の参拝方法は知ってるわ。手水舎(ちょうずや)での清め方やお賽銭のやり方の他にも神社の通り方も・・・」
マルス「へぇ、両国の文化を知ってるんだね」
カムイ「白夜王国と暗夜王国が手を取り合う中、こういう行事毎は交流の機会にもなるからね。めでたい日になると、美味しいお酒が飲み放題だし・・・へっへっへ」
マルス「新年早々に大暴れしないで;」


手の汚れを落とした後、カバンから手を拭くものを探す。すぐにハンカチは見つかったものの、同時に奇妙なものが見つかる。


マルス「あれ?これはアルジャの古文書じゃない?カムイ、持って来たの?」
カムイ「え?ミノリが蛇姫様の呪いで苦しんでる時に慌てて持って来ちゃったのかな?あとでアルジャに返しに行こ・・・!?」


竹藪の奥から獣の雄叫びが聞こえ、自分達を遥かに超える大きな影が出現する。明らかに危険だと察した二人は手水舎(ちょうずや)の後ろに隠れる。物陰から様子を伺うと、何者かは境内に姿を現す。それは巨大な熊だ。


熊「・・・」
マルス(田舎や自然に恵まれた場所だと、動物や出やすいから気を付けないとね;しかし、あの熊はかなり大きいね)
カムイ(見つかったらまずいわね。あーあ、こういう時にブノワ(コワモテ系アーマーナイトで軍の中でクマと仲がいい)がいれば解決するのになー)


気配を完全に消して熊が去るのを待つ。熊は境内を自由に歩き回ると、そのまま竹藪の方へ歩む。完全に姿が見えなくなったら急いで去ろう。そう思ったその時だ。


ズズズズズ・・・


カムイ(何、この気配は!?とんでもない圧力がひしひしと伝わって来るわ・・・!)
マルス(ここまで強いオーラは感じた事ない・・・!?どこからなの・・・!)
カムイ(ご神木の方からだわ・・・!)


突然、ご神木から息が詰まるほどのオーラが放たれ、二つの国の姫君とアリティアの王子は一斉に青ざめる。そのオーラには威圧感があり、その威圧感に二人は押し潰されそうになる。本当ならばこの場から離れたいのだが、ここで動いたり悲鳴を上げてはいけないと、本能が告げる。当然、竹藪へ歩む熊も同じように気づく。野生の勘からか警戒心を剥き出しにしている・・・。
早く解放されてほしいと願う中、またしてもご神木の方から異変が起きた。ご神木に打ち付けられた蛇と紙人形から黒い靄が溢れ出した。それは重力に従ってご神木を中心に広がり、境内の地面を黒く染める。カムイ達が隠れる場所や威嚇する熊の方にも近づくが、そこまで届かなかった。
場に出現した靄は一か所に集まり始める。靄は一つに集い、それはある形となった。





二人(蛇・・・!?)





そう、一同を散々と悩ます蛇の形へと姿を変えた・・・!靄で作られた蛇は目を赤く輝かせ、周囲をその眼光で見渡す・・・。
実体無き蛇は周囲を見渡すと、細長い体を自由自在に操りながら前へと進む。その動きは完全に蛇そのものだ。だが、その進路上には熊がいた。巨大な獣は目の前に出現した異様なものに敵意を剥き出しにし、雄叫びを上げて飛びかかる!あっちには人や自分同様に巨大な獣の命を奪う鋭い爪や牙がある。だが、相手は・・・!


熊「グルル・・・グガアアアアアー!!」
蛇「・・・」
熊「グガッ・・・!?」


蛇は素早く移動するや否、瞬時に熊の体に巻き付く。一瞬の出来事で相手はうろたえるも、その声を発する事は出来なかった。何故なら、蛇が自身の体を締め付けて来てるからだ!細長い体から想像出来ないほどの力で体を締め付け、ミシミシと骨が軋む音がする。その音はカムイとマルスの耳に入る。信じられない光景に瞬きする事を忘れ、彼女等はただそれを見る事しか出来ない・・・。
そして・・・!





ボキボキボキボキボキボキボキボキボキィ!





境内に響く砕ける音。その音は熊の体から発せられた。そう、熊の骨が折れた音だ。体中の骨という骨を折られた獣は目や鼻や口から血が流れ、地面を真っ赤に染める・・・。自慢の力で軽い腕慣らしをし終えたかのように蛇は熊の体からゆっくりと離れる。蛇によって支えを失った相手は重力に従ってその場にどさりと倒れた。体中がありえない方向にねじ曲がった状態で・・・
蛇は邪魔者がいなくなったのを知ると、役目を終えたかのようにその場に消えた。そして、あの威圧感も同時に消え、境内に静かな時間が戻って来る・・・。そして、その一部始終を見た二人は緊張感が解けたのか、その場にへたりと座り込んだ・・・。


マルス「今のは見た・・・?あれ、ご神木から出現したよね・・・!」
カムイ「見た・・・。靄は蛇の形になって、熊の骨を折ったんだよね・・・!?」


目の前で起きた事に頭が混乱するも、調べるものが新たに追加された。まずは目の前で絶命した熊を調べる。熊は苦悶の表情を浮かべており、自身を覆う体毛には締め付け痕があり、その痕は痛々しく感じられる・・・。体に触れると、体温は人より高めで温かいが、それは時間の経過と共に徐々に失われていく・・・。次にご神木の方を調べると、ご神木の方にも変化があった。細切れになった蛇が生気を奪われたかのように干からび、体が黒くなってたからだ・・・。
ここで二人はある事に気づく。ご神木に打ち付けられた蛇と紙人形、ご神木から出現した靄、蛇の姿となった靄、絶命した熊。これ等のを見たカムイ達はある考えに辿り着く。そう・・・!





カムイ「誰かがこの神社でミノリに呪いをかけた・・・!?」





考えられるのはそれしかない。何者かが神社で何かを行い、ミノリに呪いをかけたのだ・・・!

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その3) ( No.75 )
日時: 2016/08/01 02:45
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

依頼人の体には締めつけられた痕があり、目の前で倒れた熊と同じだ。また、神社には霊気や生命エネルギーが集いやすく、同時に神や邪神などの通り道や降臨にも適した場でもある・・・。何者かは対象に呪いをかけるべく、蛇や紙人形や血などの必要なものを用意し、決められた手順でご神木に打ち付けた後、ご神木の力や蛇の命や執行者の念などが混ざり合い、それが蛇となって対象へ向かう・・・!


カムイ「これは皆に報告した方がいいわよ!ミノリに呪いをかけた犯人が普通の人じゃない可能性があるわ・・・!」
マルス「魔法や呪術を使う可能性もあるし、戦う事も頭に入れた方がいいね・・・。あの蛇なら、戸締りをした家の中にも侵入が出来る・・・。完全に安全じゃなくなったね・・・!」


厄介な相手との戦いがあると踏み、再び話し合う必要がある。大急ぎで家に帰ると、仲間達が待っていた。当然、部屋に集めて神社の出来事を伝える。話を聞いた四人は絶句し、特にマリオとリョウマは青ざめていた。


マリオ「マジか・・・俺等が行った神社にそんな事が・・・もし、タイミングが悪かったら、俺等もああなってたのか・・・!?」
リョウマ「カムイとマルスが無事でよかった・・・」
エリーゼ「だけど、犯人は神社に来る可能性があるよね!だったら、神社で待ち伏せや突撃をすれば・・・!」
タクミ「シンプルな作戦だが、それが一番だろうな。神社に行くのならば、武器を持った方がいいかもしれない。そして、ミノリの護衛も・・・」


作戦を立てる中、部屋のドアをノックする音がした。一同はそちらを振り向き、「どうぞ」と開ける。そこにいたのはミノリだ。


カムイ「ミノリ、体は大丈夫なの?」
ミノリ「ええ、落ち着いたわ。今はすっかりと歩けるほど回復したわよ。昨日はみんなに迷惑をかけちゃってごめんね・・・;」
リョウマ「いや、当然の事をしただけだ。それよりも、俺達に尋ねてここに来たんじゃないのか?夕飯の手伝いか?」
ミノリ「うーん、夕飯の手伝いはまだだけど、実はみんなにお願いがあるんだけどいいかな?」
エリーゼ「あ!あれか!」


どうやらミノリからの頼み事であり、事情を知るエリーゼが声を上げる。何だろうと思い、二人から話を聞く。


ミノリ「・・・だけど、ダメかな?」
マリオ「それくらいはいいぜ!依頼の事で若干ピリピリしてたからな。こういうのも悪くないだろう」
タクミ「だから、三日目は隣町に行ってたのか。僕達の場合は兄妹が多いからよくあるし、最近では人数が多くなったからその分の楽しみも増えたぞ。」
カムイ「私も同じ。明日は丸一日やるわよー!料理は手伝うわ!」
マルス「部屋の飾りつけや掃除なども手伝うね!」
リョウマ「じゃあ、俺がマークス王子を沈めた一発芸を披露し・・・」
ミノリ「リョウマ様、その隠し芸は物理的な意味で沈めた隠し芸じゃないですよね;」


一同からの許可を得ると、そのまま夕飯の準備へと取り掛かった。四日目も警戒を怠らず、外やミノリ達を監視をするも、結局は何もなかった・・・。





依頼五日目。この日はミノリの頼み事をするため、全員居間にに集合していた。ミノリの体調はよかった。


ミノリ「朝早くから起こしてごめんね。実は今日は大事な日であり、午前中から早めに準備をしないといけないの。」
アルジャ「ミノリさん、この考案をしてくれてありがとうございます。ミノリさんやエリーゼ様達もいろいろと大変なのに、本当にすみません。ちゃんとしたお礼やもてなしが出来ませんが、今日は自由に羽を伸ばしてくださいね。まあ、ちょっとしたお仕事はありますけどね」
ミノリ「では、話し合いをしましょう。誰がどの作業をするかで・・・」


午前中は話し合いをし、各自で決められた作業を行う。やる事は料理や小道具の準備や部屋の飾りつけや掃除やテーブルの移動などと多い。依頼の息抜きとしては十分だ。


アルジャ「最近のバルーンって種類が豊富ですぐに完成するんですね。」
タクミ「これなら、寂しいお部屋も賑やかになるぞ。アルジャ、ヘリウムガスを貸してくれ」
アルジャ「はい。このハート形のバルーンと星型のバルーンはここでいいでしょうか?ガーランド(飾りの一種)の位置も考えて・・・」
マルス「メッセージボードに引っかからないように気を付けてね。一つにまとめてっと」
アルジャ「このバルーン、人気のネズミのゆるキャラですね。せっかくですし、膨らませましょう。タクミ様、ネズミで思い出したのですが、白夜王国にネズミが大量出現しましたよね?大丈夫でしたか?」
タクミ「ああ、大丈夫だ。僕やヒナタや兄さんの忍達が駆除したから安心しろ。あの時期はネズミが繁殖しやすかったのと食べ物が多く収穫される時期が重なったため、大量に出現したからな・・・」
マルス「ネズミって厄介だからね。小さくてどこからでも侵入するし、頑丈な顎で何でも砕き、繁殖能力が高く、病原菌を持ち込む元凶だからね。どんなゲームでもネズミが強敵な場合もあるし・・・」
アルジャ「ミノリさんの住む地域もネズミが出やすいですからね。特に秋になれば、食べ物がおいしくなると同時にネズミも人間同様にお祭り騒ぎになりますからね。」



