二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【その男、大富豪であり、プレイボーイ】 ( No.62 )
日時: 2015/08/20 18:33
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)

 観光名所……という割には、大してそんなに大きいわけでもなく、ゴージャス感が溢れた城というわけでもなく、至ってシンプルな城である。
 街が田舎である為、あまり豪華にさせなかったのだろうか。
 
「失礼します……」

 セレナが扉を開けると、道場着に赤い鉢巻きといった空手大王のような男が立っていた。

「初めまして、アタシはセレナ。隣はアイニス」
「よろしく頼むぞ」
「お、ショボンヌ城に観光客が二人だなんて、すごくにぎやかですね!このお城……いわばシャトーは貴族のマナーハウスだったのです。ちょっと古めかしいですが、それは歴史があるからで、その歴史の中でみんなに色んなものをあげたので、広々とした感じです!終わり!」

 男の説明だけで、ショボンヌ城の観光は終わってしまった。何か、物足りないというか、こんな城の何処が観光名所なのかよくわからなかった。本当に(´・ω・`)城だ。

「えっ、メガシンカに関するものとか……ないんですか?」
「ソーダソーダ!こんなんだから(´・ω・`)城なんだよ!」
「?終わりですし、メガシンカって何でしょう」

 男は本当にメガシンカのことを知らないらしく、訝しげな顔をしている。時間の無駄だ。此処に長居したって良いことがないじゃないか。
 セレナとアイニスががっかりすると、一人の男が息を切らしながらやって来た。

「旦那!またあいつが来たよ!」
「そんな時期ですか?といってもね、あたし何にも出来ないですけどね」

 男たちが言うあいつとは一体何だろうか。もしかしたら、悪の組織が現れたのかもしれない、と考えた。

(!てゆーか、この人今「あたし」って言わなかったか!?)
「あたし7番道路に行きますが、ゆっくり見学してて下さいね」

 ショボンヌ城を後にして、出ていく男たち。
 セレナとアイニスは男たちの背中を見送る。
 セレナは何かしら、と首を傾げる。

「取り敢えず、アタシたちも7番道路に行きましょう」


 ◆

 男たちと「あいつ」がいる7番道路へと向かう。
 コボクタウンを抜けた先に道が二手に別れていた。どちらなのかと悩んだが、幸いセレナがタウンマップを持っていたおかげで、このまま真っ直ぐ進めば良いらしい。
 タウンマップ通り真っ直ぐ進むと、橋に男たちと謎の物体がある。

「アイニス、あれじゃない?」
「ポケモンみたいだな。こいつは……えっと」

『No.139 カビゴン 居眠りポケモン
1日に400キロの食べ物を食べるポケモン。カビや腐ったものでも平気で食べられるのは、カビゴンの胃袋が何でも消化出来る仕組みになっているからだ』

 橋を一方通行して道を遮っている、巨漢なポケモン。猫のような耳をしていて、真ん丸いお腹が特徴的である。
 カビゴンは大きな鼾を立てて、眠っている。

「こりゃまた、溜め息が出る程見事に眠っちゃってますね」
「何かト○ロみたいなポケモンだな。あのお腹をクッション代わりにして寝てみたい」
「そんな物事みたいに言わないの。これじゃあ旅が進められないわ!」
「うーん、どうしようか」

 みんなが唸っていると、アイニスは何かを閃いたかのように高笑いを上げる。

「ふはははは!!皆の共!此処は我輩に任せると良い!!」

 完全にキャラが一変し始めたアイニス。それを見て男たちは目を見開き、セレナはまたか、と頭を抱える。
 アイニスは腰からだ三つのモンスターボールを取り出し、投げ出す。

「出てこい、ケツマロ、ヒノカゲ、ヤムチャ!」

 左側からケロマツ、ヒトカゲ、ヤンチャムが姿を現す。三匹はやる気満々だ。

「総力戦だぁーケツマロ、みずのはどう!ヒノカゲ、りゅうのいかり!ヤムチャ、つっぱり!!」


▼アイニスの ポケモンたちは 総力戦を した!▼


「……グゥーグゥー……」
「「「…………」」」


▼しかし カビゴンには 効果が ないようだ……▼

「(ToT)」
「仕方がないわ、カビゴンは防御力と耐久力に優れているポケモンだから……まだ種ポケモンであるケロマツたちでは歯が立たないわ」

 道路の片隅でしょんぼりと体育座りをするアイニス。瞳が完全に死んでいる。
 しょげる彼をセレナはフォローをする。

「ほら、旦那!ポケモンの笛!……ってあれ。もう持ってないんだっけ」
「そうだね、シュトゥルムさんに渡しちゃったからね……」

 男たちの会話を耳にして、セレナは振り返る。

「ポケモンの笛?」
「ざっくり説明すると、カビゴンを起こすにはポケモンの笛が必要なんだ。だけどそのポケモンの笛は、パルファム宮殿にあるんです」

 要するに、カビゴンを起こす方法はただ一つ。ポケモンの笛を使うことだ。しかし、肝心のポケモンの笛は、パルファム宮殿という城にあるらしい。

「だったら、アタシたちが取りに行きます」
「そう?だったら、お願いするよ」

 セレナは未だに体育座りしているアイニスの手を引っ張って、パルファム宮殿へと向かっていく。
 アイニスは今、セレナに引き摺られている状態だ。

「行きましょう、アイニス」
「(´;ω;`)」