二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【壁】 ( No.154 )
日時: 2015/09/22 14:32
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 9/mZECQN)
参照:

「先手必勝ッ!ニャスパー、ねこだまし!」

 ニャスパーはアマルスの元に駆け寄る。
 アマルスはジリ、と退き、体勢を整える。
 が、アマルスの眼前にパン、と小さな白い手先が音を立てると、アマルスは驚愕のあまりに立ち尽くしていた。
 ねこだましは素早さ関係なく先制攻撃をすることが出来る技で、相手を怯ませて攻撃を出来なくする技だ。最も、特性が精神力のポケモンやゴーストタイプにはねこだましは無効化だが。

「ねこだまし……成程、そう来ましたか。……アマルス、ニャスパーの動きを封じるのです、でんじは!」

 アマルスの黄色と桃のグラデーションされた睫毛からビリッと電流が流れると、電流をニャスパーの方に向けて、ニャスパーに電流を浴びさせる。
 しかし、ニャスパーは無傷である。

「何だ、何もないじゃん!よし、ニャスパー、サイケこうせ──」

 カルムが送り出そうとした指示は、ニャスパーが膝をつく音により遮られた。
 驚愕したカルムがニャスパーを見ると、ニャスパーの体には電流が走っており、ニャスパーは立つことさえも困難になっている。

「でんじはは相手のポケモンを麻痺状態にさせる変化技です。ニャスパーは素早さに優れていますが、これでは長所が使えませんね」

 ニャスパーの長所を封じたというのか。これではこちらが不利である。

「アマルス、いわおとし」

 何処から持って来たかわからない岩をニャスパーに向けて、投げる。
 それに気付いたニャスパーは何とか回避しようとするが、麻痺状態で動きにくい為、岩は当たってしまう。

「ニャスパー!」
「アマルス、とっしんです」

 アマルスは冷気を秘めた体をニャスパーにぶつける。
 まともに動けないニャスパーはとっしんを受けて、突き飛ばされる。とっしんの威力がかなり効いているらしい。
 しかし、とっしんは自身もダメージを受ける技なので、アマルスは痛みを受ける。

「とっしんって……こんなに強い技だっけか?」
「これはアマルスの特性"フリーズスキン"と言って、アマルスの繰り出す攻撃技が全て氷タイプになるのです」

 ポケモンの繰り出す攻撃技は、ポケモンのタイプと同じだと威力が増す。
 アマルスは岩と氷の二つを併せ持つタイプなので、とっしんがかなり効いていたのは、アマルスのフリーズスキンが関わっていたというのか、と納得と焦りを感じた。

「もうそろそろ終わりにしましょう、とどめのとっしん!」

 歯を食い縛るカルム。不味い、ニャスパーがピンチだ……!このままだと……!
 ニャスパーの後ろ姿を見て、ふと垂れている耳に視界が映る。図鑑によると、あの耳は──!
 咄嗟にカルムは叫び出した。

「ニャスパー、耳を開けろッ!!」

 よろめきながらも、ニャスパーは垂れている耳を開き始めた。耳によって塞がれていた両耳にあるわっかの形をした器官が出される。
 それと同時に、強力なサイコパワーが飛び出され、アマルスは突き飛ばされる。

「アマルスッ!?……これは一体……」
「ニャスパーは強力なサイコパワーが漏れない出さないように耳で塞いでいるんです。今のニャスパーはまともに動けない、だからサイコパワーを使ったんです」
「……成程。ですが、ニャスパーが強力なサイコパワーを使えば、私たちも巻き込まれてしまうのでは?」

 ……あ、すっかり忘れてた。僕、本当に何も考えていないじゃないかおい。ザクロさん巻き込んでどうするねん。

「……ニャスパー、耳を閉じて」

 残念そうに呟くと、ニャスパーは耳をゆっくりと閉じ、こちらにしっかりしてくれよ、と言わんばかりに流し目をする。

「ニャスパーの能力を使うのも良いのですが……先のことを考えてから技を送った方が良いですよ」
「……気をつけます」
「では気を取り直して、アマルス、いわおとし!」
「チャームボイスだ!」

 頭上から落下する岩をチャームボイスを使って、岩を壊すニャスパー。岩は欠片となり、フィールドに散らばる。
 体が動けなくても、口は動けるのだ。

「それなら、がんせきふうじ!」
「リフレクターだ!!」

 襲い来る沢山の岩石をリフレクターを使ってダメージを抑える。
 リフレクターは物理技の攻撃を半分にする技だ。
 ニャスパーはリフレクターを張って抵抗をしているが、限界が来たようで、リフレクターは解除された。

「ああッ、ニャスパー!」
「アマルス、とっしん!」

 アマルスはニャスパーの腹に頭を突っ込むと、ニャスパーは吹き飛ばされてしまい、ニャスパーはドサリと倒れ込む。
 目が回転している。つまり、戦闘不能だ。

「……お疲れ様、ニャスパー」

 カルムはニャスパーを労らせた後、ザクロを見据える。

「これであなたのポケモンは1体になりました。此処からこの壁をどう乗り越えるのでしょうか?」
「この壁を乗り越えてみせますよ!ゼニガメ、GO!!」

 バトルフィールドに向けて、モンスターボールを投げ出すと、ゼニガメが現れた。
 しかし、ゼニガメはザクロとアマルスを見るとすぐにカルムの方に飛んで行った。
 彼は人見知りかつ泣き虫なので、不安なのだろう。

「大丈夫だって、お前なら出来るさ!僕は信じてるさ!」

 カルムが励ますと、ゼニガメは頷いて、フィールドに戻る。

「成程……相手を信じて壁を乗り越える、それもありです。しかし、私とアマルスにはその壁を簡単には乗り越えさせませんよ」

カルム vs ザクロ
ニャスパー(瀕死) アマルス
ゼニガメ