二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【その男、大富豪であり、プレイボーイ】 ( No.74 )
- 日時: 2015/08/21 23:21
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
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リーダーの命令を無視して、途中で抜け出して来た。こんなことをするのは初めてではないが、戻って来たらリーダーはきっと激怒になるだろう。叱られるのは慣れているし、何回注意されても、興味の無いものは徹底的に無視をする。それが自分のスタイルである。
ブラブラしながら歩いていると、中庭に辿り着く。其処にはポケモンやモンスターボールの石像や植木があり、そして人物やポケモンが沢山いる。
思い出した。確か此処はパルファム宮殿という城で大昔のカロスの王が造り上げた荘厳である。現在は大富豪シュトゥルム・フートが宮殿を受け継いでいるのだ。シュトゥルムが宮殿を開放した為、多くの観光客が来ている。
何か良いものはないかなぁと当たりを見回す。視界にはポケモンの石像を見る観光客、ポケモンと遊ぶ子供たちが映る。
ふと、植木を見ると、昼寝をしている二足歩行の白いポケモンを見つける。
シルクハットやネクタイはしていないが、このポケモンとよく似た犬型ポケモンを何処かで見たことがある。だが今はどうでも良い。
ゆっくりと近付き、ニヤリと不適な笑みを浮かべる。
「可愛いワンちゃんには、首輪を付けないとね」
◆
シュトゥルムとエルレイドの後を尾行するアイニスとセレナ。二人に気付かれないように音と気配を殺しながら進んでいく。
仮に見付かった場合は、謝罪をする。アイニスのせいにするのではなく、二人一緒に。
アイニスとは長い付き合いであり、5人の中では少し浮いていた。それでも彼を仲間外れにさせなかったのは、彼の喋り方と思考が、セレナたちを笑わせてくれるからだ。
今はカルムも加わって6人。今のセレナたちは誰かが欠けてはいけない。欠けられない強い絆があるのだ。
壁や柱に隠れながら進む。そして、彼等が走った後に着いていく。が
「行き止まりだわ」
「むむ……オイラたちに尾行されたのに気付いたのか、あるいは秘密の仕掛けを使ったのかもしれない……」
「秘密の仕掛け?」
「アニメやゲームでよくあること。誰かを追って走っていると、其処は行き止まりっていうのがよくあるだろ?実はそれが、その秘密の仕掛けを使って別のところへ逃げたっていうパターンがよくあるんだよ」
「その秘密の仕掛けって、例えばどんなものなの?」
「そうだなぁ、うーん……」
唸りながら考え込むアイニス。すると何かが閃いたかのようにあっ!と叫び、壁際に触れる。
「例えば、この壁。一見何もないただの壁に見えるけど、実は見えないボタンが紛れてるっていうのも、アニメやゲームでよくあること」
「つまり、目に見えているものだけが道とは限らないっていうことね。じゃあ壁際や柱を触ってみましょ」
セレナとアイニスは、ほんの隙間も見逃さないように、壁際や柱に触れる。しかし、ボタンと思わしき装置は中々見つからない。
アイニスが適当に柱に触れると、ポチッと動く音が聞こえた。
「!?」
揺れが発生する中、ウィーン、と壁がスライドをし始め、その中から階段があるのを見つけた。
揺れは収まる。
やはり、アイニスの考えは的中していた。パルファム宮殿には、秘密の仕掛けがあったのだ。
恐らくこのボタンを使って、シュトゥルムとエルレイドは消えたのだろう。
「じゃあ、行くぞぉー」
「ええ」
キャアアアアア!!!
女だけではない複数の人の悲鳴。
振り向くと、観光客がパルファム宮殿から逃げでいる。子供を抱き抱えて逃げる女、泣き出す子供がいる。
「もぉ、一体何が起きたんだよぉー!」
「アタシたちも行ってみましょう!」
◆
観光客が逃げた先を追い、辿り着いた場所は中庭だ。
此処で一体、何が起こったのだろうか。巨大なポケモンも、人質に取った悪人も、誰もいない。
セレナたちが進んでいくと、白い犬型ポケモンが吠えながら植木から飛び出して来た。
『No.93 トリミアン プードルポケモン
大昔ではカロスの王の護衛を務めていた。トリミングをすると体のキレがよくなる』
このポケモン──トリミアンが人々を襲っていたというのか。しかし、図鑑の音声説明からして、トリミアン王はの護衛をしていたポケモンだ。そんなポケモンが何故、宮殿にいる人々を襲っているのか。
ギラリと光る眼を睨ませながら、トリミアンはこちらに向けて吠える。
「どうして、トリミアンが……」
「このワンちゃんはボクが洗脳したからね。君たちの声も届かないよ」
声と同時に紺色の髪に赤い服を着た男と、スプーンを持ったポケモンが現れた。
『No.104 フーディン 念力ポケモン
知能指数5000を持つポケモン。スーパーコンピューターよりも素早く計算する賢い頭脳がある』
「何の目的で洗脳したかわからないけど、今すぐ洗脳を解いて!」
「何でボクが子供である君たちの言うことを易々と聞かなきゃいけないのかなぁ。これだから、子供は嫌いなんだよ」
「今は子供も大人も関係ない!今すぐ解け!」
「そんな生意気な子供らに、お仕置きをしないと駄目だねぇ?……フーディン、サイケこうせん」
フーディンの攻撃が、セレナたちを襲う。