二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 希望 ( No.295 )
- 日時: 2016/01/29 21:17
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
ディアンシーの仲間たちは解放され、国は平和を取り戻した。フレア団たちの攻撃によりみな傷ついていたが、そこまで重症ではなかったので、二週間程休めばまた動けるだろう。
その後、ディアンシーはメガシンカで新しく聖なるダイヤを造り出し、王国の生命の維持を保つことが出来た。
短い間だが、ディアンシーは成長した。当時は無邪気で好奇心旺盛かつ、世間知らずの箱入り娘ではあったが、今では麗しく、頼もしいプリンセスとなった。そんなディアンシーを、国民のみんなは誇りに思っていることだろう。
ディアンシーは、ロザリーとアイニスに、掌サイズのダイヤモンドをプレゼントした。始めて造ったダイヤらしい。丁度金が欲しかったアイニスとロザリーは、このダイヤモンドを使ってお小遣いにしよう……なんて考えず、大切にする、と言った。
王国を取り戻し、立派な姫として成長したディアンシー。しかし、それは、別れを意味することにもなっていた。アイニスは唇を尖らせ、ロザリーは相変わらずの不機嫌そうな表情だったが、瞳を歪ませていた。
ディアンシーも涙を浮かべていたが、最後は
「ありがとう、アイニス、ロザリー。わたくしは、このことを絶対に忘れません」
ルビーのように瞳を光らせ、どの宝石よりも輝かしい笑顔で、ディアンシーは微笑んだ。
ディアンシーと国民たちに見送られながら、洞窟を後にする二人。アイニスは手を軽く振り、背中を向けて、先にいるロザリーの後を追う。
もう、ディアンシーたちの声も、姿も、無くなった。
いやぁ、大冒険でしたなあと、呟くアイニス。フレア団とは二度も遭遇したし、メガシンカを二度も目撃したので、メガシンカを見てもあまり驚かなくなった。次にメガシンカがきたって、平然としていられる気がする。
ふと、ロザリーの足音が聞こえないことに気付く。振り返ると、ロザリーが立ち止まっていた。
どしたの〜? と駆け寄るアイニス。ロザリーは、顔を上げて、何かを決心したかのように、真剣な顔をする。
「私……ママに謝ってくる」
「お、いきなり何だ!?」
「私も、かつてのアイツと同じで、今の自分じゃ駄目だって諦めてた。だけど、それでもアイツは前を向いて、希望を信じて戦った……。私も、希望を信じてみようと思う。許してくれないと思うけど、このままじゃ嫌だし……気持ちを伝えなきゃ、わかってくれない……アンタたちとも、約束しちゃったしね。仲直りをするって」
「ロザちゃん……!」
ロザリーはこの件で、吹っ切れたようだ。この旅は、ロザリー、アイニス、ディアンシーにとっても、良い経験となった。希望を持つこと、諦めないこと……それらの経験はやがて、アイニスたちの味方となる。
「だから、アンタとは此処でお別れ。……いい、私の代わりに、カロスの美味しい食べ物を沢山食べてきなさいよ!!」
「……おう!」
ロザリーの髪飾りに付けているダイヤモンドと、アイニスの腰のチェーンに繋がれているダイヤモンドが、光った。
◆
『女王』は不機嫌である。ディアンシーを捕らえられなかったこと、"レプリカ"が消えてしまったこと、任務が失敗に終わってしまったことに、苛立ちを感じていたからだ。
だから、こんな出来損ないを『息子』と呼ばせる資格なんてない。それに、まだ『子供たち』はいる。『エカルラート』の代わりなんて、何千人もいる。だから、彼の名前を剥奪させ、『お仕置き』しておいた。
だけど、得したことが一つ。それは、"負の感情"だ。これらをまた集結させれば、また"レプリカ"だって造れるし、"繭"の目覚めも、近くなる。
その為にも、核兵器の力を浴びた"花"と"王"の協力も、いずれ、必要となるだろう。
ふと、蒼顔に、片方のみ手袋を掛けた、男が入ってきた。どうやら、お客が来たらしい。本当なら、此処で追い出そうと考えたが、"少女"を見て、それも止まった。
ボサボサの、腰まで届いた黒髪の三つ編み、ボロボロのセーター、ミニスカートに褐色肌。あどけない顔立ち。そして──酷く澄んだ瞳。
彼女はどうやら、『広告』を見てやって来たらしい。
「おねがいです、ここではたらかせてください!!」
三つ編みを揺らして、頭を下げる少女。
その少女を見て、暫くした後、『女王』は近づき、微笑む。その笑みは、どことなく"悪魔"の笑みにも近いことに、少女は気付かなかった。
「ようこそ、"新入り"さん。期待しているわ……」
To be continued