二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 麗しき宝石のプリンセス ( No.206 )
- 日時: 2015/10/18 15:34
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: H65tOJ4Z)
- 参照:
天気は晴れ、今日も何事も変わらないカロス地方。
とある町並を歩いている少年はフラフラしている。好きでフラフラしている訳ではなく
「……お腹、減った」
アイニスは自らの娯楽の為に、ポケモンバトルで稼いだ賞金を使ってしまい、水色の財布の中はもぬけの殻となっている。娯楽と言っても、ブティックで新しい服を買っているので、ゲームや漫画の為に費やした訳でもない。
新しい服を身に纏い、伸びてきた水色の髪を揺らしながら、必死に歩いている。
食事はカビゴンに独り占めされるわ、財布の中はパーになるわ、もう色々駄目なのかもしれない。
腹が空腹を訴え続けている。ヤバい、もう本当に駄目かも……。
ふと、アイニスの鼻に何か良い匂いが漂い始めた。その匂いの方に連れるように向かうと、そこには美少女がいた。銀髪という滅多にない髪色を腰下まで伸ばしており、その頭髪によく似合うゴスロリの服装を来ている。身長はアイニスより高めなのだが……よく見ると、胸はまな板である。
美少女はじゃこりがという有名な菓子を頬張っている。しかも期間限定版『砂糖黍バター醤油』味だ。
不機嫌にじゃこりがを食べている美少女を眺めているアイニスの口から涎が流れており、限界に達したアイニスは、美少女の前に飛び出した。
「そこの可愛い娘ちゃーん! 手に持っているじゃこりがを、オイラに下さいなーッ!」
アイニスの登場に一瞬ポカンとしていたが、すぐに不機嫌な表情に戻り、すぐさまアイニスに向けて怒鳴り付ける。
「はぁ!? 何で私がアンタにじゃこりがをあげなきゃいけないのよ!?」
「ええッ!?」
「じゃこりがが欲しいなら、セブンテンに行って買ってくれば良いじゃない! わざわざ私に頼まなくても普通にあるのに、アンタ馬鹿じゃない!?」
見た目は美少女だというのに、中身は強気で生意気である。意外性にアイニスは目を見開く。見た目で判断してはいけないというのは、正にこういうことなのかもしれない。
それでも、アイニスは屈せず何とか、と頼む。
「お願いだよぉー、オイラ今財布がすっからかんなんだよー! お詫びに何かするからぁ!!」
「嫌よグズ」
「そこを何とかぁーッ!! あうう……腹が減って力が出ない……」
土下座してまでも必死にお願いをするアイニス。
その様子を周囲がざわめき出している。まるで自分がこいつをいじめているみたいじゃないか。
流石に耐え切れなくなった美少女は溜め息を吐く。
「……仕方ないわね、ちょっとだけよ」
「! 本当に!? 本当にくれるの!?」
「ただし、アンタが何かするって言ったんだから、私の言うことに従いなさい、いいわね?」
アイニスが頭を上げた瞬間、美少女のじゃこりがが眼前に飛び出す。
アイニスはそれを受け取り、じゃこりがを頬張り始める。
じゃこりがを完食した後、アイニスは美少女に礼を言う。
「ふはー、元気100倍アイニス! 可愛い娘ちゃん、どもありがとねー。オイラアイニス、本名はアイニクスだよ」
「……ロザリーよ」
◆
ロザリーの頼み事というのは、ポケモンの通信交換らしい。ロザリーのポケモンは、通信交換で進化するという珍しい条件の付いたポケモンであり、アイニスのポケモンと交換しようと言うのだ。
「んーそうだな。だったらヤムチャとかどう? ヤムチャはマゾだけど、結構強いぞ」
「アンタのポケモンになんて興味ないのよ。私はただ、バケッチャを進化させたいだけ」
「……ハゲッチャ?」
「バケッチャよバケッチャ!!」
ポケモンセンターにある通信機を使い、アイニスとロザリーは互いのモンスターボールを機械の中に嵌めた。アイニスはヤンチャム、ロザリーはバケッチャ。
モンスターボールは自動的に送信され、アイニスとロザリーは違うモンスターボールを受け取る。
ロザリーがモンスターボールを投げると、不気味なポケモンが現れた。髪の毛のような長い腕、下半身はジャック・オー・ランタンのような模様が施されている。高さは大きく、アイニスとロザリーの身長を軽く超えている。
『No.64 バンプジン 南瓜ポケモン
髪の毛のような腕で獲物を締め付ける。不気味な声で歌い、その歌声を聞くと呪われる』
「何か美味そうなポケモンだな。しかもデカイな。ポケモンがデカイのにトレーナーはないなんて……」
「何処見てんのよグズ!」
胸囲を見られて赤面しながらアイニスを罵るロザリー。それを見てアイニスは笑った。
すると、TVのモニター画面から桃色の髪にサングラスを掛けた女性が映る。
『ニュースをお伝えします。今朝、カロス地方にあるとある洞窟が何者かによって襲撃されたと言う痕跡を見つけました』
映像が映り変わり、洞窟の入り口が襲撃された痕が残っている。人間では出来ない痕跡で、ポケモンで荒らしたようだ。
『尚、この調べに対し、何も心配することはないとのことです。以上ニュースでした』
報道は終わり、ポケモンがパフォーマンスをしているCMに切り替わる。
「だったら、別にニュースにしなくても良いんじゃ……」
「スタッフも一体何を考えてるのかしら? グズね」