二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【カルムとピカチュウは仲良しでちゅう】 ( No.195 )
日時: 2016/02/18 00:40
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: f/YDIc1r)
参照: ピカチュウ×カルムにご注意下さい

 そして夜。
 ピカチュウの治療は終わり、ピカチュウはカルムの元に戻って来た。怪我は大したことないらしい。
 その後ハツナとまたまた喧嘩が勃発したが、ジョーイに咎められ、二人はそれぞれの部屋に戻り、明日の準備をしていた。
 準備を済ませた後、カルムはベッドに寝転び、眠りに落ちようとした瞬間、

「……ピカ」

 モンスターボールからピカチュウが飛び出す。彼女は時々モンスターボールから出る時があるので、珍しいことではない。
 ハートの尻尾を揺らしながらカルムが寝ているベッドの上に乗り、カルムの寝顔を見つめている。
 アタシは彼を裏切ったのに、こいつはアタシを追い掛けてくれた。あの時みたいに、アタシを助けてくれた。アタシがあんな態度をしても、こいつはアタシのことを信頼している。それはどうしてなのかわからないけど。
 こいつは本物のピカチュウ─アタシ─より仮想のピカチュウの方が良いと思っていたけど、こいつはアタシを選んでくれた。
 何故アタシはこいつについて来た理由がわからなかったし、本当はこいつと離れたくなんかなかった。でも今では、何となくわかる。
 アタシはこいつ──カルムのことが好きだからだ。





 翌日。
 カルムはポケモンセンターで朝食を終え、ハツナと今後の予定の話をしている。
 ハツナの怒りはどうやら治まったらしく、あれこれ説教しなくなった。
 ハツナは此処でメガシンカに纏わる情報が得られると思い、暫く此処に残るらしい。

「色々ありがとう、ハツナ」
「一度繋いだ手は離しちゃ駄目よ。だから、ポケモンと人を大切にしなさい」
「うん……本当にありがとう」
「今度会ったら、バトルでもしましょう」

 カルムはハツナと別れを告げ、踵を返して歩き出す。
 カルムが手を降ると、ハツナとパチリスが手を振って見送っている。
 カルムは暖かさを感じながら、セキタイタウンを出ていく。





 セキタイタウンを出て、11番道路を歩く中、カルムは立ち止まる。
 モンスターボールを投げると、ピカチュウが姿を現す。
 カルムはずっと、ピカチュウに言えなかったことがある。それは……謝罪である。
 ポケモンセンターでピカチュウを回復させた後、カルムはピカチュウと一言も喋っておらず、そのまま今日が来てしまったのだ。
 だが、もう迷わない、逃げない。向き合え、ピカチュウと。向き合え、気持ちと。

「ピカチュウ……ごめんな。僕、ピカチュウのことを放棄してゲームなんかして。許してほしいとは思ってないけど、僕は君とちゃんと向き合う。だから、また……僕と一緒にまた旅をしないか?」

 沈黙が流れる中、ピカチュウはこちらを見つめている。今、彼女がどんな気持ちをしているかわからない。
 暫くすると、ピカチュウはカルムの肩に乗る。
 それに気付いたカルムは首を動かし、ピカチュウを見る。
 ピカチュウの顔がこちらに近付き、そして、頬にキスを落とす。

「……え?」

 目をより一層大きく見開かし、ピカチュウを見据える。ピカチュウは、笑っていた。カルムのよく知る、何かを含んだあの表情で、こちらを見ていた。許して、くれるのか?
 酷く動揺しているカルムを余所に、ピカチュウはカルムの黒い帽子を奪う。そこで、カルムは我に返った。
 ピカチュウはカルムの帽子に被りながら、ニシシと笑みを浮べて、走っていく。それを、カルムが見送る訳がない。
 カルムは手を伸ばして、ピカチュウの後を追った。

 喧嘩をしたって、何があったって、カルムとピカチュウは仲良しでちゅう。