二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【青年の、内に秘めたthought-毒-】 ( No.296 )
日時: 2016/01/30 14:03
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 8R/poQo9)
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 今日も仕事-演技-を終えた。これは長年も務めているので疲労は感じられないが、それでも疲れは溜まっている。
 ネクタイを乱雑に解き、床に向けて投げ出すと、執事がはしたないですよ、とネクタイを拾った。
 執事の言葉に耳を貸さず、ワイシャツのボタンを外し、彼の白い鎖骨を露にした。ネクタイは窮屈だ、この方が落ち着く。
 今日もまた、パーティーが行われていたのである。パーティーは幼少期から慣れていたが、集団は苦手であり、人間関係はあまり好まない。それでも、その本性を隠そうと、仕事-演技-を全うした。営業スマイル、女性との付き合い、気さくな性格──全てが完璧ではないといけない。
 そういえば、パーティーには、彼も来ていた。松葉のような赤い髪に、黒のスーツの男。彼が新しい技術を開発したその記念として、パーティーが主催されたのだ。
 男と言葉を交わした時には、彼の眉がひそめられていた。それに反応して、私も眉を動かした。それでも、邪険なオーラだけは発さずに済んだ。恐らく、彼も、私も互いの"本性"に気付いていることだろう。
 ソファに腰掛け、目を閉じると、バウッと鳴き声を上げて、こちらにやってくる足音が聞こえてきた。闇に溶けまれた部屋の中、背後に差し込まれた光と共に、愛犬がやって来た。
 おいで、と招くと、愛犬は嬉しそうに駆け寄る。フルフルと尻尾を振る愛犬の頭を撫でた。すると、愛犬はこちらの膝に擦り寄ってくる。
 微かに青みがかった上弦の月が私の視界に入り込む。そこで、私は改めて決意した。

(私は、絶対に突き止めてみせる)