二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- a little SantaClaus ( No.239 )
- 日時: 2015/12/24 01:32
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
- 参照: ダークナイトとフーパ借りたぜひゃっはあああああ!これで冬休み凌げるぜぇぇ
ミアレシティの空はしんしんと雪が積もっている。気温は低く、びゅううと流れる風も冷たい。街全体は寒さで覆われているのだ。マフラーとコートを持ってきて正解だったな、着ていなかったら身体ともども凍え死んでいただろう。
霜焼けになって傷んだ手をポケットの中に突っ込む。手袋は持っていない。かつてとある地方を回った時に嵌めていた手袋はあるのだが、昔の自分の手と今の自分の手を比べると、自分の手はもう大きくなっていてサイズが合わない。それに、こんな歳でゴスパンクの手袋なんか嵌めていたら、周囲からどんな目で視られるか。そんなの、大富豪の男が蝙蝠の格好をして歩いているのと同じだ。僕はもう大人なのだから、そこまで馬鹿じゃない。
以前から買おうと考えていたのだが、思考がどうしても機械に入ってしまうので、手袋のことなんてすぐに頭の中から消えてしまうのだ。好きなものに夢中になるのは良いが、なり過ぎるのは良くない。何事も程々が丁度良いのだ。
肩に乗っているマイナンが可愛らしい鳴き声でクシャミを落とした。マイナンはかつて僕が旅をしていた地方で手に入れたポケモンであり、その強さは野生のマイナンとは比べ物にならない位の実力はあるのだが、身体や精神はまだ幼い。。隣にいるジュカインはピンピンしている。草タイプは相性的にも寒さを苦手意識しているようだが、僕の切り札─エース─であり、マイナン同様、長年旅を通してきたポケモンでもあり、身体や精神もマイナンより上だ。とは言っても、彼にも寒さは感じるので気遣いは欠かせないが。
そんな中、人々やポケモンの明るい声が耳に飛んでくる。こんな寒さでよく元気でいられるもんだなと思い、顔を上げると、人々やポケモンが楽しそうに街を歩いている光景が視界に入る。幾多の紙袋を抱えながら歩く女性やカップル、赤と白を基準とした服を着た男、大きなツリーに装飾を施している人々やドッコラーたち。それを見て僕は理解した。今日は確か……クリスマスイブだっけ。
言うまでもないが、クリスマスは世界で最も大きいイベントと言っても過言ではない。クリスマスには、プレゼントが貰えて上機嫌ではしゃぐ子供たちや、ツリーの前でキスを交わすカップルがよく見られる。大抵の子供やカップルには最大のイベントだが、非リア充にとっては憎むべきイベントと言っても良いだろう。最も、僕には関係のないことだけど。
僕の場合、クリスマスは幼馴染みの家でクリスマスパーティをしていた。両親はクリスマスやお正月といった行事でも帰って来ることは滅多にないからだ。アイツが来てからは変わってしまったけれど、それでも寂しさが紛れ込んできて楽しかった。全て、もう過ぎてしまった話だけど。
カロスでのクリスマスは、マイナンとジュカインと一緒のクリスマスになるかな。大人びていいジュカインも、まだ幼いマイナンも、きっとクリスマスを楽しみにしているのだから、何かプレゼントさせてあげなきゃな。
ベンチから立ち上がり、買い物を再開させようとした僕に、僕の名前を呼ぶ声が飛んできた。
「おーい、アイおにいちゃん!」
バレッタで留めたレモン色の髪を揺らしながらこちらに向かって来るユリーカと、僕がプレゼントしてあげたプラスルだ。
僕はユリーカとプラスルがこちらに来るまで待っていると、ユリーカは到着した後、ニカリと眩しい笑みを見せた。よく見ると、ユリーカはピカチュウをモチーフとしたパーカーを羽織っており、フードを被っている状態だ。今のユリーカはピカチュウになりきっている。よく思わずのだが、ユリーカは黄色がよく似合う。頭髪が金髪であることや、兄が電気使いのジムリーダーということもそうだろうが、彼女の性格を照らし合わせるかのように、ユリーカと黄色はとても相性が良い。彼女が黄色が良く似合うのはやはり……性格だろうか。明るく、ポケモンのお世話に積極的で笑顔がとても眩しい、その性格から来ているのだろう。
シトロンと一緒に買い物でもしているのだろうか。ユリーカは兄と比べてしっかり者だが、まだ年端もいかない幼女なので、保護者が必要だ。しかし、辺りを見回してもシトロンの特徴的な金髪も、つなぎ姿も見られない。
「おにいちゃんはね、ポケモンリーグのかいぎでいないの!」
僕の考えを読み取るかのように言うユリーカ。鋭いな、この子は。
ポケモンリーグの会議は月に1回の上旬に行われるのだが、今回は急遽会議をしなくてはならなくなったようで、シトロンはジムを居留守にしているらしい。しかし、幼き妹を残して大丈夫なのだろうか。ミアレシティはとても広く、いくら自分の街でしっかり者のユリーカでも、迷子になってしまうのではないのか。
「一人で大丈夫なのか?」
「うん、パパもママもここにいるし、プラスルもいるから! それに……アイおにいちゃんもいるんだもん、こわくないよ!」
にっこりと光のような眩しい笑顔で答えるユリーカ。僕にとっては、どの電気タイプが繰り出す電気よりも眩し過ぎた。
僕が見つめていると、ユリーカは何かを思い出したかのように声を上げた。
「あ、そうだおにいちゃん! ちょっとつきあってほしいことがあるんだけど、いいかな?」