二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- I want to be…… ( No.94 )
- 日時: 2015/08/24 23:30
- 名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
- 参照:
カロス地方ではプラターヌ博士に選ばれた人間がポケモン図鑑と御三家ポケモンを託され、旅に出ることになっている。
御三家ポケモンは、旅に出る前に貰える最初のポケモンで、草、炎、水の三種類に分けられた三匹のポケモンから一匹を選んでから、旅に出るという。
御三家ポケモンなしでも旅に出ている人もいるけれど、ポケモンを捕まえる為にはポケモン同士を戦わせなくちゃいけないから、御三家ポケモンを貰ってから旅に出ている人が半数だ。
そういうぼく──否、ぼくたちもカロス地方の御三家ポケモンであり、いつしかプラターヌ博士の元から離れてトレーナーと旅をしなくちゃいけない日が来る。悲しいけれど、それがぼくたち御三家ポケモンの使命なんだ。
そして、その日が遂に来た。
今回は6人の子供たちを選んだらしく、その3人がぼくたち、御三家ポケモンを貰うらしい。
どんな人かな、仲良くなれるかな。
緊張するぼくたちにプラターヌ博士は言ったんだ。「大丈夫、君たちは素晴らしい人に巡り会えるよ」。
何だか安心して、ぼくたちはモンスターボールの中に入り、ショーケースの中に閉ざされる。
ワクワクと不安を胸に秘めて、ぼくたちはモンスターボールの中で待っていた。
ショーケースが開かれた時には、見知らぬ街と見知らぬ人間たちばかりだ。青いジャージの男の子、長髪の毛先を結んだ女の子、ヘッドフォンをかけた男の子……。彼等が、ぼくたちと共に旅をすることになったポケモンレーナーだ。
モンスターボールを出され、対面をすることになった。
ぼくたちを見て男の子は目を輝かせた。
女の子はポーカーフェイスみたいだったけど、興奮しているのがよく分かる。
ヘッドフォンの男の子は……何だか興味がないようだ。
ぼくはどの人間とも旅をしたって大丈夫だけど、やっぱり、選ばれるのは緊張しちゃうものでドキドキした。
タイプや外見では、ぼくたちハリマロンはあまり選ばれない種族らしく、ケロマツが人気だ。女の子にはフォッコが人気。
もしかしたら、ケロマツとフォッコを選びたかったトレーナーが残されたぼくを見てがっかりしちゃうのかな。そうだと、何だか申し訳ない気持ちと悲しみでいっぱいだ。
だけどそれも、ぼくの運命なんだから、しっかりしなくちゃ。
覚悟を決めるぼくの前に、掌が差し伸べられた。
顔を上げると、其処には笑顔があった。
「よろしくな、ハリマロン!」
カルムはぼくを選んだ。
女の子と男の子より先に、躊躇いも迷いもなく、ケロマツやフォッコではなく、ぼくを選んだ。
それが何より嬉しくて、ぼくはよろしくね!と言わんばかりに鳴き声と差し伸べられた手を掴んだ。
こうして、ぼくとカルムの旅は始まった。
カルムは有名なサイホーンレーサーの子供で、カロス地方に引っ越しして来たばかりの新米トレーナーだ。何故プラターヌ博士が彼をチョイスした理由は「カロス地方を知らないから」。
カルムはぼくを肩に乗せてくれたり、バトルで勝つと褒めてくれた。勿論負ける時もあるけれど、カルムはぼくの責任にしたり、弱いと罵ったりはせず、次は頑張ろうな、と慰めてくれる。
そんな彼だから、ぼくは彼の期待に応えてあげたいんだ。
だから、ジムリーダー戦で苦手なビビヨンにも立ち向かえたんだ。褒められなくても良い、カルムの笑顔が見たくて。役に立ちたくて。
ぼくとカルムの友情で、初めてのジム戦に勝てた。それが、とても嬉しくて。
カルムがいてくれたから、ぼくは今よりも強くなれた。
だけど、それは過信に過ぎなかった。
ミアレシティで、ぼくたちの仲間の御三家ポケモンたちがファイアローに誘拐された。
其処は高い高い、塔のてっぺん。落ちたら命はない。
だけど、カルムは自分の危険を顧みずに塔のてっぺんにまで来た。ぼくとピカチュウも一緒だ。
カルムはぼくたちに攻撃命令をしないで、ファイアローを何とか説得しようと試みた。
だけど、ファイアローは躊躇なくぼくたちを襲って来た。
それでもカルムは説得を続けて、ファイアローに近付く。
しかし、ファイアローは今度はゼニガメを塔から突き落とした。
それを見たカルムは自ら塔に飛び降りたんだ。
ぼくはカルムを助けようとつるのムチでカルムの足を掴むけど、あっけなくぼくたちも落ちてしまった。
情けないなぼく。トレーナーの命を守れないなんて。
だけど、謎のポケモンが助けてくれたおかげでぼくたちは落下せずに済んだ。とってもかっこよくて、騎士みたいだ。
謎のポケモンを見て、ぼくは決心した。
いつかは、あのポケモンみたいに強くなりたい!いつかは、あのポケモンみたいにカルムを守りたい!
だからもっともっと戦って、もっともっと強くなってやるんだ。