二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【メガシンカ】 ( No.45 )
- 日時: 2015/08/26 20:13
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
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フラダリがカフェ・ソレイユを出た後、カルネは微笑みながら近付き、カルムとセレナに訊ねる。
「貴方たちは?」
「アタシはセレナでこちらは……」
「カルムです。……何か名前似てますね」
「二人とも、素敵な名前!カルム君、貴方は昨日ニュースで観たわよ。ゼニガメたちを助ける為にとても頑張ってたわね!かっこよかったわ!それに、なんて素敵なポケモンなの!あたしもポケモンを育ててるの。いつか勝負しましょうね!」
ニコリと笑みを浮かべ、カルネとカルムたちはすれ違う。
その瞬間、カルネの首元にチャームが付けてあるのがわかった。七色の光を放つ、メガストーンのようなシンボルを宿した、チャームだ。
その視線を気に留めず、カルネはカフェ・ソレイユを後にする。
外からはキャーカルネさんよー!という叫び声やサインをねだる大勢の人の声が飛び交っていた。
カルネもどうやらポケモントレーナーらしく、先程の言葉からして、ポケモンの腕に自信があるのだろう。
「そっか……、ポケモントレーナー同士なら、みんなと戦えるんだ……」
「カルネさんもポケモン育ててるのね……。そうだ、お隣さん」
「何?」
「貴方とアタシで競争しない?」
「競争?」
「ええ、これを見て」
セレナはトートバッグから綺麗に丸められた広告を取り出し、カルムに渡す。
広告を広げると、女性とポケモンが楽しそうにパフォーマンスされた画像が乗っている。カルムがサウスで観たTV番組とよく似ている。
そして、カルムは読む。
「ポケモンスペシャルショー……?」
「カロス地方にある大会よ。ポケモンのパフォーマンス、ポケモンのトリミング、ポケモンのかっこよさ、美しさを競うの。女性しか参加出来ない大会で、そこで優勝すると、リボンキーが貰えるの。それを4個ゲットすると、『カロスのレジーナ』として認められるの。まぁ、ジムとほぼ一緒よ」
「へぇー」
「アタシはいつかこの場所に立って、優勝して……そして、いつかはトップパフォーマンサーになるのが……アタシの夢なの。だから、それに備えて沢山の服を買っていたのよ。ポケモンたちがどんな衣装でも動けるように、服を使って練習してるの」
だからあんなに服を沢山買っていたのか。ポケモンが衣装に着慣れる為に。セレナは色々と気遣っているな、と思った。
確かに、ポケモンは服を着ていないので、服を着ているとぎこちないだろう。しかし、衣装を着ているうちに慣れ始め、次第には動きやすくなるかのだ。
「貴方はポケモンジムでジムバッジを手に入れる。アタシはスペシャルショーでリボンキーを手に入れる。……どちらかが先に全てのジムバッジ、リボンキーを手に入れるか、勝負しない?」
答えはもう、決まっている。
「……ああ、今日から僕たちはライバルだ!」
「そうこなくちゃね。最も、アタシ負けないけど」
こうして、カルムとセレナはライバルとなった。
カルムは全てのジムバッジを制覇する為、セレナはスペシャルショーでリボンキーを制覇する為……お互いの夢に向かって、歩き出す。
◆
自分は凄腕の鳥使いである。どんな鳥ポケモンも上手く使いこなし、華麗に優雅に羽ばたかせる自信がある。だから、他の鳥使いとは比べてほしくない。
そんな時、赤い服を着た男が自分の元に現れ、ある場所に連れていった。
事務的に話す美貌を持つ女性が自分を呼び出し、ポケモンを使って「あるポケモンを拐ってほしい」と頼んだ。
最初は興味がなかったものの、一日中遊んでいられるような大金を渡され、気が変わった。
彼女は望みを叶え……そして、彼女を自分のものにしよう、そんなことを考えていた。
しかし、少年の邪魔が入り、失敗に終わり、更にはファイアローが持ち帰るはずのポケモンをタワーに落としたのだ。助けられたので、死んではいない。
しかし、失敗は失敗で、更にはニュースにまでなってしまった。
今目の前にいる彼女の怒りに燃えている表情はサングラス越しからでも、よくわかった。
彼女の機嫌を損ねてしまえば、何をされるかわからないので、とにかく機嫌を損ねないように、何か訳を考える。
「申し訳ありません!次こそは……フシギダネたちを誘拐してみせます!だから──」
「だからまたチャンスを下さいと?ポケモンをタワーに突き落としたあげく、ニュースにまで大騒ぎになってしまったというのに……。貴方にはがっかりしたわ。凄腕の鳥使いだと思っていたのに……残念ね」
「そ、その腕は本物です!昨日は調子が悪かっただけです!だから、今日こそは──」
「……わかったわ、もう一度チャンスをあげるわ」
必死に土下座をして、ペコペコしている男を見て、女は溜め息混じりに答えた。
男は嬉しそうな顔をして、声を上げた。
女は王座の椅子から立ち上がり、男と距離を縮める。
そして、男の顎を持ち上げ、吐息がかかる位に顔を近くして、目と目を合わせる。
女からの視線が外せず、動けない。
「……ただし、貴方は用済みよ」
直後、ライオンのようなポケモンが女の背後から現れ、女が下がると同時に男に近付く。
ポケモンは炎を纏った牙を男に見せている。それを見て、男は悪寒がした。
「ひぃっ……!」
ガブリ
ポケモンが男を噛み砕くと、返り血がブシャリと飛び散り、女の身体と服に媚びりついた。
人形の糸が切れたかなように男はその場から倒れ込んだ。
それを気に留めず、女は男のモンスターボールを奪い取る。
「貴方……やるじゃない。ポケモンを躊躇なくタワーを突き落とすなんて……わたくし、貴方のような残酷な炎が大好きよ」
女は元々、男を許す気はなかった。それに、何故彼を雇ったかは、炎ポケモンであるファイアローに目がついたのだ。仮に成功したとしても、ファイアローを盗む気だったのだ。
女はスマートフォンのような機械を取り出し、科学者である一人を呼び出す。
『何でしょうか』
「キリ……貴方に任務を与えるわ。カロス地方の何処かの洞窟に幻のポケモン『ディアンシー』が住んでるの。『ディアンシー』は宝石を作り出すことが出来る他、メガシンカが出来る可能性が高いとされているわ。今すぐラージたちと一緒に『ディアンシー』の居場所を探して頂戴」
『仰せのままに』