二次創作小説(映像)※倉庫ログ

再会を目指して ( No.215 )
日時: 2015/12/23 19:27
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
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 ミアレシティのポケモン研究所。その主であるプラターヌは今日も研究に精を出している。深まるポケモン、そしてメガシンカの謎──ポケモンの謎は突き止めても消えないばかりだ。しかし、それが良い。謎があるからこそ、人生は面白いではないか。
 プラターヌが資料を漁っていると、腕時計型のホロキャスターが連絡を訴える。
 それを確認したプラターヌはホロキャスターを起動させる。すると、水色と白のリス型ポケモンを肩に乗せた少女映像が浮かび上がる。

「やぁハツナ、パチリス。どうだったかい?」
『いえ、残念ながら何も……。あ、そう言えばカルムと出会いましたよ。そしたらあいつ──』

 セキタイタウンには幾つもの石が置かれており、その石から特別なエネルギーが流れ込んでいると聞いたプラターヌは、もしかしたらメガシンカに関わるのでは?と睨み、セキタイタウンでの調査をハツナに任せていたのだ。
 ハツナの話に寄ると、セキタイタウンではメガシンカに纏わるめぼしい情報はなかったようで、たまたま到着したカルムと出くわしたらしい。
 ハツナがそれを話す度に、彼女の険悪とした表情に変わる。
 ハツナはカルムたちより年下ではあるが、彼等よりトレーナー歴は長く、ポケモントレーナーとしてのプライドが高いので、カルムに指摘をしていたのだろう。彼女とカルムの性格上、口喧嘩に勃発することは薄々気付いていたが。

『サイホーンレーサー・サキの息子と聞いたので、凄腕のトレーナーかと思いきや……ピカチュウを放置してゲームしてたんですよ、あいつ!? あたしが言わなかったら、あいつはトレーナーとしてグズだったわ! ああもう、思い出しただけでもムカつくッ!』
「まあまあ……でも、ハツナのおかげでカルムも成長することが出来たんだから。メガシンカの情報が無かったのは残念だったけど、カルムを指導してくれてありがとう」
『一度繋いだ手は離してはいけない──喧嘩しているピカチュウとカルムを見てたら、思い出したんです。あたしはもう、"あの時"みたいになるのは嫌だったので、あたしがちゃんと指導してやりました』

 ハツナはプラターヌの表情を見て、ばつが悪そうな表情に変わる。プラターヌは何かを思い出したかのように目を見開き、半口でいたからだ。ハツナが"あの時"という言葉を口にしたからだ。今のプラターヌは"あの時"を思い出しているのだろう。
 ハツナは頭を下げる。

『ご、ごめんなさい、博士! 私……』
「良いんだ、ハツナが謝ることじゃない。これは私の責任だったんだから」
『でも、あれは博士のせいじゃありません! "あのポケモン"だって、まだ何処かにいる筈!!』
「……それは私も信じているよ。例え私を忘れてたとしても、楽しく生きていければ……それで良いんだ」
『博士……』
「一度繋いだ手は離してはいけない……その通りだ。君のおかげで"あの時"みたいに、人とポケモンの絆が消えることはなくなかったんだ。それはメガシンカの調査より大事な仕事だ。ハツナ、本当にありがとう。君を誇りに思うよ」
『……』
「私は大丈夫だ。また何か合ったら連絡してくれ」

 プラターヌがホロキャスターの連絡を切ると、悲しげな表情でこちらを眺めているハツナとパチリスの映像が消える。
 暫くの間、プラターヌは立ち尽くし、フラッシュバックしていた。
 "あの時"のような出来事を二度と起きないように心がけたが、また同じことが起きてしまった。ファイアローがカントーの御三家を誘拐したあの事件だ。その時は"あの時"が頭を横切り、何も出来なかった。しかし、カルムが命懸けでカントー御三家を救ったおかげで、"あの時"のような出来事はなくなかったのだ。しかし、プラターヌは喜べなかった。カルムを妬んでいたのではない。"あの時"のようにポケモンを助けることが出来なかったからだ。いくら怯んでいたからとは言え、結局何も出来ずにいたのだ。年端もいかぬ子供に甘えてしまったのだ。カルムへの感謝の気持ちと自分に対する苛立ちに苛まれていた。
 プラターヌは机に置かれてある写真立てを手に取る。プラターヌとハツナ、そして"右腕に青い石が埋め込まれた腕時計を嵌めた金色のヒトカゲ"が楽しそうに遊んでいる写真が写っている。