二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】 ( No.179 )
日時: 2015/09/28 16:03
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 0O230GMv)
参照:

 ディアンシー捜索の意志を高めた後、キリたちは作戦を立てている。「女王」から得られた情報や、ディアンシーの特徴、カロス地方全ての洞窟捜索など、あらゆる手段を使って探っていた。
 しかし、やはり幻のポケモンなのか、そう簡単には見つからない。コウジンの輝きの洞窟は失敗……となると、次はセキタイタウンにある写しみの洞窟である。セキタイタウンには、沢山の石が建てられてあるので、ディアンシーが住んでいるのかもしれない。

「よし、俺とブレイクは別の洞窟、スティーブとラージは写しみの洞窟を頼む」
「了解でーす!大船に乗ったつもりで、頑張りま〜す!」
「それを言うなら泥舟だろ。あのさぁ、リーダー。何でオレはお前と一緒なんだよ?」
「お前は俺や女王の命令を無視して勝手に出ることが多い。ラージやスティーブと組むと、好き勝手にやられるからな。だから俺はお前と組んだ」
「要するに、リーダーはこいつのベビーシッターってことか。ま、ボクには関係無いけど」

 スティーブの言葉に苛つきを覚えたキリ。こいつは何処まで自己中なんだ。ディアンシーは興味ない、任務は玩具感覚、勝手に抜け出す……ああもう、考えただけでこいつを殴りたい。女王に忠誠を誓え。

「やっぱり、僕がいないと任務は出来ない訳?フレア・サイエンティスト」

 顔を上げ、少年の姿を確認した後、キリ、ラージ、スティーブ、ブレイク──『フレア・サイエンティスト』は膝まずいた。ラージ、スティーブ、ブレイクの跪きは微妙だが。
 少年が歩くと、金髪の髪が揺れる。

「『エカルラート』様」
「『母さん』の命令で君たちのディアンシー捜索を手伝うことになったから、来てみたけど……キリ、君はまだ未熟者だね。此処は僕が司令塔になろう」
「いえ、俺──否、私にやらせて下さい。エカルラート様の力がなくても、私たちだけで任務を成功させます」
「僕の言うことが聞けない訳?キリ、君には本当にがっかりだ。せっかくトレーナーから『貰った』シャンデラを使おうと思ったのに……」

 ギラリと光るエカルラートの緋色の瞳がキリを見下ろす。
 キリは焦った。エカルラートは「女王」の「息子」。彼が不機嫌になれば、「女王」からの「お礼」をされてしまう。それは全力で避けたい。

「……わかりました、エカルラート様の言うとおり、私は未熟者。なので今回の司令塔はエカルラート様に授けます」

 それだけ言えば、彼の微笑む表情が見えるのがわかるのだから。

「良い子だ」


 ◆


 セキタイタウンは、10番道路に並べられた不思議なエネルギーが流れる石が建てられており、町全体を取り囲むような形になっている。
 中央には3つの石が並べられており、セキタイタウンの名物となっている。
 もしかしたら、メガシンカに関わる石なのかもしれないと感じたカルムはポケモンセンターで宿泊することにした。そして今、セキタイタウンのショップで売られてあったとあるゲームをプレイしている。

「よーし、ピカチュウ『おはよう』!」

 そう言うと、カルムのモンスターボールから、ピカチュウが現れた。呼ばれたと気付いたのだろう。
 ……しかし、

「ああ、違う!そっちじゃない」

 カルムはピカチュウではなく、TVに向かって話掛けていた。よく見ると、自分そっくりのピカチュウがTV画面に映っている。こちらの尻尾がハートに対し、TVのピカチュウの尻尾は四角いが。
 首を傾げるピカチュウ。ふと、足元に何かしらパッケージが置かれてあるのを見掛ける。ピカチュウがVサインをしているパッケージだ。
 『ピカチュウげんきでちゅう』だ。『ピカチュウげんきでちゅう』は1998年に発売されたゲームだ。このゲームをプレイするには、ソフトに付録されてあるマイクが必要だ。内容は確か、ピカチュウと友達になるゲームだ。ピカチュウはゲームやアニメではない色々な表情や仕草をしてくれるので、とても可愛い。しかし、ピカチュウは野生のくせに10まんボルトを覚えていたり、海辺のポケモンとも仲良しだったり、釣竿をしたり、ポケモンがカレーを作っていたりと、色々ツッコミどころがある。料理は……フシギダネが可愛いから許すが。
 しかし、マルガリータは『ピカチュウげんきでちゅう』を持っていない為、プレイ動画で我慢している。
 カルムはピカチュウげんきでちゅうに夢中らしく、TV画面にいるピカチュウとお話をしている。
 ピカチュウはそれが気にいらなかった。
 ピカチュウはカルムに話掛けるが、カルムはちょっと待って、今手が離せないと、言う。
 ピカチュウは膨れっ面になる。
 ピカチュウはTVのコンセントを抜き、電源を消した。

「ああ、何すんだよ!今良いところだったのに……!ピカチュウ、悪戯はやめろ!」

 ピカチュウはアンタが悪いのよ、と言わんばかりにそっぽを向いて腕を組む。話掛けても無視するカルムが悪いんだから。

「あのなぁピカチュウ。人が一生懸命何かをしている時は、それを邪魔しちゃ駄目だろ?ピカチュウ、悪戯も程々にしろよ」

 苛ついた。もう良いわ、アタシはこいつに着いて行くのはやめた!
 わかってもらえず苛立ちに苛まれたピカチュウはピかピカッ!!とカルムに叫び、勢いよく扉を開け、部屋を飛び出して行った。

「ピカチュウッ!!……何だよもう」

 すると、カツカツと足音がカルムの耳に入る。方角はピカチュウが出ていったところだろう。
 暫くそうしていると、少女と目が合った。
 青みがかかった長い黒髪、白いキャミソールに首に巻かれたスカーフが特徴で、下半身は青のフレアスカートを履いている。
 どうやら先程の足音は、少女の履いている高めのヒールの黄色のサンダルから来ているようだ。
 肩には水色と白いリスのようなポケモンが乗っている。
 水色の瞳が、カルムを映している。
 険しい顔つきで彼女はこう言った。

「貴方……ピカチュウのトレーナーね」