マリオ&カムイ&リョウマ&エリーゼ「ネーズミミーミー♪ネズミミミ〜♪(某夢の国パレードBGM」





マリオ&カムイ&リョウマ&エリーゼ「クソ許せねぇなあのミッ○ーマu」





※しばらくの間、お待ちください





タクミ「部屋の飾りつけは完了したぞ。余ったバルーンや道具、袋とかはどうしたらいい?」
ミノリ「一部のはまだ使えるから取っておいてね。近所の家におすそ分けやレンタルも出来るからね。あと、タクミ様はマリオさん達を射らないで;今日はめでたい日なのよ;」
アルジャ「仮にも一部はお兄さんとお姉さんがいるので落ち着いてくださいね;同じ兄として、リョウマ様とマリオさんの尻に矢が数本刺さる光景なんて見たくないんですが・・・;あと、エリーゼ様とカムイ様を的代わりにしないでください;」
マルス「珍しくギャグがないと思ったら、ギャグがあったよ・・・;」
四人(。A。)




場面は変わり台所。ここでは女子が料理を担当中。幸いにも全員が料理が得意なので問題はない。また、ここを担当するのが女子なので、作るのにより気合が入る。


ミノリ「ケーキの方はメインだから気合を入れて作るようにね!」
エリーゼ「はーい!あ、お姉ちゃん。エプロンの紐結んで(・ω・)」
カムイ「分かったわ。髪の毛が入らないように束ねてっと」


料理をするにあたって、ミノリには負担をかけないように座って作業をさせる。彼女がテーブルでお肉に下味をつける中、鍋を煮詰めるカムイとエリーゼはメリルについて話をする。


カムイ「エリーゼ、メリルとは会った?」
エリーゼ「うん!会ったよ!相変わらず元気そうだったし、久々にたくさんお喋りしたよー。今度、遊ぼうって約束したよ!」
カムイ「ちなみに家に帰る様子とかはあった?」
エリーゼ「うーん・・・何か忙しそうだった・・・ここに来てからは少しよそよそしい感じがするし・・・」
カムイ「今日は彼女が主役の日だからね・・・」


話の内容からしてメリルは家に帰ってないようだ・・・。それに今日は彼女が係わる大事な日のようだ・・・。


カムイ「メリルは何か悩み事はあったのかな・・・?初日の夜でミノリと言い合ってたし・・・」
エリーゼ「うーん・・・メリルは家族の事で少し悩んでたかな・・・メリルはお兄ちゃんっ子だし・・・あたしもお兄ちゃんを取られたら嫌だなー・・・サクラ王女にムカッとした事があるし・・・」
カムイ「あらあら。同じ末っ子だもんねー。私はどっちも好きだよー」
エリーゼ「でもね、兄妹や家族が増えるのは嬉しいよ!白夜王国にいるカムイお兄ちゃんやアクアお姉ちゃんも大好きだよ!メリルもミノリと仲良くなれるはずだもん!だって、メリルは最初、アルジャに恋人が出来た事と結婚する事に喜んでたもん!」
カムイ「そうなの!?」


話を更に詳しく聞くと、依頼人の妹について分かる事があった。彼女は文武両道で魔導に長けていたのと優しくて思いやりがあり、面倒見がいい人物である。暗夜王国の妹王女が笑顔でたくさん話すという事は彼女とかなり仲がいいのが分かる。妹と言う共通点からだろう。


エリーゼ「最近ではどの職業になろうかと迷ってたよー。あたしと同じロッドナイトを選んでくれたら嬉しいな〜・・・」
カムイ「何になるかは本人次第だからね。私も職業のを何にするかと迷ってた時期もあるし・・・」
エリーゼ「お姉ちゃんの人生は波乱万丈だねー・・・(´・ω・`)」
カムイ「でも、そのおかげでみんなと協力して平和にもなったし、嫁にも出会えました。余談だけど、タクミを嫁に迎えたいと言った時、カミラ姉さんとレオンが「お姉ちゃん(お兄ちゃん)と呼んでくれぇぇぇぇぇ!!!」と、暴走してたわwww」
エリーゼ「マwwwジwwwでwww」


※うちのタクミはいい子です(あのカムイの嫁(違)になると宣言したからね)





酷いギャグがあった

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その4) ( No.76 )
日時: 2016/08/01 02:51
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

カムイ「そう言えば、みんながりゅーとサイドの暗夜王国サイドをヤバいと言ってたよね。もしさ、マークス兄さんの周囲が、私とカミラ姉さん(り)とレオン(り)とエリーゼ(ゆ)とリョウマ兄さん(ゆ)だったらどうなるかな?」
エリーゼ「うわーwww完全に悪夢だーwww完全に胃に穴が開くwww」
カムイ「まあ、私がダークブラッド衣装で三角木馬に跨ってレオンに会ったのが原因ですがwww」
エリーゼ「あたしもあっちのレオンお兄ちゃんが覚醒したのが衝撃的なんだけどwww」


りゅーとサイドの暗夜王国は大丈夫ですか;まあ、ギャグカオス組が多くいるせいで白夜王国や中立国や王族を狙う族や下剋上を企む野心家達も最初はどうしていいか分からなかった模様です(当たり前だ)。また、カムイが弟の人生を変えた件でリョウマ王子が土下座する逸話もあったからね。
くだらない話で爆笑しつつ鍋をかき混ぜる中、料理の一つが完成する。あとは余熱で火を通すだけだ。他の料理も作ろうと、残りのメニューも確認する。


ミノリ「二人ともありがとうね。出来上がりが楽しみだわ。もうちょっとしたら休憩をしましょうか。」
カムイ「もしかして、昨日渡した薬草を使ったハーブティーですか?」
ミノリ「正解よ。この薬草はかなり万能薬だからね。隠し味にハチミツを入れれば、味がまろやかになるのよ。お仕事で頑張るアルジャ君の差し入れにも持って行ってるの。」
エリーゼ「ラブラブだね〜」
ミノリ「もっとも、これを教えてくれたのはメリルちゃんよ。」
カムイ「メリルが・・・?」
ミノリ「ええ。あとで分かったんだけど、この薬草には妊娠中の女性にいい成分が入ってるのよ。妊娠で体調を崩す私に渡してくれたのよ。直接渡す回数は少ないけどね。」


あのメリルに意外な一面がある事にカムイは驚きを隠せない。もしかしたら、メリルは恥ずかしいだけなのだろうか・・・?年頃の少女にとってはこういうのは敏感だし、かなりデリケートな悩みともなる。もっとも、兄と兄の大事な人に子供もいるので、よりピリピリするのは当然だろう・・・。


カムイ「(何か、もどかしいわね・・・)でも、今日はメリルと近づけるチャンスだよね?彼女も多少は・・・」
ミノリ「そうなるといいわね。お茶菓子はたくさんあるけど、何がいい?」
エリーゼ「オレンジタルトー!」





アルジャ「いろいろとありましたけど、何とか間に合いましたね・・・」


夕方、一同はミノリの頼み毎を済ませた。また、道中にギャグカオス組がふざけまくり、白夜王国の弟王子が風神弓を6回ほど乱射したのを記しておく。つか、武器を使ったのってここが初めてじゃね?(戦闘になりそうなシーンはあったが、三日目であの二人がやらかした)
最後にとある人物を呼べば、これで全てが揃う。


アルジャ「メリルに何度もメールや電話をしたんだけど、中々出ないんですが・・・」
リョウマ「家に帰って来た場合は「外で時間を潰せ」と伝えるように言われたけど、家に誰も訪ねてこなかったな」
マルス「買い出しに行ったけど、道中で会わなかったし・・・」


そう、この日にメリルが重要人物になるのだ。家で作業をしている中、本人が帰って来た場合は家に入れないようにしたり、外への買い出しで出会った場合は時間をずらすように伝えるのだが、彼女は現れなかった・・・。


マリオ「流石に何日も家に帰ってないとまずいし、探しに行った方がいいんじゃないか?蛇姫様の呪いの件もあるしさ・・・」
タクミ「もう少しで夜になるから危険度がさらに増すな・・・。手分けして探しに行くぞ。」
アルジャ「皆さん、すみません・・・。メリルの奴、最近はミノリさんに対しては何か冷たいし・・・前はあんな事をするような子じゃないのに・・・」



ドサッ・・・



アルジャ「ミノリさん・・・?ミノリさん!?」
ミノリ「うぐっ・・・あがっ・・・いぎっ・・・」
エリーゼ「ミノリがまた蛇姫様の呪いで苦しんでる・・・!」
マルス「それよりも蛇の締めつけ痕が前よりも酷くない!?明らかに強いんだけど・・・!」


突然、依頼人の妻にまたしても蛇姫様の呪いが襲い掛かる。何の前触れもなしに襲い掛かって来た激痛に彼女はその場に倒れた。一同が大急ぎで近づき部屋へ運ぼうとした時、ある事に気づく。服の隙間から見える締め付け痕が前よりも強くなっており、彼女のか細い体が悲鳴を上げる。彼女は大事な命が宿るお腹を抱えて苦しんでおり、そのお腹は大きく歪んでいた。そう、内部から何かが突き破ろうかとしているかのように・・・!


カムイ「みんな、周囲を警戒して!」
マリオ「敵はどこに・・・そこだ!」


辺りを見回すと、塀の隅に何かが移動するのが見えた。それをマリオが見逃さずにファイアボールを投げ飛ばす。そこにはカムイ達が神社で見た靄で出来た蛇がおり、赤い炎を受けた事で存在は掻き消えた。だが、蛇は一匹ではない。よく見ると、数匹ほどいた。そして、その全てがミノリの方へと向かっていた・・・!


蛇「シャアアアー!」
マルス「マーベラスコンビネーション!」
タクミ「こっちに来るな!」
マリオ「ファイアボール!」
アルジャ「ミノリさんに近づかないでください!」
ミノリ「はあ・・・!はあ・・・!はあ・・・!」
エリーゼ「ミノリ、大丈夫だからね・・・!」
カムイ「何て数なのよ・・・!」


蛇をミノリに近づけないように愛用する武器を振るい、炎を操っては敵を減らす。だが、蛇は数が多く、消耗戦になる。


カムイ「もしかしたら、この呪いをかけた犯人が神社にいるかも・・・!私、神社の方に行くわ!」
リョウマ「俺も同行する!」
タクミ「こっちも蛇を近づけないようにするから、兄さん、カムイ、気を付けて進め!」


二つの国の姫君と白夜王国の第一王子は大急ぎで神社へと向かう。ミノリに呪いをかけた犯人がいる可能性が高く、戦闘を余儀なくされる場合がある。神社までの道のりはかなり長く、神社には長い階段があるので体力の消耗は避けられないが、今は緊急事態なので気にしてはいけない。
なりふり構わずに大急ぎで神社に着くと、ご神木の前に誰かがいた。相手の近くにはカバンがあり、そのカバンには蛇を細切れにするためのナイフと何も書かれていない紙人形などが入っていた。そして、肝心の相手は手に持っている紙人形に何かを書こうと、指から血を流していた。


カムイ「いたわ・・・!相手は気づいてないようね・・・!」
リョウマ「ああ・・・背後からこっそりと近づけば、取り押さえられるはずだ・・・!」


幸運な事に相手は全く気付いていない。物音を立てないように忍び足で近づき、一気に掴みかかった。相手は自分に近づくカムイ達に気づくも、抵抗する間もなくあっさりと取り押さえられた。


???「ちょっと何よ!放しなさいよ!」
リョウマ「貴様がミノリに呪いをかけた犯人か!」
???「呪い?私は知らないわよ!」
カムイ「あなたがここで何をやってるかは私は知ってるわよ!蛇を向かわせてミノリに蛇姫様の呪いを・・・って、え・・・?」


ミノリに呪いをかけた犯人の正体は・・・!





