二次創作小説(映像)※倉庫ログ

再会を目指して ( No.284 )
日時: 2016/01/09 14:54
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: OVUpjg42)
参照: 良いことを教えてやろう、マイスマートフォン!

 ディアンシーが突然、ブティックに行きたいと言い出した。彼女(ディアンシーは性別不明なので、彼女と呼ぶのは不適切だが)によると、ロザリーのような服が着たいからだと言う。元々ポケモンは人間とは違って洋服を着込まないのだが、ディアンシーは世間知らずかつ好奇心旺盛なので、ロザリーのゴスロリの衣装に興味を持ち出したのだろう。
 ロザリーは半ば呆れながらディアンシーの頼みを承諾し、アイニスを噴水広場に待機させるよう命じた後、ディアンシーを連れてブティックに向かった。

 ブティックの中に入ると、ディアンシーは紅玉のような瞳を爛々とさせながらさっそうと服選びを開始していた。ポケモンが服選びをするなんて、何とも人間じみている。
 数分も経たないうちに、ディアンシーは色々な服を持ち出しながらこちらに駆け寄った。どうでしょうか、と服をロザリーに見せた。
 想像はしていたが、ディアンシーのセンスはイマイチだ。色合いが不釣り合いな服、コーデが釣り合わない服など、どれもピンと来ないものばかりだ。世間知らずなのか、ディアンシーはズレている。
 ロザリーが首を振ると、ディアンシーの頭がしゅんと項垂れた。
 ロザリーが顔を上げると、とある衣装に目がついた。リボンをあしらった、ピンク色のロリータ系のワンピースだ。姫君であるディアンシーによく似合いそうだ。
 ロザリーがワンピースが掛けられたハンガーを取り出し、それをディアンシーに見せると、ディアンシーの表情がぱあっと明るくなり、それを抱えて試着室に飛び出して行った。
 数分後、ディアンシーが泣き声を上げていた。急いでディアンシーの試着室に向かい、カーテンを開けると、ディアンシーがワンピースを逆さまに着替えていたのだ。着替えも出来ないのか、こいつは。
 ロザリーは溜息を吐いた後、ディアンシーに着替え方を教えた。相変わらず不機嫌な表情ではあるが、それでも丁寧でディアンシーにもわかりやすい説明だった。
 ロザリーの教えた通りに着替えるディアンシー。そこには、ピンク色のフリフリワンピースを着た、先程の何も出来ない姫君とは見間違えてしまう程の小さな姫君がいた。
 その姿を見たロザリーの表情が一変した。

「へぇ……似合ってるじゃない」
「ありがとうございます! ロザリー"お姉様"にそう言われて、わたくしとても嬉しいです!」

 ディアンシーの言葉をそのまま受け流そうとしたロザリー。だが、ディアンシーの言葉が何処かが引っかかる。

 ─ロザリー"お姉様"にそう言われて、わたくしとても嬉しいです!─
 ─ロザリー"お姉様"にそう言われて、わたくしとても嬉しいです……─
 ─ロザリー"お姉様"にそう言われて……─

「ちょっと、ロザリー"お姉様"って何よ!?」
「わたくしの望みを聞いて下さるし、お洋服を選んで下さるし、わたくしに着替え方を教えて下さったロザリーは、わたくしの"お姉様"です! わたくしも、ロザリー"お姉様"みたいになりたいですわ!」

 恥ずかしいこと言うんじゃないわよ、クズ!! そう叫ぶロザリーだが、心の中では何処か喜びを感じていた。確かに、ディアンシーは世間知らずで危なっかしいところがある。そんなディアンシーを、ロザリーは何故だが放っておけないのだ。これが所謂、母性なのか否か。
 もしかしたらママも、こういう気持ちで私に叱っていたのかな。ロザリーはそう感じ取った。





 買い物を終えて、アイニスのいる噴水広場に向かうロザリーとディアンシー。アイニスはロザリーの荷物を抱えて欠伸をしていた。
 私の荷物に菌が伝染るでしょ、とロザリーが注意する。アイニスは悪びれた顔もせずに謝罪しながらロザリーの荷物をロザリーに返した。
 次の町に出発しようとした、その時だった。
 ディアンシーの姿が見当たらない。いつの間にかいなくなっていたのだ。
 しかし、それで不安を感じるアイニスとロザリーではない。ディアンシーのことだ、何処かの店に立ち回っているのだろうと軽い考えでいた。
 しかし、それは予想外の出来事だった。

「きゃあああああッ」

 脳内に伝える悲鳴。その方角に視線を向けると、刃物のような危険な両手をした赤いポケモンと、両耳が左右非対称で片耳だけが赤く、鋭い爪が特徴的なポケモンがディアンシーを誘拐して町の出口に向かっている。
 ロザリーとアイニスは急いでポケモンたちの後を追って行った。
 しかし、二人の眼前に二人組の男が現れた。