二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【その男、大富豪であり、プレイボーイ】 ( No.63 )
日時: 2015/08/21 01:17
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
参照: マルガリータ版ブルース・ウェイン

 パルファム宮殿は3000年前の王が自分の権力を自慢するの為に作りあげた城だ。殺風景で小さいショボンヌ城とは異なり、ゴージャス感が溢れた大きな城であり、ミアレ程ではないが迷子になってしまう程の広い部屋がある。
 王がいなくなった今は、大富豪であるティモシー・フートがパルファム宮殿を引き取り、別荘として使っている。今は、亡き両親の跡継ぎをした若き息子がパルファム宮殿を自由解放をさせ、誰でも無料で観光することが出来るようになった。
 しかし、万が一宮殿にある家具や部屋に傷をつけた場合、高い金額の弁償と即追放となってしまうので、宮殿にあるものは触らないようにしよう。
 
「……すごいわ、こんなに広いと思わなかった」
「(´・ω・`)城とは違ってこっちはキンキラ金ですわ」

 目の前に置かれている麗しきポケモンの像──あれは慈しみポケモン『ミロカロス』をモデルにして造られた像だ。
 そして、壁際には兵隊のようなポケモンの像──『コマタナ』をモデルにして造られたのだろう。
 どの像や壁紙も金で出来ているので、それほど高い金額を使ってまでも立てたのだろうか。もし、弁償することになったら、とんでもない金額を請求されるだろう。
 ふと、幾多の女を連れた男性がこちらにやって来た。最初は遠くて認識が出来なかったが、男性がこちらに向かって足を運んでくるおかげで、どんな男性なのか漸くわかった。
 薄紫の短髪に、白のスーツを着た男性だ。スーツの下から見えるシャツの第一ボタンを留めていないせいか、鎖骨が見える。スラリとした体格で、端麗な顔立ちである。
 セレナとアイニスには彼に見覚えがあった。

「やぁ君たち。此処に来るのは初めてかな?」
「はい。……えっと、シュトゥルムさん?」
「そんなに緊張しなくても良いんだよ。僕は君たちが思っている以上に、そんなに偉くはないんだから」

 シュトゥルム・フート。ティモシー・フートとダイアナ・フートの間から生まれた息子であり、フート家の跡を継ぐ者となっている。
 彼がまだ若きティーンエイジャーだった頃、両親が何らかの事件により他界され、その後はティモシーとシュトゥルムの良き理解者である執事ポケモンによって育成なされたらしい。
 現在はフート家の跡を継ぎ、気さくな性格、プレイボーイとしても有名な青年として有名になっている。噂によると、ポケモンの腕も相当あるという。

「此処には3000年前の歴史が沢山詰まった場所なんだ。それを君たちにも味わって欲しいな」
「あの、シュトゥルムさん。実は貴方に用があって来たんです」
「僕に?」
「はい。ポケモンの笛を……貸して頂けないでしょうか?実は、7番道路にカビゴンが道を通せんぼしていて……」
「成程、事情はわかった。今すぐポケモンの笛を君たちに渡そう」

 シュトゥルムは呑み込みが早く、状況を理解したそうだ。
 シュトゥルムが踵を返すと、女たちが物足りなさそうな表情をしている。

「もう行っちゃうの〜?」
「すまないね、すぐ戻るから部屋を見回ってくれ」

 その時、一匹のポケモンがシュトゥルムのもとへやって来た。緑色の頭部に、大きな緋色の瞳、そして、刃のような肘を持つポケモン。

『No.67 エルレイド 刃ポケモン
相手の思考を読み取る能力を持つポケモン。肘にある刀で戦う礼儀正しいポケモン』

「mari」
「どうした、エルレイド」

 エルレイドはシュトゥルムに近付き、耳打ちをする。するとシュトゥルムの表情がみるみると変わり、険しそうな表情になる。

「すまない、君たち二人も此処を見回ってくれ。すぐ戻るから」

 少し早口で話した後、シュトゥルムとエルレイドは何処かへ行ってしまった。

「シュトゥルムさん、一体どうしたのかしら」
「……」

 アイニスは考える。何だかシュトゥルムが怪しい。険しそうな表情、早口……。何だか、とても急いでいるような感じだった。先程、アイニスたちの頼みを承諾したばかりなのに、急に延長させてしまうとは、一体があったのだろうか。
 考えているうちに、アイニスはある行動に思い付いた。

「尾行、しちゃおっか?」
「貴方、本気で考えているの!?相手は貴族よ!もしそんなことしたらアタシたち、此処から追放されちゃうわ!」
「セレナーデは思わないの?さっきのシュークリームさん、何か変だったじゃん。だからその謎を突き止めて、オイラだけの秘密にするもんねー!」

 手をブラブラ振らせながら、シュトゥルムたちの後を追うアイニス。
 瞬間、右腕が硬直化したかのように固まり、動きが取れない。
 振り向くと、真剣な顔をしたセレナと目が合った。自分を引き留めるつもりなのだろう。
 しかし、アイニスの予想は外れた。

「アタシも行くわ。貴方は何をしでかすかわからないし、二人で行けば罪は分け与えられるわ」
「……そうこなくっちゃ!」