カムイ「メリル・・・ど、どうして・・・」





アルジャ「メリル、どういう事か説明をしてくれませんか・・・」


犯人を見つける事には成功したが、その先に待ってたのはあまりにも悲しすぎる現実だった・・・。メリルがやらかした事は重罪であり、軽く済む問題ではなかった。家ではミノリ達が息を呑んで見守る中、アルジャはメリルとの話し合いをしていた。だが、アルジャの顔は怒りと悲しみに満ちており、声色からして完全に怒っているのが誰でも分かる・・・。


アルジャ「メリル、あなたがミノリさんに対して思う事があるのは分かりますけど、やっていい事といけない事があるのは分かってますか!リョウマ様とカムイ様達が取り押さえたからよかったのですが、もし遅れてたら、取り返しのつかない事になるんですよ!!」
メリル「私、知らなかったんだもん・・・!蛇恋結びがこんなにも恐ろしいなんて・・・!」
アルジャ「知らないとは言えど、現にミノリさんと赤ちゃんはずっと前から苦しんでるんですよ!そこまでミノリさんの事を・・・!」
メリル「私はミノリさんに対してうるさいと思う事はあったけど、殺そうとなんて思ってないわよ!」
アルジャ「俺はメリルとミノリさんがうまく付き合える事を願ってたし、ミノリさんもメリルと仲良くしたいと願ってました・・・。なのに・・・!」


アルジャとメリルの口論はどんどん激化し、ついには暴言交じりになってしまう。兄妹や家族がいる者達にとっては辛く、エリーゼは泣きそうだった・・・。流石にまずいと察した一同が止めに入ろうとした時、メリルが立ち上がる。彼女の目には涙がうっすらと浮かべており、大好きな兄の言葉に傷ついていた・・・。


メリル「違うもん・・・私だって・・・こんな風にはしたくなかった・・・何でなのよ・・・」





メリル「お兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アルジャ「メリル!」





ついには耐えられなくなり、彼女は涙を流しながら玄関へ向かった。大急ぎで追いかけるも、彼女は夜の世界へと姿を消した・・・。

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その5) ( No.77 )
日時: 2016/08/01 02:57
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

マリオ「アルジャ、落ち着くんだ!」
アルジャ「マリオさんは止めないでください!俺だってこんな事はしたくなかったんです・・・。俺もあいつ同様に傷ついてますし、何よりも一番辛いのは・・・」


今回の依頼で依頼人やその関係者が傷ついた・・・。ミノリはメリルと家族になろうと頑張っており、距離を縮めようと頑張っていた。両者は出身や年齢や性格はもちろん、アルジャと最も縁があるので、何らかの問題が起きるのは予想出来る。依頼人の妻は相手と仲良くなるために努力をしたり、相談したりした。だが・・・



ミノリ「私、メリルちゃんに嫌われてたんだね・・・あはは・・・今日、気合を入れたのに・・・」



泣きそうになる気持ちを堪えるミノリ。この日は特別な日であり、特にミノリは一番気合を入れていた。今いる部屋の隣は居間であり、その居間は一同によって雰囲気が変わっていた。部屋には可愛らしいバルーンやガーランドなどで飾られ、テーブルの上にはフルーツたっぷりのケーキや美味しそうなごちそう、・・・そして、カーテンの陰には三日目にミノリが取りに行った大きなプレゼント袋があった。
そう、今日はメリルの誕生日だ。それも、大人の仲間入りする年齢を祝う日・・・。


リョウマ(兄である俺でもこれは・・・)
タクミ(僕もサクラや兄さん達とケンカになった時はこんな感じだった・・・)
エリーゼ(めでたい日でこんな事って・・・)
マリオ(カムイ、大丈夫か・・・初の依頼が・・・)
カムイ(大丈夫よ・・・でも・・・)
マルス(カムイは兄妹や家族がいるんだよね・・・)


今回の依頼同様に人の心情に触れるものが多くあり、初の依頼に挑むカムイにとっては衝撃が大きかった・・・。何度もこのような場面に遭遇したマリオとマルスも割り切る部分はあるが、それでも元は感情を持つ人なので、何かを思う部分はあった・・・。
WSTに所属する者達は戦いや才能に優れているだけじゃなく、メンタルや人を思う気持ちなどの精神的な面も左右される・・・。カムイにも依頼を取り組む前に何度も説明をしたが、現場に行くとその弱さが露呈してしまう事がある・・・。


カムイ(感情移入や優しすぎるのはダメってこういう事なんだ・・・どこの世界でも言えるんだね・・・でもさ・・・こんなのはあんまりだよ・・・!)


依頼人達と最も接したカムイにとっては納得出来ない。同じようにエリーゼも同じ感情を抱いている。しかし、皮肉にも依頼人を苦しめる呪いの元凶ははっきりとしてしまった・・・。これでいいのだろうか・・・?


カムイ(本当にメリルはミノリに対してあんな感情を取ってたのかな・・・?何か、彼女の本音を知る方法は・・・)


何らかの突破口を見つけようと頭をひねる中、彼女は数日前のある言葉を思い出す。





「日記は口に出せない本音や思いを形にする・・・。特に僕のように素直になれない奴にうってつけだ。だって・・・本音には悪いものだけじゃなく、いいものだってある。それは人への感謝の言葉と愛情表現だからだ・・・」





カムイ(口に出せない本音や思いを形に・・・?)


その言葉と共に預かっているメリルの日記帳の鍵が入っているポケットに手を置く。ポケット越しから鍵の独特の形が手に伝わる。ずっと仕舞われっぱなしの鍵に日の光を浴びる機会が近い。


カムイ「もしかしたら・・・!」


即座に行動を移そうと、メリルのカバンを探す。カバンは本人が持って行っていなかったため、すぐに見つかった。中には財布や携帯や化粧ポーチ、呪いに使った紙人形やナイフなどが入っている。そして、その中に日記帳が見つかった。


カムイ「メリル、ごめんね・・・」


一言言って詫びると、鍵を錠に差し込む。カチャンと音を立て、錠が開く。分厚い日記の数ページに目を通すと、そこには彼女の本音がちゃんと書かれていた。


アルジャ「エリーゼ様やリョウマ様達に迷惑をおかけしてすみませんでした・・・こんな形でミノリさんの依頼が解決になるなんて・・・今後、話し合いが余儀なくされると思いますし、場合によっては両国を巻き込む形にも・・・」
カムイ「みんな待って!」
エリーゼ「お姉ちゃん・・・!その手にある日記帳って・・・!」
カムイ「一部の依頼が解決に向かっているように見えるけど、その前にこれを見て!」
ミノリ「それはメリルちゃんの日記帳・・・?」


カムイの手にある日記帳を依頼人夫婦に渡し、彼女の本音をその目で知るべきだと告げる。押し付けるように渡された日記を開くと、そこにはメリルの本音が書かれていた・・・。





○月×日
趣味の日記はこれで4冊目になる。気が付いたらこんなに書いてたんだ。きっかけはお兄ちゃんが誕生日プレゼントでくれた日記帳。忙しいお兄ちゃんがくれたプレゼントを無駄にしないように使い続けた結果、まさかこんなに書くとは思わなかった;だけど、その分の思い出もあるって事。たまに読む事もあるけど、楽しかった思い出や一生忘れられない日、過去の自分を振り返るのにもピッタリなんだよね。
さて、明日は早いからこれくらいにしよう。だって、暗夜でのお祭りがあるからね。白夜王国の人達が来るし、アクア様がステージで歌うからライブが楽しみだ。だけど、エリーゼ様が暴れないかが心配だ;前回、ドリフの如く、マークス様の頭の上にたらいが降って来たから・・・;


△月□日
久々にお城の方に行った。何でも今度の会議でお兄ちゃんの研究レポートが採用されたみたい。特にレオン様はしっかりと吟味してたし、表情を変えずに全部目を通してた。あの様子だと、賞が貰えるだろうね。やったね!後日、白夜王国のタクミ様にも見せるみたい。最近、二人とも仲がいいもんね。
(隅っこの方に)しかし、レオン様の法衣がまた逆になってた・・・;



◇月×日
カミラ様とヒノカ様、カッコいいなぁ・・・。私もあんなお姉ちゃんが欲しいなぁ・・・。あの凛々しいお姿は女性でもときめきます。あ、お兄ちゃんもカッコいいよ。
そう言えば、学校で進路の話があったけど、どれにしようかと迷ってるの。運動と魔法が得意な私にとってはどれも選べない!エリーゼ様が凄いロッドナイトを推してたな〜・・・;魔法の方は初級魔法全部と一部の中級魔法は扱えるけど、まだまだなんだよね。今度の授業でお披露目するから、誰かに相談しようかな?


#月$日
カムイ様とヤヤ様、兄妹ゲンカはやめて。二人ともお祭りの日は大人しくしようよ;国境で大暴れした時は洒落にならないから・・・;あ、また何人かが運ばれた;


アルジャ「あー・・・確かにこんな事がありましたね・・・(しかし、俺がくれた日記をちゃんと使ってたなんて・・・かなり書いてたんだ・・・」
タクミ(僕も城に帰ったら、即行で日記をどこかに隠さないと・・・;)
エリーゼ(あ、あたしがやらかしたネタまで書いてる;余談だけど、あの後は女装したリョウマ王子がマークスお兄ちゃんを追いかけ回してたんだよねwww)
マルス「しかも、ゆめひめサイドのカムイsの被害が半端ないね・・・;」
ミノリ「カムイ様とヤヤ様の兄妹仲の悪さは有名だもんね・・・;この間なんかは・・・;」
マリオ「兄弟がいるこっちにとっては心が痛むぜ・・・;これは数年前っぽいし、他のページを・・・」


たくさん書かれたページをめくると、ミノリの事を仄めかす内容があった。


★月◎日
お兄ちゃんの職場に行くと、おいしそうなお弁当を食べてた。どうしたのかと聞いたら、何とお兄ちゃんに恋人がいたんだって!研究や歴史などに集中するお兄ちゃんに恋人がいたのにビックリし、素で驚いちゃった・・・。
だけど、お兄ちゃんに春が来たのは嬉しい。だって、お兄ちゃんは私が小さい時に両親を亡くしてからずっと私の面倒を見ながら働きっぱなしだもん・・・。しかも、考古学者になりたいという夢を持ちながら・・・。だからさ、たまには私や仕事の事を忘れて、恋人さんとゆっくりと過ごしてね・・・


$月%日
お兄ちゃんと恋人さんはずっと前から交際しており、お互いの出身や仕事柄中々会えない事が多かったが、今は落ち着いたみたい。話からすると、相手は白夜王国関係者か凄い人なのかな?
そして、今度の休みはお兄ちゃんと一緒に買い物に行く日であり、お兄ちゃんの恋人に会う日でもある。私も相手に合うのが楽しみだし、相手も私に会うのを楽しみにしているんだって。あの研究一筋のお兄ちゃんが気に入り、お兄ちゃんに惚れた恋人なんだよ!何か会うのに緊張するなぁ・・・


