二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ポケモン 不思議のダンジョン カルムとハリマロンの冒険 ( No.139 )
- 日時: 2015/09/20 12:46
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 9/mZECQN)
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ゴーストが消えた後、僕たちは急いでピカチュウを助けてゴーストの洞窟を後にした。
ポケモンタウンに戻った後、ハリマロンの家でピカチュウを横たわらせ、安眠させることにした。ニャスパーによると、それほどダメージは食らっていないから数時間後に目覚めるらしい。良かった。
僕とハリマロンは安堵をして、急に力が抜けていくのを感じ、その場に座り込んだ。ゴーストのダメージの影響なのか、それとも安心のあまりに力が抜けたのか。
ニャスパーとゼニガメは僕たちの治療もしてくれたおかげで、元気を取り戻した。不思議だな、オレンの実って。僕の知る限りではきずぐすりでポケモンを回復させるのが常識なのだが、ポケモンの世界には、きずぐすりは存在しておらず、オレンの実を食べるだけで回復するなんて、すごいや。ポケモンの世界って。
それから数時間……ピカチュウは目覚めた。
「……此処は?アタシ、何でハリマロンの家に……」
「カルムとハリマロンがゴーストを倒したんだ。その後君を助けてハリマロンの家にいるってことさ」
「そっか……アタシ自暴自棄になってゴーストの洞窟に入っちゃったんだっけ。それでゴーストに襲われてたんだ。……アンタたち、どうもありがとね。借りが出来たわ。……ゼニガメ」
ピカチュウの視線から逃れるように目を反らしていたゼニガメ。先程の揉め事のことを引き摺っているようだ。しかし、表情からしてピカチュウは気にしていない模様。
ピカチュウに呼ばれて、ゼニガメは身震いをした。
「え……えっと……その」
「悪かったわ、アンタは今のアンタでも良いのにアタシ……アンタを否定してた。今思えば、どうしてあんなことを言ってしまったのか、わからないや。本当にごめん」
「!謝るのはおいらの方だよ!ピカチュウがおいらの為に一生懸命考えてくれたのに……おいら、それを無駄にしちゃった……!ごめん……ごめんねッ」
ゼニガメの赤眼から涙が伝う。
ピカチュウはもう気にするな、と言って微笑んだ。
何はともあれ、ピカチュウとゼニガメが仲直り出来て良かったよ。
物は壊せば直せないものもあるけれど……人生やヨリは壊れたってやり直せる。やり直せば良いんだ。
◆
夕方になり、ピカチュウ、ゼニガメ、ニャスパーは自宅に帰って行った。僕たちは彼等の影が消えていくまで手を振っていた。
空を仰ぐと、橙色に焼ける夕焼け。道理で背中が暖かい訳だ。
手を振るのをやめると、ハリマロンは僕に声を掛ける。
「カルム……ありがとう。君が言わなかったら、ぼくたちはピカチュウを助けられなかったよ。仲間思いなんだね。本当にありがとう!」
「礼を言うのはこっちの方さ、僕が諦めそうになった時、ハリマロンは僕を叱責してくれた。ハリマロンが言わなかったら、ゴーストは倒せなかった」
「カルム……。やったぁ!釣りを返せた!」
ハリマロンは暫くはしゃいでいたが、何かを思い出したかの
ように叫び出す。
「あッ!」
「どうしたの?」
「カルムはこれから……どうするの?」
「!」
そうだ……すっかり忘れていた。ポケモンとなった僕には、行くべき場所も帰る場所も、何もないない。それに僕の記憶も未だに曖昧。人間に戻れる方法も、元の世界に戻れる方法も知らないのだ。僕はこれから……どうすれば良いんだろう。
悩める僕に気付いたのか否か、ハリマロンは提案した。
「だったら、ぼくと一緒に暮らさない!?もしかしたら記憶を取り戻す方法もわかるかもしれないし、それに……ぼくはカルムともっと一緒にいたいな!……なんて、駄目かな」
確かに……僕は未だにポケモンの世界についてまだ知らない訳だし、行く宛なんてないし……。頼れるポケモンがいると心強い。暫くはハリマロンと一緒にいる方がいいかもしれない。ハリマロンを懐かしく思うこの感情も、いつしかわかるかもしれない……。
よし!
「じゃあ……お願いしようかな」
「!本当!?ありがとう!ぼくたち良い友達になれるよ、よろしくねカルム!!」
「こちらこそ、よろしく、ハリマロン!!」
こうして、僕とハリマロンの同居生活は始まったんだ。
そして、これは……これから起こるであろう、僕の記憶を取り戻す為……ポケモンの世界を救う為の戦いの始まりだったんだ。