二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【毬栗から棘鎧への進化】 ( No.95 )
日時: 2015/08/24 23:18
名前: マルガリータ ◆Ywb2SqBO2Q (ID: wyieLVt/)
参照:

 7番道路にある城『バトルシャトー』。バトルを求めるポケモントレーナーが集まる場所で、沢山のポケモンバトルをするには持ってこいの場所だ。
 バトルシャトーは勝ち進むことで『爵位』という称号を得ることが出来る。『爵位』が上がれば上がる程、手強いポケモントレーナーが訪れる。
 どうやらカルムはバトルシャトーにハマり込んでしまい、強者トレーナーとポケモンバトルを挑み、勝ち進んでいる。
 そして今も、灰色の毛並みに小さくて可愛いポケモンと共に、カルムは戦っていた。

『No.114 ニャスパー 自制ポケモン
強力なサイコパワーを持つが、まだコントロールは出来ていない。その為、耳を塞いでいる』

「ニャスパー、GO!」

 相手を魅力してしまう程の声を放ち、相手のポケモンを攻撃する。
 チャームボイスを受けたポケモンはその場に倒れ込む。
 これで連戦連勝。今のカルムには怖いものなしだ。

「やったな、ニャスパー!」

 ハイタッチをするカルムとニャスパー。
 ニャスパーは基本的に表情を表に出さないポーカーフェイスだが、何処か嬉しそうに見えた。

 対戦を終え、他のトレーナーとバトルをする為、色々な人物を探し出す。どれもみんな、戦ったことのあるトレーナーばかり。
 そんな中、ベルの音が響いた。

「皆様……お喜び下さい。なんと『グランデューク』であるシュトゥルム様がご来場になられました。どうか盛大な拍手でお迎え下さい」

 シュトゥルムという名前を聞いたトレーナーたちは、バトルシャトーの入り口にまで並び、シュトゥルムの来客の準備を始める。
 カルムは隣にいる男に耳打ちをした。

「シュトゥルムって?」
「Mr.フートのことを知らないのか?まぁ良い、説明しよう。シュトゥルム・フート。大富豪ティモシー・フートの息子で、お前位の年で親を亡くしてさ……。だけど、その哀しみを乗り越えて、父の跡を継いで有名な貴族になったんだ」 
「へぇ、大変だったんだね」
「あ、来たぞ!Mr.フートだ」

 シュトゥルムと思しき人物がやって来た。
 カルムは思わず目を見開く。ポケモン研究所で出会った男性だ。
 薄紫の髪を揺らしながら歩いていき、皆の拍手に応えるかのように手を振る。まるで何かのパレードのようだ。
 噂によると、シュトゥルムはポケモンの腕に強いらしく、ポケモンバトルをする時に限っては此処に来ているようだ。ならば、これはチャンスだ。
 カルムはシュトゥルムの背中を見て、叫ぶ。

「あの!」

 シュトゥルムは振り返り、すこしきょとんとした表情で見る。
 そして、何かを思い出したかのようにシュトゥルムは口を開く。

「君は、ポケモン研究所にいた……」
「カルムです!シュトゥルムさん、僕とポケモンバトルをしてくれませんか?」

 雰囲気はトレーナーたちのどよめきとひそひそ話に包まれる。しかし、カルムは気に留めず、シュトゥルムを見つめている。
 シュトゥルムに勝負を挑むトレーナーはいるが、カルムのようなトレーナーは初めてである。トレーナーたちはそれに驚いているのだろう。
 カルムの眼差しを見て、シュトゥルムは微笑んだ。

「外見とは裏腹に面白いんだね、君。うん、そういうの嫌いじゃないよ。バトルが楽しみだ」
「ありがとうございます!」

 ◆

 場所を変えて、バトルフィールドに立つカルムとシュトゥルム。
 周りには二人の勝負を観戦しに来たトレーナーたちばかり。
 二人の視線が交う。どちらも、勝ちたい!という意志が込められている。

「使用ポケモンは1体のみ。どちらかが先に倒した方が勝ち。良いかな?」
「はい」
「じゃあ、僕はトリミアンのアルフレッドで行くよ」

 シュトゥルムが繰り出したのは、、白い毛並みの犬型のポケモン、トリミアン。名前はアルフレッドというらしい。

「それなら僕は、ハリマロンで行きますよ!」

 カルムが繰り出したのは、ハリマロンだ。
 ハリマロンはバトルフィールドに着地し、リマリマ!と声を上げる。やる気満々のようだ。


カルム vs シュトゥルム
ハリマロン トリミアン


「先行は貰います、ミサイルばり!」

 ハリマロンは頭部の棘から幾多の針を発射させ、アルフレッドを狙う。
 シュトゥルムはかわせ、と声を張り上げる訳でもなく、アルフレッドに指示を送る訳でもなく、瞳を閉じている。
 この勝負、貰った!そう確信した瞬間

「コットンガード」

 アルフレッドの体が唐突にモフモフの毛並みへと一変し、ハリマロンのミサイルばりに当たる。
 ミサイルばりは毛並みに吸収された。

「ええっ!?」
「コットンガードは防御力を高めて、技の威力を減らす技なんだ。アルフレッドにもちゃんとした毛並みがあるからね。……こちらもいかせてもらうよ。かみつく!」
「避けろ!」

 アルフレッドは鋭く尖った歯を剥き出してハリマロンに攻撃する。
 ハリマロンはそれをかわす。

「もう一度」

 鋭い歯を再び剥き出して攻撃するアルフレッド。
 ハリマロンは連続で回避しているが、回避のタイミングがずれてしまい、ハリマロンはアルフレッドに噛み付かれてしまう。

「つるのムチだ!」

 緑色の鞭でアルフレッドの体を叩き付ける。
 効果が効いたのか、アルフレッドはハリマロンの体を放す。
 ハリマロンはぜぇぜぇと息を切らして呼吸を整える。まだ倒れてはいないものの、長く続かないだろう。
 これがグランデュークの強さ。
 カルムはアルフレッドを睨む。
 モフモフとなったアルフレッドの体だが、顔だけは毛並みで覆いつくされていない。それを見て、カルムは思い付いた。

「ハリマロン、ころがる攻撃だ!」

 ハリマロンは体を丸め、転がり始める。

「コットンガード状態のアルフレッドには、攻撃が効かないよ」
「顔を狙って突っ込め!!」
「!」

 ころがる最中、ハリマロンの頭部の棘が硬直し、鋭くなる。
 ハリマロンはアルフレッドの顔目掛けて、ころがる攻撃を食らわす。
 顔面だと流石に痛く、アルフレッドは悲鳴を上げてよろける。

「アルフレッドはコットンガード状態で体が毛で覆われている。だけど、顔だけはコットンガード状態じゃない。体が駄目なら、顔にころがる攻撃をさせたんです」
「……成程ね、だから顔を狙ったのか。良い発想だね。だけど」

 アルフレッドは体勢を整え直す。

「アルフレッド、ギガインパクト!」

 とても強烈な突進をハリマロンに食らわす。
 ハリマロンは突き飛ばされ、壁に衝突した。
 砂ぼこりが静まる中、カルムが見たハリマロンの状態は

「……!ハリマロン!!」


カルム vs シュトゥルム
ハリマロン(×) トリミアン

winner シュトゥルム