〒月☆日
そして、お兄ちゃんの恋人に会う日。その人は狐の獣人さんであり、とても美しくて神秘的だった・・・。どこか慈愛に満ちており、全てを包み込みそうな感じがした・・・。
彼女の名前はミノリさん。彼女は巫女さんであり、さらにその職業を極めようと白夜王国に修行に来たらしい。ミノリさんが白夜王国のサクラ様の元で修業をする中、そこでお兄ちゃんに出会った。こういうのが運命の出会いと言うんだねー・・・。
その後はミノリさんと一緒に買い物をしたり、ゲーセンで遊んだりとした。ミノリさんは優しい人だし、お兄ちゃんもミノリさんと一緒にいて幸せそうだった。今日一日、凄い楽しかった。また三人で遊びたいなぁ・・・。

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その6) ( No.78 )
日時: 2016/08/01 03:03
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

ミノリ「これは私と会った日ね・・・懐かしいわ・・・私もメリルちゃんに会うのが凄い楽しみだったわ・・・この時はぎこちない感じだったけど、緊張感があっさりと打ち解けたのよね・・・」
アルジャ「俺も最初は緊張しましたけど、二人があっさりと打ち解けたのは嬉しかったです・・・こっちも少しはヒヤヒヤとしましたからね;この時の買い物では俺はずっと試着で待たされたり、荷物持ちをさせられましたからね・・・;あはは・・・;」
タクミ「どこの世界でも女子は凄いからな・・・;(荷物持ちや試着でずっと待たされた」


過去の懐かしい思い出に依頼人夫婦は脳裏にそのシーンを思い浮かばせる。あの時はお互いが緊張してたのとワクワク感があった。当然、アルジャも二人の女子の気持ちを察していた。懐かしい思い出に少しだけ表情が緩む。
その日からミノリに関する事が書かれている。ページをパラパラと先へ進ませると、徐々にメリルの本音が見え始める・・・。


×月?日
一か月後、お兄ちゃんとミノリさんの結婚式がある。二人の交際は長く続き、ついに結婚へと進んだ。周囲が「早くくっつけ」と言ってたし、私も「早くプロポーズして!」と何度も思ったもん。まあ、二人とも苦労してたし、結婚までの道のりがかなり長かったんだよね・・・。
結婚するという事は、ミノリさんがお兄ちゃんの奥さんになり、私のお姉ちゃんになるって事だよね?前は優しいお姉さんや頼りになる先輩と思ってたけど、それが家族になるんだよね・・・。前の方なら気楽に話をしたり相談が出来たけど、今度からは何かしづらくなりそう・・・。だってさ、私はお兄ちゃん以外の家族を知らないからどうしていいか分からないんだもん・・・。
何か心の奥底がぐちゃぐちゃとしてきた・・・。エリーゼ様やカムイ様達もこんな感じに悩んでたのかな・・・?


カムイ&エリーゼ「・・・」


!月@日
そして、お兄ちゃんとミノリさんの結婚式・・・。
お兄ちゃんのタキシード姿とミノリさんの白無垢とウエディングドレスは凄い似合ってた。女神様のように美しかった・・・。元が巫女さんだからか・・・。
分かってるんだけど、ミノリさんはお兄ちゃんの奥さんと私のお姉ちゃんになるんだよね・・・?心の中ではいろんな感情が渦巻いていた・・・。何だろう、この感情は・・・?分からないよぉ・・・。だけど、私は結婚式で感謝の手紙を読む事になってた。カミラ様やレオン様達に相談して書き、当日までに何度も練習はした。だけど・・・どうしてかな・・・さっきから、視界が凄く滲んでいて・・・うまく手紙が読めないよ・・・ここは笑顔で送り出さないといけないのに・・・
後日、写真を見たけど、私、凄い不細工な顔じゃん・・・。どんだけ泣いてたのよ・・・


リョウマ「年頃の少女にとっては凄い悩んでたようだな・・・あの結婚式では多くの人が感動してたし、エリーゼ王女やマークス王子達が号泣してた・・・」
マルス「凄い結婚式だったんだね・・・メリルは胸に複雑な感情を抱く中、最後まで自分のお仕事を担当したんだよね・・・」
マリオ「だが、このような出来事は相手を成長させるきっかけにもなる・・・人は悩みながらも前に進んだり立ち止まったりするんだ・・・ほら、次のページを見ろ・・・」


マリオの言うとおりにページをめくると、今度はミノリの妊娠について書かれている。


☆月〒日
最近、ミノリさんの様子がおかしい。この間は夜中にトイレで吐いてたり、食事中に洗面所へ行くようになった。病院に行くと、ミノリさんのお腹の中に新たな命が宿った事が分かった。お兄ちゃんとミノリさんの赤ちゃん・・・!
二人は喜んでたし、私も喜んだ。つまり、私に新しい家族が増えるって事・・・?お姉ちゃん・・・?いや、叔母さんになるんだよね・・・?こういうのは分からないけど、新しい命が宿った事に喜ばなきゃね!
(※この日はかなり混乱したらしく、日記は早めに書き終わってる)


¥月♪日
妊娠のつわりは酷く、落ち着くまではお兄ちゃんがずっと付きっ切りだった。妊娠について図書館や本屋で調べた結果、かなりきついと言うのが分かった。
私のお母さんも私やお兄ちゃんを生む時にこんなに辛い思いをしてたんだ・・・。一番苦しいのはミノリさんなのに、それでもミノリさんは辛い表情を一切見せず、私やお兄ちゃんに笑顔を見せてくれた・・・。


*月$日
つわりはますます酷くなり、ミノリさんは大好物のシチューの匂いでもダメみたい・・・。妊娠中は食事にも影響があり、私とお兄ちゃんが家事をやる事にした。ミノリさんの料理は当分の間はお預けなのはちょっと悲しいけど、まずはミノリさんのために私も行動に移さないといけない・・・。


&月○日
ミノリさんの体調が思ったよりも優れない・・・。今日、病院へ行くみたい・・・。お兄ちゃんが「今日はゆっくりしていいよ」と言ったけど、ゆっくり休める訳がないじゃん・・・。
ミノリさんのため、たまたま暗夜王国に来ていたアクア様にこっそりと相談した。アクア様は突然の事にびっくりしたけど、私の気持ちを察してくれた。粗ぶった気分が和らぐ花や健康にいいお茶があると聞き、私は探しに行った。花の方はあったけど、お店の人に手伝いを頼まれたから手伝った。そのせいで服が泥まみれになったけど、別に構わない。ミノリさんのためなんだもん。アクア様、お忙しい中ありがとうございます。
しかし、城のキッチンから物凄い爆発音が聞こえたような・・・;またフェリシアさんがやらかしたんだ・・・;あーあ、ジョーカー様に半殺しにされるね・・・;


@月@日
最近、この周辺でノスフェラトゥが出没したみたい・・・。ノスフェラトゥの被害は大きいから洒落にならないし、強い兵隊さんが病院送りになった・・・。出現場所は私達がよく使う道だし、エリーゼ様と遊ぶ際に早めに帰らなきゃ。だけど、あそこの道はお兄ちゃんやミノリさんが使うし、病院や相手の国に行く時に使うから最悪な事が起きなければいいんだけど・・・。
最近、魔力がちょっと高くなったのか、魔法の威力が高くなっていた。新しい魔法を覚える機会だし、あの魔法を覚えようかな?


×月%日
お兄ちゃんとミノリさんに怒られた・・・。どうしよう・・・酷い事を言っちゃった・・・。
理由は今度の試験のために図書館で閉館時間までずっと魔導書を読んでたからだ・・・。私が図書館の閉館時間に外に出た時にはお兄ちゃんの電話とメールがたくさん来ていた。ノスフェラトゥの件があるからだろう・・・。大急ぎで家に帰ると、二人がかなり心配していた・・・。連絡を入れなかった私も悪かったが、この日は私の機嫌がたまたま悪かったから、ミノリさんに酷い事を言ってしまった・・・。あとになって後悔しかない・・・。会いに行きづらい・・・


*月▼日
今日、ミノリさんと一緒にお買い物に行った。どうして私がミノリさんの買い物に付き合わないといけないのよ・・・。こっちは学校の課題で忙しいのに・・・。ミノリさんはしきりに無理させてゴメンねと言うけど、無理してるのはそっちじゃん!この間なんか、足元に落ちている懐中電灯に気づかずに転びそうになってたのを忘れてないよね!お腹が大きくなるにつれて、動きにくくなるだけじゃなく、足元が見えづらくなるんだよね・・・。無茶しないでよ!これは私やお兄ちゃんにとっては無関係じゃないからね!
あと少しで家に着くという時、川の方を見たら、マ ー ク ス 様 が 川 で 溺 れ て い た。そう言えば、マークス様は泳げなかったんだ・・・;つか、そこの川は浅いんですが・・・;だが、マークス様にとっては一大事なので、私は荷物をミノリさんに預けて泳いで助けに行った。幸いにも運動系の部活を手伝って正解だったわ。その後はミノリさんが救急車を呼んでマークス様は運ばれた・・・。


♪月◇日
今日、マークス様に呼び出された。何でもこの間のお礼をしたいんだって。私は当然の事をしただけなんだけど・・・。そのお礼として、大人気のレストランでの食事会があった。マークス様は何でもおごってくれた。ありがとうございます
食後のデザートを食べる中、マークス様から「少しは素直になれないのか?」と言われた。どうやら、私の最近の態度に思う事があったらしい。マークス様も私の気持ちを知ってるからだろう・・・。素直になるなんて難しいよ・・・。あの後、今の事を少し愚痴ったら、マークス様は親身になって話を聞いてくれた・・・。兄妹の中でも一番上の立場になると、いろいろ経験するんだろうね・・・。お兄ちゃんもこんな感じだったかな・・・?
今度、三人でこのお店に行こうかな・・・?そう思った矢先、ウエイトレスさんが運ぶ伊勢海老のカルパッチョを見たマークス様が「あの伊勢海老、ブチコロス・・・(▼益▼###)」と呟いてた。マークス様、何か不幸な目に遭ってませんか・・・;





書き込みまだ

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その7) ( No.79 )
日時: 2016/08/01 03:09
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

行動とは裏腹に隠された本音。一見するとミノリに対して噛みついている部分はあったが、それには意味があった。メリルに係わった人達も彼女の言動を思い返すと、ミノリに対して気遣う部分もあった。特に嫌われていると思っていたミノリの心にも伝わっている・・・。
そして・・・





「母の日に書かれた日記」
今日は母の日。今までの私にとっては無関係だったけど、今回からは違う。だって、ミノリさんがいるんだもん・・・。
私はミノリさんに渡す赤いカーネーションの花束と紅茶を買った。正直言うと、渡しにくかった。だって、最近は・・・。だけど・・・こんな大事な日ぐらいは・・・
あの後はちゃんと渡したけど、うまく話せなかったのと顔が見れなかった。相手に渡すと同時に返事を聞く前に去っちゃったんだから・・・。こんな態度だと、受け取ってくれないよね・・・。
正直言うと恥ずかしかった・・・だって、こんな私に対してもちゃんと向き合ってくれるんだもん・・・。親身になってくれたり、ちゃんと叱ってくれたんだもん・・・。あの時も私を本気で心配してたんだと思う・・・。だから、あそこまで気にかけてくれたんだ・・・。お兄ちゃんが惚れるのは当然だもんね・・・





