二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ポケモン 不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険 ( No.136 )
- 日時: 2015/09/19 14:51
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 9/mZECQN)
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ピカチュウたちと挨拶した後、ハリマロンはポケモンタウンに住む住人たちを僕に紹介した。優しいおばちゃんのガルーラ、販売店を開いているカクレオン兄弟(緑がお兄さんで弟さんは紫)、男の子ような喋り方をする女性のラプラス……みんな個性的で、とっても優しかった。勿論怒りっぽいポケモンもいたけれど、悪いポケモンではなさそうだ。
改めて思うと、ハリマロンは本当に沢山のポケモンと仲良しなんだなぁ。少なくとも100匹もいるかもしれない。僕だったら、そんなに友達は作れないや。僕は彼みたいにフレンドリーではないから。ハリマロンのその気さくさは一体、何処から来ているんだろう。
それにハリマロンといると、何だか懐かしい感じがするのは何故だろうか。やっぱり、僕が人間だった頃の記憶と関わっているのかな?
暫くハリマロンと一緒に歩いていると、ピカチュウ、ゼニガメ、ニャスパーの姿が見えた。が……何だかおかしい。
ピカチュウとゼニガメが向かい合っていて、ピカチュウが叫び声を上げていて、ゼニガメは俯いている。揉め事だろうか。
ニャスパーは二匹の間に立ち、宥めているよう。
ハリマロンと僕は急いで駆け寄る。
「どうしたの?」
「それが……ピカチュウがゼニガメの泣き虫を直そうとしているんだけど、中々直らなくて……。それでピカチュウが怒り始めた」
「いい加減、直しなさいよッ!アンタそれでも♂なの!?」
「ううッ……。だってぇ……怖いものは怖いんだもん」
「この意気地無し!もういいわ、アタシはもうアンタと関わらない。この意気地無しと一緒にいるなんて、嫌ですもの!」
その言葉がゼニガメの中に大きく響いたようで、赤眼から溜めていた滴を溢れ出し、泣き声を上げる。
滴は水鉄砲のように激しく勢いを増す。
ピカチュウはそれを無視して、踵を返し、何処かに行ってしまった。
確かにゼニガメは泣き虫で臆病だ。それを変えようと頑張るピカチュウの行動も理解出来ない訳ではない。だが、きっとゼニガメもそれに応えようとしていた筈だ。
ピカチュウはゼニガメに強くなってほしいからこそ、あんなことを言ってしまったのだ。この件はどちらとも悪くはない。
ニャスパーは座り込むゼニガメを支える。
「ひっく……ひっく……。うう……ッ。おいら……やっぱり駄目だ……。ピカチュウがおいらの為に一緒懸命やっているのを見て、頑張ろうとしたけど……でもッ」
「俺は今のゼニガメが好きだけど」
「ほ、ほんと?」
「ああ。泣き虫で臆病だけど、ポケモンを守る為になけなしの勇気を振り絞る、君が。ピカチュウもそのことを知ってる筈さ」
「ううっ……ニャスパー……」
僕はゼニガメや他のみんなのことはよくわからないけど、ゼニガメは一緒懸命だ。臆病で人見知りで泣き虫だけど……彼なりに努力しているんだ。彼だって、頑張っているんだ。ピカチュウだって、わかっているんだ。
そんな時、一匹のポケモンがやって来た。
「お前たち、ピカチュウと何してたんだよ?」
「まぁ……色々と」
「ふぅん。それより、あいつが『ゴーストの洞窟』に向かったのを見たぜ」
一匹のポケモンが発した言葉『ゴーストの洞窟』と聞くと、ハリマロン、ゼニガメ、ニャスパーは目を見開き、叫び出した。
何故みんなが驚愕しているのかは、僕はわからない。
「「「「『ゴーストの洞窟』!?」」」
「『ゴーストの洞窟』って?」
「『ゴーストの洞窟』はゴーストタイプのポケモンが住んでいて、奥にはとーっても怖いお化けがいるって噂されているんだ!そんな洞窟に入るなんて……!」
「だったら、助けに行かなくちゃ!」
「で、でも……怖いお化けがいるんだよ。あの洞窟に入るなんて、おいら嫌だよぉ……」
確かに、怖いお化けの噂もあるし、みんなが驚く位の洞窟なのは少なくとも理解している。
だけど、
「危険なのはピカチュウの方だろ?友達を助けないで指を加えて待ってるなんて、僕は出来ないよ!」
ピカチュウは悪戯好きで、きつい言い方をするけれど、彼女は僕、否、僕たちの大切な友達なんだ。友達が困っていたら助けたいというのが、本当の友達だろ?
僕の想いが届いたのか、ハリマロンは何かを決心したかのように頷き、僕の元に寄る。
「ぼくも行くよ!ピカチュウを助けに」
「ハリマロン……」
「おいらも行きたい!だけど……」
「分かってる、俺と一緒に帰りを待ってよう。カルム、ハリマロン、ピカチュウを頼んだ」
僕とハリマロンは頷いた後、互いの顔を合わせる。とても真剣な表情と、友達を助けたいという強い瞳。
「行こう、ハリマロン!」
「うん!」