二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 【その男、大富豪であり、プレイボーイ】 ( No.85 )
- 日時: 2016/08/09 10:09
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: tQGVa0No)
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辺りはいつの間にか夕方になり、随分と時間が経った。カビゴンを起こすのは明日になりそうだ。
アルフレッドの暴走により、中庭は荒れてしまい、観光客に恐怖を与えてしまった為、シュトゥルムは観光客にお詫びの打ち上げ花火を提案した。
観光客は喜び、快く許してくれた。
そして開園時間は終わりを迎え、観光客は帰っていった。
シュトゥルムは笛の件のことを覚えてくれたので、セレナとアイニスを門前で待機するように伝える。
暫くすると、シュトゥルムとエルレイドがやって来た。
「君たちには悪いことをしたね。長時間待たせた挙げ句、アルフレッドに襲われたりして……主人としてお詫びを言おう。本当に、すまなかった」
「そのお詫びとして、このポケモンの笛を差し上げます」
エルレイドは先端がモンスターボールの笛の入ったショーケースをセレナに渡す。
「いえ、元々はアタシたちが言い出したことなんだし、アルフレッドの暴走もシュトゥルムさんがやったことじゃないから、シュトゥルムさんは悪くありません」
「そもそも、悪いのはトリミングを洗脳させた赤い奴なんだし」
「……そう、だね。赤い服を着たあいつらは罰を受けるべきだ。軽い罰じゃ済まされない。もっと、重い罰を……」
シュトゥルムの表情と声が恐ろしくなる。何かを憎んでいるような、睨み付けているような……。普段の彼からはしない、憤怒に満ちたオーラ。
怖い、と思った。
シュトゥルムの様子に察したエルレイドは強めの口調で呼び掛ける。
「mari」
「!……あ、ああすまない。ちょっと嫌なことを思い出してね。本当に、君たちには謝罪でいっぱいだよ。それを使えばカビゴンは起こせるから、頑張ってね」
シュトゥルムは早足で宮殿の中に消えていった。
エルレイドの呼び掛けにより、シュトゥルムは正気を取り戻したようだが、今でもあの表情と声は脳内に残っている。
エルレイドは、では、わたしもこれにて失礼させて頂きます、と礼をして、踵を返す。
それを見たアイニスはエルレイドは睨みながら、口を開く。
「待って」
「……何でしょうか」
「あのスプーンポケモンの攻撃から守ってくれたの、アンタでしょ」
「!アイニス」
「アンタは姿を変えてオイラたちを庇い、スプーンポケモンと戦った。スプーンポケモンが消えた後、シュークリームさんのエルレイドはいなかった。だから、アンタがやったんだろ」
アイニスはエルレイドを睨み続けている。
確かに、話してはいなかったが、あのポケモンはエルレイドによく似ていた。緑色の頭部、体型、そして、肘。それに、戦闘が終わり、ポケモンが去ったのと同時に、エルレイドはいなかった。
だがしかし、エルレイドは相変わらずの無表情で
「……はて、一体何のことでしょうか。わたしの他にもエルレイドは存在していますし、そもそも、ティモシー様からはmariを守るように育てられている為、わたしは戦闘用ではありません。個体違いではないでしょうか」
「……」
「では、わたしもこれにて失礼させて頂きます。あなたたちに、良い旅を」
エルレイドは会釈をして、その場を去る。
エルレイドはシュトゥルムのエルレイドの他にも沢山の別個体のエルレイドは存在している。
シュトゥルムも、自分のエルレイドは戦闘用ではない、とも言っていたのでアイニスの予想は外れである。
だが、アイニスからして見ればシラを切っているようにも聞こえたので、何だかスッキリした気分にはならなかった。
アイニスは悔しそうにエルレイドを見詰めていた。
◆
「……mari、よろしかったのでしょうか」
「まだ彼女たちに知る必要は無い。彼女たちはまだ未熟だ、いつか彼女たちが強くなった時には……真実を伝えよう。今は、”私”だけで充分だ」
「そうですか」
「……彼等の居場所を察知した。いくぞ、エルレイド」
「Yes、mari」
◆
6番道路に戻り、男たちとカビゴンのいる橋のところまでに戻るセレナとアイニス。
男にポケモンの笛を渡し、ポケモンの笛を吹いてもらった。音色は綺麗だったが、その後カビゴンは起き上がり、こちらに襲い掛かって来た。
その後セレナとアイニスの協力により、暴走は止まり、カビゴンはアイニスにより、捕獲をされた。
男たちはありがとう、と言い、その礼としてショボンヌ城で宿泊をしてくれた。
食事やシャワーを終え、あとは就寝だ。
向こう側のベッドにいるアイニスはうんうんと唸っている。
「まだあのポケモンをエルレイドだと思ってるの?懲りないのね」
「だってぇー、何だか怪しいんだもん。秘密の仕掛けと言い、あのシューベルトさんの表情と言い……」
「いつまでも引き摺らないで、早く寝ましょ。でも……確かに、今日は色々あったわね。秘密の仕掛けに、謎の男、シュトゥルムさんの表情……そして、メガシンカ」
メガシンカをこの目で見た驚愕と興奮は今でも忘れずにいる。進化を越えた進化……あれがメガシンカとは。多分、自分たちがカルムたちよりも、目撃した人間の一人なのだろう。
プラターヌ博士に伝えたら、彼はどんな反応をするのだろうか。
そして、謎の男。いきなりアルフレッドを暴走させた挙げ句、いきなりセレナたちを攻撃したのだ。『今度会ったらただじゃおかない』……もしかしたら、また彼と今後遭遇することになるだろう。
色々考えていたら、睡魔が襲い掛かって来た。
セレナとアイニスはお互いにおやすみと言い、眠りについた。