カムイ「世の中には本音を言うのが苦手な人やうまく感情や気持ちが伝えられない人がいるの・・・嫌われていると思っているけど、実際には愛情の裏返しなの・・・メリルはミノリの事を思ってたけど、それを伝えるのが恥ずかしかったんだもん・・・日記だと読む人が自分しかいないから、本音が書けるんだ・・・」
タクミ「・・・」


仲間の助言でメリルの本心を知る事が出来た。カムイを動かした張本人に至っては黙ってたが、少し照れている。日記に目を通した依頼人夫婦はメリルの本心を知った。本心だけではない、過去から現在までの日記を読むにつれ、彼女の成長も知るきっかけとなる・・・。


アルジャ「メリルも知らないうちに成長してたのか・・・あいつは昔から俺にずっとベッタリだったのに・・・兄貴面してた俺もまだまだか・・・俺、あいつに何て事を・・・!」
リョウマ「あれは誰も間違ってない・・・大事な人を守る事や血の繋がった兄妹がとんでもない事をしたら誰だってああなる・・・冷静になれと言われても、実際に見たら感情の制御が難しくなる・・・俺もお前と同じ立場だったら、怒鳴ってたかもしれない・・・」
アルジャ「リョウマ様・・・」
マリオ「メリルは二人の事をちゃんと祝ってたのと、ミノリとお腹の子を心配をしていた・・・。みんなの証言にも偽りはないし、日記に書かれている事は全て本当だろう・・・。だけど、何故あんな事を・・・?」
カムイ「確かに・・・。去り際に言ってたセリフも気になるわね・・・」
マルス「そうなると少しだけ矛盾が生じるね・・・。もしかしたら、日記にこの件も書かれているんじゃ・・・!」
エリーゼ「急いで調べるね!」


日記に書かれている事が真実ならば、メリルがあのような凶行に及んだ理由が書かれているはず。パラパラと日記をめくると、最近書かれたページにこんなのが書かれていた。





「1ヶ月前の日記」
ミノリさんにとって、この時期は大変そう・・・。だって、お兄ちゃんとミノリさんの赤ちゃんが生まれる時期とミノリさんの生まれ故郷で次期統治者になるための儀式が近いからだ・・・。ちょっとの移動も大変そうだし、この間なんか気分が悪くなって一日中寝込んでた・・・。今度こそ、ちゃんとミノリさんとお兄ちゃんの手伝いをしないと・・・。
この土地に神社があると聞き、私は蛇姫様にお願いをした。蛇姫様、ミノリさんが無事に過ごせますように・・・


「1週間ちょっと前の日記」
いつも通りに神社でお祈りをしてたら、何かのおまじないが書かれた紙を見つけた。それは蛇恋結びと言う、この地で昔流行った遊びだそうだ。このおまじないをすると、対象の人物が幸せになるらしい。特に恋人同士や夫婦だと、蛇が頑丈に絡みついてその絆は簡単には解けないんだって。
だけど、蛇を殺して神社で捧げるってやだなー・・・。ここの地って、蛇にまつわるものが多いんだよね・・・。でも、お兄ちゃんとミノリさんと二人の赤ちゃんが幸せになるならやってみようかな・・・?





カムイ「蛇恋結び・・・?さっき、メリルがやってたあれの事・・・?」
アルジャ「ミノリさん、蛇恋結びについて知りませんか・・・?」
ミノリ「蛇恋結びは聞いた事はあるけど、詳しくは知らないわ・・・。昔流行ったおまじないと聞いた事はあるけど・・・」
エリーゼ「あたし、少し前に蛇恋結びについて書かれた紙を見つけたの!」
タクミ「エリーゼ王女、それを見せてくれないか・・・!」


最近書かれた日記に書かれている蛇恋結びについて知る必要がある。偶然にもエリーゼがそれに書かれた紙について見つけており、一同はそれを読む。


「蛇恋結びのおまじない」
この地で昔流行ったおまじない。このおまじないは意中の相手や気になる人、さらには恋人や夫婦などの絆を強く結ぼうと、一対の蛇が頑丈に絡み合ってお互いが解けないように結びついた事からこの名がついた。
やり方は紙人形に自身の血で対象の名前を書き、生きのいい数匹の蛇を細かく切り刻んで神社などのご神木に打ち付ける。そして、対象の人物への思いを念じれば、蛇が相手に結びつくだろう。


エリーゼ「メリルはこれを信じてご神木に紙人形と刻んだ蛇を打ち込んだ・・・?メリルが家に帰ってこなかったのはミノリとアルジャと赤ちゃんの幸せを願って、このおまじないをしてたって事・・・?」
アルジャ「そう言えば、メリルは困っている人がいると、なりふり構わずにツッコむ癖がありますからね・・・日記でマークス様が川で溺れた時やミノリさんを落ち着かせるために花や薬草を探しに行った時も・・・」
カムイ(だから、家に帰ってこなかったのね・・・)
マリオ「ちょっと待て。メリルがこれをしたとなると、誰がメリルにこのおまじないを教えたんだ・・・?」


新たな謎がどんどん出る中、明らかに嫌な予感しかしない。その予感を告げるかのように・・・





バサバサバサバサバサバサ!!!





突然、古文書が鳥のように羽ばたいて飛んで来たのだ!古文書はアルジャの周囲を飛び回っており、何かを訴えているようだ・・・。
依頼の一つである古文書。この古文書を解読するのがWSTの依頼であったが、同時に疑問があった。この古い本がいつの間にかカバンの中に入ってたり、近くに落ちてたりするのだ。最初は慌てて持って来たかや入れっぱなしなどと思ってたのだが、その直後に一同は様々な出来事に巻き込まれた。それは偶然なのか・・・?


アルジャ「古文書が飛んでる・・・!?まさか・・・!」
マルス「僕達が何かに巻き込まれる度にその古文書が度々出現してない・・・?ほら、三日目の拉致騒動・・・!」
マリオ「三日目の夜でもそうだった・・・!俺が廊下でそれを拾った後に何かが襲撃して来て・・・!」
カムイ「神社でもあったわ・・・そのあとに・・・!」
タクミ「アルジャ、もう一度古文書を読み直せ!何か変化あるはずだ!」


周囲を飛び回る古文書を掴むと、持ち主の意思に反応して大人しくなる。大急ぎで本を開くと、最後の白紙のページに新たなページが刻まれていた。そのページは赤い文字でかすれており、まるで血で書いたような感じだった。そのページは解読しなくてもすぐに読めるようだが、そこにはとんでもないものが書かれていた・・・!





「この古文書を見ている者に告げる。継承の儀式を行うな!あれは次期統治者にする継承の儀式ではない!あれは蛇姫の恐るべき儀式だ!奴は目的のためなら、人の絆や気持ちを弄(もてあそ)び、幼子の命を奪う事に躊躇(ためら)わない。儀式の事を知ろうとした者や継承の儀式を妨げになる者達は不幸な目に遭ってたが、あれは蛇姫が邪魔者を始末していただけだ。私同様に多くの人達が真相を知ろうとし、セイレン族は闇の中へ葬られた・・・。奴のせいで多くの女達が犠牲になり、私の妻も犠牲になった・・・!愛する人や大事なものを守りたいのならば、私達が奴に見つからないように密かに編み出したセイレン族の術式を使え。そして、蛇姫の野望を阻止し、忌々しい歴史に終止符を打て・・・!」





ミノリ「これって、どういう事・・・!?継承の儀式はしちゃダメって・・・!」
カムイ「分からない・・・!だけど、次期統治者が危ない目に遭うって事だけは分かる・・・!」
リョウマ「ミノリが蛇姫様の呪いを受けた件も関係しているのか・・・!?」
タクミ「十中八九関係しているだろうな・・・!」


古文書に今回の依頼に関係する真実が記されている可能性が高く、一同は先のページを読む。そこには・・・!





嫌な予感が・・・

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その8) ( No.80 )
日時: 2016/08/01 03:15
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

「誰かの書記」
我々セイレン族は占いや呪術に長けており、特に女性の場合は魔力が強かった。また、出産時には子供の方に魔力が継承されて弱体化する。そして、子供は親の才と魔力を継いでセイレン族へ導く存在となる。
だが、我々は異教徒狩りや他部族への迫害が起き、セイレン族はその迫害から逃れようと、外部との交流を避けて山奥で密かに暮らした。迫害からは逃れられたが、同時に外の交流を自ら断ったせいで、我々の文明は発達しておらず、一族は衰退の一途を辿るしかなかった・・・。
セイレン族が滅びの道を辿る中、我々はある人物に見つかった。その人物は蛇姫だ。彼女の一時な気まぐれか我々に興味を持ったのか、セイレン族を見逃すだけじゃなく、外の文化や情報や技術、新たな魔法や呪術を伝授してくれると言った。その条件は「我々セイレン族に関する事を教え、蛇姫を一時期だけ長にする」とそれだけだった。千載一遇のチャンスに我々は相手に従った。
約束通りに彼女は自身の魔法や術で自然の恵みを与え、我々を災害から守り、我々の文明や歴史を尊重し、セイレン族を反映させた。この時にはセイレン族への差別や迫害もなくなり、時代の流れについて来れるようになった。そして、蛇姫の役目が終える日になり、最後に次期統治者や次期統治者にまつわる儀式を考案した。そして、最初の儀式が行われ、蛇姫は去って・・・はいなかった。何故なら、我々が最初に見つかった時点で奴の罠にはまり、そこから悲劇の引き金が引かれたからだ・・・!
最初に行われた継承の儀式をきっかけに、多くの人達が犠牲になった。特に次期統治者に選ばれた女性は何も知らず、あの武家屋敷で蛇姫の犠牲者となった・・・。他にも儀式を断った女性や次期統治者に選ばれずに異議を唱えた者や儀式前にお腹に子を宿した女性や武家屋敷で行われる儀式を知ろうとした者達が不慮の事故や一家心中や疫病にかかるなどとあったが、あれは奴が持ち前の術で直接手を下したり、対象に呪いをかけたり、従者に命令を出して裏で始末したり、言葉巧みに相手を仲違いにさせたりとしたからだ・・・。その間に蛇姫は多くの術と魔力を身に着け、姿を変えて生きている・・・。
我々が蛇姫のうまい餌で釣られたばかりに、多くの人達が犠牲になった・・・。現代、いや未来でも誰かが蛇姫の手によって命が失われ、私同様に愛する人や大事なものを失うだろう・・・。だが、我々はセイレン族の誇りを失ってはいない・・・。この忌々しい歴史に終止符を打つべく、我々も水面下で奴に対抗する術を探した。道中に思わぬ妨害があったものの、ついにこの古文書を完成させた・・・。いつか来る日のために・・・。





ミノリ「私達が祀っている蛇姫様はセイレン族の敵だって事・・・!?私達が知らない間、この故郷で多くの人が亡くなった・・・!?私もその一人に・・・!!」
アルジャ「武家屋敷で行われる継承の儀式は蛇姫様の野望のための儀式・・・!?じゃあ、蛇姫は現在でも生きているって事・・・!」


古文書に書かれた新事実。ミノリの地で祀られ、セイレン族を栄えさせた蛇姫は裏で多くの人を殺し、姿を変えて現代でも生きているという事・・・!依頼人夫婦は隠された真実に絶句するも、これだけではない。


