二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】 ( No.193 )
- 日時: 2015/10/06 20:39
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: F08K/Z64)
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「……」
ラージとピカチュウが消えた後も、呆然と立ち尽くしていたカルム。 今のカルムの瞳はハイライトを無くし、正気を宿していない黒だ。
カルムは力無くその場に座り込む。
そのまま風が起こり、カルムの髪とハツナの髪とスカーフが靡く。
ハツナの言う通り、自分のせいだ。自分のせいでピカチュウは家出してしまったのだ。自分がゲームばかりに盲目になっていたばかりに、こうなってしまった。自業自得だ。ピカチュウがラージの元に行った理由もわかる。ピカチュウはこんな駄目な自分よりもラージと一緒にいた方が、彼女の為なのだ。そうに決まっている。
カルムはそう自分に言い聞かせる。
暫くそうしていると、背後からカツカツと足音が響く。ヒールの足音だ。
此処にいるのは、カルムとハツナ、ニャスパーとパチリスだ。だとしたら、ハツナの足音だろう。
顔を上げると、ハツナがこちらを見下ろしている。とても険しい顔付きでこちらを見ている。
カルムはハツナを眺めていると
乾いた音と頬に痛みが走った。
ハツナに叩かれ、我に返るカルム。瞳のハイライトも元に戻っている。
カルムは叩かれた頬を手で抑え、再びハツナを見上げると、彼女は怒号した。
「あんたそれでもトレーナーなの!?悔しくないの!?ピカチュウを取り返さないの!?ピカチュウはあんたの大切なパートナーなんでしょ!?」
「ハツナ……?」
「あたしにもあんたみたいなそういう時があったわ!だけどね、そこで立ち止まっては駄目なのよ!!前に進まないといけないのよ!!いい?ポケモントレーナーはね、本当にポケモンを大切にしている人が真のポケモントレーナーなのよ!!互いに傷付け傷付かれることもある。だけどそれを通して、本当の絆が生まれるのよ!!あんたとピカチュウには、あのチビにはない絆があるんだから!!」
やはり、ハツナはカルムたちの先輩トレーナーというだけある。ハツナはカルムたちより、様々な旅をして、色々なものを発見しているんだな、と感じる。
ハツナの言う通りだ。此処でしょげていたって、ピカチュウは帰って来ない。自分が迎えに行かないと。ピカチュウは僕の大切なパートナーなのだから。
カルムは立ち上がり、黒い帽子を被り直す。
そして、笑顔。
「サンキュー、ハツナ!僕、大切なものを見失ってた。それを教えてくれてありがとう!僕、今からピカチュウのところに行ってくる!! ニャスパー、行くぞ!」
ニャスパーはテレパシーを使いピカチュウの居場所を追跡し始め、ピカチュウの場所を向かう。
ニャスパーの後に続いてカルムも追い掛ける。
その後ろ姿をハツナとパチリスは眺めていた。
「……ピカチュウを取り返さなかったら、ただじゃおかないんだから」
◆
やはり、後悔しているのかもしれない。だけど、本当はこれで良かったのかもしれないという自分もいた。
カルムは自分があんな態度を取っても尚、こちらに来てくれた。それはあの時──ハクダンの森でスピアーたちから助けてくれた時と一緒だった。そんな彼に惹かれてやって来たが、今度はそれを拒んだ。何故だろうか。
やはり、まだ架空のピカチュウに嫉妬しているのか、ラージといた方が面白いのか、それとも……カルムに飽きてしまったのか。
結論はわからないままだが、自分とラージが仲良しアピールを見たのだから、カルムはもう二度と戻って来ないだろう。
ラージの後に付いて行くと、ラージが声を掛ける。
「ねぇ、今度はさー……悪戯じゃなくて、野生のポケモンを殺らない?」
……は?今、何で言った?
ピカチュウは立ち止まり、ラージの表情を伺う。
「流石に悪戯ばっかりだと詰まんないし、何か物足りないしさー、せっかくだから、他のポケモンを殺しちゃおーと思うんだけど……。どーお?」
こいつ、頭逝かれている。流石のアタシもこんなことまでしようとは思わない。
彼、そして、彼のポケモンにはとてつもない狂気が漂っているのは薄々気付いていたが、まさか此処まで狂っているとは、どうかしている。
ピカチュウの汗が伝う。温度が高い訳でも何でもないのに、汗が吹き出る。
ピカチュウは首を勢いよく降る。するとラージは物足りなさそうな顔をして
「そっか〜残念。……だったら、ピカチュウを殺っても良いかな?」