二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 生と死の狭間で【ポケモンXY】 ( No.14 )
- 日時: 2015/12/13 19:26
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
- 参照:
机と椅子、そしてホワイトボード。名の通り、ポケモントレーナーズスクールの中は学園のような室内になっている。
自分よりも背の低い少年少女たちが集まっていて、此処でポケモンに関する本を読書していたり、ホワイトボードを眺めていたり、椅子に座って会話を弾ませている。
此処がトレーナーズスクールかぁ、と周りを見回す。
良い記事が書けそうだわ、パンジーはそう言いながらカメラのついたヘッドセットを手に当てている。
パンジーがハクダンシティで二つ書く記事があるらしい。
一つ目は此処、トレーナーズスクールで今勉強している子供たちの様子を取材することだ。勿論教師には許可を得ている。
二つ目はカルムがカフェで聞いた、妹──名はビオラというらしい──の取材だ。どちらにしろカルムもジムに行く予定なので少しの間同行している。
カメラのついたヘッドセットで周りを眺めていると、パンジーがあら?と訝しげな顔をする。それに続いてカルムもその方角に顔を向ける。
モンスターボールのヘッドフォンを水色の頭髪に付けていて、机でうつ伏せになっているポケモントレーナーは、恐らく世界で一人だけだ。
カルムは近付いて声をかける。
「アイニスじゃん!」
ほえ? 少し間の抜けた声と項垂れていた二本のアホ毛が上に上がる。
目を擦り、こちらを見てアイニスはまた声を放つ。相変わらずジト目である。
「……カル〇スか。久し振りだな」
「そうそう、僕はカラダにピース!カル〇ス……って違う!!カルムだよ、カルム」
アイニスのボケを突っ込むカルム。いい加減名前を覚えて欲しい。
カルムの隣にいるパンジーが尋ねる。
「あら、お友達?」
「はい、僕と同じ初心者トレーナーのアイニスです」
「アイニス君ね、私パンジー。ジャーナリストよ」
「初めましてぇ……パンプジンさん。オイラアイニクス、あだ名はアイニス」
カルムをカルメン、カルメ、カル〇ス、ケロマツをケツマロ、そしてパンジーとパンプジン。わざとではなさそうだが、彼は殆どの人の名前を間違えている。カルムケロマツはともかく、パンジーを何故パンプジンと間違えるのか不思議だ。
パンジーはユ、ユニークな子ね、と苦笑を落とす。
「アイニスは何しに此処へ?」
「寝る為」
「あら、ポケモンについて学びに来たんじゃないの?」
「ベンチで寝てたら、みんながこっち見るから仕方なく此処に」
「それはみんな見るだろ」
アイニスの脳内は寝ることしかないのだろうか。そもそもプラターヌ博士は何故彼を選んだのだろうか。
カロス地方では選ばれた子どもがポケモン図鑑を手に入れて旅に出るとセレナから聞いたが、アイニスが選ばれたのも、何か理由があるのだろうか。
カルムはアイニスから視線を外し、ホワイトボードを視る。ポケモンの状態異常について書かれている。火傷、毒、麻痺、氷、眠り……。ポケモンに関する用語だらけだ。
それを一通り見た後、カルムはホワイトボードから視線を外した。
「よし!僕はこれからハクダンジムに挑む」
「えっ、もう?作戦とか立てないの?」
「大丈夫です、状態異常について把握しましたし、作戦なんかいりません!必ず勝って、ジムバッジを手に入れます!」
心配をよそに、余裕綽々で答えるカルム。まだ何も準備をしていないし、全ての状態異常について把握した気になっている。
カルムはアイニスの手を引いて、ハクダンジムに向かった。
パンジーは少し苦笑した顔を浮かべながらカルムたちの後を追う。
◆
写真、写真、写真。ハクダンジムの中には様々な写真集が飾られてある。どれも虫ポケモンが撮影されていて、羽ばたく虫ポケモン、水辺で休憩する虫ポケモンなどが写っている。どの写真からも虫ポケモンへの愛を感じられる。
辺りを見回して眺めるカルム。流石のアイニスも見らずにはいられないようだ。ジト目であるせいか、写真を睨んでいるようにしか見られない。
パンジーはカメラの付いたヘッドセットで写真を眺めている。
一人の女性がカルムたちの元へやって来た。
タンクトップに大きなポケットのあるズボンといった、身軽な服装で、首にはカメラの付いたホルダーを付けている。何より、太い眉毛が印象的である。カールされた髪型がパンジーとよく似ているよう
「あら、ビオラじゃない!」
「姉さん、久し振りね。此処に来たっていうことは、取材しに?」
「ええ、ついでにこの子たちとのジム戦を見にね」
「初めまして、カルムです。ビオラさんに挑みに来ました!」
「アイニクス、あだ名はアイニス。カル〇スのジム戦を見に来ました……」
ビオラはカルムを見据える。その瞳には勝ちたいという意志と情熱が籠められている。
それを見てビオラは微笑み、カメラを構えてカルムを撮った。
パシャッ
「え?」
「ジム戦に挑むその眼差し……いいんじゃない、いいんじゃないの!ジム戦が楽しみだわ!バトルフィールドを案内するからつい来て、カルム君!」
「……はい!」
◆
密林をイメージ去れたバトルフィールド。ガラス越しから太陽の光が放たれていて、よりジャングルらしさが演出なされている。
パンジーとアイニスは観客席に座って見ている。
カルムとビオラはバトルフィールドで向かい合っている。両者とも、勝ちたいという眼差しが籠められている。
「使用ポケモンは2体、どちらかが戦闘不能にした方が勝ち。良いわね?」
カルムは強く頷いた。
「行くわよアメタマ!」
『No.47 アメタマ あめんぼポケモン
爪先から油が滲み出ているので水の上を滑るように歩く。危険を感じると甘い液体を出す』
ビオラが繰り出したのは水色の身体に細長い脚を持つポケモン、アメタマ。タイプは水と虫である。
それに対しカルムは
「水タイプか……水は電気に弱い、なら……。最初はお前だ、ピカチュウ!」
可愛らしい容姿とは裏腹の小悪魔ピカチュウ。相性としてはこちらが有利である。だが、カルムは気付かなかった。ポケモンバトルは相性だけでは限らないと。
「いくわよ、シャッターチャンスを狙うように勝利を狙っていくんだから!」
カルム vs ビオラ
ピカチュウ アメタマ
ハリマロン ???
ビオラ
『笑顔を見逃さないカメラガール』