二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【壁】 ( No.112 )
- 日時: 2015/09/03 22:31
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 0otapX/G)
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戻って来た時には、彼は眉間に皺を寄せていた。
彼の命令に背いて勝手に何処かへ行ってしまったり、彼の命令を無視して人やポケモンを殺したことは自分より彼が何回もしていたので、彼の表情にはもう慣れていた。
彼も彼だ。生真面目すぎる故に時々融通が利かなくなる時がある。たまには肩の力を抜いたらどうだ。
彼の背後にいる囚人服のようなブカブカな服を着た男と、学ランのような服を着た男が立っている。
囚人服のような男はフードにより、顔は遮られている為、素顔と表情は見えないが、口元を吊り上げて笑っている。身長とは釣り合わないサイズのせいか、袖が長く、彼の掌が見えない。
学ランのような服を着た男は珍しいこともあるもんだ、と言いたげにせせら笑いをする。
普段は彼が問題を起こしているが、今回は自分がリーダーの命令に背いた。生真面目すぎる彼のことだから、きっと自分を叱るのだろう。
しかし、彼は静かに口を開く。
「……珍しいな、お前が任務から抜け出すとは」
「スターリーちゃんお熱あるのカナー?あ、もしかして、ブレックファーストに感染されちゃったとか!?」
「誰がブレックファーストだゴラァ!!」
囚人服の男のからかいに乗り、感情的になる男。
それを見て、囚人服の男は両手を口元に寄せ、クスクスと笑った。嘲笑っているような、挑発しているような、そんな不気味な笑い声。
赤いマフラーに赤い忍装服を着た男は彼等を気に留めず、赤いスーツの上にジャケットを羽織った紺色の髪をした男を、金色の瞳をギラつかせて見据える。
赤いマフラーの男は問うた。
「何故、俺の命令に背いた」
「んー、今回に任務が何かつまんなかっただけ。ディアンシーだっけ?宝石作るポケモンとかそういうの。ボク、宝石になんか興味ないんだよね」
「お前の興味があろうか無かろうか、女王への命令は絶対だ。俺たちの存在意義は女王から与えられる任務をこなす、それだけだ」
「本当に真面目だねぇ。秩序に縛られてばかりじゃ、人生面白くないよ?」
ジャケットの男は、あの短気と似ていて自分に正直だ。つまらないものはつまらないと言い、任務は彼にとっては遊びのような感覚なのだろう。
ジャケットの男は、学ランの男とは異なり、命令を聞く耳を持つが、何年前か、手下を利用して男と認識するのも無理はない少女を拉致して拷問を行ったことがある。ラージ曰く「ロリコンに目覚めた」らしい。
女王への命令は絶対。背いた者には罰を与えらなければならない。
赤いマフラーの男の目が一層鋭くなる。
それに釣られてジャケットの男の目も鋭くなり、お互い睨み合うようになる。
「……ラージの言う通り、ブレイクに感染されたようだな。薬を処方してやろう」
「おいおい、失礼だな。ボクはあいつと違ってまともだよ?そんなに問題起こさないし、一応、女王への忠実性はあるんだよー?」
「今のお前は反逆者にしか見えないが。お前がその自分勝手なことをしなければ、最低限の軽い罰を与えてやろ──」
「ストップストーーーップ!!」
先程まで学ランの男をからかっていた囚人服の男が唐突に叫び声を上げると、周囲は男へと視線を移し、沈黙になる。
「リーダーとスターリーちゃんがバトルしたら、オイラたちお陀仏だよ?傍観するのは楽しいけど、巻き添えは嫌!それに、今はお姫様を探すのが目的デショ?殺るのはそのあと!」
「……そうだな。今は女王への任務が最優先。ポケモンバトルはお預けだ」
「楽しみが増えると思ったけど、ま、いっか。どうせやることないし」
囚人服の男により、赤いマフラーの男とジャケットの男の感情は落ち着きを取り戻した。
喧嘩をするのは構わないが、ポケモンバトルまでされたら困る。彼等が本気のメガバトルをされたら、自分たちまで巻き添えを食らう。それを知ったら女王への怒りが爆発するだろう。女王に逆らったら最後だ。
男は赤いマフラーを整え直し、3人に命令を下す。
「さて……任務を続行するぞ」
「はいはーい!了解でーす」
「はいよ」
「骨のある奴だと、腕が鳴るぜ!」