二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【メガシンカ】 ( No.37 )
- 日時: 2016/08/22 23:29
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: 9/mZECQN)
- 参照:
カジュアルな服装の上に白衣を着た男性。彼が、彼こそがカロス地方のポケモン博士のプラターヌ博士なのだろう。
カルムとアイニスは、ゆっくりと彼の元へと歩み寄る。
「遠路はるばるこんにちは!カルム、アイニス。ボクがプラターヌ!ポケモンとの旅は楽しいかい?色んなポケモンに出会った?」
「はい、とても楽しいです!それに僕、旅をしていなかったら……こいつとも会えなかったし」
ゼニガメはカルムの腕から離れ、プラターヌの元へと駆け寄る。
それを見ると、プラターヌはゼニガメの頭を撫でる。
「ゼニガメじゃないか!心配したんだぞー、幾ら知らない人だからって、泣き出して研究所から飛び出すんじゃないぞ」
ゼニガメは笑って頷いた。
どうやらゼニガメは人見知りらしく、見知らぬ人に遭遇し、その人に恐怖心を感じてしまい、研究所から抜け出して来たらしい。そして、いつの間にか迷子になってしまい、花畑で号泣していた……これで納得がいく。
プラターヌの背後から、大きな蕾を背負った緑色のポケモンと、尻尾の先端に炎を灯した恐竜のようなポケモンが現れた。
『No.80 フシギダネ 種ポケモン
生まれた時から、背中にある種を背負っている。太陽の光を浴びることで、背中の種が大きく育つ』
『No.83 ヒトカゲ 蜥蜴ポケモン
尻尾の炎はヒトカゲの生命力とヒトカゲの気分を表している。 元気だと盛んに燃え盛り、炎が消えると、命は終わる』
よく見ると、フシギダネとヒトカゲにも、ゼニガメの首輪に付けている石とよく似た輝きを持つ。
フシギダネは青と桃色の石をヘアバンドのようにして装着しており、ヒトカゲは橙色の石を胸元に付けている。
「いやぁ、ありがとうね。カルム、アイニス、このゼニガメ人見知りでね、初対面の人に会うとすぐ泣き出しちゃうんだ」
「いえいえ、オイラたち、通りすがりの勇者なので」
「随分と面白いことを言うねーアイニス。ポケモンを託すメンバーを選ぶに当たって、一つの町から一人ずつ……そう考えていたんだよね」
適当に選んだ訳ではなく、慎重に考えていたのはわかるが、何故自分を選んだのだろうか。
「カルム……。アサメタウンなら、知り合いのベテラントレーナーさんのお子さん。その時知ったサイホーンレーサー・サキさん親子の引っ越し……そう!君はカロス地方を知らない……。それがグッと来た。つまり、グッドポイントな訳!」
「それだけ……ですか!?」
「うん、それだけ」
サイホーンレーサー・サキの血を引いているから、という訳でもなく、ただ単にカロス地方を知らないという理由で自分を採用したらしい。
「博士、オイラはー?」
「アイニス、君はゲーマーアニオタ。だけど、ポケモンについて何も知らない……そして、ユニークな発言をする君とポケモンを合わせれば、君の世界はもっと素敵になると思ってね、それが君を採用したグッドポイントだ!」
「成程、つまり自分は、一般人の村人Aだが、あることをキッカケに世界を救う勇者となる……そんな感じですな」
アイニスは変わり者であり、変わった発言をする。それをアニメやゲームに例えて言うことも少なくはない。そんな彼とポケモンを合わせれば、彼の世界はアニメやゲームだけではなく、ポケモンも加わる、ということだ。
ウィーン、とエレベーターの扉が開いた音がした。
振り返ると、セレナ、サナ、ティエルノ、トロバがやって来た。
「よーし、みんなやって来たね。早速だけど、ボクについて来て!」
◆
研究所の1階にあるもう1つのフロア。其処はポケモンを調べる為のモニターや、パソコンがある。
そのフロアでプラターヌ博士の助手らしき男性たちがポケモンについて研究をしていたりする。
そして、そのフロアを出た先には研究所のポケモンたちが遊べる場所があり、樹木、水辺、床は芝生となっている。ガラス越しからには、日が射している。
カルムたちのポケモンはその部屋で遊んでおり、ゼニガメたちと仲良くしている。喧嘩はなさそうだが、カルムのピカチュウについては心配だ。
ピカチュウは悪戯好きなので、ゼニガメをからかうこともあるだろう。それが原因でゼニガメがまた研究所から飛び出さなければ良いが。
プラターヌは、研究室をカルムたちに案内させながら話す。
「君たちは、ポケモンに進化を越えた進化があるって聞いたら、信じるかい?」
「進化を越えた……進化……?」
「それって、ガブリアスはもう進化出来ないけれど、まだ進化が出来る……ということでしょうか?」
「流石だね、トロバ。そう、近頃、もう進化しないポケモンたちが、あることによって、特定な進化を起こすということが判明されたんだ。その名も『メガシンカ』」
「メガシンカ……?」
「『メガシンカ』は限られたポケモンがもう一段階進化することが出来る進化で、姿だけじゃなく、能力や特性が変化することもあるんだ。だけど、バトル終了後、メガシンカしたポケモンは通常の姿に戻る。そして、あるものがなければ進化出来ないんだ」
「あるもの……?」
その時、カルムの脳内から、3階でフシギダネたちと戯れているゼニガメが再生された。ゼニガメたちが付けていた、不思議なシンボルが宿る綺麗な石……。
それを思い出した瞬間、カルムは口を開いた。
「それって、ゼニガメたちが付けていた……あの石のことですか?」
「察しがいいねー。そう、メガシンカはあの石に関連していて、『メガストーン』って言うんだ。どうやらメガシンカ出来るポケモンにそのポケモンと合ったメメガストーンを付けると、そのポケモンをメガシンカさせることが出来る。そして、トレーナーにも、『キーストーン』って言う石を付けなければ、メガシンカは出来ないんだ」
「それだけでメガシンカが出来るの?」
「否、それだけじゃないんだ。トレーナーとポケモンの強く結ばれた固い……絆、それが共鳴しないと、例えキーストーンとメガストーンを持っていても、メガシンカは出来ない」
「メガシンカって……奥が深いんですねぇ」
進化を越えた進化、メガシンカ……。それがあるとは思いもしなかった。
そして、それが必要なキーストーンとメガストーン……。つまり、ゼニガメたちが付けている石はただのアクセサリーではなく、メガシンカさせる為に必要なメガストーンだということだ。つまり、ゼニガメたちはメガシンカが出来るポケモンなのだ。
そして、もう一つ重要なのは、トレーナーとポケモンの絆。キーストーンとメガストーンを持っていても、信頼関係がなければ、メガシンカは不可能。
自分がメガストーンとメガストーンを持った絆の強いポケモンとメガシンカ……なんて、それは儚い夢だ。
カルムがそんな妄想をしていると、別のフロアから、ガッシャーン!!!と窓の割れる音が響いた。
直後、ジーナとデクシオが扉を勢いよく開けて、こちらにやって来た。
「博士、大変です!ポケモンが……ゼニガメたちを拐いました!!」