エリーゼ「ミノリが狙われる理由が分かった・・・」
カムイ「エリーゼ、それってどういう事・・・?」
エリーゼ「ミノリって、お腹の中に赤ちゃんがいるんだよね?赤ちゃんが産まれるという事は、ミノリの魔力が赤ちゃんの方に移っちゃうんでしょ?それさ、蛇姫にとっては不都合じゃない・・・?だって、次期統治者は魔力が強い女性って条件があるじゃん・・・!」
タクミ「で、でも、ミノリはセイレン族の血が薄いと言ってたはずだが・・・はっ!まさか・・・!」
マルス「おそらく、ミノリは先祖返りをして当時のセイレン族と同じ状態になったって事・・・!」
マリオ「リョウマ、ミノリが力を使った時、何か察知しなかったか!?」
リョウマ「以前、サクラとミノリが修行してた時に不思議な力を察知したんだが・・・」
ミノリ「サクラ様やアサマさんにも「独特の魔力がありますね」と言われた事はあるけど・・・。先祖返り・・・」


ミノリが蛇姫様の呪いをかけられた理由はただ一つ。彼女が先祖返りしたからだ。時代と共に血が薄くなったと言えど、たまに先祖返りで当時の種族同様の力を身に着ける場合もある・・・。信じられない話に彼女はお腹をギュッと抱えるも、何人かが彼女の魔力が特殊である事を証言している。本人はその気はないのだが、白夜王国にいる高度な術者が認めるという事はその可能性が大きい・・・。
だが、彼女が先祖返りしたという事は蛇姫にとっては予想外の事態である。ミノリの体にある膨大な魔力が腹の中にいる赤子の方に移るからだ。こうなると、蛇姫にとっては予想外の事態であり、早急に赤子の方を潰さないといけなくなる・・・。しかも、最悪な形で・・・


エリーゼ「蛇姫はミノリのお腹の中にいる赤ちゃんをとんでもない方法で殺そうとしてたの・・・!これを見て・・・!」


家族や兄妹を大事にするエリーゼは古文書に書かれているある一文を見て顔を青くしていた。そこには・・・



「クチナワの呪い」
蛇姫が扱う術の一つ。対象の人物を呪い殺す術であり、どこへ逃げても逃れる事は出来ず、生まれる前の赤子ですら呪う事も可能。
術のやり方は紙人形に自身の血で呪いの対象となる人物の名を刻み、生贄用の数匹の蛇を切り刻む。そして、神社のご神木などの神聖な場所に打ち込んで、最後に呪いをかける対象の人物を思い浮かべて念じれば、死した蛇が蛇姫の使いの蛇と転生し、対象の人物へ向かって呪い殺す。



エリーゼ「クチナワの呪いの手順・・・蛇恋結びに似てるでしょ・・・これさ、どういう意味か分かるよね・・・蛇姫がメリルの家族を思う気持ちやその悩みに付けこんだって事だよ・・・!」



蛇姫はミノリの腹の中にいる赤子を殺すため、家族の付き合い方に悩む年頃のメリルの心に付け込み、クチナワの呪いを教えたのだ。その結果、何も知らないメリルは恐ろしい術をおまじないと信じ込み、クチナワの呪いを実行したのだ・・・。


アルジャ「ふざけないでください!蛇姫は自分の手を汚さずに人の妹の心に付け込んで、ミノリさんの腹の中にいる子供を殺そうとしたって事ですか!!?メリルの純粋な思いをこんな形に利用するなんて・・・!もし、この術が成功してしまったら・・・!!」


年頃の少女は敵の嘘に騙されたと言えど、最悪な場合は一生取り返しがつかない事になってしまう・・・。もし、メリルがこの事を知ったら、発狂をしかねない・・・。蛇姫の企みに全員の怒りが沸々と湧き上がる・・・。
全ての元凶とも言える蛇姫の行いに一同は恐怖や怒りの感情を抱く中、古文書のページはまだある。この先にも今以上にとんでもない事が記されているのが分かるが、事実が明らかになった以上、見逃す事が出来ない。次のページに何かの絵が描かれているのが見え、開くのに躊躇(ためら)いが生じる。深呼吸をして心を落ち着かせると、次のページを開いた・・・!
そこには見開きで皆が最も気になっていた継承の儀式が描かれていた。予想通りに継承の儀式は普通の儀式ではなかった。武家屋敷の一室、部屋の隅には蛇と人が合わさった化け物が数人おり、前には次期継承者で選ばれたであろう女性と祠に祀られている像のモデルである蛇姫がいる。蛇姫は空中に丸い何かを浮かばせており、何かと気になるも、もっとも気になるのがあった。それは・・・





部屋の上部の空間が切り裂かれ、巨大な爬虫類の手が空間をこじ開けてこちら側に来ようとしていたからだ・・・!





マルス「この巨大な手は何・・・!?大きさからすると、この手の持ち主がとんでもなく大きいのが分かるんだけど・・・!いや、それ以前に相手は別の世界に棲む存在なんじゃ・・・!?」
タクミ「つまり、蛇姫はこの化け物を召喚する際に次期継承者の女性を生贄に捧げてたんじゃ・・・!だけど、この丸いものって・・・」
アルジャ「黒曜石の鏡でしょうか・・・?詳細は書かれてなかったので・・・ですが、この鏡はこの継承の儀式を行う際に必要なものとは言えます・・・!」
マリオ「この鏡の効果、何となくだと思うが、場所や時代を問わずに繋ぐ効果があるんじゃないのか・・・。俺の弟も過去の依頼で似たようなものを見てたし、それにこの鏡の効果は俺等も体験したはずだ・・・!」
リョウマ「ああ・・・三日目の襲撃か・・・!」


オカルトに強い知り合いがいると、自然にある程度は詳しくなる。三日目の深夜にあった襲撃は鏡の力で蛇姫が何かをしたのだろう。これならば、家の戸締りや起きていた住民の目を無視する事も可能だ・・・。
最後のページにはミノリの先祖達が編み出した術が書かれおり、この術を使えば蛇姫に対抗する事が可能である。

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その9) ( No.81 )
日時: 2016/08/01 03:21
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

タクミ「結婚祝いを持って依頼を解決しに行くつもりがまさかの大事に巻き込まれてたなんて・・・。だけど、これは見逃す事が出来ない事態だぞ・・・!」
ミノリ「継承の儀式がこんなにも恐ろしいなんて・・・。もし、リョウマ様達に依頼を頼んでなかったら、メリルちゃんは何も知らない状態でクチナワの呪いを使い、子を失った私は失意のまま継承の儀式を行い・・・」
アルジャ「ミノリさん、それ以上は考えない方がいいです・・・。お腹の子に悪影響を及ぼしますので・・・。継承の儀式が危険である以上、高い魔力を持つミノリさんはまだ狙われてま・・・高い魔力・・・?」
リョウマ「アルジャ、どうしたんだ・・・?セイレン族が残した術はあるし、それがあればいつでも蛇姫を倒す事が可能なはずだが・・・?」
アルジャ「まずい事になりました・・・!俺、メリルを殺すような馬鹿な真似をしてしまいました・・・!」


古文書に書かれていた真実を一通り目を通したアルジャはある事に気づく。同時に彼は自身の行動に後悔しており、机を荒々しく叩く。


ミノリ「アルジャ君、どういう事なの!?私がいないと、継承の儀式は出来ないんじゃ・・・!」
アルジャ「違います!蛇姫が継承の儀式に必要なのは魔力が高い女性なんです!だって、次期統治者にほかの候補や異議を唱えた人がいたと書いてありますよね。これは統治者としてふさわしい人物がいたにもかかわらず、その者達は不幸な目に遭いました・・・。これは蛇姫が継承の儀式に必要な次期統治者(生贄)を選ぶためだと考えられます・・・!」
リョウマ「蛇姫にとっては次期統治者にふさわしい人材以外の相手は邪魔者にしか見えなかっただろうな・・・。どの世界でも魔力重視や女性が王になる気まりや長男の指示は絶対とかあったし・・・。」
アルジャ「皆さん、今日は何の日かご存知ですか・・・?」
ミノリ「メリルちゃんの15歳の誕生日ね。本当ならば、みんなと一緒に祝うはずだったのに・・・」
アルジャ「正解です。実は皆さんに言ってなかった事があります。俺達の種族は15歳になると大人の仲間入りを果たし、同時に魔力が覚醒します。エリーゼ様はメリルと接する機会が多くありましたから、メリルの魔法が優れているのは知ってますよね?」
エリーゼ「うん!知ってるよ!メリルの魔法は凄かったんだも・・・!?」


アルジャの言葉の意味にエリーゼはハッと息を呑む。同時に他の者達もその言葉の真意に気づく。だが、それは彼女に危機が訪れている事でもある・・・!


アルジャ「皆さんはミノリさんの体にある蛇姫様の呪い・・・いや、クチナワの呪いの締めつけ痕を見ましたよね?特にエリーゼ様は何度も見てます。ですが、今日は締めつけ痕がいつも以上にきつかったのと、黒い靄で出来た蛇が出ましたよね・・・?それはメリルが15歳の誕生日を迎え、魔力が覚醒したからでしょう・・・。そうなれば、力はかなり強くなり、ミノリさんと赤子を殺す事も容易いでしょう・・・」
カムイ「もし、メリルに嘘のおまじないを教えた蛇姫がこの事を知ったら・・・!」


継承の儀式の条件に一致するため、メリルが狙われる可能性が大きい・・・!敵は強大な力を持つため、今すぐにでも彼女を使って継承の儀式を行う事も可能だ・・・!


エリーゼ「アルジャ、急がないと大変な事になっちゃう・・・!」
アルジャ「分かってます・・・!メリル・・・ごめん・・・頼むから無事でいてくれ・・・!」





一同がメリルを探しに行った同時刻・・・


???「今回の継承の儀式を行う際に予想外の事が起きるなんて思わなかったわ・・・。まさか、私に抵抗を続けるセイレン族の血が覚醒するなんて・・・!どこまで私に抗えば気が済むのよ・・・!忌々しいわ・・・!あの小娘に腹の中にいる赤子を殺させようと仕向けたけど、完全に失敗に終わってしまった・・・!しかし、今のでいい収穫があったわ。クチナワの呪いを使ったあの小娘にあんな力があったのねぇ。ミノリちゃんよりも肉体はかなり若いし、魔力は成長する分を含めると、今すぐに鞍替えしても悪くないわね。そうと決まったら、継承の儀式の準備をしなきゃねぇ・・・」





マリオ「メリルー!どこにいるんだー!返事しろー!」
リョウマ「お前の兄は怒ってないから出て来ーい!」


タクミ「どこにいるんだ・・・!」
マルス「敵がどこからか襲撃してくるか分からないから警戒しないと・・・!」


メリルが敵の手に落ちる前に保護をしようと夜の町を走り回る。敵はどこに潜んでいるか分からず、不意に攻撃される可能性がある。警戒をしながら一同は少女の名を叫んで探し続ける。ちなみにミノリは安全のためとメリルを待つため、家に残っている。


メリル「ぐすっ・・・お兄ちゃんの馬鹿・・・」


一方、先に家を出た少女は林の奥で一人寂しく涙を流していた。彼女の脳裏には悲しそうな表情をする兄と兄の大事な人の顔が焼き付いており、脳裏から離れない。年頃の少女が負った傷はかなり深く、簡単には癒せない・・・。


カムイ「・・ル!い・・・・を・て!」
メリル「カムイ様の声・・・?まさか、私を探しに来たんじゃ・・・?」
アルジャ「メリル!いたら返事してください!」
メリル「お兄ちゃん・・・!」


先ほどの出来事が原因で自分を探す者達の声にメリルは息を殺す。その中にはアルジャの声もあり、今の状態では会いたくなかった。さっさと消えてほしいと思う中、その願い通りに声はどんどん遠くなる。


メリル「どうしてこうなっちゃったの・・・私、お兄ちゃんとミノリさんのために頑張ってたのに・・・家族として最悪だよ・・・しかも、今日は私の誕生日なのに最悪な事になっちゃったわ「なら、私が最高の誕生日にしてあげるわよ?」





エリーゼ「お姉ちゃん、そっちにいた!?」
カムイ「いないわ・・・!」
アルジャ「駄菓子屋の方にも行きましたけど、あっちもメリルを見てないと言ってました・・・一体、どこに「きゃああああああああああー!!!」


夜の静寂を引き裂く少女の悲鳴。その悲鳴は自分達が探していた人物の悲鳴だ。大急ぎで悲鳴があった場所に行くと、彼女を何者かが連れ去ろうとしていた。必死に抵抗するメリルの背後には空間が歪んでおり、そこから手が出現していた!


