二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ぼくとおれ ( No.265 )
日時: 2015/12/31 19:23
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: qwR26uHc)

 歩くのは好きだけど、歩き続けるのは好きじゃない。同じ道をずっと歩いているみたいでさ。僕たちはセレナのタウンマップを使って映し身の洞窟の居場所を探しているんだけど、それと呼べる洞窟は見当たらない。カルムはセレナのタウンマップを取り、今の状況を調べる。どうやら、道が違うらしい。 この別世界のセレナは、方向音痴でもあるようだ。
 別世界のセレナの新しい面を発見した僕。セレナはまたやっちゃったぁ……と溜息を吐いている。此処のセレナってドジっ娘なところもあるんだなぁと思った。
 代わりにカルムが調べると言い、此処はカルムに任せてみることにした。此処のカルムは、本当にしっかり者である。このカルムは、何だか僕のようで僕じゃない。まるで、別個体の僕みたいだ。
 カルムの指示に沿って歩くと、洞窟が見えた。僕のいる世界の映し身の洞窟とは、反転されているけど、映し身の洞窟であることには変わりない。
 中に入り、洞窟内にある鏡をあちこち触れてみた。だけど、どれも違う世界だ。
もしかしたら、その世界を通す鏡は既に破れているんじゃ……。マイナスな発言をするカルム。その言葉に僕は何故だと尋ねた。

「何処を探しても、俺──別世界のカルムの世界が見つからないんだ。だったら、そう考えるのが当然だろ?」

 何とも皮肉めいた発言。僕が絶対言わない言葉だ。確かに、カルムの言う通りかもしれない。だけど、僕はそれを認めたくはなかった。

「そうかもしれないけど……まだそう決まった訳じゃないよ。まだ、帰れる方法がある筈だ。可能性はきっとある」

 そこで諦めたくない。全ての鏡を探していないんだし、まだ始まったばかりだし、たまたま見つからないだけなんだ。
 カルムは僕を凝視すると、ふと口元を綻ばせる。

「……別世界の俺がそう言うなんて、意外。でも、俺が言うなら、そうかもしれないね」
「僕がそう言うんだから、間違いなし!」

 笑い声が洞窟の中に響いた。その時、女声らしき悲鳴が、僕たちの笑い声を遮った。周囲を見回した後、僕とカルムは互いの顔を伺った。

「「セレナ/お隣さん……」」

 嫌な予感しかないよね!
 僕とカルムが声に発生地に向かうと、予想外の人物が此処にいることに気付く。セレナは両手で顔を覆い、アタシのテールナーが……と嘆いている。どうやら、フレア団にテールナーを盗まれたようだ。此処にいるフレア団は、僕の知っているフレア団。つまり──
 僕がフレア団を睨むと、フレア団はまたお前か! と目を見開いている。それはこっちの台詞だ。

「何でアンタが此処にいるんだよ?」
「この映し身の洞窟の鏡を使って、別世界のポケモンたちを奪おうという根端だ!」
「うわっ……フレア団とは大違いだな」

 えっ、と反応すると、カルムは答えてくれた。この世界のフレア団は、自分より他人の幸福を願う正義の組織で、青いスーツを着ているらしい。そんなフレア団だったら、僕、否、僕たちは歓迎するだろう。否、今はそれより……

「つまり、このフレア団は悪い奴ってことになるね。……お隣さんのテールナーを返しなよ」
「それで返す馬鹿がいるかー! 返して欲しかったら、二人まとめてかかってこい!」

 アニメでよくある発言をして、フレア団はデルビルとズルッグを繰り出した。ハンデで来いだなんて、己の腕に自信があるのだろうか。とにかく、此処はカルムと協力して、戦うしか無いな。僕と僕が戦う……なんて、なんとも不思議な気分だ。
 僕らは顔を見合わせて頷いた後、モンスターボールを投げて、ポケモンを繰り出した。僕はカメール、カルムはニャスパーだ。別世界のカルムのニャスパーは、とてもオドオドしている。

「ニャスパー、ズルッグにねこだまし!」

 ニャスパーはオロオロしつつも、ズルッグにねこだましを食らわした。先制攻撃かつ、相手を怯ませる技なので、ズルッグはその場を立ち尽くしている。

「カメール、デルビルにみずでっぽう!」
「かみつく攻撃だ!」
「ニャスパー、リフレクターでカメールをサポート!」

 デルビルは鋭い牙を剥き出し、カメール目掛けて噛み付こうとしたが、咄嗟にニャスパーがカメールの前に立ち、リフレクターを出した。リフレクターは物理技のダメージを半分にすることが出来る技だ。そのおかげでカメールが受けたダメージの威力は低くなる。
 カメールはみずでっぽうでデルビルを攻撃し、デルビルはダメージを受けた。効果は抜群だ!
 サンキュー、僕! 僕とカルムは顔を合わせてハイタッチをした。それを見て悔しげに歪むフレア団。

「くっ、ズルッグ、リフレクターにかわらわり!」
「させるか、カメール!」
「おっと、そうはさせん! デルビル、カメールにほえる! 」

 ズルッグはかわらわりでリフレクターを破壊する。パリン、とリフレクターの欠片が粉々に飛び散る。カメールは助けようとしたが、デルビルの咆哮により、モンスターボールに戻り、僕のモンスターボールからは、ハリボーグが飛び出して来た。

「ズルッグ、ニャスパーにだましうち!」

 ズルッグのだましうちを食らうニャスパー。ニャスパーはそのまま、力無く倒れ込む。