二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】 ( No.194 )
日時: 2015/10/09 18:44
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: H65tOJ4Z)
参照:

 ピカチュウはジリジリと後退りをする。薄々気付いていたとはいえ、やはりこいつについてくるんじゃなかった。
 距離を置くとラージはニヤリと嗤い、ジュペッタを繰り出す。

「あはは、逃げても無駄だよー」

 ジュペッタは両手から黒い塊を作り出し、それをピカチュウ目掛けて投げ込む。
 ピカチュウは回避しながら、その場から逃げていく。
 しかし、


「こ こ に い る よ ?」


 目の前にジュペッタとラージが姿を現し、ピカチュウは立ち止まる。こいつらは化け物か。
 ピカチュウはまた後退りをする。

「オイラからは逃れられないよ?殺っちゃえジュペッタ〜♪」

 ラージが指を指すと、ジュペッタは口のファスナーからカタカタカタと不気味が鳴き声を発する。
 そしてジュペッタはまた黒い塊を作り、ピカチュウに向けて勢いよく投げる。
 ピカチュウは黒い塊の攻撃を受ける。
 ラージとジュペッタは不気味な笑い声を上げて、四方八方に黒い塊を投げる。
 ピカチュウは避けるのに精一杯で、逃げるタイミングがまったく掴めない。
 かわすタイミングを外し、ピカチュウはジュペッタの攻撃を受けて、落下し、床に勢いよく衝突する。
 顔を上げると悪魔が瞳をギラつかせながら、嗤ってこちらを見下ろしている。

「だから言ったじゃん?オイラから逃げられないって。……残念だなー、オイラたち気が合うと思ったのに。オイラたちフレア・サイエンティストの戦力になると思ったのになー。だけど、オイラたちのことを知られた以上……殺るしかないんだ、ごめんね♪」

 反省の色もない謝罪をされたって許す気にもなれない。そもそも、アンタとアタシは釣り合わなかったんだ。特に、アンタのイカれた思考がね。
 悔しいが、今の自分では彼に太刀打ちは出来ない。カルムもいないし、相手は飛んだキチガイ……。敵う相手ではない。あの時みたいに、アタシを助けてくれる奴もいないのだ。

「じゃあね♪楽しかったよ、ピカチュ──」


「ピカチュウッ!!!」


 ラージの言葉を遮って飛び出して来た声。
 暫くすると足音が耳に入る。どうやら此処に向かっているみたいだ。
 足音はだんだん大きくなり始め、足音の主が此処に現れた。
 カルムと目が合う。

「ピカチュウ……!」
「ありゃー、ご主人様到来って奴ー?ま、別に良いけど 」

 カルムとニャスパーが登場しても尚ラージは顔色一つ変えずに、ただ笑っているだけ。
 カルムはラージを見ると、叫び出す。

「アンタが……ピカチュウをこうさせたのか!?」
「そだよー。君のピカチュウ、面白いねー、今まで他のポケモンを見てきたけど、こんなピカチュウは初めてだヨー♪楽しかった!」
「アンタ……イカれてるよ」

 カルムの言葉がラージの耳に入る。するとラージはまた嘲笑うような表情をするのではなく、悲しげな表情に変わる。
 カルムは目を見開く。

「仕方ないじゃん……もう、戻れないんだからさ……。オイラはもう、素敵な道化師になれないんだし」

 意外だ。こいつにもどうやら良心が残っているようだ。演技なのか否かは不明ではあるが。
 ジュペッタもしょげている。ジュペッタはラージの気持ちとシンクロしているのかもしれない。
 暫くすると、通信機が鳴る。ラージは急いで通信機を取り出し、悲しみを押し殺して、通信機を入れる。

「あー、リーダー?どったー?」
『どったーではない。お前は今何処で道草している』
「えー、ちゃんとうつしみの洞窟にいるよ?だけど、緋色ちゃん見てないし……まだ中には入ってない」
『"エカルラート"様と呼べ、無礼者。とにかく、早く"エカルラート"様と合流して、洞窟の中に入れ』
「アイアイサー、リーダー♪」

 先程の表情とはかけ離れた表情と声で通信相手に対応するラージ。やはり、演技だったのではないかと感じる。

「とゆー訳でッ!また今度遊ぼうね〜♪」

 ラージは手をブンブンと降りながら、ジュペッタと共に姿を消した。
 暫くすると、緊張感がとれたのか、ピカチュウが倒れ込む。
 カルムは急いでピカチュウを抱き上げ、ポケモンセンターに連れて行く。





「あんたって、本当の馬鹿ね!!」
「こっちだって急いでたんだよ!?それにピカチュウが取り戻せたんだから良いじゃないか!?」
「そういう問題じゃないわ!!あんたが遅ければ、あのチビに殺されてたかもしれないのよ!バカルム!!」
「何だと、このハツナ缶!!」

 ポケモンセンターでピカチュウを回復を待機している間、カルムとハツナはまた言い争いをしていた。
 ハツナに今までのことを話すと、ハツナはまた怒号し始め、カルムにお説教をする。
 しかし、カルムにも歳のプライドがあり、ハツナに負けじと怒号する。
 パチリスとニャスパーは溜め息を吐いた。
 周りのみんなが困惑する中、このけ喧嘩を止められるのは彼女しかいない。

「二人とも!いい加減にして下さい!」
「「だって、彼女/彼がッ!!!」」
「それ程此処を出たいのですか?」
「「ごめんなさい」」