メリル「誰か・・・助け・・・」
アルジャ「メリル——————————!!!」


空間の方へ無理矢理引きずられるメリルを助けようと、カムイとエリーゼとアルジャが全力で走る。その中でもアルジャが群を抜いており、大事な妹を救おうと手を伸ばす。だが、その手はあと数センチのところで届かず、メリルは助けに来た兄に手を伸ばした状態で空間の向こう側へと連れて行かれた・・・。


カムイ「蛇姫がか鏡を持っているのは分かってたけど、遅かった・・・!」
アルジャ「嘘ですよね・・・!メリル・・・!」
エリーゼ「アルジャ、まだ諦めちゃダメ!まだチャンスはあるよ!」


目の前でさらわれた事によるショックは大きかったが、ここで立ち止まっている暇はない。メリルが連れ去られた場所は検討がついている。敵の本拠地である武家屋敷だ。そこで相手の目的である継承の儀式が確実に行われる。よって、これが最後のチャンス・・・!
最後のチャンスに掛け、三人は携帯で連絡を取って仲間達に合流する。マリオ達もアルジャの表情からして事情を察し、何も言わずに武家屋敷へと走る・・・。





タクミ「屋敷に着いたが、やっぱり門はしまってる・・・」


外は星空一つない漆黒とも呼べる夜になり、雲に全く隠れてない満月が不気味に見える。武家屋敷に着くと、人々を歓迎する門は固く閉ざされており、侵入者を阻む。穏便に済ますため、塀を登ろうとしたが高すぎるので断念。ここでもたもたしてたら、儀式が行われてしまう・・・!


マルス「従者の数はたくさんだし、今日みたいな肝心な用事の場合は屋敷の警備は厳しくなってるはず・・・」
エリーゼ「しかも、錠の方は特殊な鍵みたいだし、針金のような細い棒を使ってカチャカチャ開けるのは無理っぽい・・・」
カムイ「なるべく見つからないようにしたいわね・・・」
マリオ「こんな事もあろうかと、持って来て正解だったな・・・」


任天堂の英雄の手には持ち運び用のガスバーナーがあった。スイッチを入れると、高温の青い炎が筒から出る。それを門の錠に向けて当て続ける。


リョウマ「俺等がメリルを探す中、武家屋敷の方へ向かう事も頭を入れて、寄り道して借りただけだ。以前訪ねた時に門の構造を思い出し、一筋縄ではいかないと察した。」
マリオ「俺の炎で錠を焼き切る問手段もあるが、俺の炎は投げ飛ばしたり広範囲のだから適しない。ガスバーナーの方が高温の炎が出やすいの細い炎と出るから扱いやすい。それに見つかる可能性もグッと下がる。」
タクミ「そこまで考えてたのか・・・」
マリオ「お前等は周囲を確認しろ。・・・よし、焼き切れたぞ!」


頑丈な錠はガスバーナーの炎によって静かに焼き切れ、地面に落ちる。ここから先は武家屋敷に侵入するので戦闘は避けられない。

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その10) ( No.82 )
日時: 2016/08/01 03:26
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

マリオ「お前等、最後の一仕事だ!気を抜くんじゃない!」
カムイ「分かってるわ!初の依頼がここまでぶっ飛んでるなんて思わなかったわ・・・!」
マルス「何を言うの?スマブラでも同じじゃん。みんな、準備はいい?」
リョウマ「出来てる!俺も覚悟は決めた!アルジャ、あんたも無理はするな!」
タクミ「散々とオカルト関係で苦しめられたけど、別の意味で終わるだろうな・・・」
エリーゼ「幸せな家族のためにも頑張っちゃうよー!」
アルジャ「皆さん、ありがとうございます・・・!俺、皆さんに出会えてよかったです・・・!」


武家屋敷はわずかな灯りが廊下や部屋や外を照らす。一同は見つからないように慎重に進む。物陰から様子を窺(うかが)うと、従者の一人がいた。相手は廊下をゆっくりと歩いており、こっちに気づいてない。


マリオ「相手は一体か・・・しかも、廊下を歩いてるから先に進めないな・・・」
リョウマ「敵は一体だけだし、気絶させるのがいいか・・・」
アルジャ「じゃあ、俺が前に出て引きつけますのでお願いします」


なるべく被害を押さえるべく、アルジャが囮になって前に出る。当然、従者は気づく。


従者「・・・!」
アルジャ(来たか!今です!)
マリオ「おんどりゃあ!!」
リョウマ「たあっ!!」
従者「ギギャア!!」


マリオのパンチとリョウマのみねうちにより、従者は気を失った。急いで部屋にしまおうとする中、三人はある事に気づく。従者が着ている服の下からびっしりと生えた鱗が見え、長い袖に隠されていた手は異様に大きく角ばっており、顔を隠す黒衣からは蛇の頭部を覗かせる。従者の正体は古文書に載っている蛇姫の下僕だろう・・・


タクミ「ずっと昔からこんなのが跋扈(ばっこ)してたのか・・・」
エリーゼ「あっちの世界から何人か来ちゃってるんだ・・・」
カムイ「古文書通りに武家屋敷にいる従者は全員人外であるのが分かったわ・・・別世界から来たとなると、私達の戦い方が通用しないかも・・・」
タクミ「カムイ、後ろ!」


タクミの声にカムイは大急ぎで避ける。彼女がいた場所に何かが振り下ろされ、廊下の一部を無残な姿に変える。そこにいたのは鋭いかぎ爪を持つ従者が三体いた。


従者A「ギシャギャギャギャ!(訳:侵入者だ!」
従者B「ギーシャシャギシャッシャ!(訳:蛇姫様の元には行かせない!」
従者C「ギシャギシャギシャギシャシャギャギシャ!(訳:この爪で我々に逆らった奴同様に切り裂いてやる!」
マルス「見つかっちゃったね・・・アルジャとエリーゼは後ろにいてね!レイドチョップ!」
カムイ「貫け!跳槍突!」
タクミ「ただの弓使いだと思うな。・・・射貫け!」
マリオ「マリオトルネード!」
リョウマ「蛇如きに負けるか・・・!」


強い攻撃を放つも、蛇の従者の鱗が堅く、中々ダメージが与えられない。一方の相手は身軽に動きつつ、爪を振りかざす。とっさに回避はしたものの、敵の頑丈さと数が原因で時間がかかってしまう・・・。


カムイ「みんな、回避に専念して・・・!(もうそろそろかしら・・・?」
従者A「ギシャ!ギシャシャギシャー!(訳:何だ!そんな程度だったのか!」
従者B「ギシャーギシャギシャギシャー!(訳:我々も暇ではないからここで終わらせるぜ」
カムイ「何を言うの?終わるのはそっちよ?」
従者C「ギシャ?(訳:え?」


喉笛を掻っ切ろうとした時、カムイが持つ夜ノ神の一閃が従者を薙ぎ払う。その一撃は蛇の従者の爪だけではなく、頑丈な鱗さえも切り裂く。


従者A「ギッ・・・!?(訳:馬鹿な・・・!?」
カムイ「ちょうどいいタイミングで術が発動したみたいね。」
ミノリ(皆さん、遅れてごめんなさい。私も間接的ですが闘います・・・!)


一同の脳内に直接呼びかけるのはこの場にいないミノリ。どうやら、テレパシーの一種を使っているようだ。彼女の声がしたと同時に一同に不思議な力が与えられる。そう、これは古文書に記されたセイレン族が残した術だ・・・。





メリルを探しに行く時間帯・・・


リョウマ「ミノリ!?お前、正気なのか!考え直せ!」
アルジャ「あなたは危険な状態なんです!病み上がりのあなたが術なんか使ったら・・・!」
エリーゼ「あたしが使うよ!セイレン族の術は難しいけど、魔法が使えるあたしならまだ・・・!」


セイレン族が残した術を誰が使おうかと話し合った時、魔法に強いエリーゼがやろうとしたのだが、真っ先に名乗りあげたのはミノリ。彼女の申し出に多くの人が反対する。


ミノリ「そこは分かってるわ!私の身に危険が及ぶ可能性が高いのは十分理解してるわ。どうせ、私は子供を産んだら魔力は無くなっちゃうのよ。だったら、最後ぐらいは盛大に使わせてちょうだい。」


BGM:千山万水・吽(朧村正)





ミノリ「それに、この術は私達のご先祖様が命をかけて残してくれたものよ。彼等も私同様に辛い思いをする中で、命をかけてでもこの悲劇を止めようとしてたわ。そんな彼等の思いを無駄にしないためにも、この術を使わせてほしいの。それにね、アルジャ君や赤ちゃんやメリルちゃんやみんなを守る事が出来るの・・・!」





にこっと微笑む依頼人の妻の決意は固く、彼女は頼りになる夫とその夫の素直になれない妹、まだ見ぬ外の世界に憧れる子供と大事な生まれ故郷を愛してる。優しい彼女がここまで譲らない事にアルジャやリョウマ達は驚くも、同時にミノリの母としての強さや一族の誇りを守るための覚悟があるのを知る・・・。
彼女の揺るがない決意に皆は術を使うのに許可を出した。


ミノリ「アルジャ君、リョウマ様、皆さん、本当にごめんなさい・・・。あとでお説教や罰は受けます・・・」
リョウマ「気にするな。しかし、あのぼんやりとした狐の巫女見習いがまさかここまで強くなるなんて思わなかった・・・。サクラもいい弟子を持ったな・・・。」
エリーゼ「アルジャ、いいお嫁さんに出会ったね・・・。メリルのお姉ちゃんはいい人だね・・・。あたしもいつかはこんな風になりたいな・・・」
タクミ「大事にしろよ・・・」
アルジャ「俺もここまで最高の女性に出会ったのが奇跡です・・・。メリルもミノリさんに出会って幸せだと思います・・・。お腹の子も早くお母さんに会いたいでしょう・・・」
マルス「そんなお母さんを支えるお父さんも最高だよ・・・」
マリオ「幸せな家族が酷い目に遭うのはおかしいもんな・・・」
カムイ「母の思いは強し・・・(絶対に食い止める・・・!」





ミノリの加護により、一同は蛇に対抗する力を手にした。敵は今までのセイレン族や自分達に抗った人間と思ってたが、今回は違う。何故なら、様々な思いが重なり、一つとなりつつあるからだ。


