二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- a little SantaClaus ( No.240 )
- 日時: 2015/12/24 13:48
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: CjSVzq4t)
- 参照: ダークナイトとフーパ借りたぜひゃっはあああああ!これで冬休み凌げるぜぇぇ
明日がクリスマスだからだろうか。カントリー風に施された店の中は、人混みで一杯だ。毛糸の玉や服を購入している人が多い。なるべくユリーカと離れないように、僕はユリーカを抱き寄せる。ジュカインは暫くモンスターボールの中にいさせることにした。
どうやらユリーカは、家族やシトロンの為にクリスマスプレゼントを贈り物にしたいようで、家族に内緒で買い物をしていた。お小遣いは両親から貰った今月の分と、先月の分のを溜め込んだお金で使うらしい。家族想いなんだな。それなら、僕を呼べば良いのに。僕のお金を使えば、粒粒辛苦しなくても良かったのに。幼い割には、本当にしっかりしている。欲しい物を我慢してまで此処まで来たユリーカを見て、親やシトロンはきっと彼女を誇りに思うだろう。
ユリーカが目的の商品コーナーを見つけると、僕の裾を引っ張りながら連れ出した。そこにはカラフルに彩られた商品が棚に置いてある。ユリーカは空色の碧眼を爛々と輝かせながら、どれにしようかなーと商品を選んでいる。僕は背後でそれを見守っている。すると、ユリーカが振り返り、おにいちゃんもえらんで! と言ってきたので、僕もユリーカのプレゼント選択に付き合うことにした。
ユリーカと協力しながら、両親やシトロンのプレゼント選びに励んだ。これが良いんじゃない? いいね、じゃあそれにしよう! キャッチボールのように会話を弾ませながら楽しいプレゼント選びが進んでいった。
ふと、シトロンが喜びそうな商品を見つけた僕は、それに指を指す。シトロンにはこれが良いんじゃない? そう訊くが、会話のキャッチボールはそこで切れてしまった。
どうした、とユリーカに目線を移すと、ユリーカは黙ってこちらを眺めている。否、その視線は、僕じゃない。僕の手だ。霜焼けに傷んだ僕の手を、ユリーカはずっと見つめていた。
「アイおにいちゃん、そのて……」
震える声が僕の耳に届く。もしかして、心配してくれているのだろうか。お前は優しいね。
お前が気にすることはないよ、霜焼けなんて慣れているから。手袋を買わない僕が悪いんだし。そう答えるが、ユリーカの表情は歪んだままだ。大丈夫だって、と僕はユリーカの頭をポンポンと撫ででやった。
すると、ユリーカはどことなく儚く微笑む。まだ心配は拭い切れていないようだが、それ程僕のことを気遣ってくれているのだろうか。
暫くすると、ユリーカはこう言い出した。
「ねぇ、アイおにいちゃん。おにいちゃんに、えらんでほしいものがあるの──」
◆
買い物は無事に終わり、ユリーカの手には沢山の紙袋が抱えられている。持ってあげようかと訊くと、だいじょうぶ!と笑い返す。
空は既に紫色に染まっており、あと一時間したら夜の帳が降りるだろう。こんな時間でユリーカとプラスルだけで帰らすことは危険だ。せめて家まで送り迎えが出来れば。ユリーカはプラスルもいるから心配ない、というが僕にとってお前はまだ幼い子供なので、半ば強制的に送り迎えをすることにした。ユリーカは不満そうだったが、満更でもないようだ。
ユリーカは紙袋を抱え込み、あしたがたのしみだなぁと呟いている。家族に内緒で買ったクリスマスプレゼントを見せたら、親やシトロンがどんな反応をするのか、想像するだけでも楽しみなのだろう。両親のいない僕にとっては、それがどれ程なのかわからないけど。でも、ユリーカが選んでくれたプレゼントを、両親やシトロンが喜ばない筈がない。
きっと、みんな喜ぶよ。だってお前が一生懸命選んだ奴なんだから。そう言うと、ユリーカは照れくさそうにはにかんだ。
ユリーカの家に到着し、僕は立ち止まる。じゃあと別れを告げて、踵を返しその場を去ろうとした瞬間、
「まって!」
呼び止められ、反射的に振り返る。何?と訊くと、ユリーカは微笑んだ。
「あしたのクリスマスのよる……メディオプラザにあるおおきなツリーのまえで、まってくれないかな?」
ミアレシティの中心点のメディオプラザにはミアレシティのシンボルであるプリズムタワーがあるのだが、クリスマスムードである今は、プリズムタワーの前に大きなクリスマスツリーが飾られている。夜になると、素敵なことが起こると噂されているらしい。シトロンやユリーカは何回も訪れたことはあるが、今年からカロスに来た僕は初めて来る場所だ。ユリーカは僕に何かを見せたいのだろうか。
ユリーカは宝石のようなキラキラとした眼差しで僕を見つめている。明日は予定もないし、せっかくのユリーカの誘いを断りたくもない。
「……いいよ」
「ほんと!? ……うわぁぁい!! ありがとう、アイおにいちゃん!」
万歳しながらピョンピョン跳ねた後、ユリーカは僕に抱き着き、顔を上げて微笑んだ。
ありがとう、ともう一度礼を述べ、ユリーカは僕の身体から両手を離し、扉の前に立った。そして、またニカリと微笑んで、またあしたね!と手を降って、肩に乗っているプラスルと共に扉の中に消えていった。