二次創作小説(映像)※倉庫ログ

麗しき宝石のプリンセス ( No.207 )
日時: 2015/10/26 00:01
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: tWnn3O3I)
参照:

 ニュース報道を見終えた後、アイニスとロザリーは再びポケモン交換し、互いのポケモンを返した。アイニスはヤンチャム、ロザリーはパンプジンの元に戻る。
 このパンプジンはロザリーが初めて捕まえたポケモンで、性格もロザリー同様意地っ張りらしい。しかも高さは特大サイズであり、中々見つけることが困難であるのだ。進化条件が通信交換な為、ずっと進化させたかったらしく、じゃこりがをあげる条件として通信交換をさせると言い出したのだ。
 ロザリーはそれで満足したのか、パンプジンの入ったボールを戻した後、踵を返す。

「じゃ、私は行くわ」
「え、もう行っちゃうのー?」
「もうアンタは用済みだし、これ以上ベタベタされても困るし。お金はよく考えてから使いなさい」

 長い銀髪を揺らしながら歩くロザリーだが、急に何処からともなくぐぅぅぅと変な音が響く。腹が空腹を訴えている音だ。しかし、アイニスはロザリーからじゃこりがをもらったので腹は空いていないし、今此処にいるのはアイニスとロザリーだけ。ということは──
 アイニスがニヤニヤしながらロザリーの背中を眺めると、その視線に気付いたのか、ロザリーは赤面しながらこちらに顔を向けた。

「何見てんのよ、グズ!!」
「あれ〜もしかしてロザちゃん、お腹空いてんの?」
「煩い、グズ!! そうよ、お腹空いてたのよ!だからセブンテンでじゃこりがを買って食べていたら、それをアンタにとられたのよ! このグズ!!」
「うぅ〜それじゃまるでオイラが悪者じゃんか〜。だったら何でオイラにあげたのさ?」
「状況があれだったからよ! アンタが土下座してまで頼むから、仕方なくあげたのよ!」

 確かに人前で土下座されているところを目撃すると、その相手の印象が悪くなってしまうものだ。アイニスに同情した訳でも何でもないのだ。
 それを聞いて少し鬱になるアイニス。

「だけど、グルメ巡りの為に使っちゃったから、財布は空っぽなのよね……」
「ロザちゃんもオイラと変わんないじゃん」
「黙りなさいグズ。……はぁ、ママの料理が食べたくなってきたなぁ……」
「だったら、家に帰れば良いんじゃ──」
「!! ち、違うわ!!これは言葉の綾っていう奴よ!ママなんて大ッ嫌いなんだからッ!」

 母親の料理が食べたいなら、帰れば良いのに。しかし、ロザリーはそれを必死に否定している。何故そうなのか、わからないが、きっと何かあるのだろう。
 財布が無くて悩んでいるロザリー。それはアイニスも同じである。ふと、そこである提案がアイニスの頭に閃きをつかせる。

「だったら、此処は財布ないもの同士協力しない?」
「はぁ?」
「オイラもロザちゃんも財布で困っているんだし、仲間が一人でもいれば何か安心するし。ねぇ良いだろー?」

 嫌よグズ、と言おうとしたロザリーだが、少し考えてみる。確かにアイニスもロザリーも財布の中は空っぽで何もない。だからといって万引きする訳にもいかないが。味方が少しでもいれば、旅も少しは楽になれるだろう。

「(……まぁ、少しの間だけならいいかな)……良いわ、此処は協力しましょう」
「! 本当!?」
「ただし、短期間よ。あんまりべったりされるのは嫌だからね。ある程度貯まって来たら、私とアンタはお別れだからね」
「うん、ありがとーロザちゃん!暫くしくよろねー!」
「ロザちゃんって呼ぶなグズ」





 その後、アイニスとロザリーはポケモンセンターで食事を摂り、街の中を歩いていた。
 ロザリーはタウンマップを確認しながら歩いている。よく見るとレストランやファミレスといったフードコートに印をつけている。
 ロザリーはカロス地方にある食物を食べ尽くす為に旅をしているらしいが、野宿をする際には、スナック菓子やカップ麺で過ごしているようだ。何ともホームレスがするような食品ばかりである。ポケモンバトルで賞金を稼いでいるので何とか保っているらしい。バケッチャ(現在はパンプジン)一匹で旅とポケモンバトルをしているとは驚愕である。

「さて、財布もないし、もう此処の食物は全部食べ尽くしたし、私はもう良いわ。アンタは大丈夫?」
「オイラも大丈夫だよー」
「じゃ、行くわよ」

 とロザリーが言い掛けたところ、アイニスとロザリーの両眼にあるものを光景する。見たことのない一匹のポケモンがふよふよと浮遊しながら走っている。その背後には赤いスーツを着た男二人組がそのポケモンを追い掛けているのだ。
 ポケモンと男二人組は街の路地裏の方角に消えてゆく。
 それをぽかんとアイニスとロザリーが眺めていると、アイニスが口を開いた。

「さっきのは撤回。あの男たちを追ってから街を出よう」