従者B「ギシャッギシャギシャシャー!(訳:急いで伝えないと・・・!」
タクミ「どこへ行く気だ!!(矢を連射で放つ」
従者C「ギッギャア!!」
リョウマ「凄い力だ・・・!蛇の鱗さえも物とはしない・・・」
ミノリ(セイレン族って凄すぎるわね・・・私もその一人だけど・・・自分の種族を改めて見直そうかしら?)
エリーゼ「自分の種族を誇りに思った方がいいよ!それよりも先へ急ごう!」





屋敷に侵入してから数十分後、門の前にあった焼き切れた錠前で敵はようやく侵入者の存在に気づいた。だが、カムイ達はすでに屋敷の奥まで侵入しており、従者が急いで向かうも蛇に対抗する術を持った彼等を止める事は出来ない。


従者「ギャッシャア!!」
マリオ「邪魔だ!どけ!」
リョウマ「ふんぬっ!」
アルジャ「メリルはどこに・・・!」


奥へ進めば進むほど、敵の数は多くなり、攻撃方法や頑丈さに変化が見られる。それでも一丸となって進めば、彼等の敵ではない。だが、その快進撃は止まってしまう。


カムイ「敵もかなり頑丈になって来たわね・・・って、何か物凄く武装した従者がいるんだけど・・・」
武装従者A「貴様等が侵入者か。蛇姫様の儀式の邪魔はさせない。」
武装従者B「これ以上の蛮勇は止めてもらおうか。」
タクミ「強くなった分、言葉を話すようになったのか・・・」


そこに現れたのは巨大な薙刀を持った武装した二人の従者。今まで戦った従者とは格が違い、相手が持つ武器は真っ赤に染まっている。また、上位種か亜種であるのか、人語で話してくる。


エリーゼ「今までとは違いすぎる・・・ここは戦わない方が・・・!」
武装従者A「どこへ行く気だ!」


武装した従者は巨大な薙刀を無防備のエリーゼに目がけて振り下ろすも、リョウマが雷神刀で塞ぐ。場にガキィンと武器がぶつかる音が響き、パワーがある彼が押されている・・・。同時にマリオとマルスが別の従者に挑むも、薙刀で塞がれてしまう。


リョウマ「カムイ、タクミ、アルジャ、ここは俺等が喰い止めるから先に行け!」
タクミ「何を言ってんだよ!あいつ、今までの奴よりもまずいと言うのが分からないのか!」
リョウマ「分かってる!だが、俺等はここで喰い止めないとまずいし、それに一緒に行く事が無理だ・・・」
カムイ「リョウマ兄さん、無理はしちゃダメ!マリオやマルスも苦戦して・・・」
ミノリ(リョウマ様・・・やはり・・・)
リョウマ「ああ、相手が手を下してきたようだ・・・」

依頼8:本命の依頼人の依頼を解決せよ! 後半(その11) ( No.83 )
日時: 2016/08/01 03:32
名前: りゅーと (ID: xiz6dVQF)

任天堂の英雄とアリティアの王子と白夜王国の第一王子の足には蛇の締め付け痕があった。そう、三人はクチナワの呪いを受けている・・・。道中で蛇姫が仕掛けたらしく、それを喰らってしまったのだ・・・。気丈に振る舞う彼等はじわじわと体力を減らされており、ミノリの加護を持っても呪いを遅らせる程度にしかならない・・・。


カムイ「兄さん達が呪いを受けてたなんて・・・」
タクミ「だったら、僕も残って戦・・・」
マリオ「こういうのは先輩やお兄さん達に任せとけって!お前等はやるべき事があるだろ?」
マルス「これくらいは平気だよ。僕達が出来る事はこれくらいしかないけど、先に行かす事だって可能だよ。」
リョウマ「俺を誰だと思っている!白夜王国次期国王でもあり、タクミとカムイの兄だ!弟と妹を導くのも兄の役目だ!さっさと行け!タクミ、カムイを頼んだ・・・!」
カムイ「・・・」
エリーゼ「お姉ちゃん・・・タクミ王子・・・行こう・・・」
アルジャ「酷かもしれませんが、三人の思いを無駄にしてはいけません・・・!」


泣きそうになるカムイとタクミを強引に連れて行き、四人は先へ進む。残されたマリオとマルスとリョウマは不利な状況でありながらも、武器を構えて相手を見据える。


武装従者A「ほう・・・仲間のためにこの場に残るのか・・・命知らずのようだな・・・今まで戦って来た奴らでもここまで抗ったのがお前等が始めてだ・・・」
武装従者B「その判断が吉と出るか凶と出るか・・・だが、ここまで骨があると言うなら、我々を楽しませてくれるよな・・・?」





カムイ「兄さん・・・マリオ・・・マルス・・・ごめんね・・・」
タクミ「カムイ、あの馬鹿兄貴は簡単にやられたりはしないはずだ・・・」
カムイ「タクミだって心配じゃないの・・・」
タクミ「僕だって不安だよ・・・だけど、出来る事は限られている・・・ここで立ち止まってはいけない・・・」
カムイ「そうだよね・・・兄さん達は最強だもんね・・・!」
アルジャ「その兄さん達同様に俺も頑張らないといけませんね・・・」


三人が足止めしている間にカムイ達はメリルを探す。屋敷内を深く進めば進むほど、灯りはどんどん暗くなっていく・・・。四人は注意深く警戒しつつ、僅かな灯りを頼りに進む・・・。
しばらく進むと、とある部屋に二人分の人影があった。だが、その部屋から邪悪な気配が十分に放たれており、そこから先へ進むなと体が警告をする。障子越しから伝わる気配に怯まず、先頭を走るカムイは目で同行するメンバーに最終確認をすると、障子戸を蹴って突入した!





カムイ「大当たりのようね・・・」


その部屋では継承の儀式が行われていた。そこには連れ去られたメリルが虚ろな目で何かの呪文を唱えている。その呪文は従者達が発してた言葉と同じであり、内容は理解出来ない。


メリル「・・・・・」
アルジャ「メリル!大丈夫ですか!」
メリル「・・・・・」
アルジャ「メリル・・・?返事をしてください!」
エリーゼ「催眠状態にかかってるんじゃ・・・!」


彼女は兄の呼びかけにも何の反応も示さず、ずっと呪文を詠唱している。おそらくは強い催眠状態になってるだろう・・・。
部屋の上部には古文書の内容通りに空間が切り裂かれており、そこから巨大な爬虫類の手が出現していた。その手は空間を無理矢理こじ開け、こちら側に来ようとしていた。その下では現統治者であるマコがメリルと同じ呪文を唱えており、空中に浮く黒曜石の鏡に魔力を注いでいた。二人分の呪文と魔力により、鏡に力が与えられ、空間の向こう側にいる何かが来やすくなっている・・・!
継承の儀式で呼び出される何かの存在に圧倒される中、マコは彼女は侵入者の存在に気づくと詠唱をやめ、すっと立ち上がりこちらの方を振り向く。


マコ「あら?お客さん?って、アルジャ君じゃない。こんな夜遅くに何か用かしら?今は取り込み中だから、後にしてくれないかしら?」
アルジャ「マコさん、悪いですけど、そちらのお宅にいるメリルを連れて帰ります。」
マコ「そう・・・じゃあ、早めにお帰りをお願いいただこうかしら?」


その一言と同時にマコは手から光球を放つ。その球をカムイが前に出て剣で弾く。


カムイ「お客さんをちゃんともてなすべきじゃないの?こんなおもてなしはいらないわ。タクミ、援護をして。アルジャとエリーゼはメリルの方をお願いね!」
タクミ「分かった!お前等、攻撃が飛んでこないように避難しろ!」


BGM:落花繽紛(朧村正)


戦闘向きではないアルジャとエリーゼはメリルを連れて部屋の隅へと避難する。一方のメリルは二人に連れられるも、虚ろな目でずっと呪文を詠唱続ける。この間にも鏡に力が与えられてしまう。


マコ「あの子の魔力はミノリちゃんよりも莫大だし、蛇神の召喚や私の新しい肉体にも適しているわ。最初にミノリちゃんの子を殺せなかったのは許せなかったけど、代わりにいい収穫が得られたからチャラにするわぁ。」
カムイ「ふざけないで!メリルの家族を思う気持ちや純粋な悩みを人殺しの道具にしないでよ!もし、成功してしまったら、心に深い傷を負ってしまうのよ!あなたがやろうとしている事は重罪よ!継承の儀式は絶対に阻止するわ・・・!」
マコ「はっ!セイレン族の力を貰っている外部の人間が何を言うの!!あのまま大人しく帰れば、手を下さなかったのにねぇ・・・!あの三人も今頃は・・・」
タクミ「兄さんの執念深さを舐めるな・・・!」


ミノリの加護を得たカムイの剣術とタクミの弓術と術を使うマコの戦いは互角である。二対一と特殊な条件下で戦っているのにもかかわらず、マコは傷を負うどころか息は上がっていない。相手は相当な力と魔力を蓄えているのだろう・・・。空間を切り裂いてこちらに来る何かを呼び出せるほど・・・。だが、セイレン族が術を残した事とその術を使う人物が先祖返りをした巫女であるため、マコは苦戦を強いられる。
長い攻防戦が繰り広げられる中、変化があったのはマコの方だ。


マコ「まさか・・・私がここまで押されるとはねぇ・・・」
カムイ「セイレン族を支配したつもりでいたけど、セイレン族も黙ってないのよ・・・」
マコ「はんっ!何、被害者ヅラしちゃってるの?元はと言ったら、そっちが私のぶら下げた餌に釣られたからじゃないの?大人しくしてれば、こんな事にはならなかったのにねぇ・・・。しかし、人の肉体って不便だよねぇ。動きにくいから困るのよ。まあ、長く生きらえるのと魔力にあふれている若い肉体があるから、私にとっては力を付けるのは十分なのよ。」
タクミ「化けの皮が剥がれたようだな・・・」


次の瞬間、マコの体に異変が起きた。彼女の体からゴキゴキと骨格が変化する音がし、同時に着ていた着物がいとも容易く裂けてしまう。それだけではない、白髪交じりの髪の毛はずるりと抜け落ち、深いしわを刻んでいた皮膚が剥がれ落ちる。それはまさに蛇が脱皮するかのように恐るべき変化を遂げる・・・。ありえない現象に四人はそれから目を背ける事が出来ず、言葉を失う・・・。
無数の蛇の鱗に覆われた体、蛇のように凍てつく鋭い眼、鋭い牙と細長い舌を覗かせる巨大な口。それは神社で見た像や古文書でみた。そう、そこにいたのは・・・





蛇姫「この姿を見た人間が現れたのは何百年ぶりかしら?正直言うと、この姿は誰にも見せたくないわねぇ・・・。まあ、目撃者を全員消せばいいのよ・・・!」





次回、最終話&アフターストーリー





「オマケ」ギャグはあった


りゅーと「実を言うと、今回の話にNGシーンがあったのよねー。まあ、予想通りにギャグだよーwww」
メリル「酷いシーンがあったの!?」



・NGシーンその1:カサカサする赤い兄
・NGシーンその2:彼岸島作戦
・NGシーンその3:兄リョウマによるタクミ冤罪事件


りゅーと「最終話前に更新する予定ですので、後半でSAN値がガッツリ減らされた人はこれを読んでくださいねー」
アルジャ「すみません、絶対にリョウマ様とマリオさんがやらかしましたよね?」
ミノリ「特にその3は見てみたいけど、絶対に嫌な予感しかしない・・・;」





完全にゆめひめさんと全国のマリオとリョウマとタクミ、三人のファンやFEファンに殺されそうで怖い;
長かった・・・;感想OK